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小児矯正のメリット

2023年8月8日

歯並びの問題
昔と比べると、虫歯自体は減少傾向にあり、歯並びの問題は増えています。顎は現代の食生活を送る上でそんなに発達しなくても良くなり、歯が生えるスペースが狭くなっているためです。
 また、普段の生活の中で、正しい口唇と舌の動きができていないために、歯並びが乱れてしまう場合も多いです。

お子さんの治療例
 3歳1ヶ月でこの状態でした。

受け口で、食事の際の唇と舌の動きにも問題がありました。下唇で上唇を巻き込むような食事の取り方で、筋肉の動きとバランスの不調が認められました。歯並びが乱れてしまう原因として、口唇による外からの圧力、舌による内側からの圧力が適切でないため、受け口になってきたと考えられます。矯正装置と、筋肉の働きを正常にしていく訓練を行いました。

4ヶ月後

受け口の改善が認められます。筋肉の機能訓練と矯正装置の併用で、適切な舌と口唇の動きになるよう修正をしていきました。食事の際も、以前の癖が取れて、自然な筋肉の動きになるように変わってきました。

当院の小児歯科矯正治療については、こちらをご覧ください。大きく分けて2種類の矯正治療の方法がございます。

私たちの導入している矯正装置は、お子さんご自身で取り外し可能なものです。お子さんの矯正治療は、親御さんの協力なくしては成り立ちません。1日のうち、矯正器具を装着するタイミングと時間は装置により異なりますが、装着ができなければ何の効果も得られません。きちんと装着できれば、治療効果が得られる以外に、歯につけっぱなしの矯正器具と異なり、食事や清掃しやすいという大きいメリットがあります。

口唇や舌は柔らかいため、それらがしっかり生えている歯を動かすような影響があるのかと驚かれる患者さんは多いです。歯の移動は意外と簡単に生じるものです。無意識のうちにしていることで、
・舌先で歯と歯の間を触ってしまう
・口がぽかんと開いている
・頬杖
・片側のみで噛む癖
・うつ伏せ寝
などございませんか?これらは実は歯並びを乱す良くない習慣なのです。外からの力、手や机、枕などから持続的に力がかかることにより、その側の歯列が押されてへこんでくる変化が生じます。(すぐではありませんが)
 舌が無意識のうちに特定の場所を触ってしまうと、歯と歯の間が開いてきたり、傾斜が生じたりします。あの柔らかい舌が硬い歯を押して動かすような力を発揮してしまうのです。

歯並びが良いと老後も健康!

 健康的に老いていくことは誰しも望んでいることです。一番いいのは、ずーっと心身ともに健康であり続け、活動的に日々暮らしながら歳を重ねていき、ある日眠るように息を引き取る、天寿を全うするというイメージです。これが所謂ピンピンコロリ(PPK)ですね。私たちも今からピンピンコロリを目指してできる範囲で健康管理に取り組んでおります。具体的には、訳のわからないもの、身体にあまり良くないものはほどほどにしておくこと、食べ過ぎない、普段から運動する習慣形成、しっかり眠ることです。世の中には健康に良いとされる情報が溢れています。例えば牛乳が身体にいいという意見、それと真反対の意見もありますよね。さまざまな健康情報も、その人ごとに合う、合わないが違うでしょうし、自分に合った健康管理法を実践していきたいものです。
 しかし、多くの人は普段の健康へのありがたみはなく、病気がないのが当たり前に思っているようです。そのため、病気にならないために予防していくという意識は低く、病気になってからの事後対応がほとんどであります。その証拠に、我が国では80%の方が病院で亡くなっています。
 50%の人が自分は病院で死んでいっていいと思っています。人生の最後の段階で、不健康な期間が男性で9年、女性で12年もあります。では何歳まで生きたいかについてはどうでしょう。男性で80歳、女性で73歳まででいいというアンケート結果があるようです。果たして不健康なまま人生を終えて良いのでしょうか。
 死ぬ時に後悔することで何か多いかというと、健康を大切にしてこなかったということ、美味しいものを食べておかなかったことが挙げられるようです。お口の健康を守り、病気を予防してこなければ、高齢になるにつれ口腔内の状況は悪化してしまいます。それを回避し、できるだけ病気にならないよう予防をして良い状態を保つことが重要です。

歯並びと健康寿命との関係
1989年から厚生省と歯科医師会により推進されている8020運動というものがあります。80歳の時点で20本の歯が残っているようにすることで、噛める状態を維持し、健康寿命を伸ばそうという狙いがあります。前歯から一般的に生えそろっている奥歯まで、上下左右合わせて28本なんですが、8本無くなっても健康的に噛めるかというと、正直歯の欠損の場所によります。例えば上顎は歯が14本全て揃っており、下顎が6本でも8020達成ということになりますが、下顎が6本しかなかったら全然噛めないと思います。このようなツッコミはさておき、8020達成されている方の割合は年々増えておられます。昨年のデータではその割合は51.6%とのこと。その中で、歯並びや噛み合わせの状態を調べた興味深い統計があります。

出っ歯、受け口
 まず、前歯の問題のある歯並びについて、簡単に分類すると
①上顎前突(上の前歯が出ている出っ歯)

②反対咬合(下が出ている受け口)

の3つです。8020達成の方のうち、どのような割合かというと、
・正常:84.6%
・上顎前突:15.4%
・反対咬合0%
です。

前歯が噛み込みすぎ、または奥歯しか当たっていない噛み合わせ
 出っ歯、受け口よりも一般的に分かりづらいですが、これらも問題がある歯並びです。
①過蓋咬合

噛み合わせると、下の歯が全く見えないほど深く噛み込んでいる状態。顎の動きが阻害されてしまい、将来的に奥歯の負担が大きくなり失われる、顎関節症になるリスクが高いです。

②開咬

どのように噛み合わせても奥歯しか噛み合わないため、奥歯に力がかかりすぎて歯を失う、顎関節症になる、前歯で噛みきれず食事が取りづらい、口呼吸で口臭や感染症のトラブルが多いなどデメリットが多いです。

8020達成した方の割合は、
・正常:86.5%
・過蓋咬合:13.5%
・開咬:0%
です。

歯並びを良くしておくと・・・
 これらのことをまとめると、歯並びや噛み合わせを整えておくことで、結果的に8020を達成しやすく、健康寿命の延長!ピンピンコロリもいける!ということがわかります。可能ならば、人生の早い段階で治しておきたいこれらの歯並びの問題。特に子供の時期に適切なタイミングで適切な治療介入すると、成人矯正よりも治療の費用や期間がマシになることが本当に多いです。
 また、将来的なむし歯や歯周病のリスクを減らせるというメリットが大きいです。お子さんの時点で中高年、高齢になった将来像を想像しにくいとは思いますが、実際診療室で診させていただく方で、出っ歯や受け口のお年寄りの方は少ないです。もともとある歯から、大きい入れ歯やブリッジ、またはインプラントに変わっています。理由は、それまでの人生のどこかのタイミングで、歯を失ってしまうからです。毎回のお手入れがしにくい歯並びや力の負担が大きい噛み合わせだと、健康的な口腔内を保つのが困難になってしまいます。矯正治療により、若い段階で健康的な歯並びに整えておくのは、このようなメリットが大きいと考えられます。
 

リラックス効果のある訪問診療

2023年8月2日

歯科の訪問診療
 私たちの訪問診療での取り組みをご案内します。開院直後は外来のみ診療しておりましたが、徐々に往診のご要望をいただくようになり、可能な限り訪問診療をしております。初回から訪問診療のご依頼をいただく場合と、外来で診させていただいていた患者様が、全身疾患により通院困難となり訪問診療に移行する場合があります。
外来のように診療チェアーに寝てもらい、ライトが当たっている状況ではないですから、訪問診療の際は様々な工夫を凝らして対応します。

 院長の勤務医時代は、3年間週2回の頻度で訪問診療に携わっていました。今から15年ほど前のことです。当時は香川県の歯科医院に勤務しており、寝たきりの患者さんのところを回って口腔ケアをしたり、居宅へ伺い入れ歯を修理、作製したり、様々な経験をさせていただきました。基本的に車社会で、身体が思うように動かせず、ご家族が車で歯科に連れていくのも難しいような方はたくさんいらっしゃいました。居宅への訪問診療では、ご夫婦または1人暮らしのご高齢の方が多かったです。臨床経験も少なく、的確に診療できていなかったと思いますが、患者様のもとへお伺いすると、喜ばれたりして嬉しかったです。

私たちの訪問診療の取り組み
歯周病治療、口腔ケアは、まず歯科の訪問診療といえばこのイメージがあります。口腔ケアは毎回大きい変化はありませんが、継続することにより確実に感染症のリスクを軽減できます。
 まず、口の病気は細菌感染症であることをご存知でしょうか。なぜ虫歯や歯茎の病気(歯茎の腫れ、出血、歯のぐらつき)が生じるのかというと、お口の中にいる無数の菌による感染で生じるのです。
 お口の清掃状態が良くなければ、歯の周りにべとべとした汚れのようなものが付着します。これは単なる食べかすの蓄積ではなく、プラークといって細菌の巣であります。虫歯、歯周病は、実はこのプラークに潜んでいる細菌によって引き起こされるのです。生まれつきお口の中にいるものではありませんが、生活をする中で、家族間で感染が起こります。
 歯周病菌が引き起こす病気は、日本人の80%が感染している歯周病です。これが歯を失ってしまう原因の第1位です。歯の周りの病気と書く通り、歯を支えている顎の骨が溶けて無くなっていきます。口腔内だけではなく、実は健康的な生活を送る上で全身の健康への悪影響が大きいのです。具体的には、心臓病、糖尿病、誤嚥性肺炎、血管障害、早産などです。罹患している方が多く、症状が出ないまま進行しやすいので、あまり病気に対する危機感がないように感じます。歯周病は、食べ物を噛み砕いて栄養摂取する活動を困難にしてしまいます。尚且つ死に直結するような全身疾患を引き起こす恐ろしい病気です。
 
口腔内のバイオフィルムを除去、綺麗な状態を維持する
 このような口腔内に存在する悪影響のある菌を可能な限り取り除いていくことが、全身の健康を維持するために必須なのです。特に、訪問診療を必要とされる方は、他科の疾患をお持ちの場合が多く、高血圧や糖尿病、血管障害が多く見られます。ケアをすることにより持病が改善することも期待できます。逆に、口腔内の菌の塊が血流に乗って他科疾患を引き起こしたり、炎症が持続することにより持病の増悪も進行します。
 口腔ケアにより歯周病菌をはじめとする悪玉細菌が増殖しにくい口腔内環境にしていきます。今まで十分なケアができていなかったとしても、今からケアに取り組んでいくことができる最善ではないでしょうか。

メディセル

 実際の施術の様子は

こちら

です。
 このように、頭頸部の咀嚼筋や姿勢を保つ筋肉を中心に、皮膚の上からメディセルを作用させていきます。とても気持ちよく受けていただけます。施術を受けられた方からは、メディセルについて次のような感想をいただいています。
・60代女性 施術6回
 顎が外れそうな感覚が以前ありました。施術後は、外れる感覚が弱まっていき、大きく口を開けられるようになりました。さらに、肩こりや眼精疲労がマシになりました。頭がスッキリして、まるで温泉に入ってリラックスしたような感覚です。

・40代女性 施術19回
 口が開きにくい、顎関節の音、肩こり、頭痛、寝つきが悪い、疲労が取れないというお悩み。
施術後は、顎の音はまだあるが、口周りの不快感は減ってきており、肩こりと頭痛の改善が見られました。
かなり症状が強い方でしたので、繰り返し施術を行い、症状改善を図りました。

義歯作製、修理
リハビリテーション

 口腔内の残っている歯が少ない、または義歯を以前使用していたが使わなくなったなど、患者さんによって様々な状況があります。基本的に上下の歯を噛み合わせる部分が減っていくと、どこで噛んだら良いのかわからなくなってきます。私たちが食べる時以外にも、上下の歯が噛み合う局面があります。身体を動かすとき、力を入れて踏ん張るような時です。噛み合わせを失ってしまうと、身体のバランスを失い、運動制限につながります。転倒もしやすくなります。転倒により大腿骨骨折→寝たきり→病院で亡くなる、といったよくない流れになります。
 訪問診療での入れ歯治療ですが、依頼が多いのは、入れ歯が合わない、ご家族からの相談で「入れ歯を入れるのを嫌がるようになった」などです。以前作った入れ歯が合わなくなってきているとしたら、顎が痩せてしまい、入れ歯の適合が著しく悪化していることが考えられます。その場合、可能な状態であれば修理で対応します。長年慣れておられる入れ歯があるなら、そちらを修理して使い続けるのが患者さんへの負担も少ないです。入れ歯の床に亀裂が入っていたり、割れてしまったような状態でも、訪問診療の準備の中に修理対応できる材料を入れております。その場で即修理し、お渡しします。修理が不可能なほど破損が大きい場合は、新製していくことになります。
 また、歯が何箇所か抜け落ちてしまい、以前の入れ歯が合わなくなってしまった場合、その入れ歯を修理してリハビリ可能な状態にしにくいため、新製することになります。
 義歯作製の手順は複数回あります。最初に、今までお使いの入れ歯やお口に残っておられる歯、歯茎の高さや幅、粘膜の状態を調べていきます。場合によっては、残っている歯の状態を改善してから入れ歯作製します。歯型をとって次の週に出来上がるようなものではなく、噛み合わせの記録をとり、お顔や発語の調和が取れているかを確認して、仕上げていきます。あまりこれらの工程を飛ばして完成しないほうがい良いです。作製工程の中で、修正が可能な段階で修正をかけることが重要です。完成後には歯の位置や向きなど修正不可能であるからです。
 入れ歯完成後は、新しい入れ歯にお口の感覚が慣れていく必要があります。一般的に、以前入れ歯を使用されたご経験のある方は、入れ歯自体への違和感、異物感に慣れておられますので、リハビリを進めやすいです。歯の欠損を長年放置されて、入れ歯を入れた経験がない場合、入れ歯にすぐ慣れるかというと難しいと思います。ご高齢であるほど、口腔内の感覚が入れ歯に慣れていきにくいのではないかと考えられます。その場合、入れ歯の設計を工夫したり、違和感がなるべく減らせるような調整をして、徐々にリハビリを進めます。

 このように、訪問診療では虫歯治療よりも口腔ケア、メディセルによる機能回復と不快症状の改善、入れ歯治療が主になっています。

噛み合わせと運動について

2023年8月1日

いつまでも健康でいられるように・・・

歯科を受診される患者さんのうち、歯がしっかり残っており噛み合わせることができる方は、80代、90代でも比較的しっかり動けて認知症とは無縁な印象があります。逆に虫歯や歯周病により歯を失ってしまった方で、その状態を放置されていたり、合わない入れ歯を長期間装着されていたりすると、しっかり噛み合わせることができず、足腰が弱ってしまっていたり、認知症が進んでしまう割合が高い印象です。
私たちはそのようなフレイルにならないように、適切な治療を行なっていきます。その上で、運動習慣があるとかなり生活の質が変わってくると思います。結局のところ、ご病気になり歩けなくなると周囲との関わりが極端に減ってしまいますので、下半身のトレーニングは事前対応としてとても良いのです。ご高齢の方へのアンケートで、「あなたが今後悔していることは?」という質問に対し最も多かった答えは、「健康を大切にしてこなかったこと」だそうです。私たちのクリニックは上は40代、下は20代と比較的病気を意識することは少ない年代と思います。最近受講したセミナーで、「健康を失うと全て失う」というお話を聽きました。いくら時間とお金と人間関係が問題なかったとしても、健康が損なわれていたら・・・。本当にその通りだと思いました。ですので、私たちは健康寿命を今から意識した生活習慣作りに取り組んでおります。今回は全身の健康管理について、広い範囲でお話ししていきます。

健康に良い運動は?

これまで2万例以上の心臓手術を執刀してきた世界トップクラスの心臓外科医で、大崎病院東京ハートセンターの南和友氏の記事を読みました。健康作りに一番良いのはウォーキングとのことです。南先生のその他のアドバイスをまとめてみました。
・歩いたり階段を使う。
・ジョギングやマラソンは基本的にお勧めしない。
・夜の運動は避ける。
階段を上がるときに、腿のウラのハムストリングを使うためスクワットよりもオススメです。意外なことに、心臓の筋肉が鍛えられるようなことは避けなければならず、普通の人にジョギングは適さないようです。
心臓の筋肉を鍛える=心臓を過度に働かせること。心臓の筋肉に血液を行き渡らせようと頑張るんですが、血液供給が間に合わず栄養や酸素が不足します。心臓はそれを補うためにより一層働いてしまい、筋肉の柔軟性がなくなり、固くなってしまうという悪循環が起こります。これが続くと心肥大となり、突然死のリスクが高まります。

心臓を鍛えない方法
・運動をしすぎない。
・血圧を上げない。
・ストレスを避ける。

つまり、ジョギングは健康的なイメージですが、やり過ぎると心臓が働きすぎの状態になります。何事もやりすぎは身体に良くないのでしょう。
ストレスは生きていく上である程度ありますが、あまり不安や焦りがない精神状態が望ましいです。斎藤一人さんの自分を許すお話心をゆるめるふわふわの法則は、真面目で自分自身を許せず固まっているような気持ちを、ふわふわとほぐしてくれてストレス軽減にオススメです。

神経をゆるめるにはどのようにすると良いのでしょう?
気持ちに関係しているのが自律神経と言われる神経です。心臓は胃腸、血管など内臓器官の動きをコントロールしている神経で、自分の意思で動かすことができません。
自分で意識して手や足を動かす、筋トレや運動、スポーツに関係しているのは体性神経という神経です。
🔳筋肉のマッサージ🔳
高血圧や心臓病、脳梗塞などを引き起こす原因として動脈硬化が知られています。
動脈が硬くなるとこですが、血管の内部に脂肪などが貯まり、血管内部が小さくなることも動脈硬化のひとつの症状です。
動脈硬化が進むと、血の流れが悪くなり、血栓ができやすくなったりして重篤な病気を引き起こす恐れがあります。
筋肉は、筋膜という膜に包まれていて、その下に動脈が通っています。運動やストレッチで筋肉をのばすと、血管も一緒に収縮したり弛緩したりしますので、同時に血管をマッサージをするとこになります。
すると、血管の内側から一酸化炭素が出てくるのですが一酸化炭素は血管をやわらかくする動きがあるので血流もよくなります。
運動やストレッチで血管内の一酸化炭素を増やせば、動脈硬化を予防したり改善したりすることができます。
🔳高齢者こそ筋肉を鍛える🔳
高齢者になると下半身が弱り転びやすくなります。少しの段差やカーペットの端で足先をひっかけて転んでしまいます。特に女性は、骨粗鬆症になってしまう人が多いので、転んで骨折してしまうことが考えられます。太ももの大腿骨を骨折すると手術が必要となり、長期の入院を余儀なくされる恐れがあります。
スクワットなどの運動で筋肉を強化すれば転倒防止に繋がります。年を重ねると、大臀筋(お尻の筋肉)や大腿四頭筋(太ももの筋肉)が弱りやすくなります。ですから、これらの筋肉を鍛える意識をし、そしてつまずきにくくする為に足先を上げたりかかとを上げる為に使う筋肉、前脛骨筋と下腿三頭筋ですのでそこも含めて鍛えると転びやすいすり足になるのを防ぐことができます。

上半身、特に脳に良い運動が首回しをすることです。
頸椎部分をほぐすことで頭に血液がよく流れ血流が良くなり、酸素の供給量が増えます。こういったことで、記憶力がよく認知症にもなりにくくなるのでは、ないかと思われす。

🔳舌出しトレーニングでアンチエージング
起床時に、舌を思いっきり前に出し次に左側に出す。最後に右側に出す。それぞれ50回ずつ繰り返します。こういったトレーニングは、ちょっとした隙間時間に行うことができ大変手軽です。
本来、舌の正しい位置は、上顎のくぼみ(口蓋)にくっついている状態になるのですが舌の筋力が衰えてくると舌の位置が下がってしまいお口が開いてしまう状態になってしまいます。
そこで、舌やお口周りの筋肉を鍛えることで、高齢者に多い、嚥下機能低下により食べ物が気管に入り込んでしまう誤嚥性肺炎などの予防やお口の周りのほうれい線やシワをできにくくし若々しさを保ちます。また、いびきの改善や免疫力をupさせる効果も期待できます。

🔳筋肉がふえることで
冷え性が改善する🔳
男性に比べ女性は、冷えに悩まれているという方が多い理由は、2つあります。
①男性に比べて全身の筋肉量が少ないため、つくれる熱が少ないので冷え性になる。
②子育てや家事に追われて常に緊張しているため交感神経が優位になっている。
血管が収縮し血流が悪くなってしまい、末端まで熱が運ばれないので、手先や足先が冷えてしまいます。
これらの対策としては、やはりリラックスをすることです。身体を休めることも勿論ですが、心の休息をとり積極的に副交感神経を優位にすることで血管が広がり血流がよくなります。それによって熱も全身に運ばれ冷え性が改善されていきます。

🔳脳の血流を良くし認知予防🔳
認知症とは、脳細胞が正常に働かなくなることです。
記憶力や判断力・気力が低下します。
もっとも有名なのがアルツハイマー型認知症ですが、その他にも種類があります。
脳血管性認知症です。
脳血管性認知症は、脳の血管障害でおきる脳梗塞や脳出血によっておこる認知症です。
アルツハイマー認知症の次に多い認知症です。
血流の流れがわくるなり、脳の一部に血がながれなくなり 詰まってしまうためにおこる病気です。ですから日頃か、血流を良くするために筋力をつけ血流を良くすることが大切です。
すごい!スクワット

健康づくりにオススメの書籍です。

歯茎がやせることと治療の難しさ

2023年7月22日

「お食事、問題なくできていますか?」
「なんでも噛めてます」

 残っておられる歯が少なくなっている方、大きい入れ歯がお口に装着されている方とお話しすると、「なんでも噛めています」とおっしゃられる方が意外と多いです。もう少し踏み込んで、お食事内容を聞くようにしています。そうすると、あることが浮かび上がってきます。実際のお食事は、意識するしないに関わらず特定の食材やかみごたえのあるものを避けておられるということです。お食事は毎日のことなので、何かの食品を避けていることに気づきにくいです。

 歯が残っている本数により、このように摂取できる食品に差が出てきます。歯の欠損が多くなり、入れ歯を装着し、使っていくとしたらこのように摂取できる食品を選んでいくことになります。入れ歯治療で歯の数を元あった通りに回復すると、なんでも噛めるようになるんじゃないか?と思われる方もいらっしゃいます。そこで、入れ歯の状態を思い浮かべてみてください。

 歯がなくなったところは柔らかい歯茎になっていますね。そこに樹脂でできた入れ歯を入れます。そして何かを噛むわけです。樹脂でできた入れ歯(金属の床の入れ歯も同様)で噛むとすると、柔らかい歯茎に沈み込んでいきます。本来歯というのは硬いものです。歯で噛むと歯の根を通じて顎の骨に力が伝わります。入れ歯の場合は柔らかい歯茎に力が伝わります。つまり、柔らかい歯茎に固い入れ歯を入れて、固いものを噛むというのは、特別なことであると思いませんか?
 また、それぞれの患者さんの歯茎は同一の状態ではなく、顎の骨の吸収により歯茎が痩せてしまい、入れ歯が安定しにくかったりします。しっかり噛む力を受け止められるような歯茎の質でないこともあります。同じ方でも、加齢により歯茎の状態も変化していきます。患者さん特有の状態に合わせて入れ歯治療を行う必要があるのです。画一的に、入れ歯で歯を補ってはいおしまい、ということにはならないのです。加齢による変化で言うと、例えば老眼や補聴器もその時の状態によって変えていくわけです。歯ももちろんその時の状態で必要なものが違ってきます。それがいつ来るかは経過を見ていかないとわかりませんし、それを先送りするにはリハビリテーションが必要です。そもそも老化は病気ではないですよね。止められません。不幸にも歯の欠損の状態になってしまったら、オーラルフレイルの図を用いて、患者さんによくお話をします。フレイルになる前に事前対応ができるなら、やっておきませんか?というように。


 
 入れ歯の調子が良ければ、精神的、肉体的にも状態が良くなります。日中は常に入れ歯を装着することが望ましいです。なぜなら、上下の歯を噛み合わせられると身体に力を入れることができるからです。入れ歯は運動機能の向上に寄与します。生理的な噛み締める顎の位置があります。日中に入れ歯を入れておらず、身体のバランスが取れない、力が入らない状態でもし転倒でもしたら、最悪寝たきりになってしまいます。寝たきりのきっかけは骨折だからです。
 低栄養の方におすすめなのが、ひき肉です。包丁で叩いたり、フードプロセッサーで細かく調理しても良いと思います。入れ歯で硬いものを噛んでいたら、顎が吸収していきます。でもそればしょうがないことです。それが老化というものです。しかし、家族とかけ離れたものを食べるものよくないです。お世話をするご家族の負担が大きいです。調理法を変えて準備していくもの重要です。
 治療を受けること自体は、そんな快適なものではありません。みんな嫌なのです。病気の初期段階で、放置してどうにもならない状態を避けるため、早い手を打つと良いです。例えば歯周病で歯の周りの骨が溶けていっている状態があるとすると、それを放置しておくことにより炎症で骨がなくなっていきます。歯を残せる治療もできない、抜歯後にブリッジやインプラントができない状態かもしれません。歯周病の放置により、入れ歯しか選択肢がなくなってきます。その入れ歯を作製していく歯茎も、条件が悪くなってしまいます。安定しにくい入れ歯になるということです。
 といっても一般的に事前対応をバッチリしている場合というのは、少ないものです。
・学童期・・・親が頑張る
・成人期・・・健康が当たり前と思って気がゆるむ。言っても響かない
・高齢期・・・ようやく健康に気をつけ始める。
これは、歯科の勉強会である先生がお話しされていたことですが、本当に同感です。歯を失う原因の一位が歯周病ですが、症状がなく経過しますので、歯が揺れ出した頃には重症すぎて救うことができなかったりします。
 では歯が多く失われてしまった場合、機能回復のために何ができるでしょう。どうして歯周病にならないよう、進行しないようにしてこなかったんだとかごちゃごちゃ言ってもしょうがないです。積極的な治療をするとしてインプラントは非常に有効な手段ですが、全ての患者さんには適応できません。全身疾患や外科処置を受け入れがたいなどの理由があるからです。入れ歯でなんでもできるわけではありませんが、状態を放置するよりかは随分QOL向上や健康寿命延長に役立つと思われます。

 入れ歯を装着し生活することで、脳が活発に働きます。話したり食べたりするときに実は脳の機能をたくさん使います(高次脳機能)。食事をするときに今から食べるものを見ますよね。海馬は前に食べたものを再び見たときに働いています。咀嚼できるように準備します。噛めずにおやゆやとろみペーストばかりの食事を摂り続けると、脳が働かなくなるのです。

入れ歯治療で難しいことって?
 歯茎がしっかり残っているかどうかについてお話しします。

 こちらのレントゲン写真の症例のように、顎の骨が細くなってしまうことがあります。入れ歯を使い続けることで歯茎が痩せるのですが、下顎の場合、舌の圧も関係しています。舌圧のため吸収は舌側から大きく生じます。
 歯茎の中には顎の骨があります。吸収するのは歯茎のお肉というより顎の骨です。吸収する因子は次の3つが考えられます。
①解剖学的因子
②新陳代謝的因子
 これは不衛生な口腔内環境に関係あります。入れ歯も食後の洗浄が必要で、不衛生な状態ですと入れ歯の床の汚れに菌が増えてきて、その内毒素により吸収が生じると考えられています。
③力学的因子
 過大な噛みしめなどの力が力が発現することで生じます。
④骨密度の因子
 骨粗鬆症などの理由です。高齢の女性に多く認められます。運動、日光にあたること、睡眠が不足していることが原因です。

 これらの因子から顎の骨を保全する必要があります。骨の吸収が進行しないように歯周病治療にしっかり取り組むこと、温存することで周囲の骨の状態が悪くなるような歯を抜歯すること、入れ歯治療にて咀嚼能率の高い人工歯を選択するなどです。

顎が痩せてしまったら・・・
 顎の骨が吸収し続けて、お口の中をみるとまるで歯茎が凹んだような状態の方もおられます。そこまで病気が進行してしまうと、どうしても入れ歯の安定は得られず、せっかく入れ歯を作ってもふわっと入れ歯が浮き上がってしまう、噛むときに動いてしまう、入れ歯がずれて歯茎に傷ができて痛いという困ったことになります。入れ歯単独での治療では、患者さんの望まれる機能回復が難しいです、インプラント治療を組み合わせて、入れ歯の動きを止めてしまうという方法も考えられます。

 入れ歯が動いてしっかり噛めないなどお困りの方は、こちらの治療も検討されても良いかと思います。

地域医療と私たちの役割

2023年7月20日

地域医療

 我が国の歯科受診率は、先進国と比較すると低いというニュースをよく聞きます。歯科業界でも、昔から言われていました。アメリカやヨーロッパの人は、みんな子供の時に矯正をして歯をきれいにしたり、生涯にわたって予防のための歯科受診をしているという内容です。国民全員がそうなっているわけでは決してありませんが、確かにデータ上では、日本よりも受診率は高いです。口腔内の健康を保つことで、人生の長期にわたって全身の健康を保てるということがわかっているからです。

 これからの歯科医院には従来の歯科診療に加えて医科歯科連携を通して国民の健康寿命の延伸に寄与するという視点が求められるのではないでしょうか。そこまで歯科が行う必要があるのかと言う意見をいただくこともありますが、これは私達歯科医療従事者でなければできないことです。患者さんに侵襲を与えるわけではなく、私達が伝えていくことで患者さんの健康寿命が伸びるなら素晴らしいことだと思います。

国の地域医療に関する方針について
 また、このような取り組みを今、国も後押ししています。それが「経済財政運営と改革の基本方針」が毎年改定している「骨太の方針 2023」です。生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携、歯科衛生士・歯科技工士等の人材確保の必要性を踏まえた対応、歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。また、市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進する。とあります。
国は、歯科と医科との連携を奨励することで、重症化予防の方向に医療の舵を切り始めています。
 「口腔の健康は全身の健康にもつながることからエビデンスを蓄積しつつ、患者さんへの適切な情報提供、生涯を通じた歯科検診、フレイル対策にもつながる歯科医師、歯科衛生士による口腔機能管理など歯科口腔保健の充実、入院患者への口腔機能管理などの医科歯科連携に加え、介護、障害福祉関連との連携を含む歯科保険医療提供体制の構築に取り組む」
 この一文から、医科歯科連携という言葉が多くの意味をもって実態を構築していかなければならないことがわかります。また、歯科医療単独は脱却して、医療・介護・福祉の中の歯科医療へと昇華していかなければならないのです。
 今は医療の技術・発展とともに人の寿命はますます長くなってきています。足は、大丈夫だが歯が悪い。内臓系は、大丈夫だが足が悪い。など身体のどこかに問題がある高齢者は、少なくありません。今後、さらに健康寿命を伸ばしていく為には、「口腔」を含めて全身が健康でなければいけません。

オーラルフレイル
 口の健康が全身の健康に直結することは、あまりイメージしにくいかもしれません。噛めなくなると、栄養状態も運動機能も悪くなり、最終的には寝たきりになってしまうという流れがあります。若い時は虫歯により歯を失い、高齢になるにつれて歯周病により歯を失う傾向があります。日本の医療は発達しており、噛めないからといって簡単に死ぬことはありません。医療費をたくさん使って延命するわけですが、要介護状態で何年も生かされるような医療になってはいないでしょうか。噛めずに低栄養になると、老化は加速していきます。噛める状態ですと、食事内容は充実するのです。栄養素密度が重要になります。おかずが多く取れると、栄養素密度の高いたんぱく質が取れます。噛めない状態だと、柔らかいおかゆやうどんなどの糖質メインになりやすいです。栄養は偏ってしますのです。様々な食品を摂ることで、自然と栄養素密度の高い食事になります。サルコペニアは、筋力が低下して身体機能低下に陥ることです。フレイルは虚弱の状態です。ともに、しっかり噛めているなら関係ないことです。
 私たちは外来の患者さん、30歳以上の方によくフレイルの前段階、プレフレイルのことをお話しします。虫歯や歯周病、歯の欠損がある時点でお話しします。欠損放置の問題が目立つ方は特によくお話しします。「みなさん年をとります。フレイルになってから治療します?事前対応します?」「今すぐはいいかもしれません。でも3年後は?5年後は?」
 可能な限り要介護状態を避けて、健康寿命を延ばして人生を送りたいですね。
令和2年12月分の介護保険事業状況報告書によると、要介護率は年齢別で以下のようになっています。
・65~69歳:3.2%
・70~74歳:6.2%
・75~79歳:14.2%
・80~84歳:28.6%
・85~89歳:49.8%
・90歳以上:79.3%

 
歯科医院独自の取り組みや連携医療が必要であると考えています。地域で連携して1人の患者さんを診ていくという医療体制を作っていきたい。 歯科・内科・耳鼻科・小児科etc…経営は、別でも紹介・逆紹介をし情報を共有しつながっていけば、一つの総合病院です。
 歯科医院に定期検診で訪れた際、舌癌などの疑いを早期に発見できれば、近くの他の医療機関と連携すれば、軽症の、うちに治療して一命を取り留めることができるかもしれません。
 
歯周病は、糖尿病との合併症が恐ろしいと言われいます。歯周病をきちんと治療すると糖尿病も改善するケースがあることが明らかになってきました。そこで内科で歯科の受診を促してもらえれば、歯が悪くなる前に検診や治療を行えば、重症化せずいつまでもご自身の歯で美味しく食事が出来ることになります。栄養バランスの取れた食事をご自身の歯で咀嚼できお歳を重ねても楽しく健康的に暮らせる可能性が高くなります。
 それぞれの専門分野は、しっかり行いながら、他の分野ので可能性も視野にいれつつ、例えば内科に来院された患者さんに「最近、歯医者には、行かれてますか?症状がなくても検診に行かれた方がいいですよ!」または、歯科医院にこられた際に「足の具合は、どうですか?整形外科にも受診されるといいと思いますよ。」小さなお子さんがおられるお母さんは、なかなか自分の身体に気が回らないところがあるかと思いますので そう言う方には、「人間ドックとかにもいかれるといいですよ!お母さんが倒れてては、お子さんが困りますから ご自身のお身体も大事にして下さいね。」などの声かけを医療全体でしていければ、地域医療の連携につながるのでは、ないかと考えています。
 医療歯科連携を広義に捉えると
①クリニックレベルでの医科歯科連携
②在宅医療レベルでの多職種連携
③病院歯科の浸透
に分けることができます。
歯科医院⇄医科クリニック⇄在宅医療・病院
これら全てが、互いに患者さんの情報共有をし歯科治療や口腔ケアに加えて咀嚼機能の回復や摂食・嚥下リハビリテーションに力を入れて患者さんの生きる力の源である食べる力を支えてことが求められます。しかし、歯科医師のみでは、食道癌などの重篤な疾患を見逃す可能性があります。また、必要であっても咽頭・喉頭にら対する小外科手術は行えません。
 一方で、対応できる耳鼻咽喉科のみでは、在宅での摂食・嚥下リハビリテーションに対応出来るだけの人手がなく、咀嚼機能の回復もできません。ですから、医科歯科連携を通じて、診療科間で補い合うことが必要です。

All on 4

2023年7月18日

少ないインプラントの本数で、固定式の歯を入れるには?
 多くの歯を失ってしまった場合、入れ歯で補われることが多いように思います。では、インプラントで補うとしたら、どのように回復していくのでしょうか。
 今回は、少ないインプラントの本数で、固定式の歯を入れてなんでも噛めるように回復した治療例を見てみましょう。上顎の歯がグラグラして噛めないとお困りの方でした。

術前
パノラマX線写真

正面

左側

右側

上顎

 上顎には多くの治療跡があり、一見歯がそろっているようです。レントゲン写真を見ると、かぶせものと歯の間に虫歯による隙間ができていたり、歯を支えている骨がほとんど失われていたりします。ここまで治療するのは大変だったと思われます。私たちのクリニックを受診されたときは、かぶせものが外れかかってパカパカ浮いているところがありました。歯を支えている骨がやせてしまっているのは、歯周病の進行によるものです。
上顎の歯は残念ながら全て温存できない状態と分かりました。置いておくことにより、菌の感染や炎症が持続し、身体に良くないため、抜歯が妥当であることをお伝えしました。今まで状態は良くなかったものの、固定式の歯が入っておられたので、今後も取り外し式の入れ歯は避けたい、入れ歯は大きく顎を覆うため耐え難いとおっしゃられていました。
  インプラントで固定式の歯を入れたいが、できるだけ費用は抑えたいとのことで、最小限のインプラントの本数で顎全体の歯を補う、All on 4コンセプトの治療を行うことで決定しました。
術後
正面

右側

左側

上顎

 All on4は、全く歯がなくなってしまった顎に対して、4本〜6本程のインプラントを埋入し、固定式の歯を入れる治療です。治療期間中もご不便ないように、固定式の仮歯を入れて機能回復を図ります。
 All on4に限ったことではなく、全てのインプラント症例において、撮影したCTやお口の模型を元に、最終的な歯の形に対して適切なインプラントの埋入位置をシミュレーションします。専用のソフトを用いて、身体の重要な器官を避けて、顎の骨にどう位置付けるか検討をします。
当院のインプラント治療の流れはこちらです。

ノーベルバイオケア社のインプラント

 私たちが導入しているインプラントは、ノーベルバイオケアという世界で最も治療実績があるメーカーです。シミュレーションしたデータを元に、手術中に用いるガイドと呼ばれる器具を作成します。インプラント埋入し、そのままピッタリ合う固定式の仮歯も作成・準備できるところもメリットが大きいです。
 なぜがいどや術前の検討が必要かというと、人間がフリーハンドでインプラント埋入するには限界があるからです。少しでも角度や高さ、前後左右の位置がずれてしまうと、最終的な歯の形態が作りにくく、メンテナンスが困難な歯ができあがります。インプラント治療の術後トラブルの多くが、このインプラントの位置異常の問題であります。不可逆的な施術であるために、特に術前準備をしっかりしておく必要があります。ガイドのシステムは合理的で、歴史もあり非常に精度が良いです。ほとんどのインプラントの症例でガイドを用いています。安全と長期的な予後のために必須であると考えます。

治療後のケアについて
 インプラントだから特別大変なメンテナンスが必要か、患者様からよく質問があります。今回のようなAll on 4の治療に関しては、上顎または下顎、もしくはその両方とも人工物のみの口腔内になります。ご家庭でのケアについては、それぞれの患者様の顎の形やインプラントの上部構造も違いますので、それに応じたケアを説明して、フォローしていきます。天然の歯であっても、口腔内にインプラントしかない状態であっても、ケアが適切でないと病気になります。具体的には、インプラントの場合は、インプラント周囲炎になります。天然の歯でしたら歯周病や虫歯になります。インプラントだから特別強くも弱くもないですから、毎食後ケアをしていくのは共通ですね。食後の清掃を習慣づけて続けていくと良い状態が保てます。
 一方歯科医院でのメンテナンスは、インプラントと天然の歯に対して使用する器具が違ってきます。インプラントのチタンの材料に適したケアの器具を用いています。歯磨きペーストもインプラントと天然の歯と異なるものを用いてケアをします。
 噛み合わせの状態も変化していきますので、チェックを定期的に行います。実は歯にかかる力は、健康を保つ上でとても重要なのです。患者様ごとに嗜好品や習癖が異なります。噛む力も人それぞれです。一般的に、男性の方が女性よりも噛む力が強いため、歯や修復物の摩耗や破損、支えている骨への影響を考慮する必要があります。噛み合わせたとき、どの程度の上下の歯の接触具合かを調べます。天然の歯と合金やセラミック、インプラントが混在している口腔内ですと、自然に噛み合わせた時、グッと噛んだ時で噛み合わせの当たり方が適切になるようにチェックし、必要なら調整を行います。
 歯科での定期的なメンテナンスを受けていただくことで、病気の兆候があったら早期対応できますので、治療終了後のケアはお口の健康、全身の健康を保つ上で大切です。

インプラントはお口のタイムマシン?

インプラント治療を検討されている方へ

私たちのインプラント治療を受けられた患者さんのアンケートで、
「インプラントはお口のタイムマシン」
というコメントがありました。

患者さんの中には、
虫歯や歯周病により歯を失われて、
若い時のように食事が楽しめなくなったと
悩まれている方は多いように思います。

インプラント治療を受けて、
口の中が若返ってなんでも噛めるようになり、
それがまるでタイムマシンのようであるとのことでした。

治療後に食事や生活全般を楽しんで過ごされておられることに、私たちも嬉しい気持ちですし、やりがいを感じております。
タイムマシンというのが、独特の表現で面白いですよね。

お食事を楽しめるかどうかは、かなり生活の質を左右します。
入れ歯で食事が噛みづらいと、ご家族と同じ食事をとるのが難しかったり、
そのために外出もおっくうになってしまったりするようです。
食事の質と量は、寝たきりに直結する問題であります。

オーラルフレイルという言葉をご存知でしょうか。口腔内が噛める状態でなくなってくるにつれて、全身の健康状態が悪化し、
最終的には寝たきり要介護へ移行していくのです。
歯を失った後に、しっかり噛める状態に治しておくと、なんでも噛めて食事も楽しめます。摂取できる栄養素も、全身の健康を保つために必要不可欠です。
加齢とともに食が細くなってくる背景には、虫歯や歯周病で歯を失うこと、適切な治療を受けておられず、噛めない状態であることが関係していると考えられます。
噛めないということは、刻みやペースト状の介護食になり、歯があった頃の普通食と比べてどうしても食感が楽しめないのでしょう。
美味しく感じにくいので、量や栄養が十分取れず、虚弱が進むというスパイラルに陥るわけです。

今回のケースのように、固定式の歯でなんでも噛み砕ける状態、咀嚼嚥下に問題ない状態に回復することは、
健康寿命の延長に良い影響があるのです。

インプラント治療には未知の部分はありますが、
他の治療法に比べて予知性が高く、
確実に噛めるようになることから、
私たちも自信をもっておすすめします。

こさか歯科クリニック