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入れ歯とインプラントを組み合わせて、動かない入れ歯にできる?

2024年5月14日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、部分入れ歯とインプラントを組み合わせた治療例のトピックです。

入れ歯治療について
どんな入れ歯でも、人工の歯と歯茎に接するピンクの床の部分があります。床の素材はレジンが広く使われていますが、見えない部分をチタンやコバルトの合金を用いて作られる場合もあります。
総入れ歯は歯茎に入れ歯が乗っかるのみですが、部分入れ歯は、入れ歯の部分と天然の歯の部分が混在している状態ですので、
残っている歯に維持力を得るため、クラスプという引っ掛けを作ります。よくあるのが、ワイヤーを曲げたものや、合金を鋳造して作ったものです。
審美的なクラスプとして、ノンクラスプデンチャーというものがあります。これは、通常金属製のクラスプの部分を、
特殊な床の材料に変えて、歯茎の色調に馴染ませて作られています。

こちらの写真は、よくある合金で作成されたクラスプです。歯の付け根あたりに金属の引っ掛けがありますね。保険診療で認められていますので、広く使われています。

入れ歯が入ったお口の状況ですが、歯茎のお肉の上にプラスチックの歯がのっており、それを介して物をかむということですので、
考えてみたら、結構大変な状況です。グッと力を入れて噛むと、入れ歯の床がズブっと歯茎に沈むことになります。
骨から生えている歯とかみごたえや使いやすさが異なるのはしょうがないことです。どんなに良い材料を用いても、天然の歯にはかないません。
そして、インプラントと入れ歯でも、かみやすさではインプラントにかないません。インプラントは骨に植立されていますので、天然の歯と同様に噛めるわけです。
あまり良くないことを書きましたが、しっかり物を噛むという面では、天然歯やインプラントが得意なのです。
一方で、入れ歯にも得意なことがいくつかあります。治療費の安さ、外科処置がほとんどいらないこと。
個人的には、一旦お試しができる治療であることがメリットと感じます。
入れ歯治療をして、リハビリが上手くいかなかったとして、
他の治療法に変更しよう、というのが可能であるため、後戻りができる治療法と言えます。

治療例
歯の欠損の部位に部分入れ歯を装着されていた方です。
「入れ歯で噛むと痛んで、しっかり噛めない」
「入れ歯が動く、浮いてくる」
というお悩みがありました。


術前正面


術前左側:奥歯の欠損があります。部分入れ歯を装着されていましたが、使いづらいとのこと。


術前下顎咬合面:歯を失ってから長期間経過しており、形態は落ち着いています。

治療計画
旧義歯の問題点を修正するため、外形、噛み合わせの状態を確認します。インプラントオーバーデンチャーを最終義歯とする場合、インプラントの治癒期間(オッセオインテグレーションと言います)に使用する、安定した治療用義歯が必要です。最終義歯の外形がある治療用義歯を作製、装着します。そして、インプラントの治癒期間が終わり、アタッチメントを取り付けるのですが、この治療用義歯を改造し、インプラントオーバーデンチャーへ移行します。患者さんはインプラントオーバーデンチャーに適合しやすくなります。
インプラントの位置決めですが、治療用義歯を作製中に、ガイド作製も行います。義歯は歯型をとってすぐに出来上がるものではなく、噛み合わせの記録取り、人工歯を排列し試適の工程を必ずやります。この試適の段階で診断用ステントを作ります。義歯を試適した状態で型を取り、レジンを流し込みます。最終的な歯に対して、インプラントが理想的な位置にくるように、このような手法を取ります。インプラント埋入部位は、維持のためのアタッチメントが義歯の中におさまるよう、クリアランスが確保できること、機能時の義歯の動きを抑制できることが要件です。また、今回は部分入れ歯ですので、クラスプがかかる歯の軸、義歯の着脱方向が非常に重要で、着脱方向と大きく維持装置の角度が違うと、適切な維持力が発揮できないことになりますので、これらを確認し、計画を立てていきます。

術後


術後CT:欠損部にインプラント埋入された状態。


術後正面


術後左側:アタッチメントが奥に見えます。


術後下顎咬合面:欠損の後方にインプラントが埋入され、ロケーターアタッチメントが装着されています。ボタンが歯茎から生えているように見えますね。


術後義歯装着した咬合面:このようにして装着した入れ歯は、噛む力が骨に伝わりしっかり噛むことが可能となります。

最終義歯の構造には、メタルのフレームが使われています。レジンのみの義歯床だと、アタッチメントの部分の強度不足により破折のリスクが高まります。
また、装着後の顎堤の形態変化にも対応するため、維持各子はレジン床内に取り込み、リライン(内面の敷き直しの処置)しやすい形状にします。

メンテナンス
一般的な義歯のメンテナンスといえば、経年的な人工歯の磨耗、床と顎堤の適合の変化に注意して、必要な時に早期に義歯の修正をします。これは、顎堤の保全にも、インプラントへの過剰な負担にも対応するものです。義歯設計やインプラント埋入位置の問題があると、術後の義歯破損を招きます。
ロケーターアタッチメントは、インプラント埋入された上にある凸部と、義歯床内の凹みが噛み込むことで維持力が発現します。義歯に組み込まれた部分には、維持のためのリテンションディスクがあります。6種類用意されており、維持力やインプラントの角度により使い分けをします。場合によってはこのリテンションディスクの交換が頻発する可能性もあります。研究では、1〜3年の間に0〜9回と幅があります。Vere Jら2012年の論文より。
この理由としては、義歯の着脱方向とインプラントの角度が大きいことが考えられます。これらの角度は可能であれば20°以内におさえられていることが望ましいです。また、咬合の強さと頻度によっては維持力が大きく減衰するという研究もあります。Abi Naderら2011年。
患者さんへの取り扱い指導も重要です。着脱方向から大きくずれて強引に引っ張ったり、ずれて装着した状態で噛み合わせたりすると、ディスクの変形が不可逆的になり、交換を余儀なくされます。

私たちは、術後の良い経過のために、まずインプラント埋入時に高い初期固定を確実に得るように注意をしています、具体的には、初期固定が得やすいインプラントの選定と、ドリリングの際のアダプテーションテクニックです。最終義歯のコピーデンチャーを作製し、造影剤を用いてサージカルステントとするとともに、歯肉の厚みも術前に確定し設計に反映します。このことにより、
・適切なデンチャーのスペースが確保できるよう、埋入方向を確実にプランニングできる
・術直後の荷重に対し、適度な高さのパーツの選択
を可能にしています。

まとめ
義歯とインプラントを組み合わせた治療により、少ない本数のインプラントで機能上優れた効果が得られる義歯作製が可能となります。
義歯が単体で十分患者さんが満足できるような機能を得るには、条件が整っている必要があります。具体的には、顎堤の高さ、幅、骨隆起やアンダーカット、口腔周囲筋の習癖の有無などの条件が整っていること、義歯の経験があることも患者さんのリハビリを行う上ではかなり慣れに関する差が出てきます。
条件が整っている患者さんばかりではありませんので、義歯でしっかり噛めない場合や義歯が動いてしまい、機能に問題がある場合、このようなインプラントを併用した治療を検討する価値があると考えられます。

義歯でお困りの方、どうぞお気軽にご相談ください。
お電話 072−767−7685
WEB予約もこちらから可能です。

肥満と歯周病についてラスト

2024年5月14日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

肥満と歯周病の関連のお話をしてきましたが、今回がラストです。


下の奥歯のレントゲン写真:歯周病が進行し、歯を支える骨が吸収してなくなってきています。奥歯は根が二股に分かれていたりしますが、支える骨がなくなってくるとこのように歯の根の分岐部のところがトンネル状になってきます。分岐部病変と呼ばれます。この状態になると、歯周病治療のスケーラーなどの器具が、トンネル状のところに到達しないため、歯周病が進行しやすい状態になってしまいます。

●肥満症とは
 日本肥満学会は「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態」を肥満症と定義し疾患として位置づけしました。ここでいう健康障害とは10の疾患群、すなわち、2型糖尿病・耐糖能障害,脂質代謝異常,高血圧,高尿酸血症・痛風,冠動脈性疾患,脳梗塞,睡眠時無呼吸症候群,脂肪肝、整形外科的疾患,月経異常です。これらはいずれも減量による病態の改善が望まれるものばかりです。肥満症はこれらの健康障害の有無や、BMI,ウエスト値,腹部CT検査によって診断されます。

●肥満の現状
 米国の1988〜94年の調査ではBMI30以上の肥満者の割合は男性で20%,女性で24.9%と非常に多かったのですが、さらに12年前と比べたところ男女ともおよそ8%も増加していました。喫煙対策が進んだ米国において、肥満は健康上最も深刻な問題であるとされています。その後,米国疾病対策センターは、BMI 30を超える肥満者の割合を州別に調査し、過去18年間にわたる分布図を作成しインターネットで公表していますが、これを見る限り中東部を中心に始まった肥満者の「蔓延」は全米に広がり深刻です。急速に広まる伝染病のアウトブレイクのように、肥満は全米で急増しています。
 イギリスでも1980年から1995年の間に、肥満者は8%から15%に増加したと報告されています。肥満は先進国に限らず、多くの途上国、アジアや太平洋の島々でも増加しています。幸い日本では約15万人を対象にした大規模調査でBMI 30以上の肥満者の割合は男性1.86%,女性1.98%と欧米に比常に少ないようです。しかし肥満と最も関連の強い糖尿病の発病率は米国と同程度なのです。そこで肥満の基準値を BMI25以上とするとその割合は男性27.5%,女性18.9%となり、欧米と同程度になることから日本人では25が基準値として提唱されています。また国民栄養調査によると1980年以降、男性ではすべての年齢層においてBMIは増加しています。女性では高齢者で増加していますが、逆に中年期より前では痩せが増加しています。われわれの関与する福岡県久山町における疫学調査では、1961年以降、BMI 25以上の肥満者の割合は40歳以降で男女とも増加しています。BMI 25以上ではさまざまな疾患のリスクが上昇することや、糖尿病やその予備軍が急増していることから、やはり日本でも肥満は健康上の重要な問題となりつつあるといわれています。

●肥満が危険因子となる生活習慣病
 肥満になると糖尿病,高血圧,高脂血症,動脈硬化,心疾患などになりやすくなります。これらの疾患のうち2型糖尿病へ及ぼす影響は特に強いのです。日本人の場合、前述のようにBMI 30を超える肥満は2%で、20%を超える米国にくらべ非常に少ないのですが、糖尿病人口は米国白人が7~15%であるのに対し日本人は4~12%と大きな差はありません。つまり日本人は軽度の肥満でも病気になりやすいようです。
肥満と心疾患に関する米国の大規模な調査です。
 肥満と心疾患に関する米国の大規模な調査で成人の死亡率が最も低かったのはBMI 19〜21.9でした。面白いことに肥満の影響は若いほど強く 30~44歳の男性ではBMIが1増加する毎に虚血性心疾患(冠動脈疾患)による死亡率が10%増加していました。虚血性心疾患や脳血管障害の多くは動脈硬化によりますが、動脈硬化は肥満を始めとするいくつかの危険因子が関与しています。これらの危険因子(たとえば肥満,高血圧、高脂血症など)をひとつの集合体としてとらえるものとして、シンドロームX,インスリン抵抗性症候群、死の四重奏、内臓脂肪症候群、などが提唱されてきましたが、これらは近年,糖代謝異常,脂質代謝異常,高血圧,中心性肥満(内臓脂肪の蓄積)などの組み合わせによって定義されるメタボリックシンドローム(metabolicsyndrome)として統一されつうあります。
 また2003年に米国で報告された大規模調査で肥満は癌による死亡率も高めていることが明らかなりました。16年間の追跡調査で90万人中 6万人弱が癌で死亡していたのですが、肥満はあらゆる部位の癌による死亡と有意に関連していました。

●肥満と歯周病
 肥満は2型糖尿病の最大の危険因子ですが、糖尿病が歯周病を増悪させることは古くから知られていますので、肥満→糖尿病→歯周病という図式ができ上がります。では肥満が歯周病に直接影響するのでしょうか。1977年に動物実験で高血圧を伴う肥満ラットでは歯周病が悪化しやすいことが報告されていますが、20年以上たって初めて、ヒトにおいても肥満と歯周病が関連していることが福岡市健康づくりセンターにおける健診結果から明らかになりました。
 この報告では肥満の指標としてはBMIと体脂肪率が、歯周病の指標としてはWHOのCPI
(community periodontal index)が用いられました。その結果、特に疾患のない20~59歳の成人において BMIが高いほど歯周病の有病率が増加していました。さらに、歯周病の危険因子と考えられている年齢,性別,口腔清掃習慣,喫煙の影響を調整した分析でも、BMIが20未満の痩せている人を基準とした場合、BMIが高くなると何倍も歯周病の危険度が上がっていました。同様の分析を体脂肪率について行ったところ、体脂肪率が5%上がるごとに歯周病の危険度は30%増加していました。この報告には明らかな糖尿病の方などは含まれていないことから、特に疾患はなくても肥満に関連した全身の状態、たとえば前述のメタボリックシンドロームなどの状態によって歯周病が悪化している可能性が指摘されました。
 さらに種々の運動能力テストの結果と歯周病との関連を調べたところ、日常の運動量保存則と強い関連を示す最大酸素摂取量が歯周病と関連しており、運動面からも肥満と歯周病との関連が支持されました。その後の調査で同センターはウエスト/ヒップ比と歯周病との関連を報告しています。それによると643人を対象に詳細な分析を行ったところ、BMIL,体脂防率,ウエスト/ヒップ比いずれについても、その値が高いほど深い歯周ポケットをもつ者の割合が多いことがわかりました。さらにウエスト/ヒップ比を用いて、対象者を上半身肥満とそうでない
グループに分けた分析を行ったところ、ウエスト/ヒップの高い上半身肥満のグループでのみ
BMIが高いほど歯周病のリスクが有意に上昇していました。体脂肪率でも同様の結果が得られたことから、歯周病が上半身肥満と関連していることが示され、内臓脂肪の蓄積との関連が予測されています。
 その後,肥満と歯周病との関連を示す報告が徐々に増えてきました。米国の国民健康栄養調査(NHANES II)の結果から、アタッチメントロスと肥満の各指標が有意に関連していることが示されました。同じくNHANES Ⅲの結果から、特に18〜34歳の若いグループにおいて、BMIやウエスト値が歯周病と有意に関連していることが明らかとなりました。別の調査では、40歳未満の肥満者では歯槽骨吸収が大きいことが報告されています。逆に50歳以上を対象として歯周病の危険因子を調べたタイの報告では、BMIもウエスト値も歯周病と関連していませんでした。これらの報告は、肥満が心疾患や死亡率に及ぼす影響は若いほど強いという前述の報告とも一致していて、たいへん興味深いと思います。日本からは、喫煙が歯周病の最大の危険因子で次に大きいのが肥満であると報告されています。私たちの最近の結果ですが、糖尿病の診断基準となる糖負荷試験を行い、歯周病の危険因子として肥満と糖尿病を女性について同時に分析した結果、肥満と歯周病は有意に関連していましたが、糖尿病と歯周病との関係は有意ではありませんでした。つまり,糖尿病が歯周病に及ぼす影響とは別のメカニズムで、肥満が歯周病に影響している可能性があるのです.


歯周病と肥満が合わさっているケース:お顔や全身状態のお写真は掲載できませんが、肥満体型で歯周病もかなり全体が進行している患者さんです。レントゲンで、歯を支える顎の骨が全体なくなっているのがわかります。

●かぜ肥満は歯周病と関連しているのか?
 現時点で、肥満と歯周病を関連づけるメカニズムについての報告はほとんどありませんが、多くの医学論文からさまざまなことが予測されます。低栄養が免疫能に及ぼす影響については古くから調べられてきましたが、肥満については、1980年代にさまざまな疾患の危険因子として注目されるようになってから、免疫との関連を示す報告が増えてきました。肥満者では単球の殺菌能の低下、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性や免疫グロブリンの低下、Bリンパ球やTリンパ球の機能低下、またB型肝炎ワクチンによる抗体ができにくいことなど、さまざまな報告がなされてきましたが、統一した見解は見当たりませんでした。
 その後1994年に、脂肪細胞から分泌されるレプチンが発見され、食欲の抑制やエネルギー消費を増大させることが明らかとなり、「ダイエット新薬」の開発が期待され脚光を浴びました。それをきっかけに脂肪細胞の研究が盛んになり、脂肪細胞からは種々の生理活性物質が分泌され,全身へさまざまな影響を及ぼしていることがわかってきました。
 このように、脂肪細胞はレプチン以外にもTNE-a,アディポネクチン、PAI-1 (plasminogenactivator inhibitor-1),性ホルモン、アディプシンなど、さまざまな生理活性物質を産生しますので、肥満になればなるほど巨大な内分泌器官となり影響も大きいのです。そして脂肪細胞はエネルギー貯蔵以外に、善悪いずれにおいても重要な役割を持っていると考えられるようになってきました。
 そこで、これらの物質と歯周病との関連について述べてみます。歯周炎によって歯周局所には TNF-a が発現し、歯槽骨吸収を引き起こすことがわかっています。TNF-aは肥満者の脂肪組織からも多量に分泌されますので、歯周局所における歯槽骨吸収を促進する可能性があります。実際、若年の肥満者では、歯肉溝浸出液中のTNF-aの濃度がBMIと相関していることが報告されています 。肥満のマウスやラットでは、肝臓におけるLPS(菌体内毒素)の感受性が強くなることが報生されています。つまり、肥満によって肝臓にあるマイクロファージ(クッパー細胞)の機能が低下したり、肝細胞の素)の感受性が強くなることが報告されています
191.つまり、肥満によって肝臓にあるマクロファージ(クッパー細胞)の機能が低下したり、肝細胞のTNE-aに対する感受性が増強するのではないかと推測されています。歯周組織においても肥満がマクロファージの機能低下やTNE-a 感受性の上昇を引き起こすとすれば、歯周病が悪化しやすいと考えられます.
 糖尿病は血管や神経組織に障害を及ぼします。糖尿病の前段階である肥満や高脂血症などの状態で血管に何らかの悪影響があるとすれば、歯周局所にも影響を及ぼしている可能性が考えられます。血液凝固を促進し虚血性心疾患を起こしやすくする PAI-1は、脂肪組織から分泌されますので、な血中にPAI-1が増加すると歯周組織の微細な血管にも血液循環障害が生じる可能性があります。実際、歯肉の炎症において、プラスミノーゲンの活性化が何らかの役割をもつことが報告されています。肥満者では血管内膜でマクロファージが泡沫化しアテローム動脈硬化症となりやすいのですが、歯周局所においても同様にマクロファージや単球が影響されているかもしれません。また,脂肪組織は補体活性因子を分泌しますので、これも歯周炎と関連しているかもしれません。このように脂肪組織からはさまざまな物質が分泌され複雑なネットワークを形成していますので、歯周病との関連があきらかになるにはしばらくかかるでしょう。

◼️おわりに
 WHOによると2005年現在,世界人口60億人のうち10億人がBMI25を超えており、このまま増加傾向が続くと2015年には15億人に達すると推計されています。一方、地球上には肥満者とほぼ同じ数の人が飢餓にさらされています。この不均衡は私たちの社会が解決していかなければなりません。食べる量を少し減らしてその分を最貧国へ回せればいいのですが、なかなかそう簡単にはいきません。喫煙については医療費や税金など経済的な視点から、すでに多方面にわたる検討が進んでいます。健康づくりにつながる肥満対策は医療費の削減にもつながるでしょう.そう考えると、そろそろ社会経済的な取り組みをしていかなければならない時期ではないでしょうか.歯周病と肥満との関連はまだまだ不明な点が多いのですが、食に直接関連した歯科医院での助言や指導が、患者さんの肥満解消のモチベーションにつながればと思います。

お口の健康に乳酸菌が効く?!

2024年5月14日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、手軽にお口の健康に役立つケア用品の案内です。

むし歯予防に。歯周病予防に。
お口に効く!プロバイオテイクス

 「プロバイオティクス」って近ごろ話題ですね。
善玉菌を摂ると、それが腸のなかで働いて体調管理に役立つことが知られているのでヨーグルトやぬか漬けなどの発酵食品を毎日食べているかたも多いかと思います。
この「プロバイオティクス」、お口にも効くってご存知でしたか?
じつは、ある種の乳酸菌を摂るとそれがむし歯や歯周病の予防に役立つことがわかってきているんです。

◼️プロバイオティクスってなんのこと?
●役立つ細菌のことです!
 「プロバイオティクス」とは、腸などの「細菌のバランスを改善」して、私たちのからだによい効果をもたらす生きた細菌のことで、ヨーグルトやキムチ、ぬか漬け、納豆などの発酵食品に含まれます。こうした食品を摂ることによって、私たちは「プロバイオティクス」という言葉が生まれるはるか昔から、プロバイオティクスの恩恵を受けてきました。
●重要なのはバランスの改善。
「細菌のバランスの改善」とはなんのことでしょう?これは、善玉菌(有益菌)と悪玉菌(有害菌)の勢力のバランスのことなのです。たとえば私たちの腸のなかには、約100兆個の細菌がいるといわれています。そのなかには善玉菌、悪玉菌もいますが、じつはそのどちらにも属していない日和見菌がもっとも多数派です。
 日和見菌は、おだやかで目立たない性質ですが、周囲に影響されやすく、腸のなかで悪玉菌が増えると、悪玉菌に加勢し悪さをはじめてしまうのです。善玉菌を増やし細菌のバランスが改善すると、日和見菌はおとなしくなり悪玉菌の活動を応援しなくなります。すると便秘や下痢の改善はもちろん、腸からの免疫物質の分泌がスムーズになり、免疫力が回復して感染やアレルギー、アトピーを起こしにくくなるというわけです。


私たちが取り扱っている、「プロデンティス」は、手軽にプロバイオティクスが取れるおすすめケア用品です。このタイプはミントが強めの風味に仕上がっています。歯科では、このようなプロバイオティクスを歯周病治療の内科的アプローチとして用いています。

●むし歯菌や歯周病の活動を抑えたい!
 プロバイオティクスの効果として、「腸の細菌叢(細菌の群れ)のバランスの改善」はよく知られていますが、それではお口についてはどうなのでしょう?じつはこうした着眼点で進められてきた研究によって、腸と同じくお口のなかでも、プロバイオティクスの効果が見込めることが明らかになってきています。お口のなかには約1000億個の細菌がすみついており、お口に問題を起こすむし歯菌や歯周病菌は、ふだんはおとなしい日和見菌ですので、プロバイオティクスによって細菌のバランスを改善できれば、その活動を抑えこめるのです。
 ※日和見菌とは善玉菌、悪玉菌のどちらの影響も受けやすい細菌のこと。むし歯菌や歯周病菌も日和見菌の仲間です。

⚫️人生の伴奏者、最近を味方に!
◼️プロバイオティクスとは、抗生物質で細菌をやっつけるのではなく細菌とおだやかに共生しながら細菌叢(細菌の群れ)の性質をコントロールして悪玉菌を抑え病気を減らそうという方法です。
速効性はありませんが、副作用がないのでどなたにも安心して続けていただけます。

▪️「感染症を防ぐ」「悪い細菌の勢いを抑える」と聞くと、みなさんはどんな方法を思い浮かべますか?おそらく抗生物質を飲んで細菌をやっつける方法を思い浮かべるのではないでしょうか。感染症に対抗するとき、現在の医療でもっとも一般的に用いられているのが、この抗生物質を使った治療です。
 抗生物質は、いまや私たちにとってなくてはならない重要な薬です。医療の歴史は、この薬の誕生によって大きく前進し、支えられてきたと言っても過言ではありません。
 しかし一方で、抗生物質の使い過ぎは、私
たちにとって非常にリスキーだということもわかってきました。細菌をやっつけようと強い薬を使ったがために、細菌が生き残りをかけて変異し、抗生物質の効かない非常に感染力の強い細菌になってしまうことがあるからです。このような耐性菌の問題は、院内感染などのニュースでもときどき取り上げられるので、ご存知のかたも多いことでしょう。
 じつは抗生物質で細菌をやっつけて病気を治す方法は、「プロバイオティクス」とは対極にあり、「アンチバイオティクス」と呼ばれています。
それでは、プロバイオティクスとはどういうことを目指し、なにをする方法なのでしょうか?
 プロバイオティクスとは、もともとは、からだによい作用をする細菌のことを言います。
最近では、からだによい細菌を使って、人が細菌とおだやかに共生し、そのことによって「からだによい効果を生もう」という方法そのものを指す言葉としても使われています。
 「細菌と共生するってどういうことだろう?」と思うかもしれませんね。私たちのからだのなかには、たくさんの細菌(微生物)がすんでいます。腸には約100兆個、口のなかには約1000億個がいますが、こうした細菌たちは常在菌といって、その名のとおり、つねに私たちとともにある細菌です。こうした細菌たちは常在菌といって、その名のとおり、つねに私たちとともにある細菌です。こえした細菌たちを敵に回すのではなく、味方につけてからだのなかで育て、外から入ってくる有害な細菌やウイルスから守ったり、からだのなかで悪玉菌が増殖するのを抑えよう、というわけです。
 この方法には副作用がなく、赤ちゃんから高齢者まで安心して使えるというのが大きなメリットです。ただし、善玉菌を摂ればすぐに効くというものではなく、毎日摂り続ける必要があり、効果を感じはじめるまでに3、4日~1ヵ月ほど、体内でしっかり育菌できて安定的に効果が発揮されるまでに1~3カ月ほどかかります。
 それでは、プロバイオティクスはなぜ効くのか、そしてお口の健康にどんな効果が期待できるのかについて、順を追ってご説明して行きましょう。

⚫️細菌のバランス、改善するとなぜよい?
 「細菌のバランスを改善するといい」とよく聞くのですが、そもそも「細菌のバランス」ってなんのことでしょう?
 それは、悪玉菌と善玉菌のバランスのことです。ストレスや服薬、食生活の乱れなどが加わると悪玉菌が元気になり、善玉菌とのバランスが崩れ免疫機能の作用が弱まります。
すると日和見菌(むし歯菌や歯周病菌もこの仲間)もドッと悪玉菌の味方について暴れはじめるので、善玉菌のために、助っ人の善玉菌(プロバイオティクス)を送りこみ勢力のバランスを保とう、というわけです。
▪️「プロバイオティクス」の説として、よく「プロバイオティクスで細菌のバランスを改善しましょう」ということが言われます。たしかに、「細菌のバランス」と聞いても、プロバイオティクスの働きをイメージするのは難しいかもしれません。もう少し詳しくご説明しましょう。
腸やお口のなかにいる細菌は、大きく3つに分けられます。善玉菌(有益菌)と悪玉菌(有害菌)、そして日和見菌です。
 善玉菌はお腹の調子を整えてくれたり、からだの免疫力を強くしてくれたりする、役に立つ細菌です。さまざまな乳酸菌、そしてビフィズス菌もよく知られていますね。
 悪玉菌としては、ウェルシュ菌(下痢の原因)、黄色ブドウ球菌(下痢やニキビの原因)などがよく知られていて、これらは健康な人のからだのなかにも存在している細菌です。
 日和見菌とは、その名のとおり、善玉菌と悪玉菌が均衡を保っているあいだは静かなのですが、悪玉菌が優勢になると、それに乗じて暴れる困った性質の細菌のことです。大腸菌やむし歯菌、歯周病菌がこれに属します。 
 善玉菌と悪玉菌、日和見菌の比率は、(健康な人の場合)ほぼ一定に保たれています。善玉菌と悪玉菌は、それぞれが勢力を拡大しようとつねに競争しており、その結果、一定の均衡が保たれているのです。
 しかし、ストレスや服薬、食生活の乱れ(大きくは生活習慣の乱れ)などが加わると、悪玉菌が活発に活動を開始し増殖をはじめます。すると、日和見菌も影響を受けて元気になります。こうなると善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、からだに悪さをする勢力が力を増し、下痢や風邪、むし歯や歯周病、ニキビなど、さまじまな感染症になりやすくなってしまうのです。
 そこで役に立つのがプロバイオティクスです。善玉菌の味方をする助っ人の善玉菌を送り込んで補ってやると、からだのなかの善玉菌と悪玉菌のバランスを取り戻すことができます。その結果、ふたたび善玉菌が力を盛り返し、悪玉菌の勢力拡大を防いで、日和見菌の悪玉化を防ぐことができるというわけです。
 また、ふだんからプロバイオティクスを摂り続けることによって、ストレスが加わったり、食生活が乱れた際にも感染症を起こさないよう予防をすることができます。健康のめに「細菌のバランスを改善しましょう」というのは、こうした理由にるのです。

まとめ

歯周病の状態があまり良くない場合でも、外科的、内科的なアプローチを組み合わせて、可能な限り歯が長持ちするように歯周病治療を行なっています。
当院の歯周病治療のページです。

歯周病、口臭など気になる方は、ご相談ください。
WEB予約はこちらからどうぞ。

肥満、体脂肪の話 2回目

2024年5月13日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

前回に引き続き、肥満のお話です。

歯科的なことと言えば、前回挙げました、よく噛むこと、噛めるように整えておくことが重要であります。毎日を楽しんで過ごしていくために、健康な身体は必須であり、その身体を作っているのは食事です。
ジャンクフードは瞬間的に美味しいですし、たまに食べたくなりますが、長期間摂取していて身体に良くないことは誰でも感じることと思います。もし、カップ麺やファーストフードがメインの食生活ならば、20代とかなら何も感じないかもしれませんが、中高年で痛い目を見ることになります。栄養素をしっかり意識し、食事で効果的に摂取することをおすすめします。


二郎系ラーメン!食べると快感物質が出てくるのでしょうね。中毒性があります。食べた直後は「ああ、もういらん」ってなりますが、しばらくするとなんとなく食べたくなってきてしまうという・・・
兵庫県内では、三ノ宮のドカ盛りマッチョ、西宮のこれが好きだからによく行きました。野菜増し、アブラ増しにしていただくことが多かったです。


カツ丼も素晴らしく美味しいですよね。個人的には、どんぶり界の中で最もがっつりパワーが感じられる存在と思っております。三宮駅近くの吉兵衛や七兵衛にはよく行きました。
これらの食事もたまには楽しんで良いでしょう。毎日食べていくと、身体の健康、肥満には良くないわけですが、たまに食べるために仕事やトレーニングを頑張ろう!とモチベーションにしていいんじゃないでしょうか。

●肥満の測定方法と疫学
 肥満の程度を測定するにはさまざまな方法がありますが、ここでは、最も一般的に使われているBMI.ウエストヒップ値.体脂肪.それから最近注目されている内臓脂肪などについて解説します。

1. BMI(体格指数,body-mass index)
 BMIは世界中で最もよく使われている肥満の指標で、体重(kg)を身長(m)の二乗で除したものです。つまり体重を身長で2回割るだけなので、電卓があればすぐに計算できます。
簡単なので疫学調査でも広く用いられており、調査結果も最も多くそろっています。さまざまな疾患の危険度についての報告から WHO(世界保健機関)はBMIの基準値を提案しています。年齢にもよりますがBMIは22が最も疾患のリスクが低く、25以上でさまざまな疾患のリスクが上昇することがわかっています。また、日本人の場合BMIが30を越える肥満者は男女ともおよそ2%と非常に少ないことなどから、日本肥満学会はWHOの基準にできるだけあわせたかたちで日本人の基準値を示していますり。WHOの定義では25-30でオーバーウエイト(太り気味)、30以上で肥満としていますが、日本人の場合25以上で肥満と判定されます。
2. 体脂肪
 BMIは筋肉量が多いと当然高くなります。筋肉は脂肪より重いため、ボデイビルダーに限らず、スポーツで筋肉がついている方はずいぶん高くなります。力士の場合、朝青龍のようなあまり腹の出ていない堅太りの方で40くらいですし、若い頃ボディビルのチャンピオンになったことで有名な俳優のシュワルツネッガーは、BMIは30ですが体脂肪率は数%でした。こういう場合はBMIが高くても脂肪の蓄積という肥満の定義と一致しません。そこで全体重に対する体脂肪量の割合である体脂肪率が、肥満の状態をよりよく示す指標として用いられています。体脂肪率は女性では30%以上、男性では25%以上で肥満と判定さますが、その測定にはさまざまな方法があります。
1) 生体インピーダンス法
 水(筋肉)は電流を通しやすいが油(脂肪)は通しにくいという性質を利用し、体に微弱な交流電流を流したときの抵抗値(インピーダンス)から脂肪量を推定する方法です。(ペースメーカーなどの機器を取り入れている方は使用することができません。)家庭用の測定器が次々と商品化され比較的安価で測定も簡単なことから、もっともポピュラーな方法となりました。この方法は年齢,性別、身長などの条件を設定して電極問の抵抗値から脂肪率を推測するため、精度はあまり高くありません。しかし家庭で同じ機器を使用して測定できるため、経時的な変化を見る場合にはたいへん有効です。体重計とセットになっている物も多く、家庭における健康づくりの一環として、体重管理にあわせて体脂肪の管理を行うことが可能になってきました。
2) DEXA法(二重✕線吸収法,Dual energy X-rayabsorptiometry)
 波長の異なる2種類のX線で全身をスキャンし、その透過率の差から骨や軟組織の密度を測定する方法です。骨密度とともに体脂肪を測定でき精度も高く,体組成測定のスタンダードといえます。健診施設などで広まっていますが、大がかりで高価な装置を必要とします。
3)皮下脂肪厚測定法
 肩甲骨下部や上腕背側,腸骨棘部などの皮下脂肪の厚さを皮脂厚計を用いて測定します。簡便なため健康診断などでしばしば用いられていますが、測定の誤差が大きいことや、皮下脂肪しか評価できないなどの欠点があります。
4) その他の方法
 その他の方法として、脂肪組織とそれ以外の組織の密度差を利用して、全身の体積と体重から脂肪量を計算する体密度法(水中体重量法,空気置換法,ガス希釈法),近赤外線法,体水分量測定法,体内K測定法,CT,MRIなどがあります。

3. 内臓脂肪
 近年、内臓脂肪の蓄積が多くの疾患や代謝障害と関連していることがしだいに明らかとり、疾患のリスクの高い内臓脂肪型肥満とあまり問題のない皮下脂肪型の肥満を区別することが提唱されています。
1) ウエスト値(腹囲)
 肥満には従来より、上半身肥満(男性型,リンゴ型)と下半身肥清(女性型,洋梨型)という分け方がありました。上半身肥満の者に内臓脂肪の蓄積が多く認められることから、計測が簡単にできるウエスト/ヒップ比が上半身肥満の簡便な指標として使用されています。ウエスト/ヒップ比は女性の場合0.8以上,男性では1.0(日本人では0.9)以上がいわゆる上半身肥満と判定されます。また近年では、臍位(へその位置)で測定したウエスト値(腹囲)そのものも使用され、日本人男性で85cm,女性では90 cm 以上が上半身肥満と判定されます。女性の基準値が大きいのは皮下脂肪が多いことによります。
この基準値は下記の腹部CT検査における内臓脂肪面積100㎠に相当しています。当然ですが皮下脂肪か内臓脂肪かはこの方法ではわかりません。
2)腹部CT検査
 内臓脂肪の診断では、腹部CT検査で内臓脂肪と皮下脂肪の面積を測定します。臍位(へその位置)で撮影したCT 画像から内臓脂肪の面積が100 ㎠以上で内臓脂肪型肥満と診断されます。この方法で,運動量の多い力士は皮下脂肪型の肥満が多いことが報告されています。

まとめ
検診などでよく測られるこれらの項目ですが、再検査となったら嫌な気持ちですよね。
そして、生活習慣指導や投薬や食事の節制などの可能性があります。
健康づくりは毎日の積み重ねですので、いつまでもジャンクフードや運動不足を続けるのではなく、少しずつ良い生活習慣を取り入れていきましょう。
いつまでも健康で暮らせるように、私たちは歯科の立場から健康づくりのサポートをさせていただいております。
こちらは私たちのお口のメンテナンスの説明動画です。
これは一例で、エアフローによる着色除去や歯肉のマッサージなど美容、エステ的な部分が多いメンテナンスです。
歯周病、歯肉炎、虫歯の予防のための施術を定期的に行っております。

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唾液の重要な働きについて

2024年5月13日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

口腔内の健康に重要な、唾液に関する内容です。

「お口がパサパサするな」と気になりはじめたら、定期的に歯科医院でむし歯、歯周病、口内炎のチェックを受けましょう!
●病気ではないからと油断していませんか?
 唾液の分泌が減ってお口のなかがパサついても、「病気ではないから」と我慢しているかた、おそらく多いのではないでしょうか。
 唾液は「魔法の水」と呼ばれるほど、お口の健康にとってとても重要。不足すると、再石灰化作用(むし歯になりかけた歯を修復してくれる働き)や抗菌作用(むし歯菌や歯周病菌の活動を抑え込む働き)が十分に機能しません。
 お口がパサパサするということは、唾液がたっぷり分泌していたときと同じセルフケアを続けているだけでは、むし歯ができたり、歯周病が進行しやすくなっているということ。
油断大敵なんです。ではお口のなかがパサパサするかたは、どうすればむし歯や歯周病からお口を守ることができるのでしょう?
 まずは、予防に熱心なかかりつけの歯科医院を見つけて、むし歯と歯周病を防ぐプラスアルファの予防法(歯みがきのスキルアップや歯みがき剤の効果的な使いかた、食生活の改善など)を個別指導してもらいましょう。定期的にお口のなかのチェックとプロフエッショナル・クリーニングを受け、むし歯や歯周病の原因であるプラークをしっかり取ってもらうことも大事です。
それと併行して重要なのが、唾液の分泌を増やす努力です。唾液の分泌が減るのは(唾液腺の病気や頭頚部のがんの治療など、唾液腺が障害された場合を除けば)、口の周りの筋肉の運動不足や水分不足、生活習慣や持病のお薬の影響など、さまざまな原因が重なって起きてきていることがほとんどだからです。
 持病のお薬が唾液の分泌に影響してしまうケースは多々あります。たとえば高血圧のお薬やアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、睡眠薬など、さまざまな持病のお薬が唾液の分泌を抑制してしまいます。
とはいえ、唾液の分泌が減るからといって、持病のお薬をいきなり止めるのはたいへん危険。お医者さんに相談して、唾液に影響しないお薬に代えてもらうのもなかなか難しい場合もあると思います。
 でも、水分をこまめに摂ったり、コーヒーやお酒の飲み過ぎを見直したり、お口のエクササイズをすることならすぐにでもはじめられますよね。
唾液の分泌を妨げている原因をひとつずつ減らして、改善していきましょう。


このような口腔内の保湿ジェルもあります。全身疾患などの影響で口腔乾燥症が認められる場合、ジェルとスポンジブラシで清掃することもあります。

●かるだの病気が隠されていることも。
 最後に、もうひとつ重要なことをお伝えしたいと思います。「お口のパサパサは病気ではない」と多くのかたが思いがちです。ほどんどのケースではたしかにそうなのですが、じつはそのなかに、本当に病気が隠れていることもあるのです。
 たとえばシェーグレン症候群などの自己免疫疾患、甲状腺機能亢進症などの内分泌異常、悪性貧血など血液の病気、糖尿病や腎臓病などの代謝異常、唾液を分泌する神経の障害などの症状が、唾液の分泌不足として現れることがあるからです。
 お口のパサパサ感がとてもつらいとき、水分を摂ったり、舌やお口の周りの筋肉を動かしてもお口にうるおいが感じられない、ちっとも改善されないという場合は、かかりつけの歯科医院に相談し、専門的な検査の受けられる医療機関を紹介してもらいましょう。
 ふだん意識したことはなくても、いざ分泌が減ってしまうと食事にもおしゃべりにも困ってしまうのが「唾液」。早めに気づくほど分泌量の改善が楽なので、「減っているかな?」と思ったら、お口のエクササイズをはじめてみてくださいね!

▪️予防指導を受けましょう。
 歯みがきや食生活の指導を受け、香味がやさしく殺菌剤の入った歯みがき剤を選びましょう。
▪️クリーニングを受けましょう。
 唾液が減るとむし歯や歯周病になるリスクが高まります。プロのお掃除でお口の健康を守りましょう。

◼️唾液の分泌を減らす持病のお薬
 代表的なものは?
●高血圧症の治療薬、降圧剤
●けいれんや潰瘍などの治療に用いる副交感神経遮断薬
●アレルギーなどの治療に用いる抗ヒスタミン剤
●不安を鎮める鎮静薬/抗神経薬
●睡眠薬 など

⚫️予防の常識非常識
1.セルフケアと歯科のサポートで歯は残せます。
 「歯を失う怖い病気」というイメージが強い歯周病。ですが、テレビのCMなどで見られるように、短期間で歯がグラグラになって抜け落ちてしまうことはふつうはありません。統計的には、歯周病になりにくい人が1割、進行しやすい人が1割で、残りの8割の人はゆっくり進行していきます。
歯周病を予防するには、セルフケアだけでなく、歯周病の早期発見が重要です。早く異常がわかれば、その分早く手が打てます。そのためには、定期的に歯科医院で健診を受けることが大切。もし歯周病になっていて治療を受けたのなら、治療が終わったときが歯を守る新たなスタート地点です。再発を予防するために健診に通いましょう!

Check!!
  《タバコで歯周病が10年早く進行する!》
タバコは歯周病の進を速めます。約4,800人の初診患者さんの喫煙状況と歯周病の進行度を比較したところ、中等度・重度歯周病のかたの割合が、30代の喫煙患者さんと、40代の非喫煙患者さんでは同じくらいとなりました。40代の喫煙患者さんと50代の非喫煙患者さん、50代の喫煙患者さんと60代の非喫煙患者さんも同じような割合でした。
 つまり、「タバコを吸っている人は、吸わない人より10年歯周病の進行が速くなる」と言えます。歯周病を予防するために、タバコはきっぱりやめましょう(加熱式タバコも同じです)。

2.歯ブラシだけでは落とし切れない汚れがあります。
 歯ぐきの溝のなかはプラーク(細菌のかたまり)がたまりやすい場所で、たまったプラークは歯周病の原因になります。そのため、この部分を歯ブラシで注意してみがいているかたも多いことでしょう。
 ですが、歯ブラシでは溝のなかのプラークは完全には取り切れません。しかも、無理に溝のなかにブラシの毛先を入れてみがくことを続けると、歯ぐきが傷つきやせ、むし歯になりやすい歯の根面が露出してしまいます。歯ぐきを傷つけずにきれいにプラークを取り除くみがきかたを、歯科医院で教えてもらいましょう。歯ぐきの深い溝や歯周ポケットのなかの掃除も歯科医院にお任せください。
 歯と歯のあいだをデンタルフロスや歯間ブラシでみがくことと、むし歯予防のためにフッ素入り歯みがき剤を使うこともお忘れなく。

3.「量」より「食べかた」が問題です。
 甘いものを控えているはずなのに、むし歯になってしまう。それは甘いものの「食べかた」に問題があるのかもしれません。
 飲食後、お口のなかでは、細菌の生み出す
酸や飲食物の酸により歯の成分が溶け出し(脱灰)、その後、時間をかけて唾液が成分を歯に戻していきます(再石灰化)。溶かす力が戻す力を上回る状態が長期間続くと、むし歯になります。
 このとき、甘いものの「量」以上に、食べる「頻度や時間」が問題となります。ひっきりなしに甘いものがお口のなかにあると、唾液が歯を修復する時間が取れません。ですから、のどあめを絶えず舐めていたり、ドリンクをチビチビ飲んでいたりすると、むし歯になりやすいのです。野菜ジュースやスポーツドリンクなど、ヘルシーなイメージのものにも意外に砂糖は入っていますのでご注意を。

※歯科医院では、皆さんのお口の状態や生活習慣にあった予防の方法をご提案しています。毎日のセルフケアにお役立てくださいね。

臭いの原因、舌苔&フッ素塗布について

2024年4月17日

舌苔、溜まっていませんか?

においの大きな原因「舌苔」 歯は毎日しっかりみがいているという人でも、意外に忘れていることが多いのが舌のお掃除。舌の汚れである「舌苔」は、口臭の原因でも最たるもののひとつです。 舌苔は、読んで字のごとく舌の表面を苔のように覆っている汚れです。舌の表面は一見平坦のようですが、じつは非常に微細なひだが無数に存在しています。これらの突起は「舌乳頭」(乳頭は「突起」の意)と呼ばれ、毛足の長いじゅうたんのような構造になっています。 この”肉のじゅうたん”に、新陳代謝ではがれたお口の粘膜の細胞(つまり老廃物ですね)や細菌が付着します。そしてそれがベットリと厚い層になったものが舌苔なのです。
糸状乳頭の白い点と誤解されがち 
舌苔がない状態だと、舌の表面には無数の小さな白い点と、それより大きな赤い点がポツポツと見えます。それぞれ舌乳頭の一種で、白い点は「糸状乳頭」、赤い点は「茸状乳頭」といいます。糸状乳頭は表層が角質化しているので白く見えます。 ときどき、糸状乳頭の白い点を舌苔と勘違いして、「ちゃんと舌の汚れを落とさなきゃ!」と歯ブラシでゴシゴシとみがいてしまうかたもいらっしゃいますが、それはよくありません。舌を傷つけて、出血による口臭が生じたり、味覚に影響してしまうおそれがあります。白い点が見えるのなら、舌苔はできていないと考えていいでしょう。
舌ブラシと洗浄液をかつようしよう!

舌ブラシで舌苔を落とす 舌苔のお掃除には舌ブラシがおすすめです。舌を傷つけないよう、やわらかめの毛のブラシで、力を入れずに表面をなぞるように動かします。ブラシを動かす方向は奥から手前です。手前から奥に動かすと、汚れを舌の奥に追いやってしまいます。 舌だけにブラシを当てているつもりでも、唾液を介して舌の洗れがお口のなかに広がりますので、できれば1回ブラシを走らせるごとにブラシとお口をすすぎましょう。お口のなかから汚れ(=におい物質)を追い出すことが大切です。 舌はデリケートですので、みがきすぎにはご注意を。うっすら舌苔がついている程度なら、綿などの不織布でぬぐうだけでもよいですよ。
洗浄液のうがいは長めに
 殺菌作用のある洗口液は、口臭予防に効果的です。細菌のかたまりであるプラークのかたまりを壊してからのほうが殺菌効果が上がるため、歯みがきをしてから使用するのがべストです。 その際は、殺菌成分がよく細菌に浸透するよう、製品が推奨している時間分、しっかりお口に含むようにしてください。テレビのCMなどで見られるように、ほんの数秒グチュグチュうがいするだけでは、効果は得られません。  ちなみに洗口液には、殺菌作用以外にも、におい物質を凝集して拡散を抑える銅イオンや亜鉛イオンが入ったものもあります。
歯科受診が口臭対策の早道です。
口臭が気になりつつも歯医者さんには行かない人が多数 自分の口臭が気になると答えた人は90.6%いたのに対して、「実際に歯科で口臭に関する診察・指導を受ける」という人はわずか5.1%でした。 歯周病などのお口の病気は、治療をしなくては解消されません。そうした病的口臭の原因が取り除かれないかぎり、においの元は残ったまま。ブレスケア製品でにおいをごまかそうとしても、焼け石に水です。 とりわけ歯周病は、初期のうちは自覚症状がなく進行するもの。最近歯ぐきがうずく、歯みがきすると歯ぐきから血が出るというかたは要注意。お口のなかで歯周病菌が暴れているのかもしれませんよ。 また、みがき残したプラークもにおいの元ですので気をつけたいところ。「えー、私、歯はちゃんとみがいてますけど?」と思うかもしれませんが、自分流の歯みがきでは、意外にみがけていない部分が多いものです。 歯科で歯のクリーニングを受けるのにくわえて、みがき残しのある場所をチェックしてもらい、さらにあなたのお口に合った歯ブラシとデンタルフロスの使いかたを教えてもらいましょう。そして舌苔を落とすのも忘れずに。 歯の健康を取り戻す、または維持してもらうついでに口臭予防もできるわけですから、定期的に歯医者さんに行きましょう!  口臭 Q&A ブレスケア製品は口臭に効果がありますか?・単にミント味のブレスケア製品を摂取したとしても、においをマスクするだけですので、病的口臭が原因の場合は根本的な解決にはなりません。ただ、ガムは噛んでいるうちに唾液が出て、お口のなかの老廃物や舌苔も洗い流されますので、そういう意味ではいいかもしれません。むし歯にならないように、砂糖不使用のものをお選びくださいね。 ストレスが口臭に影響するってホントですか?・口臭には、心理的な要因も影響します。ホラー映画を見たときに、のどの渇きを覚えた経験はありませんか。人は緊張状態にあると唾液の分泌が減り、唾液の性質もドロッとしたものになります。ですから、人が近づいてきたときに「におっていないかな?」と緊張することで、唾液の量と性質が変わって口臭が強まることも考えられます。

フッ素歯面塗布って知ってますか?

歯の表面に高濃度のフッ素を塗るむし歯予防の方法です。ところで、フッ素歯面塗布は何歳ぐらいから受けていいと思いますか?それは一歳半です。●フッ素歯面て塗布って受けたことありますか? 「フッ素歯面塗布」ってむし歯の予防法、知っていますか?歯の表面に直接ジェルやフォーム(泡)状のフッ素を塗って、歯を丈夫にする方法です。歯医者さんで受けたことのある方、きっと多いのでないでしょうか?歯みがき剤やフッ素洗口液を使ったむし歯予防といちばん違うのは、歯医者さんでないと受けられないってことです。それは、フッ素歯面塗布に使うフッ素の濃度が高いからです。 日本の歯みがき剤に入っているフツ素は、いちばん濃くても1500ppm。でもフッ素歯面塗布で使うフッ素の場合、なんと9000ppm(濃い!)。プロ向けの医薬品だから、患者さんがおうちに持って帰って使うことはできないんです。 フッ素塗布剤を歯に塗って3~4分間そっとしておくと、歯の表面に硬いアパタイトができて丈夫になるんですけど、じつはこの方法は、歯医者さんで定期的に受けないと、むし歯予防効果が下がります。なぜかというと、ご飯を食べたり歯みがきしたりしているうちに、少しずつ取れてきてしまうからです。1回塗布したからといって、油断しないで下さいね! 少なくとも年に2回、もしむし歯になりやすいのなら年に3〜4回受けて頂くことが理想です。というのも、年2回塗布のむし歯予防効果は20%程度ありますが、やったりやらなかったりだと、あまり効果が上がらないことがわかっています。
生えたての歯や象牙質むき出しの歯に。
  フッ素歯面塗布はどんな歯にいちばん効果的か知ってますか?それは「生えたての歯」なんです、生えたての歯は軟らかくてむし歯に弱い。でも、そのぶんフッ素を取り込みやすく、表面が硬くなりやすのです。 乳歯を守るなら奥歯が生えはじめる1歳半くらいから。永久歯を守るなら第2大臼歯が生え終わるまで。つまり15歳くらいまで定期的に受けるのがベストです。 あと、歯の根本の象牙質がむき出している人の「大人むし歯」(根面う蝕)の予防にもピッタリなんです。

銀歯が入っている歯の根元が大きく露出している写真。根面う蝕とは、このような根が露出した部分にできる虫歯です。歯の頭の部分、エナメル質の組織と異なり、虫歯に対し弱い特徴があります。

エナメル質より軟らかい象牙質の表面を硬くしてくれるんです。 フッ素歯面塗布っていうと、「費用がかかるからなあ」って思ってる人もいるかもしれません」ね。たしかに、フッ素歯面塗布は歯の「治療」ではないから、通常は保険がききません。 しかし、むし歯の多いお子さんの場合や、初期むし歯の治療などには保険がききますし、塗布の無料サービスを行っている自治体もありますからそういうのも利用しながらぜひ続けてください。

病的口臭と対処法について

2024年4月16日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

前回に引き続き、口臭についてのお話です。
最初に、口臭には種類がある!というトピックです。

生理的口臭
 誰にでもある「生理的口臭」 口臭というのは、じつは誰にでもある程度は存在するものです。朝起きてあくびとともに息を吐き出したとき、「あ、口がにおうな」と思ったこと、ありますよね。でもその後、朝食を取ったり歯みがきしたりするうちに気にならなくなるはずです。これは「鼻が慣れたから」ではなく、お口のなかのにおい物質が食事や歯みがきで減っているからです。 1日のなかで自然に増減するこうした口臭は、専門用語で「生理的口臭」と呼ばれます。寝起きなどににおいが強くなることはありますが、一時的なものです(同じくにおいの強い食べ物による口臭も、一時的なものです)。
 寝ている間は、起きて活動している時に比べて唾液の分泌量が少なくなりますから、口腔内の菌も増えやすいですし、臭いがキツくなってしまいます。病的なものではありません。気になる方には、寝る前の口腔内の菌を減らす、うがい薬を案内しています。

こちらのエピオスは、純粋な塩と精製水を専用の機器で電気分解し作成します。私たちのクリニックには、エピオス精製のこちらの機器があります。
https://epios7.co.jp/category7/entry2.html
エピオスは身体にやさしい成分ですが、殺菌能力が高いうがい薬として、ケアによく用いています。タンパク汚れを分解し、歯の表面から浮かせる効果があり、こちらを口に含んだ状態でブラッシングを行うと、短時間で高い清掃効果を得られます。寝る前にエピオスを使ってうがいをしておくと、起床時のお口の不快感やねばつきが軽減できます。

また、口を開けて寝てしまっている方、口呼吸の方はかなり口腔内が乾燥しやすいため、口臭も強くなります。唾液が乾燥してしまうので、日中でも無意識のうちに口呼吸している場合、前歯あたりの歯肉が炎症しやすかったり、虫歯リスクが高まってしまいます。原因の口呼吸自体を改善することが重要です。このような場合、お家ですぐできる
あいうべ体操
をご案内しています。当院の小児矯正治療の一環でもよくやっています。自然と唇と舌の筋肉のバランスが整い、口呼吸から鼻呼吸へ移行することができます。口臭改善はもちろん、アレルゲンを体内に取り込みにくくなるため、アレルギーなどの問題について体質改善が期待できます。


九州の今井先生が発案されたあいうべ体操。こちらの本にはあいうべ体操の効果や良い効果、実例が多く記載されています!

病的口臭 
 一方、強いにおいを持続的に発する口臭は「病的口臭」と呼ばれます。いわゆる不快な口臭と客観的に認識されやすいもので、においの原因がなくならないかぎり存在し続けます。 原因には、歯周病などのお口の病気と、お口とつながっている耳鼻咽頭の病気、内臓などのからだの病気が考えられます。 よく「からだの病気のにおいが口からにおう」という話を聞きますが、からだの病気が発するにおい物質が血液に乗って肺に至り呼気として吐き出されるというのは、そうとう病気が進行した状態です。また、「食べ物のにおいが胃から上がってくる」というのも、食道と胃の境界には括約筋があるため、ふつうはにおいの通り道は閉じられています。ですから、強い口臭の原因としてまず疑われるのは、お口のなかなのです。
一時的なにおい からだが本来もつ生理的なもの 健康な人にも存在するにおい。1日のうちで増減します。 においの強い食べ物などによるもの。
持続的なにおい 歯周病などお口の病気によるもので 歯周病やむし歯になった歯、舌の汚れやみがき残したプラーク(歯垢) 鼻炎など自費咽頭の病気によるもので副鼻腔炎や扁桃腺炎、中咽頭の癌などが原因。お口とつながっているため、においが口から出てきます。 胃腸・肝臓など、からだの病気によるもので糖尿病や、肝臓、腎臓、胃の病気などが原因。におい物質が血液をめぐって肺から息へ。
においの原因は お口の細菌
 たんぱく質を分解してにおい物質を出す 細菌のうち、とくに歯周病菌などの酸素を嫌う菌(嫌気性菌 けんきせいきん)が、腐敗臭をともなうにおい物質を生み出します。彼らが唾液や血液、はがれ落ちにお口の粘膜、食べかすに存在するタンパク質(正権には含硫アミノ酸)を分解したときに、揮発性の硫黄化合物——硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどを出すのです。 女性では、月経や妊娠などのホルモンバランスの変化によりお口のなかにいる歯周病菌が活発化し、口臭が増加するという報告もあります。

 唾液の減少も影響する 
 細菌の活動には、唾液も影響します。朝起きたときがいちばん強く、それから食事や歯みがきをするたびに下がって、時間がたつとまた上がります。唾液には、細菌を洗い流したり、細菌の繁殖を抑えるはたらきがあります。起床時にいちばんにおいが強いのは、就寝中は唾液の分泌が減るので、寝ているあいだにお口のなかで細菌が繁殖するためです。   このように、唾液の分泌量は口臭に影響しますので、ドライマウスなどで唾液が減少すると、口臭も強まる傾向があります。
お口のなかの においの元。 病的な口臭の元となるお口のトラブルをまとめました。気になるところがおりましたら受診してご相談を!
歯周病になっている歯周ポケット・歯周病が進行して、歯と歯ぐきの境目が深くなってできる歯周ポケット。歯周病になっているとき、この中にはプラークや歯石のほかに、歯ぐきの死んだ細胞(老廃物)や血液、体液、(滲出液)、そして細菌の代謝物(排泄物)が溜まり強いにおいを発します。・歯周ポケットのなかのクリーニングは歯科でしかできません。歯周病になっているなら早めに治療を。 溜まったプラーク・溜まったプラークは、むし歯や歯周病の原因になるだけでなく、においの元にもなります。みがき残しが多いのは、上あごは奥歯の頬側、下あごは奥歯の舌側。いずれも頬や舌が邪魔をして歯ブラシが届きにくい場所です。溜まったプラークは歯石となり、さらにプラークが付着する足場となります。・入れ歯のかたは、入れ歯自体のお掃除も欠かせません。・プラークの除去には、毎日のきちんとした歯みがきのほか、定期的に歯科でクリーニングを。 象牙質に及んだ多数のむし歯・歯の表面のエナメル質はほぼ100%無機質ですが、内部の象牙質は3割ほどがタンパク質(コラーゲン)でできています。むし歯が進行するとタンパク質が細菌により分解され、においを出します。ですから象牙質に達するむし歯がそのままだと、口臭の原因に。むし歯が深く多いほど、においは強くなります。・むし歯は放置せずに治療しましよう。 歯の根の先端の病変・まれなケースですが、歯の根の先端部に病変(根尖性歯周炎)ができ、膿のにおいが歯ぐきのなかを伝ってお口に放出されることもあります。 被せ物やブリッジと歯ぐきの境目・被せ物と歯ぐきの境い目や、ブリッジのポンティック(ダミーの歯)と歯ぐきが接する面もお掃除が行き届かないことが多く、においの元になりやすいです。・デンタルフロスやタフトブラシで清掃するようにしましょう。*注意* 審美性重視のブリッジを入れているかたは、治療内容に合わせた適切なデンタルフロスの使いかたについて、必ず歯科医院で指導を受けましょう。

口臭について

2024年3月29日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

患者さんからご相談も多い、口臭についてのお話です。

口臭の原因は、胃腸の不調であることも可能性はありますが、
 じつは、口臭の原因の約9割はお口のなかにあり、とくに歯周病は、強烈な口臭の元なんです。
生ものが腐敗したような、強烈な歯周病の口臭。
爽やかなミントの香りでごまかしても、それはほんの一時しのぎ。
くさい臭いを、歯科治療とセルフケアでもとから断ちましょう!

◼️口臭の原因はお口の中
 口臭がやっかいなのは、なかなか自分では気づけないことです。かといって周りの人が口臭について指摘はしにくいわけで、結果的に無頓着に過ごしているかたも少なくありません。実際、国内外の口臭調査では、だいたい3人に一人くらいに口臭があることがわかっています。ただし、心配し過ぎることはありません。ほとんどの口臭は、歯科の治療とセルフケアで治るからです。口臭についての誤解を解き、お口の健康と爽やかな息を取り戻しましょう!

◼️本人には気づきにくい あのニオイはどこから?!
 口臭は、自分では気づかないものですよね。自分のニオイは自分がつねに嗅いでいるので、慣れてしまうんです。始終気になっていてはつらくて仕方ないので、慣れることにより自分を守っているのです。
 じつは口臭は、多かれ少なかれ誰にでもあります。自分で気づくことは少ないですが、健康な人にも軽い口臭があり、これを私たちは「生理的口臭」と呼んでいます。
 たとえば、朝起きたときは誰でも軽く口が臭いますが、これは寝ているあいだはお口のなかの唾液が減って細菌が増えやすいからで、こういう口臭は朝食を食べたりすればヒトの鼻では感じないレベルに下がるので、ほとんど問題になりません。
 また、ニンニクやお酒を飲食すると臭いますよね。飲食物の成分が吸収され肺に届いて呼気から臭うのですが、これは一時的なものですし、おいしく飲食したのなら、少々臭うのは仕方ないことでしょう。
 こうした生理的・一時的な口臭がある一方、問題となるのは的な口臭です。健康な人の口臭にくらべ、ずっと攻撃的で不快感の強い臭いがします。それでは、この病的な口臭は、いったいどこからくるのでしょう?
「胃腸が悪いと口臭が強くなる」とよく言われますが、これは、臭いが胃から口に上がってくると思われているからかもしれません。実際は、胃の入口は強い筋肉でギュッと閉まっているので、(ゲップは別として)臭いが上がってくることはまずありません。からだの病気で口臭がするなら、それは臭いの物質が体内を巡り肺から呼気として臭っているわけで、ふつうに考えて、これはよほど重篤な状態です。からだの治療が優先で、口臭どころではないでしょう。
 病的な口臭で圧倒的に多いのは、じつは歯周病が原因の口臭なんです。つまりほとんどの口臭は、歯科治療とセルフケアで治せるということです。「しばらく歯石を取っていない」「近ごろ歯ぐきが浮く感じがする」なんてことはありませんか?ぜひ歯科医院で口臭を「治療」しましょう。
 

歯周病が進行した方のパノラマX線写真。歯を支える骨が、全体的に下がっています。口臭も強いです。

◼️攻撃的な臭いの正体は細菌の出す「ガス」!
 臭い物質といってもさまざまありますが、口臭に特徴的にあらわれる臭い物質は「硫黄化合物」と呼ばれる種類の揮発性ガスです。なかでも代表格は、硫化水素、メチルメルカプタン、そしてジメチルサルファイドでそれぞれに特有の強い臭いがあります。
 硫化水素は歯のプラーク(歯垢)や、舌に白くつく舌苔があるほど検出されやすい臭い物質です。また、歯周病の患者さんに目立って多いのがメチルメルカプタン。ジメチルサルフアイドは、からだの病気や薬の影響で出やすい傾向があります。
これらのガスには特徴的で強烈な悪臭があります。たとえるなら、硫化水素は卵が腐ったような臭い、メチルメルカプタンは魚や玉ねぎが腐ったような臭い、ジメチルサルファイドは生ごみのような臭いです。どれもたいへんな悪臭で、病的な口臭はこれが混合したものなので、周囲のかたが不快に思われるのも無理はないのです。
 ちなみに硫化水素は、濃度が高ければいのちに関わるほどの有毒ガスなんですよ。驚きですよね。
 それではなぜこんな悪臭がお口でつくられるのでしょう。じつはこれらのガスをつくるのはお口の細菌で、なかでも歯周菌は、タンパク質を分解する酵素をもっており、その酵素でさかんにタンパク質を分解して、揮発性ガスを発生させるというわけです。歯周病が進むと、粘膜や老廃物が大好きな歯周病菌は、歯と歯ぐきのあいだの溝だけでなく、老廃物が積もる舌にも住みつき、舌苔から強い臭いを発するようになります。
 臭いのもとを断つには、まずは歯周病の治療からです。


歯肉のはれ、歯石とバイオフィルムが目立つ口腔内。

◼️もとから断つには まず歯周病を治す。
 健康なお口のかたにも軽い口臭があります。それは、どんな人のお口のなかにも細菌がいるからなんです。そうした細菌が出すガスが、生理的口臭の原因です。
 それでは、健康なお口のかたの生理的口臭と、歯周病の患者さんの病的な口臭では、どこが根本的に違うのでしょうか。
 健康なお口には、歯周病菌などの細菌の巣が歯と歯ぐきのあいだの溝(歯周ポケット)のなかにそれほどありません。細菌の供給元がないおかげで、食事(とくに固形物を食べた場合)で舌が盛んに動き、食べ物とこすれて舌苔が落ちると、細菌もいっしょに胃袋へと流されていきます。
また、歯みがきで口のなかがきれいになると、細菌の数がガクッと減ります。そのためガスもたいして産生されず、ふだんの生活で、私たちの嗅覚では感じない程度の口臭しかしない、という状態を保つことができるのです。
 一方、歯周病のお口には、歯と歯ぐきのあいだの溝に歯周病菌などの細菌の巣があります。その巣のなかは、細菌がどんどん繁殖し貯蔵庫のようになっています。食事をして口のなかがきれいになっても、歯みがきで歯の表面がピカピカになっても、歯周ポケットの奥に隠れた細菌の貯蔵庫があるのですから、すぐに舌の上にも細菌が供給され、揮発性ガスをさかんにつくるのです。
 舌苔はデコボコしていて汚れがくっつきやすく、細菌にとっては居心地のいい場所です。舌苔が口臭の原因だからといくら舌の掃除をしても、おおもとの歯周病を治さないままでは、細菌が次々供給されるので、揮発性ガスはいつまでたってもとまりませ。
 ミントの香りにはたしかに一定のマスキング効果がありますが、細菌の出す揮発性のガスと混ざれば複雑な香りになるだけです。しかもそのマスキング効果は一時的。始終ガムを噛んでいるわけにもいかないでしょう。
 口臭の臭い物質の硫化水素は、濃度が高ければ生死に関わるような有毒ガスです。お口から揮発するガスは濃度が低いので心配はありませんが、だからといって、気づかないままずっと
お口のなかに有害ガスを発性のさせる細菌の巣を温存していては、からだにいいわけがありません。
 お口のなかのことは、つい気楽に考えがちですが、現在では歯周病は、からだの病気にも影響していることがわかっています。ぜひ歯周病を治して、臭いもとを断ちましょう。


口臭を数値で見る!唾液検査により、口臭も確認できます。その他の虫歯や歯周病のリスク判定も可能。

◼️口臭を予防してお口もからだも元気に!
 病的口臭の主たる原因である歯周病は、よほど悪くならないと痛みが出ない病気。発生する刺激的な臭いは、「歯周病になっていますよ」「炎症が起きていて危険ですよ」というからだからの警告なのですが、あいにくご本人は気づきにくいという特徴があり、この点が本当に残念なことです。
 ただし希望もあります。約3万人を対象とした厚生労働省の「保健福社動向調査(平成11年)」の結果によると。約70%のかたちが「お口のなかになんらかの問題がある」と答え、そのなかの15%のかたが口臭を気にかけておられることがわかりました。口臭に関心をもつかたがこれだけ潜在的におられるのですから、ぜひこの「気がかり」をきっかけに、歯科医院で歯周病の治療を受けていただきたいと思います。
 じつは病的口臭には、唾液の分泌量やストレス、からだの疲れなども影響を与えています。唾液によって洗い流され、唾液の抗菌物質によて守られているお口は、口臭のリスクがおのずと低いのですが、よく噛まないために唾液腺への刺が減っていたり、飲んでいるお薬の副作で唾液の分泌が減ると、お口のなかに細菌が増えやすくなって、口臭のリスクがアップしてしまいます。
 また、ストレスや疲れはからだが細菌と戦う免疫機能を低下させるので口臭が強くなるリスクになりますし、タバコも免疫機能を低下させるので、口臭にとって、とても大きなリスクです。つまり、口臭を予防することは、お口の健康維持にとどまらず、からだの健康管理にもなるということです。
 そして、くさい臭いをもとから断つには、歯周病の治療を受け、その後も定期的に歯のクリーニングをしてもらって、お口の清潔を呆つことが必要です。プロのケアとセルフケアで口臭を予防し、爽やかなお口で過ごしましょう。

歯科治療に関係大アリ?骨粗鬆症

2024年2月20日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

全身疾患と歯科の関連のトピックです。
●骨粗鬆症とは、どんな病気でしょうか?

 1993年,「骨粗鬆症は、低骨量で、かつ骨組織の微細構造が変化し、そのため骨が脆くなり骨折しやすくなった病態」と定義されました。
すなわち、1990年代になり、高い精度、低被曝量,短時間での骨密度測定装置が実用化され、広く普及したことによる骨密度を重視した診断でした。
 しかし、1990年代後半頃より、骨粗鬆症の進行に伴う骨折は、骨密度だけで、予測できず、骨粗鬆症の薬物治療による骨密度の改善には、少なくとも、1年が必要となることなど、骨密度だけに偏重した評後の問題点が指摘されてきました。その後,生化学代謝マーカーによる骨代謝回転の評価により、骨密度としての変化があらわれる前段階での早期で迅速な判定が可能になってきました。
 そこで、骨密度が低くないのに発生する骨折の問題や骨粗鬆症の薬物治療による骨密度の改善例と変化のない例での骨折リスクの抑制率に主要がないことなどの報告から、現在は、以下のように考えられています。
 すなわち、2000年の米国国立公衆衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のコンセンサス会議で、
「骨粗鬆症は、骨強度(骨密度と骨の質)の低下によって骨折リスクが高くなる骨格の疾患」と定義されました。この骨強度は、従来から重視されていた骨密度と骨質の双方を総合的に評価して決定されるものです。


歯科でのパノラマX線写真で、皮質骨の厚みから骨粗鬆症のスクリーニングをすることができます。
骨粗鬆症の治療中の方で、投薬状況によっては抜歯などの外科処置を避けるよう、注意が必要です。

1. 骨粗鬆症の特徴を理解する
 骨粗鬆症には、閉経期以降の女性や高年齢の男性に多くみられる原発性骨粗鬆症や、若い人でも、栄養不良や運動不足、副腎ステロイド剤などの影響で罹患する続発性骨粗鬆症があります。いずれも、日常のライフスタイルが大きく影響することから,歯周病と同様に、生活習慣病の一つと考えられています。
 す。
骨は20~40歳ごろをピークに、加齢とともに生理的に骨量が減少します。特に、女性では、閉経後5~10年の間に年間骨量減少率3%以上の,急速な骨量減少が起こり、10年間の平均骨量減少率は、20%を越えると報告されています。各年代の推定人口から算出した40歳以上の女性の骨粗鬆症域人口は、2000年783万人から2001年819万人へと増加していることが推定されています。
 一方、わが国の人口は、2004年11月現在,約1億2.771万人を超え、そのうち、65歳以上の高齢者は、2.493万人(19%)、また、75歳以上の後期高齢者は、1,100万人(8.7%)で、ますます超高齢化が進んできています。そのような高齢化に伴い。骨粗鬆症患者は増加し、しかも、無自覚に進行することから、骨折(特に、大腿骨頸部骨折、推計2002年約117,900人)が急増し、寝たきり老人の大きな一因になっています。寝たきりの原因は、脳卒中、老衰に次いで、第3位が骨粗鬆症による骨折です。そして、骨折後は、40%は退院できず寝たきりになったり、骨折後1年以内に、10~20%が死亡するなど、不可逆的に、患者の自立度(ADL:activities ofdaily living)と満足度(QOL:quality of life)が著しく低下し、老人性痴呆などの合併症を生じさせます。したがって、発育期に十分に骨量を増加させ、その後は、骨粗鬆症発症前の骨量減少者を早期に識別し,ライフスタイルの改善や骨粗鬆症の薬物治療などの予防策を講じることにより、その発症・進行を予防する必要性が強調されてきています。

 2. 骨粗鬆症の症状を理解する一特徴的な「圧迫骨折」を知ろう!
 骨粗鬆症は、単なる「骨の老化現象」ではなく、骨の病的変化を主とする疾患ですが、病状が進行するまで顕著な自覚症状がない「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」といわれ、ゆっくりと静かに進行し、腰や背中が痛くなったり(腰痛),背中が曲がったり(身長低下)して自覚するようになります。
 その後、さらに放置し進行すると、背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根(好発部位:橈骨末端,上腕骨近位部、大腿骨頸部)の骨折を起こして寝たきりの原因になります。
 また、背中や腰が痛むのは、骨粗鬆症化(スカスカになった状態)した脊椎に体重などの負荷がかかることにより、脊椎が潰れてしまうからです。ポキッと折れることだけが骨折ではなく、このような骨折が、「圧迫骨折」といわれ、経時的にゆっくり進行します。圧迫骨折を起こすため、背中が曲がったり、身長が短縮します。一般的に,閉経後2cm以上の身長低下は、骨粗鬆症の存在を示唆する所見であると同時に、脊椎変形に伴う満足度低下の重要な指標にもなるといわれています。

 3. 骨粗鬆症の診断はどうやっているのでしょうか
 従来は、脊椎✕像で骨量減少が認められ、脊椎圧迫骨折のある症例が骨粗鬆症と診断されていました。しかし、脊椎圧迫骨折のない段階での早期診断により、本症の予防や早期治療が可能になることから、1994年 WHO研究班は、骨密度を指標とした新しい診断基準を提唱しました。すなわち、骨密度が若年成人平均値(young adult mean:YAM)の2.5SD 以下の症例を、原発性骨粗鬆症と診断しました。しかし、この診断基準では、白人の骨醤度が指標となることから、1996年日本骨代謝学会では、骨粗鬆症の診療や研究に従事している整形外科、内科(老人科,老年科),婦人科、放射線科およびスポーツ医学から、日本人における包括的な診断基準を作成し、その後2000年にさらに、改訂を加えました。新しく設けられた原発性骨粗鬆症の診断基準は、従訂を加えましたる。
産の診動基準は、従来の診断基準とは異なり、骨折が生じていなくても、設定された骨折閾値以下に骨量減少をきたした病態までも骨粗鬆症に包括しています。すなわち、骨密度と脊椎X線像の2つの指標を用いた点、若年基準値からの変化率を用いた点、さらに鑑別診断の重要性を強調した点が特徴です。
 
4.骨密度測定にはどんな方法があるのでしょうか
骨密度測定は、骨粗鬆症の診断,治療効果の判
・骨折リスクの予知のため、現在、中手骨に対して,MD法(microdensitometry),改良型MD法[DIP i (digital image processing) , CXD 法
(computed X-ray densitometry)], 橈骨や踵骨に対して、単一エネルギーX線吸収法(single energy X-ray absorptiometry : SXA),全身骨,橈骨,腰椎,大腿骨に対して,二重エネルギーX線吸収測法定 (dual energy X-ray :DXA)
橈骨や腰椎の海綿骨には、定量的CT 法(quantitativecomputed tomography: QCT),さらに、踵骨に対して,定量的超音波法(ultrasound bone densitometry: QUS)など、種々の骨量測定装置が開発され、市販されています。
現在の原発性骨粗鬆症の診断基準に準じると、骨密度測定は、DXA 法による腰椎骨密度が第
1選択になります。しかし、高齢者で,脊椎変形などのため腰椎骨密度が適切でない場合は、DXA 法による大腿骨頚部骨密度を測定します。また、検診などでの骨粗鬆症のスクリーニングには、CXD 法や定量的超音波法が適用されています。一方、男性では、大腿骨頸部骨密度の方が、腰椎骨密度より骨折の判別に有用とされているので、DXA法による腰椎に加え、同時に大腿骨頸部骨密度を測定します。
 5.骨粗鬆症の治療は、どんなことをするのでしょうか
 骨粗鬆症の予防と治療の目標は、前述のように骨折の防止です。骨粗鬆症では、まず、日常生活の中で骨量を増やす努力をすることが大切です。予防法でもある3原則「食事、運動。日光浴」は、治療の段階でも重要になります。初期の骨量減少であれば、予防を心がけることで骨量が増える可能性があります。しかし、さらに骨量減少が進むと薬物療法が必要になります。その場合でも、3原則に留意しないと薬の効果がみられません。どんな薬を選んで、いつから薬物療法を始めるかは、年齢や症状の進み具合により総合的に判断されます現在使われている薬は。骨吸収抑制薬(骨の吸収を抑在使われている薬は、骨吸収抑制薬(骨の吸収抑える薬),骨形成促進薬(骨の形成を促進する薬),骨の吸収と形成の骨代謝を調節する薬の3つに大別されます。

 6. 骨粗鬆症をまとめると
 前述のように、40歳以上の女性の骨粗鬆症域人口は、2001年819万人と試算されています。しかし,大多数を占める閉経後骨粗鬆症患者は、骨折を起こすまで自覚症状がないため、医科を受診する機会が少なく、骨粗鬆症治療を受けている患者数は、200万人に満たないといわれています。いいかえれば、歯科疾患の治療のために歯科を受診する潜在的骨粗鬆症患者は、決して少なくないと考えられます。
 女性の身体は、初潮を迎えたあと、周期的に女性ホルモンが分泌され、その後、更年期(閉経前後の約10年間,45~55歳頃),閉経を迎え、女性ホルモンの分泌量が激減し,急激な骨量低下を来します。この時に現れる不快症状の集合が、「更年期障害」とされています。したがって、更年期障害の典型的な症状やその後の骨粗鬆症に関する前兆を見極めて、そのリスクを軽減させるようにアドバイスし、歯周組織の健康と同時に、骨の健康を促すことが必要です。

インプラント治療を行うにあたっての全身的な注意点

2024年2月11日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。


上顎に4本インプラント埋入し、入れ歯を組み合わせる治療例の写真

インプラント治療を行う際、特別注意が必要なことがあります。
全身疾患についても注意が必要なことの一つです。
治療の際の臨床検査の意義としては以下のことが挙げられます。
①リスクの明確化
②リスクを反映した治療計画、治療精度の向上
③患者さんによる自己管理の徹底と維持→治療後の長期安定
④加齢、病的変化への対応
特に治療に対する安全性に加えて、治療後のリスクを軽減する意味でも、臨床検査とその共有が重要です。

全ての患者さんの術前スクリーニング的な検査として、
・血液、尿検査
・デンタル、パノラマX線写真撮影
・CTによる3次元的画像診断
があります。

さらに、一部の患者さんを対象として、
・骨代謝マーカー
・歯の喪失原因の検査:細菌検査、力学的検査
・アレルギー検査:パッチテスト
があります。

インプラント治療を行うにあたっては、血液検査、ヘモグロビンA1c(HbAic)が6.5%未満、
空腹時血糖值13m/L未満にコントロールされていることが必要です。
これは、インプラント手術時だけではなく、メインテナンス時も同様です。そのため、メインテナンス時、定期的に血液検査データのHbAic値を確認することが重
要となります。

ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白で、身体のすみずみまで酸素を運ぶ役割があります。
このヘモグロビン(血色素)とブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンですが、
グリコヘモグロビンについて、その1つのヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病と関係しています。
赤血球の寿命は約120日(4ヵ月)なので、すなわち、血糖値は血液検査時の全身状態を示しています
一方、HbAIC値は血液検査の日から1〜2ヵ月前の血糖の状態を示し、糖尿病の状態を知るのに重要な検査値です。

骨粗鬆症
骨粗鬆症による全身の骨量減少と歯槽骨吸収との関連性については不明ですが、
骨粗鬆症の既往をもつ場合には、顎骨の骨量減少も考慮してインプラント手術やメインテナンスを進めていく必要があります。

一方、骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート(BP)系薬剤の投与を受けている患者さんで、
抜歯などの外科的侵襲により、顎骨壊死、顎骨骨髄炎の発症が近年報告され、問題となっています。

BP系薬剤には注射剤と経口剤があり、注射剤で顎骨壊死、顎骨骨髄炎が多く報告されていますが、
経口剤においても同様な報告があるので注意が必要です。
BP系薬剤による、顎骨壊死、顎骨骨髄炎のリスクファクターとしては、外科的侵襲のある歯科治療(抜歯、インプラント手術など)や
不適合な義歯だけではなく、口腔の不衛生も報告されています。
そのため、インプラントのメインテナンスに際し、服用している薬剤などの十分な問診とその知識が必要です。

・精神神経症
医療面接が不可能な精神的疾患のある患者さんには、治療内容を十分に理解していただくことが困難なため、
インプラント治療は難しいと思われます。また、不定愁訴や異常に不安感がある患者においても、
メインテナンス時にインプラント周囲炎などの問題を生じる可能性があるため、歯科医師だけではなく、
歯科衛生士も慎重にインフォームド・コンセントを行う必要があります。

生活習慣
1.喫煙
喫煙は、インプラントの長期経過に大きな影響を与えるリスクファクターの1つです。
なぜなら、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質により、末梢血管障害や免疫障害を起こし、
インプラント周囲炎に影響を与えるからです。
そのため、インプラント治療を開始する際は、喫煙の有無、喫煙歴について問診し、禁煙指導が重要となります。

インプラント手術時においては、埋入されたインプラント部の骨結合不良や創部治癒不全などの
問題が起きないようにするため、禁煙を徹底させます。

一般的な手術時禁煙プロトコールは、インプラント手術に際して、喫煙者にインプラント手術前3週間、手術後8週間の禁煙を指示しています。
期間設定は、喫煙による頭蓋顔面での手術創傷治癒への影響についての研究結果がいくつか報告されているからです。
実際、喫煙者にとってこれだけの期間の禁煙は変難しいことですが、手術前後の禁煙が成ことで継続的に断煙できるようになり、
「インプラント手術をきっかけにタバコを止められた」
という患者も少なくありません。
しかし、手術に際して禁煙した患者でも、喫煙を再開してしまうこともあります。
歯科医師、歯科衛生士はメインテナンス時にも、禁煙(喫煙)状況を確認して、必要に応じて禁煙の再指導を行う必要があります。

当院でのインプラント治療における禁煙指導の流れとして、まず、喫煙がインプラント治療のリスクファクターであることを十分に説明します。
禁煙指導の際には、喫煙によるインプラントの予後への影響をデータで具体的に説明し、禁煙を促します。

また、製薬会社のホームページなども利用し、禁煙意識を高めることも1つの方法です。
具体的な禁煙の方法として、ニコチンガムやニコチンパッチなどの禁煙補助薬を用いた禁煙方法であるニコチン代替療法があげられます。

このように禁煙指導を行っても、インプラント治療中からメインテナンスの時期まで一貫して禁煙できない患者さんは、
大きなリスクがあると考えられます。
その場合、非喫煙者よりもインプラント周囲炎を起こす可能性が高いことを十分に説明し、理解してもらい、
リコール間隔を短くするなど、早期に炎症性変化を発見できるようにすることが重要です。

・ストレス
ストレスがインプラント治療に悪影響を及ぼす明らかな報告はありません。しかし、ストレスが歯周炎に何らかの影響を及ぼしていることは知られています。
とくに、ストレスが直接的および間接的に歯周組織に影響を与えていることが報告されています。
まず、直接的な要因としては、ストレスなど精神的な原因による顎の動きです。つまり、就寝時のブラキシズムなどの悪習癖は、
直接的に歯周組織、とくに歯槽骨に破壊的な影響を及ぼします。
インプラント周囲組織においても、同様な現象生じることが予想されます。
また、間接的な要因として、代表的なものをあげます。
1つ目は、ストレスにより副腎皮ホルモンの分泌が高まり、免疫応答として白血球の作用が減弱することで、
歯周組織の持つ抵抗力が低下することです。この現象は、インプラント周囲組織の血液供給量が、歯織と比較して少ないことを考えると、
インプラント周囲炎のリスクといえます。

インプラント周囲組織は歯周組織よりも不利な条件であることが容易に想像できます。
2つ目は、ストレスにより自律神経系の交感神経が優位となるため、血液循環量が低下し、唾液分泌量も低下することです。
このことから、口腔内の洗浄、抗菌作用が低下し、歯周炎およびインプラント周囲炎を生じる可能性があります。
以上のことから、ストレスがインプラント周囲組織に悪影響を与える可能性が高いことが想定されます。
私たち歯科医療従事者は、メインテナンス時にインプラント周囲炎や歯周炎の原因の一つとして、
これら精神的な原因もあることを忘れずに、的確な目で口腔内組織を診ることが重要です。

口腔内に発現する力により、歯や歯周組織、筋肉や関節にも良くない影響が生じることがあります。
私たちの社会にはさまざまな程度のストレスがあり、感受性は人それぞれです。
インプラント治療においても、あまりストレスが強く感じられる方にとっては、
リスクとなってしまいますので、あまり溜め込みすぎないよう、
上手にストレス管理ができると良いでしょう。
噛み締め、食いしばり対策として、私たちはメディセルの施術を行っています。
これは、誰でも無意識のうちに行っている、噛み締め、食いしばりの運動を
筋肉の緊張を緩めることで解消していく療法です。
治療の案内はこちらです。

ぜひ、お気軽にご相談ください。