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インビザラインの歯の動かし方について

2024年11月8日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、インビザラインの歯の移動についてのお話です。

これはインビザラインの治療シミュレーションのソフトウェア、クリンチェックの画面です。

インビザライン治療を始める前は、まず口腔内のスキャンとアプリでの撮影を行います。

歯の動かし方を入力し、アライン社とクリンチェック作成のやりとりをします。

 

クリンチェックが届いた時にチェックすること

フィニッシング、アライナー枚数、ステージング、IPR、アタッチメント、エラスティック、バイトランプが、オーダーした治療計画と照らし合わせてどのように反映されているかをチェックします。

まず、バイトランプはアライナーによる臼歯の離開を防げるので、必須です。

臼歯の遠心移動ケースは、

①IPRで遠心移動量を減らしてください

②〇〇枚以内にしてください

というオーダーを出します。

 

class2の場合、咬頭を超えたclass2は抜歯矯正を計画します。

ステージング

①1WEEK交換の徹底。

基本的に1週間交換を前提とした素材で作られています。あまりにも長い期間一つのアライナーを使用すると、劣化の問題が生じます。アライン社によると、劣化したアライナーの中で矯正で動かした歯の後戻りが生じるため、一つのアライナーを延長したとしても2週間までを限度とするようにとのこと。

②枚数の目安

単純に週数を考えると、26枚で半年、54枚で1年かかります。あまりにも枚数が多い治療計画はそもそも破綻している可能性があります。ただ、例外もあって、3日交換&多いアライナーを使って細かい順次的な歯の移動をすることがあります。そういう計画の時はMAXの99枚の計画になることもあります。

③アタッチメントは3枚目から

アタッチメントの設定は任意に可能です。最初から設定しないのは、1枚目と2枚目はアライナー自体に慣れてもらう期間であるためです。アタッチメントは歯の移動に効果的な反面、アライナーの着脱がしにくいので、慣れてきた3枚目で設定しています。

④遠心移動は1〜2歯ずつ。

前歯が前方傾斜し広がっているような歯列なら、そこも同時に解決しておくと、枚数を減らすことができます。

大臼歯の遠心移動は時間をかけて確実に行います。1本ずつ計画しています。

小臼歯は2本ずつ遠心移動します。

⑤上下で枚数の差が大きいときは、追加アライナーの時期を予定に入れておく。

⑥正中離開は早めに解決する。

正中離開とは、中切歯(真ん中の歯のこと)の間の空隙です。

⑦動かす期間

歯列の問題が軽度な場合は数ヶ月のうちに終わりますが、全体を動かしていくような計画は長期間になります。1年目で大まかに排列し、2年目には細かい修正をすることが多いです。

どのようなアタッチメントをつけるか

動かし方によって設定を変えます。

①挺出 横長の長方形

②捻転 縦長の長方形

③近心、遠心移動 縦長の長方形

下顎前歯が一直線になっているケースにおいて、アライナーが掴みにくい形をしています。最初にアライン社から送られるクリンチェックでは、アタッチメントがないことも多いので、自分で長方形のアタッチメントを設置します。

ステージングの工夫

歯の移動量が多い場合や、動かしにくい状態の時、治療計画作成時に盛り込む工夫があります。

①全ての症例で1ステージから必ずバイトランプをつけますが、ディープバイトの症例で上顎前歯部を圧下させる場合は、バイトランプではなくプレッシャーポイントによって圧下させます。
②全ての症例で6番に大きい長方形のアタッチメントをつけます。
③全ての症例で臼歯部の咬合平面は前歯部と同じくらいの高さにします。
④全ての症例でSpeeはほぼ平坦にします。
⑤クロスバイトは必ず平坦にします。
⑥クラスⅡの場合は、プレシジョンカットによる顎間ゴムを使います。
⑦クラスⅢの場合は、下顎前歯部の舌側切縁に大きめのアタッチメントをつけます。
⑧下顎前歯は絶対に圧下させないで、臼歯部の咬合を上げて修正します。

⑨大臼歯は片側2本同時に動かさない。
⑩大臼歯の移動は1歯のみで行い、他の歯をアンカーにします。その際は、各歯3ステージごとに繰り返して動かします。
③上顎前歯部の圧下は、唇側に4°フレアさせた後に圧下を開始します。その際は、1番と2番は分けて2ステージごとに繰り返して行います。
④5ステージ以上の動きがある歯は、3ステージ動かしたら、一旦止めて他の歯を動かし、再び3ステージ動かすというのを繰り返します。

※ステージングについて、最終位置とアタッチメントが決まるまでは、ドクターからのステージングの指示はしません。クリンチェックは承認するまで何回かアライン社と修正のやり取りをします。細かいステージングを最初にオーダーすると、アライン社のエンジニアも大変ですし、こちらも修正がしにくいからです。

モニタリング

矯正治療期間中は、当院では1ヶ月ごとに経過を確認しています。アライナーをつけた状態でチェアーに来てもらいますが、フィットを確認するためです。

計画の中で何かしらのエラーが生じた場合、歯とアライナーがアンフィットになります。そのような部分は、気泡が多くみられます。

歯頸部側の適合もよくみます。特に挺出の時は、歯が予定通り提出していなければアンフィットが目立ちます。

追加アライナーするかどうかの判断

アンフィットが1本の場合、そこの部分だけエラスティックというゴムをかけて修正することがあります。アンフィットが数本にわたるようなら、程度によりますが、一つのアライナーを長めに装着して様子を見ます。解消できなければ、追加アライナーを発注し対応します。治療の終盤なら、早めに追加するのが望ましいと考えます。

計画の途中なら他の歯への影響が大きいため、そのまま進んで、まあまあ全体的がまとまったら追加アライナーで修正をします。

エラスティック

エラスティックとは、矯正治療で歯に作用させるゴムのことです。

Ⅲ級では下顎の遠心移動で最初から設定します。

Ⅱ級では上顎5の遠心移動の時から使いますが、抜歯ケースでは大臼歯の近心傾斜のリスクのため使用しないようにしています。

追加アライナーについて

全額にわたる矯正治療の場合、最初の計画のみで全て完了することはできず、2〜3回の追加アライナーで修正しつつ仕上げます。

できるだけ修正にかけられる時間を使えるように、最初のアライナーで60点〜70点くらいを目指してやります。そこから追加アライナーをやる方が簡単だからです。

よくあるトラブルケース

①前歯;惻切歯の排列、正中の修正

②小臼歯;ローテーション、挺出

③大臼歯;アップライト、遠心移動

特に注意なのは、再遠心移動、惻切歯の挺出、前歯の圧下、小臼歯捻転です。これらは枚数がかさむ歯の移動です。

 

オーバーコレクション

オーバーコレクションとは、動かしにくい歯の移動や後戻りしやすい部位への対応で、簡単にいうと必要な量より多めに歯を動かしておくことです。

①捻転

②ディープバイト

の場合、オーバーコレクションを計画します。

リテーナー

1年目は12時間、2年目は8時間と講習会で習いました。

リテーナーは可能な限り継続するのが望ましいです。

 

まとめ

インビザラインのシステムは、現在に至るまでアップデートし続けています。1日に1000万円の開発費を投じて、より歯の移動がしやすく、シミュレーションの実現性が高められる仕組みに改善してきています。

私の先輩が、日本にインビザラインが入ってきてすぐくらいの時期に、使ってみたらしいのですが、出立ての頃はあまり使えるシステムではなかったそうです。

現在はその先輩もインビザライン治療が主な矯正治療の方法に変わってきています。このようなシステムをうまく活用し、臨床に活かしていきたいです。

ホワイトニングQ&A

2024年10月18日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、ホワイトニングに関するご質問が多い事項についての記事です。

ホワイトニング症例

術前の口腔内写真:歯の色調と、虫歯、歯の欠損のお悩みがありました。

術後口腔内写真:ホワイトニングで色調を明るく、白くしました。

歯の欠損や虫歯は審美的なセラミック治療、インプラント治療を行いました。

 

Q.ホワイトニングって安全?

ホワイトニングで使用される薬剤、過酸化水素(HP)、過酸化尿素(CP)は医薬品です。過酸化水素の3%溶液は、オキシドールとしてもよく知られています。ホワイトニングについての研究は1844年と100年以上前から行われており、アメリカでは約30年以上前に実用化され、安全性は確立されています。
ホワイトニングにより歯自体が溶けたり、もろくなったりすることはありません。

Q.ホワイトニングの禁忌症はある?

・無カタラーゼ症

過酸化水素を分解する酵素「カタラーゼ」を生まれつきもたない無カタラーゼ症の患者さんは、ホワイトニングをしてはいけません。

・妊娠中、授乳中

過酸化水素や過酸化尿素を用いたホワイトニングによる胎児・乳児への影響は人体実験をするわけにもいかず、明確な報告がありません。万が一のトラブルに備えて、ホワイトニングを控えるのが望ましいでしょう。

・小児

乳歯のホワイトニングについて、これも人体実験をすることはできないので影響があるか明確ではありません。

・光線過敏症

オフィスホワイトニングの光照射を行うことができません。

Q.ホワイトニングの副作用はある?
・歯肉や口唇に薬剤がついた場合
歯肉が白っぽくなり、痛みを感じたりします。直ちに洗浄し、ビタミン含有の軟膏を塗布します。衣服に過酸化水素が付着しても、直ちに水洗します。

・象牙質知覚過敏症
知覚過敏というワードはよく聞くと思います。歯に一過性の刺激を与えて30秒から1分以上の疼痛が出るもの、とDrグロースマンの定義があります。エナメル質に生じた亀裂などを通じて、歯にフリーラジカルが浸透し、歯髄を刺激することにより生じます。
ホワイトニングを一旦中断し、硝酸カリウムなどを含む知覚過敏抑制剤で対処します。必要な場合、鎮痛剤を処方することもあります。

Q.今の自分の歯の色って普通?黄ばんでる?
歯の色は、通常透明なエナメル質を透過して、象牙質の淡黄色が見えている状態です。歯の表面の正常にも左右されます。微妙な曲面をしており、常に唾液で湿潤状態ですので、室内、日光の下、曇りの天気、照明などによっても見え方が異なります。同じ歯でも、エナメル質・象牙質の厚さ、歯頸部、歯冠中央、切縁など部位によっても色調が異なります。
では、気になる日本人の平均的な歯の色についてですが、国際照明委員会が定めたCIE Lab表色系を使って、日本人の中切歯(上顎前歯)の平均歯冠色を測定した報告があります。
L(明度):明るさの指標。数値が大きいほど明るく、小さいほど暗い。  日本人平均70±9
a(赤み):赤色の指標。数値が大きいほど明るく、小さいほど緑色。  日本人平均2.5±3
b(黄色み):黄色の指標。数値が大きいほど明るく、小さいほど青い。 日本人平均:18±12

写真 シェードガイド:歯の明るさの色見本として、歯科医院で最も多く使用されています。

臨床では、
術前と術後の口腔内写真を撮影
シェードガイドを使って患者さんと一緒に歯の色を確認、記録
この2つの方法でシェードテイキングを行います。
ホワイトニング以外でも、被せ物や詰め物の色あわせで用います。

・VITAシェードガイド
歯の明るさ順に配列されている16段階のシェードガイドで、昔から広く使われています。
明るさの順にB1>A1>B2>D2>A 2>C1>C2>D3>A3>D4>B3>A3.5>B4>C3>A4>C4
日本人の平均がA2~A3程度です。

・ブリーチシェードガイド
VITAシェードガイドの「B1より上の明るさを記録するために、ホワイトニング用のブリーチシェードガイドがあります。
明るさの順にBL1>BL2>BL3>BL4
これらのシェードになると、周りから見ても明らかに歯が白く、褒められるレベルです。

Q.ホワイトニングした後、何かメンテナンスが必要?
ホワイトニングシステムにもよりますが、私たちのポリリン酸ホワイトニングでは以下のようなメンテナンスを推奨しています。
・セルフケアの指導
せっかく白くなった歯を長持ちさせたいので、適したケア用品をケア用品をおすすめしています。ルシェロホワイト、ブリリアントモアがおすすめです。私たちも使用していて、ホワイトニングの白さを保ちやすい実感があります。

・プロフェッショナルケア
虫歯・歯周病予防のためにも、歯科受診し定期的に口腔内の精察と清掃していくことが重要です。クリーニングすることによりホワイトニング剤の浸透がよくなるため、白さがアップしやすいです。

・修復物の再製
ホワイトニングした後、天然の歯の部分が白くなるにつれ、樹脂などの詰め物の色が黄色く目立つことがあります。ホワイトニング前の歯面には合っていても意味がありませんよね。詰め物のやりかえをされると仕上がりがとてもよくなります。

Q.ホワイトニングで注意しなければならない歯の状況とは?
・歯肉が下がっている
ホワイトニングによる歯肉の位置の変化はありません。オフィスホワイトニング中に薬剤が付着しないよう注意します。

・知覚過敏がすでにある
知覚過敏抑制剤の使用や、薬剤の濃度と作用時間を少なくする対応をします。

・エナメル質の亀裂
知覚過敏の場合と同様の対策が必要です。

・歯面に帯状の着色が見られる
ホワイトニング直後に一時的に帯状の部分が強調されることがあります。続けていくと差が気にならなくなりますが、要注意です。

・修復物の範囲
ホワイトニングで変化するのは天然の歯の部分のみですので、どこが天然の歯で、どのように修復物が入っているかをしっかり確認する必要があります。例えば、すべて被せ物が入っているような前歯の状態ですと、ホワイトニングでは何も変化はありません。セラミック修復のやりかえで対応が必要です。

・失活歯(根管治療すみの歯)
根管治療され、裏側をレジン充填されて終わっている歯もよく見られます。暗く歯が変色していることも多いです。ホワイトニング剤を表から浸透させて改善することは不可能なので、セラミック修復が必要です。

・テトラサイクリン歯
F3まではホワイトニングをすすめて行きます。F4になるとホワイトニングでは解消が難しくなりますので、セラミック修復が妥当です。

 

ホワイトニングする前に、

どのような歯の色の種類があるか、ホワイトニング剤が作用しやすいのはどんな状態か、

などのトピックです。

 

黄色・薄茶色系

●原因:ベンゼン環の二重結合への化学反応によ

   る着色、象牙質の色調反映

●ホワイトニング効果が出やすい

黄色系や薄茶色系の着色のほとんどは、ホワイトニングの効果が出て白い歯にすることが可能です。VITA Classicalシェードガイド(VITA)でいうと、A系統の黄色系、B系統の茶色系です。これらは、ベンゼン環の二重結合への化学反応による着色(例:ニンジンに含まれるBカロチンの赤色)が多いと考えられ、同じ化学反応によるホワイトニングの効果が出やすいのです。また、象牙質の色調反映が原因の場合もあります。

グレー系

●原因:金属系の着色

●ホワイトニング剤が反応しないため、着色が

   落ちにくい・落ちない

グレー系は、ホワイトニングの効果が出にくく白くなりにくい代表的な着色です。グレー

系の色は、金属系の着色が疑われるもの(アマルガム充填の酸化、テトラサイクリン系抗生物質[F3以上])で、確実なホワイトニングの効果は期待できません。同シェードガイドでいうとC系統です。金属結合にはホワイトニング剤が反応しないため、着色が落ちない、あるいは落ちにくいと判断できます。

濃茶色系

●原因:喫煙、茶しぶなどの嗜好食による長時間

   の着色

●ホワイトニング効果が出るまで時間がかかる

濃茶色系の着色は、ホワイトニングの効果が高まるまでに時間がかかることが多いです。

同シェードガイドでいうとD系統です。喫煙、茶しぶなどの嗜好食による長時間の着色が原因であるため、黄色系・薄茶色系より時間がかかると考えられます。

※たとえば、50歳の方は20歳の方と比べ、これまで歯に着色が積み重なった期間を約2倍と考えます。ホワイトニング効果が出るのも2倍以上かかると考えて下さい。

 

⚫️ホワイトニングが「痛い」「しみる」と思う理由。

 

 

 ホワイトニング剤の過酸化水素濃度と知覚過敏の強さは比例関係にあります。過酸化水素濃度が高くなるにしたがいフリーラジカルの量は多くなり、エナメル質に到達する確率が高くなります。その結果、歯をより白くすることごできます。しかしその反面、より象牙質に近い部分までホワイトニング剤が到達するとこによって、象牙質への刺激も強く起こり、痛みが出現することがあります。

 また、照射ライトの光が強くなれば、発生する熱も上昇しホワイトニング効果は高まりますが強い光が当たることによってエナメル質の温度が上昇すると、歯髄が敏感になり痛みを生じやすくなります。

 ちなみに、通常、歯髄は60°以上になると壊死を起こすと言われています。使用するライトにらよって大きく変わりますが、発熱量が低いLEDライトであれば歯髄の温度は40°以上になることはないと考えられます。

▪️知覚過敏の有無を確認します。

 まず、ホワイトニング施術前の時点で、歯にエアーをかけて痛みが出たり、冷たいものを口に含んで痛みが出たりする場合は、すでに知覚過敏が起きているということです。ばしめから知覚過敏のある患者さんに対しては、先に知覚過敏の治療を行い、治療してからホワイトニングを施術することが望ましいでしょう。

▪️施術後の飲食物に気を付けましょう。

 酸味は歯髄神経を刺激し、知覚過敏様症状があるときは痛みを誘発することがあります。そのため、オフィスホワイトニングの翌日まで、あるいはホームホワイトニングの直後に、できるだけ冷たいものや熱いもの、酸っぱいものを口にしないようにし、ホワイトニング施術後の違和感や痛みを予防します。

コーヒーは着色しやすい嗜好品の一つですが、

当院のポリリン酸ホワイトニングは、術後の飲食物の制限はございません。

歯石のつきやすさ、糖尿病と歯周病、砂糖についてのお話

2024年10月9日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、歯周病と全身疾患、糖尿病について詳しくお話ししていきます。

甘いものと健康管理については、聞いたことありますでしょうか。

今は様々なおやつや甘味料が世に溢れていますから、

それらを全く避けて生きていくことは不可能です。

自炊で徹底することはやろうと思えばできますが、

他の人と集まり、食事をするような機会がありますし、その場で自分だけ食べないのも変ですよね。

実は、砂糖の弊害ってたくさんあるので、それについてもお話ししていきます。

 

⚫️歯石は、いわば「細菌の化石」。

 

歯石自体がむし歯や歯周病を起こすことはありませんが、デコボコした表面は細菌の温床となります。歯石を放置すると、結果的に歯周病が悪化することになります。
歯石とは、簡単にいうとプラーク(細菌のかたまり)が唾液中のミネラルなどの影響により、石のように固まって歯にこびりついたもので、いわば「細菌の化石」です。歯石そのものに大きな害はありませんが、表面がザラザラしているのでプラークが付着しやすくなります。
歯石を放置すると、そこにプラークがたまり、周りの歯ぐきに炎症を起こして歯周病になったり、悪化する可能性が高くなります。

ネットなどで「歯石は取らないほうがいい」という話を目にすることがあります。「歯石には歯を固定する効果があり、取ってしまうと歯がぐらつく」というのが理由ですが、これは間違い。まず歯を固定することそのものに、歯をもたせる効果はありません。それよりも、歯をきれいにして細菌をつきにくくすることが大切です。歯石がベッタリついていると歯みがきがしづらくなり、結果的に歯周病が悪化してしまいます。
歯石を取ると、歯と歯のあいだにすき間が空いたようになったり、歯がしみることがあります。歯と歯のあいだのすき間は、歯石がついていた時点ですでに空いていたと考えられます。つまり歯周病の進行により歯ぐきが下がり、歯と歯のあいだにすき間ができて、そこに歯石が入り込んでいたのです。歯石がなくなると歯間ブラシなどが入りやすくなるので、掃除が容易になります。
また、歯がしみるようになるのは、歯石が歯の表面の凹みなどのなかにも入り込んでいるので、取るときにどうしても歯の表面が一層削られてしまうからです。歯がしみる症状は、歯みがきをしっかり続けるうちにほとんどが治まっていきます。
お口のなかには、みがいていても、どうしても歯石がつきやすい場所があります。それは唾液腺(唾液の出口)の近くにある歯で、たとえば舌下腺は舌の裏側にあるため、下の前歯の裏側は歯石がつきやすいです。一方、上の奥歯の表側も、耳下腺が近くにあるため、歯石ができやすいです。歯石はプラークが唾液中のミネラルとくっついて形成されるので、少量のプラークでも、唾液腺の近くにある歯には歯石がつきやすいのです。
さて、これまで歯ぐきの上にできる歯石、専門用語でいえば「歯肉縁上歯石」についてお話ししてきましたが、じつは歯ぐきの溝のなか、歯の根元にも歯石はできます。
これは「歯肉縁下歯石」といい、色は黒く、歯ぐきの上にできる歯石より硬いことが多いです。表面はザラザラしていて、歯周病を悪化させる細菌をたくさん含んだプラークが付着します。しかも歯ぐきの深いところに入り込んでいるので、いくら歯みがきをがんばっても取れません。
歯ぐきの上にあるにしろ下にあるにしろ、歯石は患者さんの手では取れないので、歯科医院で取ってもらう必要があります。取ってもらったあとは、歯石が再びつくられないよう、しっかり歯みがきをしましょう。歯みがきのしかたも歯科医院でチェックしてもらうといいですよ。

 

⚫️糖尿病の入り口はお口にあり!

ラーメンにはテンションが上がりますね。

しかし、健康的ではありません。わかっちゃいるけど・・・

 

 

「医者さんで糖尿病のお話」というと、場違いな感じがするかもしれませんが、じつは糖尿病とお口にはとても深~い関係があるのです。
1つ目の共通点は「病気の古さ」。人類で一番古い病気はむし歯といわれていますが、糖尿病も古く、3千年以上昔の古文書に記されています。時代を重ねるごとに患者数が激増している点もよく似ています。日本歯周病患者は成人の8割、糖尿病患者は予備軍も含めると成人の4割にも達するといわれています。糖尿病のかたは歯周病になりやすく、また重症化しやすいため、必ず歯医者さんに定期通院しなければなりません。
2つ目は「歯に悪い食べ物は糖尿病にもよくない」ということ。昔は砂糖は希少品でしたが、いまの時代はお菓子や菓子パン、清涼飲料水などがあふれており、小さな子どもからお年寄りに至るまで、国民全員が毎日、口にしています。砂糖はむし歯菌が喜ぶだけでなく、血糖値の急上昇にもつながりますので、そのまま摂り続けていると糖尿病まっしぐらとなってしまいます。逆に、噛みごたえのある野菜や玄米など、「歯にやさしい食べ物は糖尿病になりにくい」ことも覚えておきましょう。

砂糖の弊害

医科の先生とお話しする機会がありますが、

西洋医学での対処療法だけでなく、東洋医学の原因除去のアプローチをとっている先生方もたくさんいらっしゃいます。非常に勉強になりますし、私たち歯科の診療室でも、患者さんの健康管理のため、効果的にカウンセリングする上で参考になっています。

例えば、清涼飲料水を常飲しているようなお子さんは、歯が大体ボロボロに変わっていきます。口腔内が酸性に傾いたままで、歯がどんどん溶けていく現象が起きます。

歯が丈夫で、清涼飲料水や菓子パンなどを取り続けている場合、次に多い問題が実はうつ病であるとのこと。砂糖の多い食生活により、短鎖脂肪酸を作れる腸内細菌が減ってしまい、この短鎖脂肪酸が腸内で少なくなると、うつ傾向になりやすいのです。

その他の弊害が、糖尿病です。こういう病気は、動物では見られないものです。

なぜかというと、野生の動物は砂糖のように甘いものを摂りたくても摂れません。

昔の人も、現代のようにしょっちゅう砂糖を取れませんでしたので、

このような病気は以前はなかったわけです。

甘いものを摂ると、血管の内壁がダメージを受けます。内出血が起こりやすいため、脳出血やくも膜下出血のリスクが高まります。

記念のケーキなんかはいいものですよね・・・

 

また、甘いものを食べると、例えばお菓子やジュースなどですが、血糖値を下げるインシュリンというホルモンがたくさん出ます。必ず下がりすぎるので、今度は血糖値を上げるホルモンが働きます。副腎にあるコルチゾールや、グルカゴンというホルモンを使って、徐々に血糖値を上げていくという現象が起きます。このコルチゾールやグルカゴンの働きは糖新生と言って、体の中の内臓や筋肉を壊しながらブドウ糖を出すようにします。この時、筋肉には窒素が含まれているので、アンモニアができてしまいます。脂肪を分解するとケトンができます。この2つは、両方とも発癌物質なのです。なので、甘いものを食べていて、血糖値の急上昇・急降下が生じている状態を高血糖スパイクと言いますが、これを生活習慣のように長く続けている人は、糖尿病に関係なく癌になりやすいです。1度に大量に摂るよりも、1日に何回も高頻度でとっている方が、癌になりやすいです。甘いものは、脳の快楽報酬系に入るので、依存性があります。大脳の前頭前野にドーパミンが出て、多幸感が得られます。なので、ケーキとかを食べると脳が幸せに感じるのです。インシュリンが出るのはそれから15〜20分後。そこから血糖値が下がって、グルカゴンとかが出てくると、今度はイライラ、不機嫌の状態になります。で、また甘いものを食べてしまうというループに陥るのです。

睡眠時無呼吸症候群、口呼吸、歯根膜について

2024年10月9日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

健康に関するトピックです。

⚫️自宅でもできる睡眠時無呼吸症候群予防

 睡眠時無呼吸症は、何らかの原因により舌の根元が喉を塞ぐことから起こります。

舌根はこのような構造になっています。

 

 つまり、「舌が下がっている」ことが原因なわけです。舌は筋肉ですから、自分で意識して鍛えることも可能です。

 いびきが気になる人は、口周りや舌の筋肉を鍛えることができる「あいうべ体操」を普段から心がけることで、症状がかなり改善されます。

 睡眠時無呼吸症候群は、口呼吸の癖がある人もなりやすいとされています。口周りの筋肉を鍛え、口を閉じて鼻で呼吸することができるようになる「あいうべ体操」は、睡眠時無呼吸症候群の予防として最適と言えます。

⚫️掌蹠膿疱症と口呼吸

 皮膚病のひとつである「掌蹠膿疱症」。手掌、足底に無菌性の膿疱が反復して出現する、慢性難治性の疾患です。

 この病気の原因は明らかにされていませんが、膿疱は無菌性であることから、金属アレルギーや病巣感染が大きな誘因となるのではと考えられています。

 病巣感染とは、「身体のどこかに限局した慢性炎病があり、それ自体は異常を引き起こさないが(あっても軽徴)、まったく関係のなさそうな臓器に、反応性の器質的・機能的な二次疾患を引き起こす病態」です。

 病巣感染の一次病巣は、扁桃と口腔内でそのほとんどを占めていることはすでに述べた通りです。口呼吸を続けていると、上咽頭や扁桃部が細菌感染を起こし、免疫システムに異常を来します。その結果、風邪をひきやすくなったり、掌蹠膿疱症やアトピー、その他さまざまなアレルギー疾患となって現れるのです。

 扁桃は、風邪をひいて喉が痛くなったり、疲れが溜まったときに腫れたり、身体防御機能が落ちるとよく症状を示すところです。慢性的に細菌が侵入してしまう場所です。

 また、口腔内は体の中で最も細菌が棲みつきやすい場所です。口呼吸は、口腔乾燥症によって歯周病や口内炎を発症し、「歯性病巣感染」としてさまざまな臓器における疾患の起点となります。

 掌蹠膿疱症などの皮膚疾患は、病巣感染を無くすことによって、ステロイド剤などの薬剤を

使用しなくても、治療をすることが可能です。

 病巣感染を取り除き、鼻うがいと鼻呼吸を心がけてもらうことで、治る可能性は非常に高くなります。

⚫️咀嚼運動と脳の関係

 NHKの人気番組で、咀嚼運動が脳に与える影響が紹介されました。

 ほぼ寝たきり状態だった高齢者の歯を治療して口から食事を摂れるようにすると、なんと自立歩行するまで回復したというのです。

 また、終日ベッドに横たわり、介護者の問いかけにも反応しなかった男性に、歯科医師が義歯を製作して装着すると、QOLが劇的に回復しました。「気力が甦った」といきいきとした表情で述べる男性の姿が印象的でした。

 ある大学の研究では、歯の本数が少ない人ほどアルツハイマー症で脳内の海馬が萎縮していたことも明らかにされました。

 番組内で、東北福祉大学の渡邉識教授は、「噛むことは脳を活性化するだけでなく、体のバランスを取る重要な役割を担う、生きるために必要な力」と、結論づけています。

 歯の組織には、歯根膜という歯槽骨をつなぐ繊維性合組織が存在します。咀嚼と脳をつなぐ重要な働きをするのが、この歯根膜です。歯根膜は、歯と歯槽骨をつなぐという役割以外にも、「噛み応え」を感じるという役割や、咀嚼の際には歯にかかる衝撃を和らげる役割があります。それだけではありません。歯根膜は、脳内の三叉神経につながっているのです。

 咀嚼運動にらよって発生した刺激は、歯根膜から三叉神経を通して脳の中枢に送られます。そして、脳内の運動、感覚、記憶、思考、意欲を司る前頭前野まだ活性化させます。

 本来、食べるという行為は、非常に刺激的な作業です。味覚においては、舌の味蕾ご食べ物の味を電気信号に換え、顔面神経、舌咽神経、延髄、視床を経て大脳の味覚野に送られ、海馬、扁桃体、前頭前野へ伝えられます。脳には過去の記憶ぎ保存されているので、味とともに食事にまつわる思い出が蘇ります。まさに脳を活性化する大切な作業なのです。

 高齢者ほど噛むことによって脳の連合野が顕著に活性化することも明らかになりました。脳の連合野は、五感情報や運動情報などを、より高次のレベルで処理する領域です。積極的な咀嚼が加齢による衰えに歯止めをかける、いわばアンチエイジング効果が期待できることになります。

 また、認知症によるコミュニケーション力の喪失や徘徊行動などを見ると、前頭前野の働きに直結していることがよく分かります。脳の神経細胞は加齢によって減少するものですが、脳に刺激を与えて活性化させれば、残った神経細胞によって脳の機能を維持することができるのです。

 歯が抜けると歯根膜も失われますが、その場合には口腔内の軟組織が歯根膜の代わりを果たすことが明らかになっています。義歯でも噛むことができれば、脳は活性化します。

 近年では、義歯を装着することによって車椅子を使用していた高齢者が自立歩行できるようになった事例を日本歯科医師会が再三にわたり紹介しています。理由として、食物の経口摂取が可能になって体力が回復したことに加え、正しい咬合を回復したことで身体のバランスを取りやすくなったことが、大きな理由として指摘されています。

⚫️子どもと歯根膜

 

 

 噛み合わせが悪い不正咬合の子どもは、集中力が低下する、学力が伸びないなど、脳への悪影響が見られることがあります。

 それには口呼吸がひとつの原因になっていることは、すでに述べた通りです。本来なら鼻から入れる乾燥して冷えた空気が脳を冷却してくれますが、不正咬合により口が閉じられない状

 また、噛み合わせが悪い状態というのは、ちゃんと噛めていない状態なわけです。ということは、歯根膜に刺激が伝達されていないのです。歯根膜に刺激が伝達されないと、脳にも十分に刺激が伝わっていきません。ちゃんと噛めてい状態なわけです。ということは、歯根膜に刺激が伝達されていないのです。歯根膜に刺激が伝達されないと、脳にも十分に刺激が伝わっていきません。ちゃんとと噛めない、咀嚼がしにくい、というのも、子どもの集中力や学力低下の立派な原因です。

 だからこそ、子どものうちから矯正治療をしてちゃんと噛めるような歯にすることが大事なのですが、矯正治療は根本的な解決にまで結びつきません。編正治療で見た目を美しくできても、正しい咀嚼ができない状態、口呼吸のままの状態では、脳への悪影響は継続されていくからです。

 不正咬合でなくても、正しい咀嚼ができない子どもは多く見られます。子どもが好む柔らかい食べ物が多くなったせいか、昔ほど「よく噛んで食べる」ことの大切さを子どもに伝えている家庭は少ないように感じます。

 子どもたちがこれから先の長い人生、生涯にわたって心身の健康を維持していけるように、口呼吸の大切さや咀嚼の大切さを、周りの大人たちは伝えていかなければいけません。

 

⚫️セロトニンと歯根膜

 人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質であるセロトニン。このセロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥りやすいと言われています。

 セロトニン研究の第一人者である有田秀穂氏は、うつ病治療において代表的な治療薬とされ

るSSRIの使用を「あくまで対症療法に過ぎない」とし、「生活習慣を改善しなければ本質的な治癒には至らない」と述べています。セロトニン神経を活性化させるために効果のとのひとつとして、有田氏はリズムを伴う運動を挙げ、「咀嚼」をその代表例と指摘しています。咀嚼運動の前後の状態を調べると、脳内に増加したセロトニンが血管内に輩出されていることが確かめられています。

⚫️ダイエットと歯根膜

 歯根膜は、ダイエットや肥満防止にも関わっています。噛む回数が増えると、脳にヒスタミンという物質が分泌されます。ヒスタミンは、脳の満腹中枢を刺激し、脂肪を燃やす脳内物質なので、噛む回数を増やし、歯根膜への伝達をしっかり行うことで、痩せるというわけです。

噛むときに大切なのは、柔らかい食べ物でもしっかり噛むことを心がけ、必要以上に固いものを噛もうとしないことです。噛み過ぎは、歯の摩耗を招きます。

ホワイトニングの仕組みについて

2024年7月6日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、ホワイトニングの薬剤がどのようにして歯に作用し、白くしていくのか説明していきます。

 

ホワイトニング施術写真


ホワイトニング術前写真


オフィスホワイトニングでは、薬剤を歯面に塗布した後、このように専用のライトを照射します。


オフィスホワイトニング術後写真。

過酸化水素・過酸化尿素によるホワイトニングの仕組み

・フリーラジカルによる作用

ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素(HP)・過酸化尿素(CP)を歯面に塗布すると、口腔内で分解され、フリーラジカルを発生します。
このとき、熱を加えるとより反応が促進されるので、オフィスホワイトニングでは専用のライト照射を行なっています。
過酸化尿素は過酸化水素と尿素が弱く結合した物質であり、唾液中の水分との接触と温度により、尿素と過酸化水素水に分解します。
これらの色素分子が、歯の着色の原因となっている色素分子と結合して、無色透明にさせることで歯が白くなります。このうち、過酸化水素の方が過酸化尿素より分解が早く、効果は早くあらわれるがなくなるのも早いという特徴があります。このため、オフィスホワイトニングでよく使用されます。逆に、過酸化尿素はホームホワイトニングに配合されていることが多いです。

 

・マスキング効果

ホワイトニングシステムによりますが、使用薬剤の成分により一時的に歯のカルシウム成分が溶け出して、エナメル質の表面が凸凹になる現象が起きます。その結果、光の乱反射がしょうじ、内部の象牙質の色が見えにくくなる「すりガラス状」になり、歯が白く見えるのがマスキング効果と呼ばれます。しかし、数時間のうちにカルシウムが元に戻るため、マスキング効果は一時的なものです。

・歯の乾燥+ペリクルが剥がれることによるもの
ホワイトニング直後は歯のペリクル(タンパク質の保護膜)が一時的に剥がれ、歯が乾燥しているため表面が白っぽく見える現象があります。ペリクルが再生する24時間程度で元に戻ります。

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ホワイトニング剤の成分

 

歯科用ホワイトニング剤は各社から出されていますが、基本的に以下のような成分で構成されています。

・有効成分

過酸化水素
過酸化尿素

 

・基剤:マトリックスキャリア

 

過酸化水素・過酸化尿素を含ませる、ベースとなる材料のことです。ホワイトニング剤の性状は、歯面に塗布した時を考えると、適度な流動性を持ち、尚且つ塗布しやすいことが重要です。歯肉に流れてしまうようなフローが良い状態は望ましくありません。シリカ、グリセリン、ポリアクリル酸などが挙げられます。

 

・知覚過敏抑制剤

硝酸カルシウム、酸化アルミニウムなどです。ホワイトニング施術による知覚過敏を抑制する効果があります。

・その他の成分
炭酸水素ナトリウム、クエン酸、香料、中性フッ化ナトリウムなど。

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ホワイトニング効果を上げるために必要なこと

以下のような点が大切です。

・歯のクリーニング

薬剤の有効成分を十分作用させるため、事前のクリーニングを徹底的に行います。

 

・過酸化水素、過酸化尿素

 

これらの有効成分の濃度を高めることは重要です。一般的に高濃度は効果が高いですが、そのかわりしみやすい副作用があります。

 

・作用時間

 

時間が長いほど反応は進みます。ただし、分解が終わるとそれ以上は反応しません。メーカー推奨の使用時間が効果的であり、延長すれば良いというわけではないようです。

 

・アルカリ性の環境

 

ホワイトニング剤が反応するpHは、アルカリ性の方が反応がよく、効果が期待できます。このため、水酸化カルシウムなどのアルカリ性薬剤を歯面に塗っておく方法もあります。

 

・加熱

 

熱により反応スピードが上がります。10℃上がると2倍のスピードになると考えられています。オフィスホワイトニングで専用ライトを照射し、お口周りをタオルでカバーしますが、加熱効果を期待しています。照射のライトがまぶしいため、目隠しのゴーグルやタオルもします。ライトで熱を加え過ぎると痛みも出やすくなるため、注意が必要です。オフィスホワイトニング直前に、薬剤のジェルは熱湯につけて温めて使用します。


オフィスホワイトニングで、薬剤を歯面に塗布する直前までこのように沸騰したお湯に薬剤をつけています。

 

・密閉環境

 

ホワイトニングは、フリーラジカルがいかに歯質に多く入り込むかで効果が決まります。密閉環境の方が、分解したフリーラジカルが大気中に飛ばずに、歯質内に入り込む確率が高まります。そのため、ホームホワイトニングの場合はマウスピースで空気に触れにくくできますので密閉効果が期待できます。オフィスホワイトニングでは、密閉することができません。


オフィスホワイトニングはこのように歯面に薬剤を塗布しますので、解放されています。


ホームホワイトニングはマウスピース内部にジェルを入れて、歯に密接するように作用させますので、密閉された効果が大きいです。

 

・消費期限

 

ホワイトニングジェルは、時間が経つと効果が弱まります。成分が分解するためです。標準的な保存期間は約1年半ですが、メーカーにより異なります。

私たちが使用しているポリリン酸ホワイトニングのジェルは、このような個別包装になっており、保存期間よりも前に使い切れます。

また、保管温度にも影響を受けます。冷暗所が望ましいので、冷蔵庫に保管をしています。ホワイトニングに限らず、歯科材料には適正な室内温度があるため、それぞれの材料の特性を活かすためには、添付文書に記載されている事項に注意して取り扱うのが間違いないです。歯科材料でよくあるのが、粉と液、A液とB液を混和し、使用することです。目分量で使用するのはダメですね。

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オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違い

 

 

・オフィスホワイトニング

 

歯科有資格者の管理下で行われる安全なホワイトニングです。30〜35%の過酸化水素配合ジェルとライトを使用します。

✳︎メリット
即効性が高い
1回の来院である程度白くできる
自分で管理しなくて良い
✳︎デメリット
効果の持続が3〜6ヶ月と、ホームホワイトニングよりも短い
奥歯は白くできない
白さの限界がB1シェード

 

・ホームホワイトニング

 

10〜15%の過酸化尿素、または過酸化水素のジェルをマウスピースに入れ、自宅で行なってもらう方法です。
✳︎メリット
効果が長持ちする。半年から1年程度。
色むらが取れ、つやや透明感が出る。
通院回数が少ない
白さの限界値がオフィスのみより高い。
✳︎デメリット
自分で管理しなければならない。
効果が出るまで時間がかかる。

 

・デュアルホワイトニング

 

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法です。クリーニングを同時に行うことで、さらに効果が高まります。オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング両方のデメリットを補える最良の方法と考えられます。目標達成率も高いです。
効果が持続しやすいですし、クリニックで専門的な管理のもとで行えるメリットが大きいです。

ホワイトニングは気軽に始められるものですが、歯の状態によっては事前の清掃や病気があった場合の治療が必要かもしれませんので、
まずはお問合せしていただき、口腔内の診察からさせていただきます。

ホワイトニングの基礎知識

2024年7月4日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

歯の色が気になるというご相談は多いです。
今回は、歯の色がどのように変化するかというトピックです。

 

症例写真

 


変色を気にされている患者さんの初診時の口腔内写真。実は歯の色の変化には様々な要因があります。
こちらの方はホワイトニングでこのように色調改善しました。

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて背術を行いました。

さて、このようにホワイトニングで改善できるケースは多いですが、適応のケースとそうでないケースがございます。
一体、歯はどのような原因で色が気になるようになるのでしょうか?

 

歯が着色する原因とは

歯が着色する原因には、大きく分けて外部由来のものと内部由来のものがあります。

 

○外部由来のもの

 

・飲食物による着色 → 歯のクリーニングで対応

 

コーヒー、お茶、ワインなどのタンニン系化合物を含んだ飲み物が特につきやすいです。コーヒーなどは、アイスよりもホットの方がつきやすいようです。ミルクを入れるとマシになります。

コーヒー   カフェインの取りすぎは良くありませんが、身体に良い効果も多く、適量を楽しみたいですね。着色したくない方は、アイスをストローで飲むと、歯の表側につきにくいのではないでしょうか。

 

・喫煙による着色 → 歯のクリーニング、ホワイトニングで対応

 

タバコのニコチン(ヤニ)の大半が歯の表面のエナメル質に沈着しますが、クリーニングで除去します。長期間にわたる喫煙では、歯質の内部に浸透しており、ホワイトニングが効果的です。

 

・虫歯による着色 → 虫歯治療、ホワイトニングで対応

 

虫歯は、お口の中の虫歯の原因菌による感染症です。糖を虫歯が取り込み、その代謝産物として酸が放出されます。酸によって歯が溶けているのが虫歯の穴となっているのです。虫歯のイメージは歯に穴が開く、欠けると言ったものですね。しかし、いきなり大きな穴が開くわけではなく、虫歯のなりかけの状態というのがあります。これは、歯の表面のエナメル質の脱灰と言います。酸でダメージを受けてはいますが、まだ穴はあいていない状態で、見た目は白濁しています。ホワイトスポットと呼ばれています。脱灰した歯質に、着色しやすい飲食物などが浸透し、さらに色が変わっていく現象が起きます。


虫歯で歯の色が変わっていますね。

見た目のインパクトはありますが、これだけわかりやすく黒く穴があいていても、痛みがないことも多いです。

 

・口腔清掃不良による着色  → 歯のクリーニング、ホワイトニングで対応

 

色素を生成する菌がお口に存在しますので、清掃不良により歯の表面が緑色、黒色に変わっていきます。


汚れが多く、歯の表面正常がザラザラ、ヌルヌルしています。


汚れで歯の形も変わってしまうほど、沈着が多いです。

 

 

・薬剤による着色  → 歯のクリーニング、ホワイトニング、セラミック治療で対応

 

ヨード系うがい薬(イソジンなど)、銀イオンなど金属イオン配合の口腔ケア用品、クロルヘキシジン系洗口剤(リステリン、コンクールなども金属イオンが含まれています)

コンクール  着色するほど使っているとしたら、量的な問題もあると思われます。

 

 

・金属の詰め物、被せ物による着色 → セラミック治療で対応

 

合金の土台(メタルコア)、アマルガム、合金の被せ物、部分的な詰め物など、保険診療で認められている合金は口腔内で腐食しますので、金属イオンが溶け出し、歯肉や歯質が変色することが多いです。

メタルタトゥー :歯も歯肉にも黒ずみが出てくることがほとんどです。歯肉にも金属イオンによる黒ずみが目立つ状態。外科的に切除します。

 

 

・光重合型コンポジットレジン  → 再修復、セラミック治療で対応

 

樹脂の詰め物のことです。光重合触媒として配合されているアミン系化合物により、経年的に変色します。研磨などで光沢感を戻すことは可能です。ホワイトニングは適応でなく、再修復が必要です。

詰め物の縁が目立つようになると、穴はあいていなくても詰め物やりかえを希望される方が多いです。

 

 

○内部由来のもの

 

・加齢による歯の着色  → ホワイトニングで対応

 

加齢によりエナメル質がすり減って薄くなると、象牙質は歯髄を守るため第二象牙質という組織を作ります。象牙質の厚みが増し、その結果、黄色い色が透けて黄ばみが目立つようになります。
元々の象牙質の色は決まっていますので、下顎前歯でエナメル質が薄いような場合は注意が必要です。また、エナメル質はほとんど無機質で構成されていますが、その隙間に着色物質が入り込み、歯の変色としてあらわれることもあります。

 

・エナメル質形成不全症 → CR充填、セラミック治療で対応

 

生まれつきエナメル質の一部に線条や白濁が見られたり、重度の場合は象牙質が露出し歯が褐色となります。

 

 

・先天性ポルフィリン症 → セラミック治療で対応

 

象牙質のカルシウムにポルフィリンが沈着し、歯冠がピンク〜赤褐色に変色します。

 

・低フォスファターゼ血症 → セラミック治療で対応

 

カルシウムーリン代謝が阻害され、歯が黒褐色に変色します。

 

・失活歯 → ウォーキングブリーチ、セラミック治療で対応

 

失活歯というのは、根管治療すみの歯のことです。元々あった歯髄は治療により除去されている状態なのですが、その血液や歯髄組織の変性物が象牙質の構造に入り込み、緑色・灰色・黒色などに変色すると考えられています。

 

・内部吸収 → 根管治療で対応

 

外傷による出血や感染により、歯髄側から肉芽組織が増殖し、象牙質が吸収されている状態。外から見ると、内部の吸収している様子は見えません。レントゲンで歯の根の中から穴があいてくるような所見になります。

内部吸収のレントゲン写真。歯の根の中央に黒い影が認められます。

 

 

・斑状歯 → 変色が強い場合はセラミック治療

 

エナメル質表面に不定形の白濁、褐色の色調変化が生じます。

 

 

・テトラサイクリン  → 複数回のホワイトニング、セラミック治療で対応

 

出生児〜6歳くらいまでの歯の形成期に、テトラサイクリン系抗生剤を投与されている場合、歯にグレー系〜黒色の強い変色が生じます。左右対称に発現する特徴があります。
『 ファインマンのテトラサイクリン変色の分類』
F1 淡い黄色、褐色、灰色で歯冠全体が一様に着色されていて、縞模様は見られない。
F2  F1よりかは濃く、歯冠全体が一様に着色されていて、縞模様は見られない。
F3  濃い灰色、青みがかった灰色で縞模様を伴うもの。
F4  着色が強く、縞模様も著明なもの。

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○歯科医院でなくてもホワイトニングできる?

 

現在、ホワイトニングには様々なシステムが使用されていますが、基本的に歯の内部から白くなるのは 、過酸化水素・過酸化尿素が含まれたホワイトニングです。こちらは医薬品ですので、日本では歯科医院でしか使用が認められていません。エステ店、セルフホワイトニング店で行われているホワイトニングの効果が弱いのは、このような取り扱えるシステムの差があるからです。

私たちのホワイトニング治療の説明動画です。
現在はポリリン酸ホワイトニングを行っており、より白く、明るくなる効果がたかいシステムを採用しています。

ホワイトニングを検討されている方へ

2024年7月4日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

歯科関係でネット検索するとき、世間の人々が気になる順で言うと、
・歯の色、白さ
・口臭
が必ず上位にきます。

今回は気になる歯の色調と、ホワイトニングについてのトピックです。


私たちのホワイトニングの機器、オフィスホワイトニング専用の照射機です。

ホワイトニングの流れ
まずは、ホワイトニングのきっかけや一番気になる項目を確認します。これは、一人ひとり気になる歯の部位や目指したい色調が異なるため、そのことを確認するのはとても重要なのです。ホワイトニングをご希望される方で、歯を白くしたいけれどこんなことが気になるんだよなぁという項目は以下のような事項が挙げられます。

 

一度で結果が出て欲しい。
痛みなく、丁寧に施術してほしい。
歯がしみるのは避けたい。
食事、飲み物の制限がない方がいい。
施術を受けながらリラックスできたらいいな。
良心的な価格設定であって欲しい。
メニューの押し付けがないのがいい。
こちらの話を聞いてもらいたい。
わかりやすく説明を受けたい。

ネット上の様々な情報を調べた上で来院される方もいらっしゃいますので、
実際のホワイトニングの正しい情報提供と、
一人ひとりのご希望に応えるため、最初のカウンセリングをしっかり行っております。

 

・5W

 

When いつから気になりますか?
いつまでに白くしたいですか?
Where 具体的にどの歯の色が気になりますか?
Who 誰と比較して?
例えば理想となる芸能人の白さはありませんか?
What ホームケアでホワイトニング効果のあるものは使っていますか?
Why なぜ白くしたいですか?

 

・1H

 

How どんな風な白さになりたいですか?
今までホワイトニング体験ある方は、どんなシステムで効果はどうでしたか?

数々のホワイトニングシステムがありますので、既往歴もとても重要ですね。

 

・体調の確認

 

ホワイトニングが可能が判断するため、妊娠、授乳中の確認をします。オフィスホワイトニングは、専用のライト照射の時間、同じ姿勢で施術台を倒しておく必要があります。

 

・飲み物の確認

 

当院のホワイトニングの特徴として、飲み物の制限がないことをお伝えします。嗜好品は人それぞれですので、特に着色しやすい習慣がないかチェックをします。コーヒー、喫煙などです。意外かもしれませんが、最も着色しやすい飲み物は赤ワイン、2番目が紅茶、3番目がお茶、4番目がコーヒーなのです。
ポリリン酸ホワイトニングは、他のホワイトニングのシステムと異なり、食事制限はございません。上記の飲み物を常飲されているような場合、茶渋のような着色はつきやすいため、ホワイトニング効果の高い歯磨きペーストを併用すると良いと考えられます。


私たちがケアでおすすめする歯磨きペースト、GCルシェロホワイト。ホワイトニング後に白さを保つのに最も効果的です!歯にダメージを与える研磨剤が含まれていないこともおすすめポイントです。

 

・視診

 

嗜好品のうち、着色しやすいものを日常的に摂取されていると、特に歯の裏側に着色汚れが目立ってきます。また、歯の黄ばみの原因が嗜好品であるのか、歯の内部が原因なのか確認をします。虫歯や歯周病は、ホワイトニング施術までに問題を解決しておきます。
前歯の修復治療がある場合、ホワイトニングでご希望の色調になった後、その白さに合わせて修復すると、仕上がり良いです。

 

・黄ばみの原因と状況確認

 

①着色がある場合

 

お茶、コーヒーの着色が強く付着している場合、まず全体を清掃する必要があります。超音波の機械、またはパウダーを吹きつけて着色除去をする機械をよく用います。表面の汚れを取らないと、汚れがついた状態でホワイトニングの薬剤を作用させても効果的に白くできません。

 

②歯の内部の黄ばみ

 

まず歯の構造がどうなっているかについて説明します。私たちが見えている歯の表面は、エナメル質と言って半透明、乳白色をしています。ガラスやセラミックのように透けて中が見えるような組織です。その内側に象牙質があります。象牙質の色調は黄色いので、歯の内部の黄ばみというのは、象牙質が透けて見えて黄色い色調になっているということです。例えて言うなら、黄色い肌着の上に白いTシャツを着ているイメージです。これは、遺伝や年齢によってあります。20歳くらいが一番白く見えるようです。徐々に加齢と共に歯の色調が白くなくなっていく現象が起こりますが、食事や歯磨きなど何十年も時が経つにつれ、表面のエナメル質は摩耗し、中の象牙質が歯の中の歯髄を守ろうと分厚い組織に変化していくためです。

 

③歯周病の場合

 

歯石や細菌がバイオフィルムを形成している状態ですので、歯周病治療を行い、感染源を除去します。歯石は軽石のような構造をしており、その中に歯周病の原因菌をとどめておきやすい状況になっています。それに、歯石やバイオフィルムの上からホワイトニングの薬剤を作用させても効果が得られません。ですので、徹底的に歯周病治療を行い、状態を良くしてからホワイトニングをスタートさせます。


歯周病治療で用いる歯石除去用の器具。歯根の表面に固く付着した感染源を除去し、滑沢な性状にしてバイオフィルム形成されにくいようにします。

 

・シェードチェック

 

歯の色調について、現状と目標を決めます。患者さんに手鏡を持ってもらい、シェードガイド(色見本)とご自身の歯の現時点での色調を確認します。この時、患者さんご自身が一番黄色いと感じるところがどのシェードか見てもらいます。16段階の明るさがあり、その中で言うと日本人の平均はA2というシェードです。患者さんがシェードガイドを見てもらった時に、このくらいが白いと感じるシェードを選んでいただきます。大体A1~B1くらいだと、周りの人から歯が白いと気づかれます。
シェードガイドの中にはブリーチカラーという段階があります。これら4つの色調は明らかに白いですので、人から歯が特に白いと褒められることになるでしょう。その人によって、また年齢、肌の色、シェードの微妙な違いで似合う、似合わないが変わります。例えば、黒人の方は特別歯が白いわけではありませんが、肌とのコントラストにより特に歯が白く見えます。BL1くらい真っ白だと、新庄さんや清原さんのように歯だけ浮いてしまい、周りの人に違和感を与えてしまいます。
ここで一旦目標設定を「このくらいのシェードを目指したい!」という感じで行います。現在のシェードとのギャップがありますから、その目標に達するまでの期間をお伝えします。

 

オフィス・ホームの2つのホワイトニング

 

オフィスホワイトニングは、クリニックで行います。薬剤を歯の表面に塗布し、専用のライトを照射して歯を白くします。即効性があるのが特徴です。目標とするシェードと現在の状態のギャップが大きい場合、ホームホワイトニングと併用して行うことがほとんどです。これは、ご自身の歯型にジェルを入れて、1日30分から40分程度はめていただくというやり方です。オフィスホワイトニングは早めに白さが実感できます。後戻り防止と、内部の白くする目的でホームホワイトニングを同時期に行います。相乗効果で白くなり、早期の目標達成が期待できます。私たちはホワイトニング施術の様々なケースの実績がありますので、施術する歯科衛生士から、どのくらいの期間で目標達成できそうか案内するようにしています。
ホワイトニングできる状態になったとして、ホームホワイトニングは開始する前に一旦お口の歯型をとる必要があります。その次に来院された時、ホワイトニング用のトレーと、ホームホワイトニング用ジェル(シリンジに入っています)をお渡しするという流れです。


ホームホワイトニング用のシリンジです。1本で約2週間分です。

私たちのホワイトニングの施術は
こちら
の動画をご覧ください。

ご予約はWEBで可能です。

お口のメンテナンスについて

2024年7月2日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

虫歯や歯周病、歯がないところを補う治療を行い、
一旦治療が終了しました!となったら、
良い状態を保っていくためにメンテナンスを開始します。

 

予防の味方 V7ブラシ

 


ケア用品の一つ、V7歯ブラシ:歯周病、虫歯が始まりやすい歯と歯の間に毛先が入っていく、つまようじ法という磨き方に特化した歯ブラシです。大人の方のメンテナンスに用いています。他の歯ブラシと動かし方が違い、コツが要りますが、軽く動かしても歯と歯の間の歯肉がマッサージされ、清掃効果の高さを感じます。なんと言ってもめちゃくちゃ気持ち良くスッキリできます。

 

◼️メンテナンスの分類

 

①予防的メインテナンス
(preventive maintenance)
②治療後メインテナンス
(post-treatment maintenance)
③試行的メインテナンス
(trial maintenance)
④妥協的メインテナンス
(compromised maintenance)

▪️予防的メインテナンスでは、まだほとんど特異的な歯周病菌の感染の経験もなく、したがって歯周組織の破壊もほとんど認められません。歯肉炎を認めることはありますが、プラークの非特異的蓄積によるものでプラークコントロールにより改善します。
メインテナンスプログラムの中心はセルフケアの強化と歯肉縁上のプロケアとなります。
▪️治療後メインテナンスでは、歯周病菌の感染による破壊の既往があって、それに対して歯周治療を行った患者さんに対するメインテナンスということになります。動的治療によってどれだけ改善し、どれだけ問題が残ったかによってメインテナンスプログラムが変わってきます。
▪️試行的メインテナンスでも歯周病菌の感染と破壊の既往があるのですが、望ましい歯周治療を行わず、より侵襲の少ない次善の治療でメインテナンスに移行している場合になります。問題を抱えていますのでトラブルが起こるようでしたら用意している次のオプションに移行することになります。
それに対して妥協的メインテナンスでは、さまざまな理由で積極的な動的治療が行えずメインテナンスに移行していますので、もっともリスクの高い状態になっています。
それでは次項より順を追って各メインテナンスについて詳しく解説をしていきましょう。

歯周病の進行は見た目ではわかりにくいこともあります。歯の周りの顎の骨が、炎症により溶けていくのが歯周病です。

 

●予防的メンテナンスの特徴

 

予防的メインテナンスの患者さんは、今までに歯周病菌の感染の経験がほとんどありません。そのため歯周組織の破壊もほとんどなく、炎症があっても歯肉炎程度です。その炎症は可逆的ですので歯周動的治療で健康な状態に戻りやすいわけです。もちろん歯石が沈着していたり、患者さんのプラークコントロールに問題があったりしますので、動的治療では歯肉縁上、歯肉縁下の両方に治療介入が必要になる場合もあるでしょうが、メインテナンスに移行してからのケアの中心は歯肉縁上になります。治療後のメインテナンスと違う点は動的治療におけるわれわれの介入が最小限であるということです。つまり元々リスクが低い患者さんで、その低いリスクを維持していくのが予防的メインテナンスということになります。
動的治療中の歯肉溝は仮性ポケット(pseudo-pocket)といわれるような形態をとっています。必要に応じて根面デブライドメントとセルフケアの強化を行うことにより、それらのポケットはシャローサルカス(shallow sulcus)になります。エックス線写真診断では骨吸収はほとんど認められず、隣接面における骨頂は CEJ(セメントエナメル境)から1~2mm離れたところにあります。動的治療前のポケットも4、5mm程度にとどまることが多く、炎症の程度によってBOP が認められます。動的治療により歯肉
溝は3mm以下に収まり、BOPもかなり軽減しますので、セルフケアレベルの向上を確認のうえ予防的メインテナンスに移行することになります。
予防的メインテナンス患者さんの歯肉溝のほとんどはシャローサルカスです(Schallhorn
RG. 歯周治療成功への道歯周外科をどう考えるか。1990年国際歯学学術会議10周年記念講演より)。これは本来その患者さんの持つ健康な歯肉溝で、プロービング値は3mm以下、上皮性付着の幅は約1mm、BOP や排膿がなく、骨頂から歯肉頂までの距離つまり歯肉の厚みが最低限になっていますので、歯肉退縮のリスクも少ないといわれています。なぜなら歯肉はそれ以上薄くなれないわけですから、さらに歯肉退縮を起こそうと思えば骨吸収が起こることが条件になりますが、浅い歯肉溝には骨吸収の元凶である歯周病菌がほとんど住み着いていないため、いったんできあがったシャローサルカスは歯肉退縮を起こしにくいわけです。
メインテナンスに移行するときに歯肉溝がシャローサルカスになっているのはもっとも望ましいことで、患者さんのセルフケアもわれわれの行うプロケアも容易です。そのため予防的メインテナンスは、もっともリスクの低いメインテナンスといえるでしょう。つまり究極のゴールに近い動的治療のゴールを切っているわけです。メインテナンス中は歯周病菌の定着、感染を起こさないよう歯肉縁上を中心にケアしていくことになります。

メンテナンスで清掃し、歯面を滑沢に、プラークが再形成されにくい状態にします。

 

●予防的メインメンテナスにおけるメインテナンスプログラム

 

予防的メインテナンス患者さんは歯肉縁下にはほとんど問題がありませんので、セルフケアのチェックと歯肉縁上のバイオフィルム破壊、PMTC を中心としたメインテナンスプログラムになります。治療時間ももっとも短く済ませることができるでしょう。
まずプラークの残っているところやBOPを認めるところを中心にケアしていきますが、これはいわゆるアンダーブラッシングのチェックということになります。もちろん見た目で炎症が起こっているところもこれに含まれます。


メンテナンスの患者さんの口腔内写真:歯肉は引き締まっており、ピンク色で健康的です。

予防的メインテナンス患者さんの口腔内は、非常にケアの行き届いている場合もよくあります。歯面はピカピカでプロービングしても出血もしないし、すべて3mm以下です。このような口腔内であればブラッシングの指導なんてまったく必要ないと思ってしまいます。しかしここに大きな落とし穴があります。そうです。このような場合は往々にして患者さんはオーバーブラッシングに陥っていることがあるのです。その初期症状をいかに察知するかも非常に大切なことになります。歯肉退縮が進んでいるようなところはないか、知覚過敏が起こっているところや歯肉に傷があるようなところがないか、注意深く観察する必要があります。歯ブラシの毛はどれくらいで開いてくるかとか、歯ブラシの種類が硬いものに変わっていないか、持ち方や動かし方が変わっていないかもチェックしましょう。もしブラッシング圧に不安があるようでしたら、術者磨きをすることで患者さんに正しいブラッシング圧を体験してもらうのもいい方法です。このように見た目パーフェクトでわれわれのかかわれるようなところがないように感じる患者さんでも、必ずどこかにチェックするべきところがあるはずです。
プロケアとして行う細菌バイオフィルム破壊も歯肉縁上を中心に行います。BOP が続いているような部位があれば、歯肉縁下歯石の取り残しがないかどうか確認する必要があるでしょう。PMTCもオーバーPMTCにならないように注意しなければなりません。着色の強いような患者さんは別ですが、そうでなければ研磨性の低いペーストで回転数、側方圧をコントロールしながら、気持ちの良い PMICを心がけています。
知覚過敏を起こしている患者さんや、オーバーブラッシングの結果歯肉退縮を起こしている患者さんの場合、最後にフッ化物歯面塗布を行います。う蝕のリスクの高い患者さんの場合は、フッ化物歯面塗布は必須です。

 

●予防的メインテナンスのリコール間隔

 

歯周病菌もほとんどいなくて、歯周組織の環境も整っている予防的メインテナンスは、もっともリスクが低いため、リコール間隔はもっとも長く設定できます。おそらく半年や1年という間隔でも健康を維持できる可能性は高いと思われます。ただし、私個人の意見としては、予防的メインテナンスであってもできれば3ヵ月か4ヵ月に一度は定期健診をしたいところです。というのも予防的メインテナンスでは、患者さんのセルフケアのウェイトが大部分を占めますので、そのセルフケアのレベルがうまく維持できているのかどうかをこまめにチェックしたいからです。あまり期間をあけ過ぎると、いつのまにかもとのブラッシングに戻っていてがっかりということもあります。このあたりは、その患者さんの生活の中でどれだけセルフケアが習慣にまで変容しているかということにかかってぎすので、いきなり長いリコール間隔に設定するのではなく、安定していれば少しずつ間隔を伸ばしていく方が無難でしょう。

基本的に3ヶ月ごとの来院で問題ない方が多いです。

 

●予防的メインテナンスにおける悪化

 

予防的メインテナンスであっても悪化することはあります。ただしいきなり骨吸収を起こして深い垂直性骨欠損ができることはありません。まずは歯肉炎が起こることから始まります。この時点ですぐに対処すれば元の健康な歯肉溝、つまりシャローサルカスに戻ります。プロービング値が大きくなったり、プロービング時に出血するようなところをていねいに細菌バイオフィルム破壊を行い、セルフケアの再強化をしましょう。場合によっては少しリコール間隔を短くして、安定を確認してから元のリコール間隔に戻すことも必要かもしれません。
また歯肉退縮が進む場合もあるでしょう。どちらかというとこちらの方が可能性が高いかもしれません。予防的メインテナンスで定期的におみえになる患者さんは、完璧主義者が多いように感じるからです。磨きすぎによる弊害が起こってきていることをお伝えして、その原因を患者さんと一緒に考えていきます。硬い市販の歯ブラシに換えていたり、ブラッシング圧やブラッシング時間が変わっていないかなど具体的な原因を探し、それに対する指導をするように心がけます。

定期健診ご希望の方が多く来院されています。お問い合わせはお気軽にこちらからお願いいたします。

唾液の重要な働きについて

2024年5月13日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

口腔内の健康に重要な、唾液に関する内容です。

「お口がパサパサするな」と気になりはじめたら、定期的に歯科医院でむし歯、歯周病、口内炎のチェックを受けましょう!

●病気ではないからと油断していませんか?

 

唾液の分泌が減ってお口のなかがパサついても、「病気ではないから」と我慢しているかた、おそらく多いのではないでしょうか。
唾液は「魔法の水」と呼ばれるほど、お口の健康にとってとても重要。不足すると、再石灰化作用(むし歯になりかけた歯を修復してくれる働き)や抗菌作用(むし歯菌や歯周病菌の活動を抑え込む働き)が十分に機能しません。
お口がパサパサするということは、唾液がたっぷり分泌していたときと同じセルフケアを続けているだけでは、むし歯ができたり、歯周病が進行しやすくなっているということ。
油断大敵なんです。ではお口のなかがパサパサするかたは、どうすればむし歯や歯周病からお口を守ることができるのでしょう?
まずは、予防に熱心なかかりつけの歯科医院を見つけて、むし歯と歯周病を防ぐプラスアルファの予防法(歯みがきのスキルアップや歯みがき剤の効果的な使いかた、食生活の改善など)を個別指導してもらいましょう。定期的にお口のなかのチェックとプロフエッショナル・クリーニングを受け、むし歯や歯周病の原因であるプラークをしっかり取ってもらうことも大事です。
それと併行して重要なのが、唾液の分泌を増やす努力です。唾液の分泌が減るのは(唾液腺の病気や頭頚部のがんの治療など、唾液腺が障害された場合を除けば)、口の周りの筋肉の運動不足や水分不足、生活習慣や持病のお薬の影響など、さまざまな原因が重なって起きてきていることがほとんどだからです。
持病のお薬が唾液の分泌に影響してしまうケースは多々あります。たとえば高血圧のお薬やアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、睡眠薬など、さまざまな持病のお薬が唾液の分泌を抑制してしまいます。
とはいえ、唾液の分泌が減るからといって、持病のお薬をいきなり止めるのはたいへん危険。お医者さんに相談して、唾液に影響しないお薬に代えてもらうのもなかなか難しい場合もあると思います。
でも、水分をこまめに摂ったり、コーヒーやお酒の飲み過ぎを見直したり、お口のエクササイズをすることならすぐにでもはじめられますよね。
唾液の分泌を妨げている原因をひとつずつ減らして、改善していきましょう。


このような口腔内の保湿ジェルもあります。全身疾患などの影響で口腔乾燥症が認められる場合、ジェルとスポンジブラシで清掃することもあります。

 

●からだの病気が隠されていることも。

 

最後に、もうひとつ重要なことをお伝えしたいと思います。「お口のパサパサは病気ではない」と多くのかたが思いがちです。ほどんどのケースではたしかにそうなのですが、じつはそのなかに、本当に病気が隠れていることもあるのです。
たとえばシェーグレン症候群などの自己免疫疾患、甲状腺機能亢進症などの内分泌異常、悪性貧血など血液の病気、糖尿病や腎臓病などの代謝異常、唾液を分泌する神経の障害などの症状が、唾液の分泌不足として現れることがあるからです。
お口のパサパサ感がとてもつらいとき、水分を摂ったり、舌やお口の周りの筋肉を動かしてもお口にうるおいが感じられない、ちっとも改善されないという場合は、かかりつけの歯科医院に相談し、専門的な検査の受けられる医療機関を紹介してもらいましょう。
ふだん意識したことはなくても、いざ分泌が減ってしまうと食事にもおしゃべりにも困ってしまうのが「唾液」。早めに気づくほど分泌量の改善が楽なので、「減っているかな?」と思ったら、お口のエクササイズをはじめてみてくださいね!

 

▪️予防指導を受けましょう。

 

歯みがきや食生活の指導を受け、香味がやさしく殺菌剤の入った歯みがき剤を選びましょう。

 

▪️クリーニングを受けましょう。

 

唾液が減るとむし歯や歯周病になるリスクが高まります。プロのお掃除でお口の健康を守りましょう。

◼️唾液の分泌を減らす持病のお薬
代表的なものは?
●高血圧症の治療薬、降圧剤
●けいれんや潰瘍などの治療に用いる副交感神経遮断薬
●アレルギーなどの治療に用いる抗ヒスタミン剤
●不安を鎮める鎮静薬/抗神経薬
●睡眠薬 など

 

⚫️予防の常識非常識

 

1.セルフケアと歯科のサポートで歯は残せます。

 

「歯を失う怖い病気」というイメージが強い歯周病。ですが、テレビのCMなどで見られるように、短期間で歯がグラグラになって抜け落ちてしまうことはふつうはありません。統計的には、歯周病になりにくい人が1割、進行しやすい人が1割で、残りの8割の人はゆっくり進行していきます。
歯周病を予防するには、セルフケアだけでなく、歯周病の早期発見が重要です。早く異常がわかれば、その分早く手が打てます。そのためには、定期的に歯科医院で健診を受けることが大切。もし歯周病になっていて治療を受けたのなら、治療が終わったときが歯を守る新たなスタート地点です。再発を予防するために健診に通いましょう!

 

Check!!
《タバコで歯周病が10年早く進行する!》

 

タバコは歯周病の進を速めます。約4,800人の初診患者さんの喫煙状況と歯周病の進行度を比較したところ、中等度・重度歯周病のかたの割合が、30代の喫煙患者さんと、40代の非喫煙患者さんでは同じくらいとなりました。40代の喫煙患者さんと50代の非喫煙患者さん、50代の喫煙患者さんと60代の非喫煙患者さんも同じような割合でした。
つまり、「タバコを吸っている人は、吸わない人より10年歯周病の進行が速くなる」と言えます。歯周病を予防するために、タバコはきっぱりやめましょう(加熱式タバコも同じです)。

 

2.歯ブラシだけでは落とし切れない汚れがあります。

 

歯ぐきの溝のなかはプラーク(細菌のかたまり)がたまりやすい場所で、たまったプラークは歯周病の原因になります。そのため、この部分を歯ブラシで注意してみがいているかたも多いことでしょう。
ですが、歯ブラシでは溝のなかのプラークは完全には取り切れません。しかも、無理に溝のなかにブラシの毛先を入れてみがくことを続けると、歯ぐきが傷つきやせ、むし歯になりやすい歯の根面が露出してしまいます。歯ぐきを傷つけずにきれいにプラークを取り除くみがきかたを、歯科医院で教えてもらいましょう。歯ぐきの深い溝や歯周ポケットのなかの掃除も歯科医院にお任せください。
歯と歯のあいだをデンタルフロスや歯間ブラシでみがくことと、むし歯予防のためにフッ素入り歯みがき剤を使うこともお忘れなく。

 

3.「量」より「食べかた」が問題です。

 

甘いものを控えているはずなのに、むし歯になってしまう。それは甘いものの「食べかた」に問題があるのかもしれません。
飲食後、お口のなかでは、細菌の生み出す
酸や飲食物の酸により歯の成分が溶け出し(脱灰)、その後、時間をかけて唾液が成分を歯に戻していきます(再石灰化)。溶かす力が戻す力を上回る状態が長期間続くと、むし歯になります。
このとき、甘いものの「量」以上に、食べる「頻度や時間」が問題となります。ひっきりなしに甘いものがお口のなかにあると、唾液が歯を修復する時間が取れません。ですから、のどあめを絶えず舐めていたり、ドリンクをチビチビ飲んでいたりすると、むし歯になりやすいのです。野菜ジュースやスポーツドリンクなど、ヘルシーなイメージのものにも意外に砂糖は入っていますのでご注意を。

※歯科医院では、皆さんのお口の状態や生活習慣にあった予防の方法をご提案しています。毎日のセルフケアにお役立てくださいね。

ホワイトニング、上下顎インプラントの治療

2023年9月12日

20代で奥歯が噛めない状態
歯の欠損の回復、歯の色が気になるという0代女性の治療例です。
欠損はインプラント、ジルコニアのブリッジ、
歯の色はホワイトニングで改善しました。

初診時はこのような状態でした。
術前正面

前歯の黄ばみ、暗い色調を気にされていました。歯の先端に近いところに茶渋のような沈着があります。

術前左側

下の奥歯がありません。上の歯が下の歯茎にあたりそうです。

術前右側

左側と同様に、下の奥がないため、歯の病的な移動が生じています。上の小臼歯にも欠損があります。

パノラマX線写真

虫歯の進行によりかみ合わせが壊れてしまっているのがわかります。歯根だけになっているところは抜歯が必要な状態。長期間虫歯で歯がない状態であったため、噛み合わせの歯が伸びてしまっています。

唾液検査で虫歯の原因を調べます
なぜ若くして虫歯がここまで進行してしまったかというと、学生時代に少しずつ歯が欠けてなくなっていったが、前歯と小臼歯まででなんとなく食事していたから、やばさがわからなかったということでした。
虫歯に感受性が高い、低いというのは個人差がありますので、食事のタイミングやケアについて聞き取りを行いました。
同時に、虫歯リスクの検査として、唾液を採取して機械で分析する、SMTを活用しました。

これは、患者さんに専用のうがいの水で10秒間うがいしてもらい、それを採取し分析する機器です。
この唾液検査でわかることは、
・虫歯菌の多さ
・唾液の緩衝能(虫歯菌の出す酸を中和する能力)
・口腔内のpH(酸性に傾く人は虫歯で歯が溶けやすい)
・歯肉の炎症度
・口臭に関するガスの多さ
です。
調べたところ、唾液の緩衝能が低く、虫歯菌が多い判定結果でした。また、ケアが1日1回3分以下のブラッシングのみで、糖分を含む飲料を長時間とってしまうという生活習慣がありました。
これらを踏まえて、担当衛生士から適切な生活習慣指導とケア用品の案内をし、生活習慣の改善に取り組んでいただきました。なんといっても、治療する期間というのは、長い人生のうち数か月です。患者さんの生活はそこから新たにスタートですから、治療後のよい状態が、虫歯の再発によって壊されないように生活習慣からよくしていく必要があります。生活スタイルに合うように、虫歯リスクを下げるケア用品を取り入れていきました。虫歯や歯を補う治療と並行して衛生指導を行いました。

歯の着色除去、クリーニング

エアフローという機械を用いて施術をします。パウダーがステインを効果的に除去して、歯面を傷つけないのです。そして、傷がつかないためきれいな状態が長期間維持できます。歯面清掃用のペーストはさまざまで、ものによっては研磨成分が強く、歯面が傷がつくおそれもあります。
メンテナンスはずっと続くので、使用する機材やペーストなどのケア用品の選定は重要です。
健康は生活習慣から作られるという意見はごもっともです。私たちが働きかけても、たとえば喫煙の習慣が歯周病を悪化させているためやめるようにできないかという話をしても、なかなか生活習慣を変えられないわけです。習慣が変えられないのでその患者さんを助けられない、のではなく、私たちが関われることや可能な手立てを講じることで、改善できないかやってみます。
それぞれの年代に響く言葉がけも重要です。
パウダーのクリーニングは、施術する衛生士もしっかりトレーニングをしています。特に痛みを感じさせないようにポイントがあります。パウダー吹き付け部が粘膜に当たらないよう注意が必要です。歯面からの跳ね返りもあり、適切にバキューム(水分やパウダーを吸引する)がないといけません。
このような場合におすすめです。
・ステインや着色が目立つ方
・ホワイトニング前のクリーニング
・いろんな材質の補綴装置が入っている方
・矯正器具が装着されている方
基本的にメンテナンスは口腔内の原因除去が終わって、感染のコントロールがある程度できている方が多いです。その患者さんの口腔内の状況、リスクに合わせてメンテナンスの器具を選択していきます。いつも同じではなく、その時、その方の必要な部位に適切なケアを行うのです。
現在の紙面清掃に用いられる機材はたくさんの種類がありますが、歯面にカップやブラシを回転させて当てて汚れを除去するものが一般的です。
 パウダーを用いたクリーニングは、用途に合わせて2種類あります。メンテナンスで用いる場合と、補綴装置装着などの前処置の場合です。どちらも、患者さんに不快感がなく、歯に優しい清掃方法です。

インプラント埋入

ノーベルバイオケアのリプレイスCCというインプラントを主に用いています。今回も臼歯にあうレギュラーサイズのものを埋入しました。
特に奥の方は、骨の密度が低かったようで、ドリルの感触から骨が柔らかい感じがありました。
しっかり待機期間をおく予定にしました。
実はこの後、患者さんが怪我で入院されてしまい、その治療が落ち着くまで歯科受診ができない状態でした。しかし、無事に復活されて、インプラントも顎の骨と結合しているのを確認しました。

ホワイトニング
ホワイトニングの薬剤を塗布し、専用の光照射を行い、歯面に作用させるのですが、その前にポリリンホワイトリキッドとスポンジを用いて歯の表面を磨きます。
高濃度の短鎖分割ポリリンを配合して専用のメラミンスポンジとセットで使用することで、歯面の汚れを高次元で取り除くことが可能です。
清掃ごは、短鎖分割ポリリン酸が歯面に吸着し、歯面保護及び、汚れの再付着防止効果もあります。
ポリリン酸ホワイトニングを導入している理由で最も大きいことは、歯科業界での口コミの良さです。以前は複数のメーカーのホワイトニング材を自分たちで試したこともありましたが、ニオイや刺激が強すぎて、術中、術後の痛みがあることが問題に感じていました。
ポリリン酸ホワイトニングの良さはその逆で、刺激や痛みを感じずに確実に白くなっていくところと、ホワイトニングしながら歯の質を強化していくところです。
日本人の歯の特性を考慮した性質で、プラチナナノコロイドを配合し、漂白時間の短縮に成功しています。EXポリリン酸を配合し、漂白効果を従来品よりも高めています。
知覚過敏にもなりくいため、継続使用できます。これは、硝酸カリウムの鎮痛効果により知覚過敏が緩和されているからです。
EXポリリン酸のイオン吸着効果(歯の表面のコーティング)で、刺激成分が歯髄に届きにくいようブロックしています。
他メーカーのホワイトニング材は、エナメル質が細かいすりガラス状になり、光がその構造にあたって白く見えるという効果がありますが、ポリリン酸はそのような歯にダメージがないところが大きいメリットと考えられます。

治療後
術後正面

気にされていた着色や黄ばみが改善し、ホワイトニングにより透明感のあるはっきりとした白さになりました。
欠損はセラミックのブリッジ、インプラントの被せ物で補っており、奥歯でしっかり噛める状態に回復できています。

術前の状態でずっと経過していたら、奥歯で噛めない分、負担が前方の歯にのしかかります。そのため、力による歯の破損、歯周組織のダメージが大きくなり、より噛み合わせが崩壊してくることが考えられました。
現在はメンテナンスで良い状態が保てるようにしています。着色が気になってきたら、パウダークリーニングやホームホワイトニングを行うようにしています。ポリリン酸ホワイトニングで、美しく丈夫な歯面にできており、汚れがつきにくいためツルッとした感触が心地よいとのこと。自信を持ってスマイルできることで、モチベーションの維持にも役立っています。