Tag Archives: ホワイトニング、ポリリン酸、ポリリン酸ホワイトニング、歯の美白、歯の着色、歯のクリーニング、パウダークリーニング、エアフロー

ホワイトニングの仕組みについて

2024年7月6日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、ホワイトニングの薬剤がどのようにして歯に作用し、白くしていくのか説明していきます。

 

ホワイトニング施術写真


ホワイトニング術前写真


オフィスホワイトニングでは、薬剤を歯面に塗布した後、このように専用のライトを照射します。


オフィスホワイトニング術後写真。

過酸化水素・過酸化尿素によるホワイトニングの仕組み

・フリーラジカルによる作用

ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素(HP)・過酸化尿素(CP)を歯面に塗布すると、口腔内で分解され、フリーラジカルを発生します。
このとき、熱を加えるとより反応が促進されるので、オフィスホワイトニングでは専用のライト照射を行なっています。
過酸化尿素は過酸化水素と尿素が弱く結合した物質であり、唾液中の水分との接触と温度により、尿素と過酸化水素水に分解します。
これらの色素分子が、歯の着色の原因となっている色素分子と結合して、無色透明にさせることで歯が白くなります。このうち、過酸化水素の方が過酸化尿素より分解が早く、効果は早くあらわれるがなくなるのも早いという特徴があります。このため、オフィスホワイトニングでよく使用されます。逆に、過酸化尿素はホームホワイトニングに配合されていることが多いです。

 

・マスキング効果

ホワイトニングシステムによりますが、使用薬剤の成分により一時的に歯のカルシウム成分が溶け出して、エナメル質の表面が凸凹になる現象が起きます。その結果、光の乱反射がしょうじ、内部の象牙質の色が見えにくくなる「すりガラス状」になり、歯が白く見えるのがマスキング効果と呼ばれます。しかし、数時間のうちにカルシウムが元に戻るため、マスキング効果は一時的なものです。

・歯の乾燥+ペリクルが剥がれることによるもの
ホワイトニング直後は歯のペリクル(タンパク質の保護膜)が一時的に剥がれ、歯が乾燥しているため表面が白っぽく見える現象があります。ペリクルが再生する24時間程度で元に戻ります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ホワイトニング剤の成分

 

歯科用ホワイトニング剤は各社から出されていますが、基本的に以下のような成分で構成されています。

・有効成分

過酸化水素
過酸化尿素

 

・基剤:マトリックスキャリア

 

過酸化水素・過酸化尿素を含ませる、ベースとなる材料のことです。ホワイトニング剤の性状は、歯面に塗布した時を考えると、適度な流動性を持ち、尚且つ塗布しやすいことが重要です。歯肉に流れてしまうようなフローが良い状態は望ましくありません。シリカ、グリセリン、ポリアクリル酸などが挙げられます。

 

・知覚過敏抑制剤

硝酸カルシウム、酸化アルミニウムなどです。ホワイトニング施術による知覚過敏を抑制する効果があります。

・その他の成分
炭酸水素ナトリウム、クエン酸、香料、中性フッ化ナトリウムなど。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ホワイトニング効果を上げるために必要なこと

以下のような点が大切です。

・歯のクリーニング

薬剤の有効成分を十分作用させるため、事前のクリーニングを徹底的に行います。

 

・過酸化水素、過酸化尿素

 

これらの有効成分の濃度を高めることは重要です。一般的に高濃度は効果が高いですが、そのかわりしみやすい副作用があります。

 

・作用時間

 

時間が長いほど反応は進みます。ただし、分解が終わるとそれ以上は反応しません。メーカー推奨の使用時間が効果的であり、延長すれば良いというわけではないようです。

 

・アルカリ性の環境

 

ホワイトニング剤が反応するpHは、アルカリ性の方が反応がよく、効果が期待できます。このため、水酸化カルシウムなどのアルカリ性薬剤を歯面に塗っておく方法もあります。

 

・加熱

 

熱により反応スピードが上がります。10℃上がると2倍のスピードになると考えられています。オフィスホワイトニングで専用ライトを照射し、お口周りをタオルでカバーしますが、加熱効果を期待しています。照射のライトがまぶしいため、目隠しのゴーグルやタオルもします。ライトで熱を加え過ぎると痛みも出やすくなるため、注意が必要です。オフィスホワイトニング直前に、薬剤のジェルは熱湯につけて温めて使用します。


オフィスホワイトニングで、薬剤を歯面に塗布する直前までこのように沸騰したお湯に薬剤をつけています。

 

・密閉環境

 

ホワイトニングは、フリーラジカルがいかに歯質に多く入り込むかで効果が決まります。密閉環境の方が、分解したフリーラジカルが大気中に飛ばずに、歯質内に入り込む確率が高まります。そのため、ホームホワイトニングの場合はマウスピースで空気に触れにくくできますので密閉効果が期待できます。オフィスホワイトニングでは、密閉することができません。


オフィスホワイトニングはこのように歯面に薬剤を塗布しますので、解放されています。


ホームホワイトニングはマウスピース内部にジェルを入れて、歯に密接するように作用させますので、密閉された効果が大きいです。

 

・消費期限

 

ホワイトニングジェルは、時間が経つと効果が弱まります。成分が分解するためです。標準的な保存期間は約1年半ですが、メーカーにより異なります。

私たちが使用しているポリリン酸ホワイトニングのジェルは、このような個別包装になっており、保存期間よりも前に使い切れます。

また、保管温度にも影響を受けます。冷暗所が望ましいので、冷蔵庫に保管をしています。ホワイトニングに限らず、歯科材料には適正な室内温度があるため、それぞれの材料の特性を活かすためには、添付文書に記載されている事項に注意して取り扱うのが間違いないです。歯科材料でよくあるのが、粉と液、A液とB液を混和し、使用することです。目分量で使用するのはダメですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違い

 

 

・オフィスホワイトニング

 

歯科有資格者の管理下で行われる安全なホワイトニングです。30〜35%の過酸化水素配合ジェルとライトを使用します。

✳︎メリット
即効性が高い
1回の来院である程度白くできる
自分で管理しなくて良い
✳︎デメリット
効果の持続が3〜6ヶ月と、ホームホワイトニングよりも短い
奥歯は白くできない
白さの限界がB1シェード

 

・ホームホワイトニング

 

10〜15%の過酸化尿素、または過酸化水素のジェルをマウスピースに入れ、自宅で行なってもらう方法です。
✳︎メリット
効果が長持ちする。半年から1年程度。
色むらが取れ、つやや透明感が出る。
通院回数が少ない
白さの限界値がオフィスのみより高い。
✳︎デメリット
自分で管理しなければならない。
効果が出るまで時間がかかる。

 

・デュアルホワイトニング

 

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法です。クリーニングを同時に行うことで、さらに効果が高まります。オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング両方のデメリットを補える最良の方法と考えられます。目標達成率も高いです。
効果が持続しやすいですし、クリニックで専門的な管理のもとで行えるメリットが大きいです。

ホワイトニングは気軽に始められるものですが、歯の状態によっては事前の清掃や病気があった場合の治療が必要かもしれませんので、
まずはお問合せしていただき、口腔内の診察からさせていただきます。

ホワイトニングの基礎知識

2024年7月4日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

歯の色が気になるというご相談は多いです。
今回は、歯の色がどのように変化するかというトピックです。

 

症例写真

 


変色を気にされている患者さんの初診時の口腔内写真。実は歯の色の変化には様々な要因があります。
こちらの方はホワイトニングでこのように色調改善しました。

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて背術を行いました。

さて、このようにホワイトニングで改善できるケースは多いですが、適応のケースとそうでないケースがございます。
一体、歯はどのような原因で色が気になるようになるのでしょうか?

 

歯が着色する原因とは

歯が着色する原因には、大きく分けて外部由来のものと内部由来のものがあります。

 

○外部由来のもの

 

・飲食物による着色 → 歯のクリーニングで対応

 

コーヒー、お茶、ワインなどのタンニン系化合物を含んだ飲み物が特につきやすいです。コーヒーなどは、アイスよりもホットの方がつきやすいようです。ミルクを入れるとマシになります。

コーヒー   カフェインの取りすぎは良くありませんが、身体に良い効果も多く、適量を楽しみたいですね。着色したくない方は、アイスをストローで飲むと、歯の表側につきにくいのではないでしょうか。

 

・喫煙による着色 → 歯のクリーニング、ホワイトニングで対応

 

タバコのニコチン(ヤニ)の大半が歯の表面のエナメル質に沈着しますが、クリーニングで除去します。長期間にわたる喫煙では、歯質の内部に浸透しており、ホワイトニングが効果的です。

 

・虫歯による着色 → 虫歯治療、ホワイトニングで対応

 

虫歯は、お口の中の虫歯の原因菌による感染症です。糖を虫歯が取り込み、その代謝産物として酸が放出されます。酸によって歯が溶けているのが虫歯の穴となっているのです。虫歯のイメージは歯に穴が開く、欠けると言ったものですね。しかし、いきなり大きな穴が開くわけではなく、虫歯のなりかけの状態というのがあります。これは、歯の表面のエナメル質の脱灰と言います。酸でダメージを受けてはいますが、まだ穴はあいていない状態で、見た目は白濁しています。ホワイトスポットと呼ばれています。脱灰した歯質に、着色しやすい飲食物などが浸透し、さらに色が変わっていく現象が起きます。


虫歯で歯の色が変わっていますね。

見た目のインパクトはありますが、これだけわかりやすく黒く穴があいていても、痛みがないことも多いです。

 

・口腔清掃不良による着色  → 歯のクリーニング、ホワイトニングで対応

 

色素を生成する菌がお口に存在しますので、清掃不良により歯の表面が緑色、黒色に変わっていきます。


汚れが多く、歯の表面正常がザラザラ、ヌルヌルしています。


汚れで歯の形も変わってしまうほど、沈着が多いです。

 

 

・薬剤による着色  → 歯のクリーニング、ホワイトニング、セラミック治療で対応

 

ヨード系うがい薬(イソジンなど)、銀イオンなど金属イオン配合の口腔ケア用品、クロルヘキシジン系洗口剤(リステリン、コンクールなども金属イオンが含まれています)

コンクール  着色するほど使っているとしたら、量的な問題もあると思われます。

 

 

・金属の詰め物、被せ物による着色 → セラミック治療で対応

 

合金の土台(メタルコア)、アマルガム、合金の被せ物、部分的な詰め物など、保険診療で認められている合金は口腔内で腐食しますので、金属イオンが溶け出し、歯肉や歯質が変色することが多いです。

メタルタトゥー :歯も歯肉にも黒ずみが出てくることがほとんどです。歯肉にも金属イオンによる黒ずみが目立つ状態。外科的に切除します。

 

 

・光重合型コンポジットレジン  → 再修復、セラミック治療で対応

 

樹脂の詰め物のことです。光重合触媒として配合されているアミン系化合物により、経年的に変色します。研磨などで光沢感を戻すことは可能です。ホワイトニングは適応でなく、再修復が必要です。

詰め物の縁が目立つようになると、穴はあいていなくても詰め物やりかえを希望される方が多いです。

 

 

○内部由来のもの

 

・加齢による歯の着色  → ホワイトニングで対応

 

加齢によりエナメル質がすり減って薄くなると、象牙質は歯髄を守るため第二象牙質という組織を作ります。象牙質の厚みが増し、その結果、黄色い色が透けて黄ばみが目立つようになります。
元々の象牙質の色は決まっていますので、下顎前歯でエナメル質が薄いような場合は注意が必要です。また、エナメル質はほとんど無機質で構成されていますが、その隙間に着色物質が入り込み、歯の変色としてあらわれることもあります。

 

・エナメル質形成不全症 → CR充填、セラミック治療で対応

 

生まれつきエナメル質の一部に線条や白濁が見られたり、重度の場合は象牙質が露出し歯が褐色となります。

 

 

・先天性ポルフィリン症 → セラミック治療で対応

 

象牙質のカルシウムにポルフィリンが沈着し、歯冠がピンク〜赤褐色に変色します。

 

・低フォスファターゼ血症 → セラミック治療で対応

 

カルシウムーリン代謝が阻害され、歯が黒褐色に変色します。

 

・失活歯 → ウォーキングブリーチ、セラミック治療で対応

 

失活歯というのは、根管治療すみの歯のことです。元々あった歯髄は治療により除去されている状態なのですが、その血液や歯髄組織の変性物が象牙質の構造に入り込み、緑色・灰色・黒色などに変色すると考えられています。

 

・内部吸収 → 根管治療で対応

 

外傷による出血や感染により、歯髄側から肉芽組織が増殖し、象牙質が吸収されている状態。外から見ると、内部の吸収している様子は見えません。レントゲンで歯の根の中から穴があいてくるような所見になります。

内部吸収のレントゲン写真。歯の根の中央に黒い影が認められます。

 

 

・斑状歯 → 変色が強い場合はセラミック治療

 

エナメル質表面に不定形の白濁、褐色の色調変化が生じます。

 

 

・テトラサイクリン  → 複数回のホワイトニング、セラミック治療で対応

 

出生児〜6歳くらいまでの歯の形成期に、テトラサイクリン系抗生剤を投与されている場合、歯にグレー系〜黒色の強い変色が生じます。左右対称に発現する特徴があります。
『 ファインマンのテトラサイクリン変色の分類』
F1 淡い黄色、褐色、灰色で歯冠全体が一様に着色されていて、縞模様は見られない。
F2  F1よりかは濃く、歯冠全体が一様に着色されていて、縞模様は見られない。
F3  濃い灰色、青みがかった灰色で縞模様を伴うもの。
F4  着色が強く、縞模様も著明なもの。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

○歯科医院でなくてもホワイトニングできる?

 

現在、ホワイトニングには様々なシステムが使用されていますが、基本的に歯の内部から白くなるのは 、過酸化水素・過酸化尿素が含まれたホワイトニングです。こちらは医薬品ですので、日本では歯科医院でしか使用が認められていません。エステ店、セルフホワイトニング店で行われているホワイトニングの効果が弱いのは、このような取り扱えるシステムの差があるからです。

私たちのホワイトニング治療の説明動画です。
現在はポリリン酸ホワイトニングを行っており、より白く、明るくなる効果がたかいシステムを採用しています。

ホワイトニングを検討されている方へ

2024年7月4日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

歯科関係でネット検索するとき、世間の人々が気になる順で言うと、
・歯の色、白さ
・口臭
が必ず上位にきます。

今回は気になる歯の色調と、ホワイトニングについてのトピックです。


私たちのホワイトニングの機器、オフィスホワイトニング専用の照射機です。

ホワイトニングの流れ
まずは、ホワイトニングのきっかけや一番気になる項目を確認します。これは、一人ひとり気になる歯の部位や目指したい色調が異なるため、そのことを確認するのはとても重要なのです。ホワイトニングをご希望される方で、歯を白くしたいけれどこんなことが気になるんだよなぁという項目は以下のような事項が挙げられます。

 

一度で結果が出て欲しい。
痛みなく、丁寧に施術してほしい。
歯がしみるのは避けたい。
食事、飲み物の制限がない方がいい。
施術を受けながらリラックスできたらいいな。
良心的な価格設定であって欲しい。
メニューの押し付けがないのがいい。
こちらの話を聞いてもらいたい。
わかりやすく説明を受けたい。

ネット上の様々な情報を調べた上で来院される方もいらっしゃいますので、
実際のホワイトニングの正しい情報提供と、
一人ひとりのご希望に応えるため、最初のカウンセリングをしっかり行っております。

 

・5W

 

When いつから気になりますか?
いつまでに白くしたいですか?
Where 具体的にどの歯の色が気になりますか?
Who 誰と比較して?
例えば理想となる芸能人の白さはありませんか?
What ホームケアでホワイトニング効果のあるものは使っていますか?
Why なぜ白くしたいですか?

 

・1H

 

How どんな風な白さになりたいですか?
今までホワイトニング体験ある方は、どんなシステムで効果はどうでしたか?

数々のホワイトニングシステムがありますので、既往歴もとても重要ですね。

 

・体調の確認

 

ホワイトニングが可能が判断するため、妊娠、授乳中の確認をします。オフィスホワイトニングは、専用のライト照射の時間、同じ姿勢で施術台を倒しておく必要があります。

 

・飲み物の確認

 

当院のホワイトニングの特徴として、飲み物の制限がないことをお伝えします。嗜好品は人それぞれですので、特に着色しやすい習慣がないかチェックをします。コーヒー、喫煙などです。意外かもしれませんが、最も着色しやすい飲み物は赤ワイン、2番目が紅茶、3番目がお茶、4番目がコーヒーなのです。
ポリリン酸ホワイトニングは、他のホワイトニングのシステムと異なり、食事制限はございません。上記の飲み物を常飲されているような場合、茶渋のような着色はつきやすいため、ホワイトニング効果の高い歯磨きペーストを併用すると良いと考えられます。


私たちがケアでおすすめする歯磨きペースト、GCルシェロホワイト。ホワイトニング後に白さを保つのに最も効果的です!歯にダメージを与える研磨剤が含まれていないこともおすすめポイントです。

 

・視診

 

嗜好品のうち、着色しやすいものを日常的に摂取されていると、特に歯の裏側に着色汚れが目立ってきます。また、歯の黄ばみの原因が嗜好品であるのか、歯の内部が原因なのか確認をします。虫歯や歯周病は、ホワイトニング施術までに問題を解決しておきます。
前歯の修復治療がある場合、ホワイトニングでご希望の色調になった後、その白さに合わせて修復すると、仕上がり良いです。

 

・黄ばみの原因と状況確認

 

①着色がある場合

 

お茶、コーヒーの着色が強く付着している場合、まず全体を清掃する必要があります。超音波の機械、またはパウダーを吹きつけて着色除去をする機械をよく用います。表面の汚れを取らないと、汚れがついた状態でホワイトニングの薬剤を作用させても効果的に白くできません。

 

②歯の内部の黄ばみ

 

まず歯の構造がどうなっているかについて説明します。私たちが見えている歯の表面は、エナメル質と言って半透明、乳白色をしています。ガラスやセラミックのように透けて中が見えるような組織です。その内側に象牙質があります。象牙質の色調は黄色いので、歯の内部の黄ばみというのは、象牙質が透けて見えて黄色い色調になっているということです。例えて言うなら、黄色い肌着の上に白いTシャツを着ているイメージです。これは、遺伝や年齢によってあります。20歳くらいが一番白く見えるようです。徐々に加齢と共に歯の色調が白くなくなっていく現象が起こりますが、食事や歯磨きなど何十年も時が経つにつれ、表面のエナメル質は摩耗し、中の象牙質が歯の中の歯髄を守ろうと分厚い組織に変化していくためです。

 

③歯周病の場合

 

歯石や細菌がバイオフィルムを形成している状態ですので、歯周病治療を行い、感染源を除去します。歯石は軽石のような構造をしており、その中に歯周病の原因菌をとどめておきやすい状況になっています。それに、歯石やバイオフィルムの上からホワイトニングの薬剤を作用させても効果が得られません。ですので、徹底的に歯周病治療を行い、状態を良くしてからホワイトニングをスタートさせます。


歯周病治療で用いる歯石除去用の器具。歯根の表面に固く付着した感染源を除去し、滑沢な性状にしてバイオフィルム形成されにくいようにします。

 

・シェードチェック

 

歯の色調について、現状と目標を決めます。患者さんに手鏡を持ってもらい、シェードガイド(色見本)とご自身の歯の現時点での色調を確認します。この時、患者さんご自身が一番黄色いと感じるところがどのシェードか見てもらいます。16段階の明るさがあり、その中で言うと日本人の平均はA2というシェードです。患者さんがシェードガイドを見てもらった時に、このくらいが白いと感じるシェードを選んでいただきます。大体A1~B1くらいだと、周りの人から歯が白いと気づかれます。
シェードガイドの中にはブリーチカラーという段階があります。これら4つの色調は明らかに白いですので、人から歯が特に白いと褒められることになるでしょう。その人によって、また年齢、肌の色、シェードの微妙な違いで似合う、似合わないが変わります。例えば、黒人の方は特別歯が白いわけではありませんが、肌とのコントラストにより特に歯が白く見えます。BL1くらい真っ白だと、新庄さんや清原さんのように歯だけ浮いてしまい、周りの人に違和感を与えてしまいます。
ここで一旦目標設定を「このくらいのシェードを目指したい!」という感じで行います。現在のシェードとのギャップがありますから、その目標に達するまでの期間をお伝えします。

 

オフィス・ホームの2つのホワイトニング

 

オフィスホワイトニングは、クリニックで行います。薬剤を歯の表面に塗布し、専用のライトを照射して歯を白くします。即効性があるのが特徴です。目標とするシェードと現在の状態のギャップが大きい場合、ホームホワイトニングと併用して行うことがほとんどです。これは、ご自身の歯型にジェルを入れて、1日30分から40分程度はめていただくというやり方です。オフィスホワイトニングは早めに白さが実感できます。後戻り防止と、内部の白くする目的でホームホワイトニングを同時期に行います。相乗効果で白くなり、早期の目標達成が期待できます。私たちはホワイトニング施術の様々なケースの実績がありますので、施術する歯科衛生士から、どのくらいの期間で目標達成できそうか案内するようにしています。
ホワイトニングできる状態になったとして、ホームホワイトニングは開始する前に一旦お口の歯型をとる必要があります。その次に来院された時、ホワイトニング用のトレーと、ホームホワイトニング用ジェル(シリンジに入っています)をお渡しするという流れです。


ホームホワイトニング用のシリンジです。1本で約2週間分です。

私たちのホワイトニングの施術は
こちら
の動画をご覧ください。

ご予約はWEBで可能です。

お口のメンテナンスについて

2024年7月2日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

虫歯や歯周病、歯がないところを補う治療を行い、
一旦治療が終了しました!となったら、
良い状態を保っていくためにメンテナンスを開始します。

 

予防の味方 V7ブラシ

 


ケア用品の一つ、V7歯ブラシ:歯周病、虫歯が始まりやすい歯と歯の間に毛先が入っていく、つまようじ法という磨き方に特化した歯ブラシです。大人の方のメンテナンスに用いています。他の歯ブラシと動かし方が違い、コツが要りますが、軽く動かしても歯と歯の間の歯肉がマッサージされ、清掃効果の高さを感じます。なんと言ってもめちゃくちゃ気持ち良くスッキリできます。

 

◼️メンテナンスの分類

 

①予防的メインテナンス
(preventive maintenance)
②治療後メインテナンス
(post-treatment maintenance)
③試行的メインテナンス
(trial maintenance)
④妥協的メインテナンス
(compromised maintenance)

▪️予防的メインテナンスでは、まだほとんど特異的な歯周病菌の感染の経験もなく、したがって歯周組織の破壊もほとんど認められません。歯肉炎を認めることはありますが、プラークの非特異的蓄積によるものでプラークコントロールにより改善します。
メインテナンスプログラムの中心はセルフケアの強化と歯肉縁上のプロケアとなります。
▪️治療後メインテナンスでは、歯周病菌の感染による破壊の既往があって、それに対して歯周治療を行った患者さんに対するメインテナンスということになります。動的治療によってどれだけ改善し、どれだけ問題が残ったかによってメインテナンスプログラムが変わってきます。
▪️試行的メインテナンスでも歯周病菌の感染と破壊の既往があるのですが、望ましい歯周治療を行わず、より侵襲の少ない次善の治療でメインテナンスに移行している場合になります。問題を抱えていますのでトラブルが起こるようでしたら用意している次のオプションに移行することになります。
それに対して妥協的メインテナンスでは、さまざまな理由で積極的な動的治療が行えずメインテナンスに移行していますので、もっともリスクの高い状態になっています。
それでは次項より順を追って各メインテナンスについて詳しく解説をしていきましょう。

歯周病の進行は見た目ではわかりにくいこともあります。歯の周りの顎の骨が、炎症により溶けていくのが歯周病です。

 

●予防的メンテナンスの特徴

 

予防的メインテナンスの患者さんは、今までに歯周病菌の感染の経験がほとんどありません。そのため歯周組織の破壊もほとんどなく、炎症があっても歯肉炎程度です。その炎症は可逆的ですので歯周動的治療で健康な状態に戻りやすいわけです。もちろん歯石が沈着していたり、患者さんのプラークコントロールに問題があったりしますので、動的治療では歯肉縁上、歯肉縁下の両方に治療介入が必要になる場合もあるでしょうが、メインテナンスに移行してからのケアの中心は歯肉縁上になります。治療後のメインテナンスと違う点は動的治療におけるわれわれの介入が最小限であるということです。つまり元々リスクが低い患者さんで、その低いリスクを維持していくのが予防的メインテナンスということになります。
動的治療中の歯肉溝は仮性ポケット(pseudo-pocket)といわれるような形態をとっています。必要に応じて根面デブライドメントとセルフケアの強化を行うことにより、それらのポケットはシャローサルカス(shallow sulcus)になります。エックス線写真診断では骨吸収はほとんど認められず、隣接面における骨頂は CEJ(セメントエナメル境)から1~2mm離れたところにあります。動的治療前のポケットも4、5mm程度にとどまることが多く、炎症の程度によってBOP が認められます。動的治療により歯肉
溝は3mm以下に収まり、BOPもかなり軽減しますので、セルフケアレベルの向上を確認のうえ予防的メインテナンスに移行することになります。
予防的メインテナンス患者さんの歯肉溝のほとんどはシャローサルカスです(Schallhorn
RG. 歯周治療成功への道歯周外科をどう考えるか。1990年国際歯学学術会議10周年記念講演より)。これは本来その患者さんの持つ健康な歯肉溝で、プロービング値は3mm以下、上皮性付着の幅は約1mm、BOP や排膿がなく、骨頂から歯肉頂までの距離つまり歯肉の厚みが最低限になっていますので、歯肉退縮のリスクも少ないといわれています。なぜなら歯肉はそれ以上薄くなれないわけですから、さらに歯肉退縮を起こそうと思えば骨吸収が起こることが条件になりますが、浅い歯肉溝には骨吸収の元凶である歯周病菌がほとんど住み着いていないため、いったんできあがったシャローサルカスは歯肉退縮を起こしにくいわけです。
メインテナンスに移行するときに歯肉溝がシャローサルカスになっているのはもっとも望ましいことで、患者さんのセルフケアもわれわれの行うプロケアも容易です。そのため予防的メインテナンスは、もっともリスクの低いメインテナンスといえるでしょう。つまり究極のゴールに近い動的治療のゴールを切っているわけです。メインテナンス中は歯周病菌の定着、感染を起こさないよう歯肉縁上を中心にケアしていくことになります。

メンテナンスで清掃し、歯面を滑沢に、プラークが再形成されにくい状態にします。

 

●予防的メインメンテナスにおけるメインテナンスプログラム

 

予防的メインテナンス患者さんは歯肉縁下にはほとんど問題がありませんので、セルフケアのチェックと歯肉縁上のバイオフィルム破壊、PMTC を中心としたメインテナンスプログラムになります。治療時間ももっとも短く済ませることができるでしょう。
まずプラークの残っているところやBOPを認めるところを中心にケアしていきますが、これはいわゆるアンダーブラッシングのチェックということになります。もちろん見た目で炎症が起こっているところもこれに含まれます。


メンテナンスの患者さんの口腔内写真:歯肉は引き締まっており、ピンク色で健康的です。

予防的メインテナンス患者さんの口腔内は、非常にケアの行き届いている場合もよくあります。歯面はピカピカでプロービングしても出血もしないし、すべて3mm以下です。このような口腔内であればブラッシングの指導なんてまったく必要ないと思ってしまいます。しかしここに大きな落とし穴があります。そうです。このような場合は往々にして患者さんはオーバーブラッシングに陥っていることがあるのです。その初期症状をいかに察知するかも非常に大切なことになります。歯肉退縮が進んでいるようなところはないか、知覚過敏が起こっているところや歯肉に傷があるようなところがないか、注意深く観察する必要があります。歯ブラシの毛はどれくらいで開いてくるかとか、歯ブラシの種類が硬いものに変わっていないか、持ち方や動かし方が変わっていないかもチェックしましょう。もしブラッシング圧に不安があるようでしたら、術者磨きをすることで患者さんに正しいブラッシング圧を体験してもらうのもいい方法です。このように見た目パーフェクトでわれわれのかかわれるようなところがないように感じる患者さんでも、必ずどこかにチェックするべきところがあるはずです。
プロケアとして行う細菌バイオフィルム破壊も歯肉縁上を中心に行います。BOP が続いているような部位があれば、歯肉縁下歯石の取り残しがないかどうか確認する必要があるでしょう。PMTCもオーバーPMTCにならないように注意しなければなりません。着色の強いような患者さんは別ですが、そうでなければ研磨性の低いペーストで回転数、側方圧をコントロールしながら、気持ちの良い PMICを心がけています。
知覚過敏を起こしている患者さんや、オーバーブラッシングの結果歯肉退縮を起こしている患者さんの場合、最後にフッ化物歯面塗布を行います。う蝕のリスクの高い患者さんの場合は、フッ化物歯面塗布は必須です。

 

●予防的メインテナンスのリコール間隔

 

歯周病菌もほとんどいなくて、歯周組織の環境も整っている予防的メインテナンスは、もっともリスクが低いため、リコール間隔はもっとも長く設定できます。おそらく半年や1年という間隔でも健康を維持できる可能性は高いと思われます。ただし、私個人の意見としては、予防的メインテナンスであってもできれば3ヵ月か4ヵ月に一度は定期健診をしたいところです。というのも予防的メインテナンスでは、患者さんのセルフケアのウェイトが大部分を占めますので、そのセルフケアのレベルがうまく維持できているのかどうかをこまめにチェックしたいからです。あまり期間をあけ過ぎると、いつのまにかもとのブラッシングに戻っていてがっかりということもあります。このあたりは、その患者さんの生活の中でどれだけセルフケアが習慣にまで変容しているかということにかかってぎすので、いきなり長いリコール間隔に設定するのではなく、安定していれば少しずつ間隔を伸ばしていく方が無難でしょう。

基本的に3ヶ月ごとの来院で問題ない方が多いです。

 

●予防的メインテナンスにおける悪化

 

予防的メインテナンスであっても悪化することはあります。ただしいきなり骨吸収を起こして深い垂直性骨欠損ができることはありません。まずは歯肉炎が起こることから始まります。この時点ですぐに対処すれば元の健康な歯肉溝、つまりシャローサルカスに戻ります。プロービング値が大きくなったり、プロービング時に出血するようなところをていねいに細菌バイオフィルム破壊を行い、セルフケアの再強化をしましょう。場合によっては少しリコール間隔を短くして、安定を確認してから元のリコール間隔に戻すことも必要かもしれません。
また歯肉退縮が進む場合もあるでしょう。どちらかというとこちらの方が可能性が高いかもしれません。予防的メインテナンスで定期的におみえになる患者さんは、完璧主義者が多いように感じるからです。磨きすぎによる弊害が起こってきていることをお伝えして、その原因を患者さんと一緒に考えていきます。硬い市販の歯ブラシに換えていたり、ブラッシング圧やブラッシング時間が変わっていないかなど具体的な原因を探し、それに対する指導をするように心がけます。

定期健診ご希望の方が多く来院されています。お問い合わせはお気軽にこちらからお願いいたします。

唾液の重要な働きについて

2024年5月13日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

口腔内の健康に重要な、唾液に関する内容です。

「お口がパサパサするな」と気になりはじめたら、定期的に歯科医院でむし歯、歯周病、口内炎のチェックを受けましょう!

●病気ではないからと油断していませんか?

 

唾液の分泌が減ってお口のなかがパサついても、「病気ではないから」と我慢しているかた、おそらく多いのではないでしょうか。
唾液は「魔法の水」と呼ばれるほど、お口の健康にとってとても重要。不足すると、再石灰化作用(むし歯になりかけた歯を修復してくれる働き)や抗菌作用(むし歯菌や歯周病菌の活動を抑え込む働き)が十分に機能しません。
お口がパサパサするということは、唾液がたっぷり分泌していたときと同じセルフケアを続けているだけでは、むし歯ができたり、歯周病が進行しやすくなっているということ。
油断大敵なんです。ではお口のなかがパサパサするかたは、どうすればむし歯や歯周病からお口を守ることができるのでしょう?
まずは、予防に熱心なかかりつけの歯科医院を見つけて、むし歯と歯周病を防ぐプラスアルファの予防法(歯みがきのスキルアップや歯みがき剤の効果的な使いかた、食生活の改善など)を個別指導してもらいましょう。定期的にお口のなかのチェックとプロフエッショナル・クリーニングを受け、むし歯や歯周病の原因であるプラークをしっかり取ってもらうことも大事です。
それと併行して重要なのが、唾液の分泌を増やす努力です。唾液の分泌が減るのは(唾液腺の病気や頭頚部のがんの治療など、唾液腺が障害された場合を除けば)、口の周りの筋肉の運動不足や水分不足、生活習慣や持病のお薬の影響など、さまざまな原因が重なって起きてきていることがほとんどだからです。
持病のお薬が唾液の分泌に影響してしまうケースは多々あります。たとえば高血圧のお薬やアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、睡眠薬など、さまざまな持病のお薬が唾液の分泌を抑制してしまいます。
とはいえ、唾液の分泌が減るからといって、持病のお薬をいきなり止めるのはたいへん危険。お医者さんに相談して、唾液に影響しないお薬に代えてもらうのもなかなか難しい場合もあると思います。
でも、水分をこまめに摂ったり、コーヒーやお酒の飲み過ぎを見直したり、お口のエクササイズをすることならすぐにでもはじめられますよね。
唾液の分泌を妨げている原因をひとつずつ減らして、改善していきましょう。


このような口腔内の保湿ジェルもあります。全身疾患などの影響で口腔乾燥症が認められる場合、ジェルとスポンジブラシで清掃することもあります。

 

●からだの病気が隠されていることも。

 

最後に、もうひとつ重要なことをお伝えしたいと思います。「お口のパサパサは病気ではない」と多くのかたが思いがちです。ほどんどのケースではたしかにそうなのですが、じつはそのなかに、本当に病気が隠れていることもあるのです。
たとえばシェーグレン症候群などの自己免疫疾患、甲状腺機能亢進症などの内分泌異常、悪性貧血など血液の病気、糖尿病や腎臓病などの代謝異常、唾液を分泌する神経の障害などの症状が、唾液の分泌不足として現れることがあるからです。
お口のパサパサ感がとてもつらいとき、水分を摂ったり、舌やお口の周りの筋肉を動かしてもお口にうるおいが感じられない、ちっとも改善されないという場合は、かかりつけの歯科医院に相談し、専門的な検査の受けられる医療機関を紹介してもらいましょう。
ふだん意識したことはなくても、いざ分泌が減ってしまうと食事にもおしゃべりにも困ってしまうのが「唾液」。早めに気づくほど分泌量の改善が楽なので、「減っているかな?」と思ったら、お口のエクササイズをはじめてみてくださいね!

 

▪️予防指導を受けましょう。

 

歯みがきや食生活の指導を受け、香味がやさしく殺菌剤の入った歯みがき剤を選びましょう。

 

▪️クリーニングを受けましょう。

 

唾液が減るとむし歯や歯周病になるリスクが高まります。プロのお掃除でお口の健康を守りましょう。

◼️唾液の分泌を減らす持病のお薬
代表的なものは?
●高血圧症の治療薬、降圧剤
●けいれんや潰瘍などの治療に用いる副交感神経遮断薬
●アレルギーなどの治療に用いる抗ヒスタミン剤
●不安を鎮める鎮静薬/抗神経薬
●睡眠薬 など

 

⚫️予防の常識非常識

 

1.セルフケアと歯科のサポートで歯は残せます。

 

「歯を失う怖い病気」というイメージが強い歯周病。ですが、テレビのCMなどで見られるように、短期間で歯がグラグラになって抜け落ちてしまうことはふつうはありません。統計的には、歯周病になりにくい人が1割、進行しやすい人が1割で、残りの8割の人はゆっくり進行していきます。
歯周病を予防するには、セルフケアだけでなく、歯周病の早期発見が重要です。早く異常がわかれば、その分早く手が打てます。そのためには、定期的に歯科医院で健診を受けることが大切。もし歯周病になっていて治療を受けたのなら、治療が終わったときが歯を守る新たなスタート地点です。再発を予防するために健診に通いましょう!

 

Check!!
《タバコで歯周病が10年早く進行する!》

 

タバコは歯周病の進を速めます。約4,800人の初診患者さんの喫煙状況と歯周病の進行度を比較したところ、中等度・重度歯周病のかたの割合が、30代の喫煙患者さんと、40代の非喫煙患者さんでは同じくらいとなりました。40代の喫煙患者さんと50代の非喫煙患者さん、50代の喫煙患者さんと60代の非喫煙患者さんも同じような割合でした。
つまり、「タバコを吸っている人は、吸わない人より10年歯周病の進行が速くなる」と言えます。歯周病を予防するために、タバコはきっぱりやめましょう(加熱式タバコも同じです)。

 

2.歯ブラシだけでは落とし切れない汚れがあります。

 

歯ぐきの溝のなかはプラーク(細菌のかたまり)がたまりやすい場所で、たまったプラークは歯周病の原因になります。そのため、この部分を歯ブラシで注意してみがいているかたも多いことでしょう。
ですが、歯ブラシでは溝のなかのプラークは完全には取り切れません。しかも、無理に溝のなかにブラシの毛先を入れてみがくことを続けると、歯ぐきが傷つきやせ、むし歯になりやすい歯の根面が露出してしまいます。歯ぐきを傷つけずにきれいにプラークを取り除くみがきかたを、歯科医院で教えてもらいましょう。歯ぐきの深い溝や歯周ポケットのなかの掃除も歯科医院にお任せください。
歯と歯のあいだをデンタルフロスや歯間ブラシでみがくことと、むし歯予防のためにフッ素入り歯みがき剤を使うこともお忘れなく。

 

3.「量」より「食べかた」が問題です。

 

甘いものを控えているはずなのに、むし歯になってしまう。それは甘いものの「食べかた」に問題があるのかもしれません。
飲食後、お口のなかでは、細菌の生み出す
酸や飲食物の酸により歯の成分が溶け出し(脱灰)、その後、時間をかけて唾液が成分を歯に戻していきます(再石灰化)。溶かす力が戻す力を上回る状態が長期間続くと、むし歯になります。
このとき、甘いものの「量」以上に、食べる「頻度や時間」が問題となります。ひっきりなしに甘いものがお口のなかにあると、唾液が歯を修復する時間が取れません。ですから、のどあめを絶えず舐めていたり、ドリンクをチビチビ飲んでいたりすると、むし歯になりやすいのです。野菜ジュースやスポーツドリンクなど、ヘルシーなイメージのものにも意外に砂糖は入っていますのでご注意を。

※歯科医院では、皆さんのお口の状態や生活習慣にあった予防の方法をご提案しています。毎日のセルフケアにお役立てくださいね。

ホワイトニング、上下顎インプラントの治療

2023年9月12日

20代で奥歯が噛めない状態
歯の欠損の回復、歯の色が気になるという0代女性の治療例です。
欠損はインプラント、ジルコニアのブリッジ、
歯の色はホワイトニングで改善しました。

初診時はこのような状態でした。
術前正面

前歯の黄ばみ、暗い色調を気にされていました。歯の先端に近いところに茶渋のような沈着があります。

術前左側

下の奥歯がありません。上の歯が下の歯茎にあたりそうです。

術前右側

左側と同様に、下の奥がないため、歯の病的な移動が生じています。上の小臼歯にも欠損があります。

パノラマX線写真

虫歯の進行によりかみ合わせが壊れてしまっているのがわかります。歯根だけになっているところは抜歯が必要な状態。長期間虫歯で歯がない状態であったため、噛み合わせの歯が伸びてしまっています。

唾液検査で虫歯の原因を調べます
なぜ若くして虫歯がここまで進行してしまったかというと、学生時代に少しずつ歯が欠けてなくなっていったが、前歯と小臼歯まででなんとなく食事していたから、やばさがわからなかったということでした。
虫歯に感受性が高い、低いというのは個人差がありますので、食事のタイミングやケアについて聞き取りを行いました。
同時に、虫歯リスクの検査として、唾液を採取して機械で分析する、SMTを活用しました。

これは、患者さんに専用のうがいの水で10秒間うがいしてもらい、それを採取し分析する機器です。
この唾液検査でわかることは、
・虫歯菌の多さ
・唾液の緩衝能(虫歯菌の出す酸を中和する能力)
・口腔内のpH(酸性に傾く人は虫歯で歯が溶けやすい)
・歯肉の炎症度
・口臭に関するガスの多さ
です。
調べたところ、唾液の緩衝能が低く、虫歯菌が多い判定結果でした。また、ケアが1日1回3分以下のブラッシングのみで、糖分を含む飲料を長時間とってしまうという生活習慣がありました。
これらを踏まえて、担当衛生士から適切な生活習慣指導とケア用品の案内をし、生活習慣の改善に取り組んでいただきました。なんといっても、治療する期間というのは、長い人生のうち数か月です。患者さんの生活はそこから新たにスタートですから、治療後のよい状態が、虫歯の再発によって壊されないように生活習慣からよくしていく必要があります。生活スタイルに合うように、虫歯リスクを下げるケア用品を取り入れていきました。虫歯や歯を補う治療と並行して衛生指導を行いました。

歯の着色除去、クリーニング

エアフローという機械を用いて施術をします。パウダーがステインを効果的に除去して、歯面を傷つけないのです。そして、傷がつかないためきれいな状態が長期間維持できます。歯面清掃用のペーストはさまざまで、ものによっては研磨成分が強く、歯面が傷がつくおそれもあります。
メンテナンスはずっと続くので、使用する機材やペーストなどのケア用品の選定は重要です。
健康は生活習慣から作られるという意見はごもっともです。私たちが働きかけても、たとえば喫煙の習慣が歯周病を悪化させているためやめるようにできないかという話をしても、なかなか生活習慣を変えられないわけです。習慣が変えられないのでその患者さんを助けられない、のではなく、私たちが関われることや可能な手立てを講じることで、改善できないかやってみます。
それぞれの年代に響く言葉がけも重要です。
パウダーのクリーニングは、施術する衛生士もしっかりトレーニングをしています。特に痛みを感じさせないようにポイントがあります。パウダー吹き付け部が粘膜に当たらないよう注意が必要です。歯面からの跳ね返りもあり、適切にバキューム(水分やパウダーを吸引する)がないといけません。
このような場合におすすめです。
・ステインや着色が目立つ方
・ホワイトニング前のクリーニング
・いろんな材質の補綴装置が入っている方
・矯正器具が装着されている方
基本的にメンテナンスは口腔内の原因除去が終わって、感染のコントロールがある程度できている方が多いです。その患者さんの口腔内の状況、リスクに合わせてメンテナンスの器具を選択していきます。いつも同じではなく、その時、その方の必要な部位に適切なケアを行うのです。
現在の紙面清掃に用いられる機材はたくさんの種類がありますが、歯面にカップやブラシを回転させて当てて汚れを除去するものが一般的です。
 パウダーを用いたクリーニングは、用途に合わせて2種類あります。メンテナンスで用いる場合と、補綴装置装着などの前処置の場合です。どちらも、患者さんに不快感がなく、歯に優しい清掃方法です。

インプラント埋入

ノーベルバイオケアのリプレイスCCというインプラントを主に用いています。今回も臼歯にあうレギュラーサイズのものを埋入しました。
特に奥の方は、骨の密度が低かったようで、ドリルの感触から骨が柔らかい感じがありました。
しっかり待機期間をおく予定にしました。
実はこの後、患者さんが怪我で入院されてしまい、その治療が落ち着くまで歯科受診ができない状態でした。しかし、無事に復活されて、インプラントも顎の骨と結合しているのを確認しました。

ホワイトニング
ホワイトニングの薬剤を塗布し、専用の光照射を行い、歯面に作用させるのですが、その前にポリリンホワイトリキッドとスポンジを用いて歯の表面を磨きます。
高濃度の短鎖分割ポリリンを配合して専用のメラミンスポンジとセットで使用することで、歯面の汚れを高次元で取り除くことが可能です。
清掃ごは、短鎖分割ポリリン酸が歯面に吸着し、歯面保護及び、汚れの再付着防止効果もあります。
ポリリン酸ホワイトニングを導入している理由で最も大きいことは、歯科業界での口コミの良さです。以前は複数のメーカーのホワイトニング材を自分たちで試したこともありましたが、ニオイや刺激が強すぎて、術中、術後の痛みがあることが問題に感じていました。
ポリリン酸ホワイトニングの良さはその逆で、刺激や痛みを感じずに確実に白くなっていくところと、ホワイトニングしながら歯の質を強化していくところです。
日本人の歯の特性を考慮した性質で、プラチナナノコロイドを配合し、漂白時間の短縮に成功しています。EXポリリン酸を配合し、漂白効果を従来品よりも高めています。
知覚過敏にもなりくいため、継続使用できます。これは、硝酸カリウムの鎮痛効果により知覚過敏が緩和されているからです。
EXポリリン酸のイオン吸着効果(歯の表面のコーティング)で、刺激成分が歯髄に届きにくいようブロックしています。
他メーカーのホワイトニング材は、エナメル質が細かいすりガラス状になり、光がその構造にあたって白く見えるという効果がありますが、ポリリン酸はそのような歯にダメージがないところが大きいメリットと考えられます。

治療後
術後正面

気にされていた着色や黄ばみが改善し、ホワイトニングにより透明感のあるはっきりとした白さになりました。
欠損はセラミックのブリッジ、インプラントの被せ物で補っており、奥歯でしっかり噛める状態に回復できています。

術前の状態でずっと経過していたら、奥歯で噛めない分、負担が前方の歯にのしかかります。そのため、力による歯の破損、歯周組織のダメージが大きくなり、より噛み合わせが崩壊してくることが考えられました。
現在はメンテナンスで良い状態が保てるようにしています。着色が気になってきたら、パウダークリーニングやホームホワイトニングを行うようにしています。ポリリン酸ホワイトニングで、美しく丈夫な歯面にできており、汚れがつきにくいためツルッとした感触が心地よいとのこと。自信を持ってスマイルできることで、モチベーションの維持にも役立っています。