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歯科治療に関係大アリ?骨粗鬆症

2024年2月20日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

全身疾患と歯科の関連のトピックです。
●骨粗鬆症とは、どんな病気でしょうか?

 1993年,「骨粗鬆症は、低骨量で、かつ骨組織の微細構造が変化し、そのため骨が脆くなり骨折しやすくなった病態」と定義されました。
すなわち、1990年代になり、高い精度、低被曝量,短時間での骨密度測定装置が実用化され、広く普及したことによる骨密度を重視した診断でした。
 しかし、1990年代後半頃より、骨粗鬆症の進行に伴う骨折は、骨密度だけで、予測できず、骨粗鬆症の薬物治療による骨密度の改善には、少なくとも、1年が必要となることなど、骨密度だけに偏重した評後の問題点が指摘されてきました。その後,生化学代謝マーカーによる骨代謝回転の評価により、骨密度としての変化があらわれる前段階での早期で迅速な判定が可能になってきました。
 そこで、骨密度が低くないのに発生する骨折の問題や骨粗鬆症の薬物治療による骨密度の改善例と変化のない例での骨折リスクの抑制率に主要がないことなどの報告から、現在は、以下のように考えられています。
 すなわち、2000年の米国国立公衆衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のコンセンサス会議で、
「骨粗鬆症は、骨強度(骨密度と骨の質)の低下によって骨折リスクが高くなる骨格の疾患」と定義されました。この骨強度は、従来から重視されていた骨密度と骨質の双方を総合的に評価して決定されるものです。


歯科でのパノラマX線写真で、皮質骨の厚みから骨粗鬆症のスクリーニングをすることができます。
骨粗鬆症の治療中の方で、投薬状況によっては抜歯などの外科処置を避けるよう、注意が必要です。

1. 骨粗鬆症の特徴を理解する
 骨粗鬆症には、閉経期以降の女性や高年齢の男性に多くみられる原発性骨粗鬆症や、若い人でも、栄養不良や運動不足、副腎ステロイド剤などの影響で罹患する続発性骨粗鬆症があります。いずれも、日常のライフスタイルが大きく影響することから,歯周病と同様に、生活習慣病の一つと考えられています。
 す。
骨は20~40歳ごろをピークに、加齢とともに生理的に骨量が減少します。特に、女性では、閉経後5~10年の間に年間骨量減少率3%以上の,急速な骨量減少が起こり、10年間の平均骨量減少率は、20%を越えると報告されています。各年代の推定人口から算出した40歳以上の女性の骨粗鬆症域人口は、2000年783万人から2001年819万人へと増加していることが推定されています。
 一方、わが国の人口は、2004年11月現在,約1億2.771万人を超え、そのうち、65歳以上の高齢者は、2.493万人(19%)、また、75歳以上の後期高齢者は、1,100万人(8.7%)で、ますます超高齢化が進んできています。そのような高齢化に伴い。骨粗鬆症患者は増加し、しかも、無自覚に進行することから、骨折(特に、大腿骨頸部骨折、推計2002年約117,900人)が急増し、寝たきり老人の大きな一因になっています。寝たきりの原因は、脳卒中、老衰に次いで、第3位が骨粗鬆症による骨折です。そして、骨折後は、40%は退院できず寝たきりになったり、骨折後1年以内に、10~20%が死亡するなど、不可逆的に、患者の自立度(ADL:activities ofdaily living)と満足度(QOL:quality of life)が著しく低下し、老人性痴呆などの合併症を生じさせます。したがって、発育期に十分に骨量を増加させ、その後は、骨粗鬆症発症前の骨量減少者を早期に識別し,ライフスタイルの改善や骨粗鬆症の薬物治療などの予防策を講じることにより、その発症・進行を予防する必要性が強調されてきています。

 2. 骨粗鬆症の症状を理解する一特徴的な「圧迫骨折」を知ろう!
 骨粗鬆症は、単なる「骨の老化現象」ではなく、骨の病的変化を主とする疾患ですが、病状が進行するまで顕著な自覚症状がない「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」といわれ、ゆっくりと静かに進行し、腰や背中が痛くなったり(腰痛),背中が曲がったり(身長低下)して自覚するようになります。
 その後、さらに放置し進行すると、背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根(好発部位:橈骨末端,上腕骨近位部、大腿骨頸部)の骨折を起こして寝たきりの原因になります。
 また、背中や腰が痛むのは、骨粗鬆症化(スカスカになった状態)した脊椎に体重などの負荷がかかることにより、脊椎が潰れてしまうからです。ポキッと折れることだけが骨折ではなく、このような骨折が、「圧迫骨折」といわれ、経時的にゆっくり進行します。圧迫骨折を起こすため、背中が曲がったり、身長が短縮します。一般的に,閉経後2cm以上の身長低下は、骨粗鬆症の存在を示唆する所見であると同時に、脊椎変形に伴う満足度低下の重要な指標にもなるといわれています。

 3. 骨粗鬆症の診断はどうやっているのでしょうか
 従来は、脊椎✕像で骨量減少が認められ、脊椎圧迫骨折のある症例が骨粗鬆症と診断されていました。しかし、脊椎圧迫骨折のない段階での早期診断により、本症の予防や早期治療が可能になることから、1994年 WHO研究班は、骨密度を指標とした新しい診断基準を提唱しました。すなわち、骨密度が若年成人平均値(young adult mean:YAM)の2.5SD 以下の症例を、原発性骨粗鬆症と診断しました。しかし、この診断基準では、白人の骨醤度が指標となることから、1996年日本骨代謝学会では、骨粗鬆症の診療や研究に従事している整形外科、内科(老人科,老年科),婦人科、放射線科およびスポーツ医学から、日本人における包括的な診断基準を作成し、その後2000年にさらに、改訂を加えました。新しく設けられた原発性骨粗鬆症の診断基準は、従訂を加えましたる。
産の診動基準は、従来の診断基準とは異なり、骨折が生じていなくても、設定された骨折閾値以下に骨量減少をきたした病態までも骨粗鬆症に包括しています。すなわち、骨密度と脊椎X線像の2つの指標を用いた点、若年基準値からの変化率を用いた点、さらに鑑別診断の重要性を強調した点が特徴です。
 
4.骨密度測定にはどんな方法があるのでしょうか
骨密度測定は、骨粗鬆症の診断,治療効果の判
・骨折リスクの予知のため、現在、中手骨に対して,MD法(microdensitometry),改良型MD法[DIP i (digital image processing) , CXD 法
(computed X-ray densitometry)], 橈骨や踵骨に対して、単一エネルギーX線吸収法(single energy X-ray absorptiometry : SXA),全身骨,橈骨,腰椎,大腿骨に対して,二重エネルギーX線吸収測法定 (dual energy X-ray :DXA)
橈骨や腰椎の海綿骨には、定量的CT 法(quantitativecomputed tomography: QCT),さらに、踵骨に対して,定量的超音波法(ultrasound bone densitometry: QUS)など、種々の骨量測定装置が開発され、市販されています。
現在の原発性骨粗鬆症の診断基準に準じると、骨密度測定は、DXA 法による腰椎骨密度が第
1選択になります。しかし、高齢者で,脊椎変形などのため腰椎骨密度が適切でない場合は、DXA 法による大腿骨頚部骨密度を測定します。また、検診などでの骨粗鬆症のスクリーニングには、CXD 法や定量的超音波法が適用されています。一方、男性では、大腿骨頸部骨密度の方が、腰椎骨密度より骨折の判別に有用とされているので、DXA法による腰椎に加え、同時に大腿骨頸部骨密度を測定します。
 5.骨粗鬆症の治療は、どんなことをするのでしょうか
 骨粗鬆症の予防と治療の目標は、前述のように骨折の防止です。骨粗鬆症では、まず、日常生活の中で骨量を増やす努力をすることが大切です。予防法でもある3原則「食事、運動。日光浴」は、治療の段階でも重要になります。初期の骨量減少であれば、予防を心がけることで骨量が増える可能性があります。しかし、さらに骨量減少が進むと薬物療法が必要になります。その場合でも、3原則に留意しないと薬の効果がみられません。どんな薬を選んで、いつから薬物療法を始めるかは、年齢や症状の進み具合により総合的に判断されます現在使われている薬は。骨吸収抑制薬(骨の吸収を抑在使われている薬は、骨吸収抑制薬(骨の吸収抑える薬),骨形成促進薬(骨の形成を促進する薬),骨の吸収と形成の骨代謝を調節する薬の3つに大別されます。

 6. 骨粗鬆症をまとめると
 前述のように、40歳以上の女性の骨粗鬆症域人口は、2001年819万人と試算されています。しかし,大多数を占める閉経後骨粗鬆症患者は、骨折を起こすまで自覚症状がないため、医科を受診する機会が少なく、骨粗鬆症治療を受けている患者数は、200万人に満たないといわれています。いいかえれば、歯科疾患の治療のために歯科を受診する潜在的骨粗鬆症患者は、決して少なくないと考えられます。
 女性の身体は、初潮を迎えたあと、周期的に女性ホルモンが分泌され、その後、更年期(閉経前後の約10年間,45~55歳頃),閉経を迎え、女性ホルモンの分泌量が激減し,急激な骨量低下を来します。この時に現れる不快症状の集合が、「更年期障害」とされています。したがって、更年期障害の典型的な症状やその後の骨粗鬆症に関する前兆を見極めて、そのリスクを軽減させるようにアドバイスし、歯周組織の健康と同時に、骨の健康を促すことが必要です。

インプラント治療を行うにあたっての全身的な注意点

2024年2月11日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。


上顎に4本インプラント埋入し、入れ歯を組み合わせる治療例の写真

インプラント治療を行う際、特別注意が必要なことがあります。
全身疾患についても注意が必要なことの一つです。
治療の際の臨床検査の意義としては以下のことが挙げられます。
①リスクの明確化
②リスクを反映した治療計画、治療精度の向上
③患者さんによる自己管理の徹底と維持→治療後の長期安定
④加齢、病的変化への対応
特に治療に対する安全性に加えて、治療後のリスクを軽減する意味でも、臨床検査とその共有が重要です。

全ての患者さんの術前スクリーニング的な検査として、
・血液、尿検査
・デンタル、パノラマX線写真撮影
・CTによる3次元的画像診断
があります。

さらに、一部の患者さんを対象として、
・骨代謝マーカー
・歯の喪失原因の検査:細菌検査、力学的検査
・アレルギー検査:パッチテスト
があります。

インプラント治療を行うにあたっては、血液検査、ヘモグロビンA1c(HbAic)が6.5%未満、
空腹時血糖值13m/L未満にコントロールされていることが必要です。
これは、インプラント手術時だけではなく、メインテナンス時も同様です。そのため、メインテナンス時、定期的に血液検査データのHbAic値を確認することが重
要となります。

ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白で、身体のすみずみまで酸素を運ぶ役割があります。
このヘモグロビン(血色素)とブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンですが、
グリコヘモグロビンについて、その1つのヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病と関係しています。
赤血球の寿命は約120日(4ヵ月)なので、すなわち、血糖値は血液検査時の全身状態を示しています
一方、HbAIC値は血液検査の日から1〜2ヵ月前の血糖の状態を示し、糖尿病の状態を知るのに重要な検査値です。

骨粗鬆症
骨粗鬆症による全身の骨量減少と歯槽骨吸収との関連性については不明ですが、
骨粗鬆症の既往をもつ場合には、顎骨の骨量減少も考慮してインプラント手術やメインテナンスを進めていく必要があります。

一方、骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート(BP)系薬剤の投与を受けている患者さんで、
抜歯などの外科的侵襲により、顎骨壊死、顎骨骨髄炎の発症が近年報告され、問題となっています。

BP系薬剤には注射剤と経口剤があり、注射剤で顎骨壊死、顎骨骨髄炎が多く報告されていますが、
経口剤においても同様な報告があるので注意が必要です。
BP系薬剤による、顎骨壊死、顎骨骨髄炎のリスクファクターとしては、外科的侵襲のある歯科治療(抜歯、インプラント手術など)や
不適合な義歯だけではなく、口腔の不衛生も報告されています。
そのため、インプラントのメインテナンスに際し、服用している薬剤などの十分な問診とその知識が必要です。

・精神神経症
医療面接が不可能な精神的疾患のある患者さんには、治療内容を十分に理解していただくことが困難なため、
インプラント治療は難しいと思われます。また、不定愁訴や異常に不安感がある患者においても、
メインテナンス時にインプラント周囲炎などの問題を生じる可能性があるため、歯科医師だけではなく、
歯科衛生士も慎重にインフォームド・コンセントを行う必要があります。

生活習慣
1.喫煙
喫煙は、インプラントの長期経過に大きな影響を与えるリスクファクターの1つです。
なぜなら、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質により、末梢血管障害や免疫障害を起こし、
インプラント周囲炎に影響を与えるからです。
そのため、インプラント治療を開始する際は、喫煙の有無、喫煙歴について問診し、禁煙指導が重要となります。

インプラント手術時においては、埋入されたインプラント部の骨結合不良や創部治癒不全などの
問題が起きないようにするため、禁煙を徹底させます。

一般的な手術時禁煙プロトコールは、インプラント手術に際して、喫煙者にインプラント手術前3週間、手術後8週間の禁煙を指示しています。
期間設定は、喫煙による頭蓋顔面での手術創傷治癒への影響についての研究結果がいくつか報告されているからです。
実際、喫煙者にとってこれだけの期間の禁煙は変難しいことですが、手術前後の禁煙が成ことで継続的に断煙できるようになり、
「インプラント手術をきっかけにタバコを止められた」
という患者も少なくありません。
しかし、手術に際して禁煙した患者でも、喫煙を再開してしまうこともあります。
歯科医師、歯科衛生士はメインテナンス時にも、禁煙(喫煙)状況を確認して、必要に応じて禁煙の再指導を行う必要があります。

当院でのインプラント治療における禁煙指導の流れとして、まず、喫煙がインプラント治療のリスクファクターであることを十分に説明します。
禁煙指導の際には、喫煙によるインプラントの予後への影響をデータで具体的に説明し、禁煙を促します。

また、製薬会社のホームページなども利用し、禁煙意識を高めることも1つの方法です。
具体的な禁煙の方法として、ニコチンガムやニコチンパッチなどの禁煙補助薬を用いた禁煙方法であるニコチン代替療法があげられます。

このように禁煙指導を行っても、インプラント治療中からメインテナンスの時期まで一貫して禁煙できない患者さんは、
大きなリスクがあると考えられます。
その場合、非喫煙者よりもインプラント周囲炎を起こす可能性が高いことを十分に説明し、理解してもらい、
リコール間隔を短くするなど、早期に炎症性変化を発見できるようにすることが重要です。

・ストレス
ストレスがインプラント治療に悪影響を及ぼす明らかな報告はありません。しかし、ストレスが歯周炎に何らかの影響を及ぼしていることは知られています。
とくに、ストレスが直接的および間接的に歯周組織に影響を与えていることが報告されています。
まず、直接的な要因としては、ストレスなど精神的な原因による顎の動きです。つまり、就寝時のブラキシズムなどの悪習癖は、
直接的に歯周組織、とくに歯槽骨に破壊的な影響を及ぼします。
インプラント周囲組織においても、同様な現象生じることが予想されます。
また、間接的な要因として、代表的なものをあげます。
1つ目は、ストレスにより副腎皮ホルモンの分泌が高まり、免疫応答として白血球の作用が減弱することで、
歯周組織の持つ抵抗力が低下することです。この現象は、インプラント周囲組織の血液供給量が、歯織と比較して少ないことを考えると、
インプラント周囲炎のリスクといえます。

インプラント周囲組織は歯周組織よりも不利な条件であることが容易に想像できます。
2つ目は、ストレスにより自律神経系の交感神経が優位となるため、血液循環量が低下し、唾液分泌量も低下することです。
このことから、口腔内の洗浄、抗菌作用が低下し、歯周炎およびインプラント周囲炎を生じる可能性があります。
以上のことから、ストレスがインプラント周囲組織に悪影響を与える可能性が高いことが想定されます。
私たち歯科医療従事者は、メインテナンス時にインプラント周囲炎や歯周炎の原因の一つとして、
これら精神的な原因もあることを忘れずに、的確な目で口腔内組織を診ることが重要です。

口腔内に発現する力により、歯や歯周組織、筋肉や関節にも良くない影響が生じることがあります。
私たちの社会にはさまざまな程度のストレスがあり、感受性は人それぞれです。
インプラント治療においても、あまりストレスが強く感じられる方にとっては、
リスクとなってしまいますので、あまり溜め込みすぎないよう、
上手にストレス管理ができると良いでしょう。
噛み締め、食いしばり対策として、私たちはメディセルの施術を行っています。
これは、誰でも無意識のうちに行っている、噛み締め、食いしばりの運動を
筋肉の緊張を緩めることで解消していく療法です。
治療の案内はこちらです。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

気になる口臭&歯周病が妊娠へ与える影響について

2024年2月7日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

お口の中で気になることといえば、
歯の色と口臭が挙げられます。常にネットの検索上位にあります。
今回は、口臭について先にお話しします。

気になる口臭、どこから来てる?
原因を胃腸の不調であると思われるかもしれませんが、口臭の原因は約9割がお口にあり、
特に歯周病は独特の嫌な臭いがします。
フリスクなどの強烈なミントもありますが、それば一時しのぎですので、
歯周病治療とセルフケアで改善したいですね。
なかなかご自身では気付きにくいですし、周りの人もデリケートな話題のため指摘しづらいです。

口臭には種類があります

プラーク、歯石がたくさんついていて、歯周病が進行している口腔内。


歯周病の独特の口臭があります。
この写真の口腔内のようだったら、歯周病など口の中の病気が原因の口臭が不快に感じられるようになります。
実は、口臭には他にも種類があります。
まず、健康な人でも生理的口臭があります。緊張したり、寝起きなどは唾液分泌量が少ないため少し臭いがありますが、
これはすぐに元に戻りますので気にすることはありません。

次に、食事によるものです。具体的にはニンニクやお酒などによるものです。
身体の病気が原因の口臭は、内臓の重篤な疾患によるものです。その病気によって発生した臭い物質が身体をめぐって呼気として出ていることになりますので、
口臭以前にその重篤な疾患に対しての治療が優先となります。

つまり、圧倒的に多いのは歯周病による口臭であり、それは治療とケアで改善可能です。
「しばらく歯石をとってないな」
「最近歯ブラシで血が出る」
といったことはありませんか?定期的に歯科受診し、口臭をスッキリさせましょう。

⚫️本当はコワイ、妊娠初期の歯周病
歯周病と早産・低体重児出産の関連性

◼️はじめに
 お口の中の疾患である歯周病が、糖尿病,肺炎。心臓の病気などに関連するかもしれないということは、最近知られてきています。しかし,お口から遠く離れた産婦人科領域の疾患,しかも妊娠に関連する病気にも影響する可能性があるということは、あまり知らない人が多いのではないでしょうか。
 その,歯周病と関係する産科領域の疾患として挙げられているのが早期低体重児出産です。

⚫️歯周病と関係するといわれている早期低体重児出産とは何でしょうか?
 早期低体重児出産とは、分娩時期より早い、妊娠22週以降37週未満で出産する“早産”と、2,500g未満の小さい赤ちゃんを出産する“低体重児出産”のことです。早産で産まれた赤ちゃんは、低体重児であることが多いとされています。その理由は、おなかの赤ちゃんの体重が2,500gまで成長するのは平均妊娠34週程度といわれているためです。
 日本では、厚生労働省の平成16年の人口動態調査から分かるように、低体重児の出生率年々のびてきています。これは医療技術の発達によるものだと思われます。以前なら助かる確率が低かった低体重児出産の赤ちゃんの多くが、現代の医療技術により救われていることは非常にすばらしいことです。しかし、低体重児出産の赤ちゃんは、おなかにいた期間が短いほど未熟性が強くなり、産まれた後に特別な管理が必要なことが多いとされています。また、成長していく過程においても、さまざまな疾患に対するリスクが高いこともいわれています。
そのため、できるだけ長くおなかの中で育てることが、赤ちゃんにとって望ましいことだと思われます。
 早産・低体重児出産の原因は、頸管無力症,絨毛羊膜炎、妊娠中毒症などの疾患が挙げられています。また、危険因子としては、年齢,喫煙、アルコール、ドラッグ、人種,早産の既往等があります。しかし、これらの疾患や危険因子が全く見あたらない、原因不明の妊婦さんも数多く存在します。

⚫️歯周病と早期低体重児の関連性に関する報告
▪️歯周病の治療が早期低体重児出産の防止に効果がある!!
 2002年以降には、歯周病の治療をすることで早産・低体重児出産が少なくなったという報告がいくつか存在します。
 最新のものでは、2005年に Lopezらが、870名の妊婦さんを対象に、妊娠中に歯周病治療を行ったグループ(553名)と行わなかったグループ(281名)それぞれで、早産,低体重児出産、早期低体重児出産の発現率を調べました。その結果、歯周病治療を行わなかったグループと比較し、行ったグループでは、早産,低体重児出産、早期低体重児出産の発現率が、早産では5.65%から1.42%へ(p=0.001),低体重児出産では1.15%から0.71%へ(p=0.79),早期低体重児出産では6.71から2.14%へ(p=0.002)と減少したことが示されました。
 これらの報告により,歯周病が早期低体重児出産に大きく関わることだけではなく、歯周病の治療が出産によい効果をもたらす可能性も示されました。

妊産婦さんが歯周病にかかっていると、歯周病でない妊産婦さんの7.5倍〜7.9倍もの確率で早期、低体重児出産が起こる危険率は、上がるという報告がありました。
 炎症物質が子宮に到達すると、刺激を受けて子宮が出産予定日より前に子宮収縮を引き起こし早産、低体重児出産になると言われています。
これまで歯周病と早期低体重児出産との関連性に関して過去に発表された論文等を詳しくみてきました。そこからも分かるように、日本におけるその関連性はまだ確立されているわけではありません。しかし、最近の世界各国からの報告では、歯周病は早産に対しては2.3倍,早期低体重児出産に対しては、5.3倍の危険率があることが明らかにされました。このことからも、歯周病が早期低体重児出産に関連している可能性はあるとわれわれは考えています。
 妊娠・出産は、女性にとって人生の大きなイベントの1つです。母子ともに健康な状態で出産を終えることは、母親だけでなくその家族、地域社会の願いでもあります。そのため、妊婦さんは少しでも異常妊娠,異常出産の危険性を減らしたいと思っているはずです。歯周病は予防可能な、そして妊娠中も治療可能な病気です。実際、外国からの報告でも歯周治療が出産によい効果を与える可能性も示されています。
 しかし、残念なことにこのような歯周病と早期低体重児出産の関連性に関しては、歯科医療従事者の間でもよく知られていないのが現状です。今後は、歯周病が早期低体重児出産の危険因子となりうる可能性を、多くの妊婦さんに伝えていくことはもちろんのこと、歯科医療従事者、医療従事者、行政にも知ってもらうことが大切になってくるのではないでしょうか。
 妊婦さんのお口の状態を良くすることは、母親本人だけでなく,生まれてくる子供、社会の口腔内健康状態の向上につながる可能性があります。その意味でも、将来,より多くの報告により、歯周病と早期体重児出産の関連性が確立され、広く知られるようになることが望まれます。
 
●妊産婦の口腔ケアの重要性について
 妊娠すれば、タバコやアルコール、夜更かしなどの悪習慣を改め、食事にも気を配るなど、誰でも良い親になろうと努力します。妊娠そして育児期は健康に対するモチベーションが非常に高まる時期であり、自分自身のこれまでの生活や食習慣を改善することができる絶好の時期であるといえます。妊娠を契機として、母親が歯科をはじめ各種疾病に関する正しい予防知識と好ましい健康観を獲得することができれば,自分自身のみならず、生まれ来る子どもや家族の生涯にわたる健康と幸せづくりに繋がることが期待できるのです。

肺炎と口腔内の清掃の関係とは?

2024年2月7日

口腔の健康は Air Way からみてもこんなに重要です
歯周病と誤嚥性肺炎
⚫️高齢者の健康を脅かす肺炎
 国の統計資料によると肺炎は日本人における死因の第4位です。そして肺炎の発症率は加齢とともに増加し、肺炎で死亡する人の大部分は65歳以上の高齢者であり、年々増加傾向にあります。また、肺炎のために入院を余儀なくされ、長期の安静臥床を続ける間に廃用症候群が進行し、さまざまな合併症を引き起こし、結果的に要介護状態となる危険もはらんでいます。同時に、病院や施設入所患者の直接の死因としても頻度が高く、障害者や衰弱者の合併症として大きな危険性があります。すなわち、肺炎は高齢者の罹病率や死亡率を上昇させ、医療費や介護費用を増大させる原因の大きな要因であるといえます。したがって、肺炎の予防はわが国の医療・福祉行政の上で大きな課題です。
 高齢者の肺炎の重症化や肺炎による死亡の原因には、心不全,肺疾患,腎不全,糖尿病等の基礎疾患の存在とともに、繰り返す誤照(誤って食塊や唾液が喉頭、肺に流入してしまうこと)が挙げられます。肺炎を発症した高齢者の多くは、嚥下反射(食塊や唾液を嚥下する能力)や咳反射(気道に誤って流入(誤嚥)した食塊や唾液を排除する能力)が潜在的に低下しており、食事のときにむせこんだり、食べ物が喉につかえたりするという症状がなくとも、夜間睡眠中に唾液を下気道や肺に不顕性に誤嚥(むせこみや咳がみられない誤嚥)していることがわかっています。日頃は不顕性誤嚥を繰り返して肺炎にならない人でも、全身状態の悪化や風邪や気管支炎等の呼吸器感染を起こしたとき、あるいは口腔疾患等で口腔内の細菌が増えたときには肺炎を発症します。肺炎になると。栄養や免疫機能がさらに低下し,繰り返す不顕性誤嚥ために肺炎が反復,重症化し,ついには死にいたることも稀ではありません。

⚫️口腔ケアは認知機能に影響を与える
 研究より、誤無性肺炎を予防する以外にも口腔ケアは身体的,精神的活動の維持や改善をもたらす効果が示されました。とくに認知機能を表す指標(痴呆の進行度を示す)である MMS(Mini mental State Examination)について口腔ケアグループにおいてその低下が有意に抑制されました。実際、現場では、口腔ケアを始めてから施設利用者の顔が目にみえて明るくなったという数多くの朗報を得ています。また、日常の生活リズムの中で敏感な口腔を注意深くケアすることによって、固く閉ざされた心が開く可能性があります。誤嚥性肺炎の背景には全身の抵抗力の低下がありますが、口腔ケアによってこの抵抗性の低下につながる落ち込みなどを予防できる可能性もあり、将来,精神・神経的な疾病や障害に対して口腔ケアは有効な手段の一つになる可能性があります。

歯の欠損、噛めないことも認知症につながる
口腔内に歯の欠損があり、放置されているような場合、咀嚼障害が徐々に起こります。口腔内の環境を悪化させないように、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの欠損補綴治療があります。これらは、欠損歯列による障害を予防する意味合いも大きいです。
欠損がある場合、多くの患者さんは、今のお口の状況が一番悪いと思われています。適切でない治療や欠損の放置により、噛み合わせが崩壊していくと、全身のバランスが取れなくなる、栄養状態が悪化し虚弱になる悪循環に陥ってしまいます。


歯の欠損が進むと、顎に一本も歯がない状態、無歯顎となります。上顎が無歯顎となった方のパノラマX線写真。


歯茎だけの上顎。


年季の入った総義歯。噛みあとがついています。その方の噛みかた、かむ力、生活習慣などにより摩耗の程度は異なります。


慣れておられる義歯で、食事を工夫して摂取されておられるようです。義歯に向いている食品、そうでない食品があります。
食品アンケートによる咀嚼能力難易度検査もあります。これは、朝倉の分類から抽出した4種類、ゆで卵、茹でた千切りキャベツ1口サイズ、ロングパスタ1口サイズ、スライスハムです。摂食してから嚥下するまでの所要時間を計測し、各食品を片咀嚼してもらい計測するという内容です。
特別な器具を必要とせず、良いのですが、ご家族の協力が不可欠であり、万能というわけではありませんが、咀嚼の評価をする一つの指標として参考になります。

⚫️ブラッシングはこの嚥下反射に影響を与える
 ブラッシング(毎食後に歯・歯肉・歯と歯肉の間を1箇所あたり10回ずつ)、そのものが口腔内の知覚神経を刺激し、嚥下反射や咳反射を惹起することで(神経伝達物質であるサブスタンスPの関与の可能性),摂食・臙下機能の訓練としての効果をもたらし、嚥下機能を改善させて結果として ADL(日常生活動作、日常的な生活動作と活動性をあらわす指標)を向上させることが実証されたといえます。
 
⚫️低栄養・脱水の予防と肺炎予防
 加齢にともなう摂食・嚥下機能の低下に加えて、肺炎を起こした高齢者では、無症候性脳梗塞を生じており、燃下反射にや咳反射の低下を生じており、食事摂取に際して不利な状況です。
 栄養状態不良者に対して、栄養を付加する群と、栄養付加に加えて口腔清掃(口腔ケア)を併せて行う群を比較したところ、4カ月後には、口腔清掃を併せて行う群の方で血清アルブミン値が上昇し、栄養状態が改善したことが認められました。口腔清掃による肺炎の予防効果や前述の嚥下機能や味覚機能の向上により、食物摂取量が増加し、栄養状態が改善したものと考えられます。

▪️…おわりに…
健やかな人生のために歯周病の予防と肺炎の予防

 健康に生活している時は誰も口腔の大切さに気づきませんが、いったん病床の身になり全身の抵抗力が低下し、口腔の清掃ができない。あるいは口腔ケアがほとんど受けられない状況になると、細菌で満たされた口腔が呼吸器の入り口であるということが無視できなくなります。つまり、生死に関係することすらあるのです。とくに高齢者の場合、劣悪な口腔衛生状態、進行した歯周病、呼吸器の機能低下、摂食・嚥下機能の低下、感染に対する抵抗力,ADL低下の観点から、呼吸器の入り口としての口腔に目が向けられないことは重大な結果を引き起こす可能性があります。一方、口から食物を摂取できない高齢者が急激に増えていますが、口からの摂取が制限されたその日から、全身の活力が低下していくケースにたびたび遭遇します。これは、口から食べられなくなり、口腔の廃用性の変化によって全身の代謝のメカニズムがペースダウンしてしまった上に、精神的なダメージが大きく影響するためと思われます。このように、口腔と肉体的,精神的健康は密接に関係するといっても過言ではありません。
 気道感染のひとつである誤嚥性肺炎の予防には、
① 感染源ともいえる口腔咽頭細菌叢の除去(コントロール)
② 感染経路対策としての嚥下反射,咳嗽反射の改善
③ 感受性宿主対策として栄養改善による免疫能の改善
④ 潜在化している摂食・無下機能の障害の早期発
などが必要です。そして,何より、誤嚥性肺炎の原因と目される歯周ポケット内の細菌のコントロールは、非常に重要になってきます。口腔内の衛生状態を良好に雑持するとともに、口腔機能の要となる歯を喪失しないようにする歯周病対策は、肺炎予防の基本でもあるのです。

歯周病と心疾患について

2024年1月24日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

歯周病は多くの方が感染している病気です。
今回は他の病気との関連についてのお話です。


歯周病の患者さんの口腔内写真。

歯を支えている顎の骨の吸収が進んでいます。

歯周病と心臓病の関連について
 歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなります。この歯周ポケットの中で細菌群が歯肉組織に侵入し、生体はこれを異物、抗原と認識して、炎症・免疫応答が起こります。この際,炎症性組織となっている歯肉には豊富な新生血管があり、そこから歯周病関連細菌、細菌産生物、あるいは生体側で産生されるサイトカインと呼ばれる炎症性物質が血管内に入り込んでいき、血液を介して全身の臓器に運ばれ、さまざまな悪影響をもたらすことが考えられます。
 
歯周病と心臓病との関連性に関する疫学的調査により、歯周病に罹患している人は、心臓病に罹患する人、あるいはそれが原因で命を亡くされる人が多いという報告がある一方、両者の間には関連性がないという報告もあり、現段階ではまだはっきりと断定はできません。それでも近年,基礎研究領域では,歯周病から心臓病に影響を与える因子、経路に関する研究結果がいろいろ報告されるようになってきました。

①そもそも心臓病って?
 心臓病とは、心臓に発症する疾患の総称で心疾患とも呼ばれており、虚血性心疾患、心内膜炎,心筋炎、心臓弁膜症、心膜炎が主だったものです。
 厚生労働省の死因順位別死亡数の年次推移
2004年(平成16年)度死因順位推定値
第1位 男女ともに悪性新生物
第2位は心疾患
第3位は脳血管疾患であす。
 さらに、心臓病で死亡する人は毎年約15万人を超えており、徐々に増加する傾向にあります。虚血性心疾患とは、心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を運んでいる血管(冠状動脈)に動脈硬化が起こり、血流が悪くなって起こる疾患で、代表的なものに狭心症と心筋梗塞があります。

②虚血性心疾患の原因
 虚血性心疾患は、血管の動脈硬化が元になって発症します。この疾患は、アテローム(粥腫)性動脈硬化症,中膜硬化症(メンケベルグ型動脈硬化),細動脈硬化症に分類されますが、虚血性心疾患の原因としては、大,中等大の動脈に多発するアテローム性動脈硬化症が主体となっていると考えられます。
 一般にアテローム性動脈硬化症は、長年にわたる不適切な食生活や運動不足,ストレスなどの生活習慣が大きく関わる生活習慣病です。多くの欧米諸国で死因の第1位が心臓病であることを考えると、日本人も食生活をはじめライフスタイルが欧米化し、その結果として、心臓病患者が増加したと考えられます。最近では高齢者ばかりでなく、30,40歳台でも虚血性心疾患に罹患する人が増えており、20歳台の男性でも動脈硬化が増加しています。
 近年では内臓脂肪蓄積が出発点となって、肥満、糖尿病,高脂血症,高血圧が相互に関係して悪化することが明らかとなり、メタボリックシンドロームという名称で国際的にも非常に注目されています。これらの疾患は、どれもがアテローム性動脈硬化症のリスクファクターですが、これらのうち2つ併せ持つ人は、まったく持たない人に比べ、心臓病の発症リスクが10倍近くに、3~4つ併せ持つ人では、31倍にもなることが報告されており、脂肪細胞の機能の解明,なかでもアディポサイトカインの研究から、各病気の間の機序についていろいろなことがわかってきています。

③アテローム性動脈硬化症と炎症
 アテローム性動脈硬化症は炎症性疾患であるといえます。この過程が進行してアテロームが増大すると血管内腔は狭くなり、狭心症の状態になります。さらに、Tリンパ球や炎症性物質は、血管内皮の傷害、透過性の亢進,血栓の形成,内膜の肥厚をきたし,完全冠状動脈が閉塞して心筋梗塞となります。
 以上のような、傷害反応説は、マクロファージが活性化することから、炎症性疾患として歯周病の病因とも重複する部分が多く、部位は離れていますが、血流に乗って影響を及ぼしていることが推察されます。

④歯周病が心臓に影響する可能性としての機序
1.細菌あるいは細菌産生物による直接作用
 歯周病関連細菌のPorphyromonas gingivalis (Pg)が、アテローム性動脈硬化症に特異的な病原微生物として挙げられています。さらに、その他の歯周病関連細菌(Bacteroides forsythus, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Prevotella intermedia)もアテローム中から検出されています。また,グラム陰性細菌の細胞壁構成成分のLPSは、直接血管内皮細胞を傷害すると同時に、炎症性サイトカインの産生を高めることにより、間接的に血管内皮細胞に作用すると考えられています。

2. 歯周病局所で産生された炎症性サイトカインによる直接作用

3. 歯周病局所の炎症性因子刺激により産生される急性期蛋白による間接作用
 敗血症等の急性炎症において、主として肝臓でC反応性タンパク(CRP),フィブリノーゲン、血清アミロイドAタンパク(SAA)等の急性期蛋白が産生されます。これらのタンパクは本来,抗炎症効果のために産生されますが、慢性的で持続的な炎症性刺激が加わると、炎症を助長する作用があります。すなわち、CRP は炎症局所へ移行し、炎症性サイトカインの誘導、補体の活性化により二次的な損傷を誘導します。フィブリノーゲンやフィブリンは、ヒト単球と結合して、サイトカインの発現を誘導します。また,SAAは脂質代謝産物との相互作用によりアテロームへの脂質の沈着を促進します。
 これらの急性期タンパクの増加は、心筋梗塞や心臓関連死と関連することが報告されていると同時に、歯周病や歯周病関連細菌とも関連のあることが確認されています。

4. 熱ショックタンパク
 熱ショックタンパク(heat shock protein: Hsp)は、環境、および代謝ストレスに反応して細胞内で産生されるタンパクです。その中で、Hsp60ファミリーは熱や炎症などの刺激でその発現が増強されます。このタンパクは、種を超えてアミノ酸配列の相同性が高いと同時に、免疫原性も高いという特徴をもちます。酸化低比重りポ蛋白、LPS,炎症性サイトカインは、血管内皮細胞のHsp60発現を増強します。歯周病関連細菌に感染して、体内に細菌由来のHSp60抗体が産生されますと、交叉反応性により,前述の血管内皮細胞に発現しているヒトHSP60と結合してしまいます。そして、このような抗原抗体反応が成立すると、血管内皮細胞の傷害,マクロファージ、T細胞の活性化が起こりその結果産生される炎症性サイトカインにより、さらに炎症が進展するという悪循環に陥ることが報告されています。実際、歯周病をもつ患者さんの血清中には高レベルのPgのHSP60抗体が検出されたという報告があります。

5.遺伝子多型
 一部の遺伝子が変異した遺伝子多型は,産生される分子の発現量や形に影響を与えることがあり、組胞の応答性を規定する可能性があります。たとえば、IL-1は歯周病および冠状動脈疾患の両疾患で、その病因に関与していますが、IL-1遺伝子群の多型性は、重度の歯周炎やアテロームとの関連性が示唆されています。このため、炎症に関連する因子の遺伝子多型が、歯周病と心臓血管疾患を結びつける生物学的背景である可能性があります。
 
まとめ
 歯周病と心臓病との関連性が示唆される報告についてその機序を中心に述べましたが、確実にその因果関係が証明されたものはありません。しかしながら、病態から想定されたメタボリックシンドロームの疾患概念が、脂肪細胞の肥大化によるアディポサイトカインを通して解明されつつあり、炎症反応を中心として解明されてきたアテローム性動脈硬化症との共通項が見つかりそうな雰囲気です。さらに心臓病は歯周病の病態とも共通項があり、これらの絡み合った経路を一つ一つ解きほぐしながら、病態の本質が解明され、治療法に至る研究が発展していくことが期待されます。

インプラントのメンテナンス

2023年12月31日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

インプラント治療に関して、メンテナンスを気にされている患者さんは多いと思います。
実際、診療室でもよく質問があります。
インプラントは全て人工物ですから、虫歯は関係ないわけですが、
周りの歯茎は天然歯にも、インプラントにもあります。
多くのインプラント症例では、天然歯とインプラントが混在している状況ですので、
それぞれの成り立ちと、どのような違いがあるのかをみてみましょう。

インプラント周囲組織と歯周組織
まず、異なる点として
・天然歯は自己、インプラントは非自己
・インプラント周囲組織は非自己である物体との間で代謝を繰り返している
ということです。
そして、インプラント周囲組織には、次のような大きな特徴があります。
①結合組織中のコラーゲン含有量が多く、線維芽細胞の量が少ない。
歯科インプラントは、ある意味特殊な環境にあります。顎の骨に植立された非自己であるインプラントが、
骨膜、粘膜を貫通して口腔内に突出しています。口腔内の粘膜に、骨まで達する傷口を存在させているのです。
ちょうど、傷口が治っている瘢痕組織というのですが、傷が治る硬い組織の状態です。
瘢痕組織の状態であるインプラント周囲組織は、コラーゲン含有量が多く、線維芽細胞の量が少ないのです。
また、インプラント周囲粘膜上皮の増殖力は、天然歯の付着上皮と比較すると数分の1程度であり、
天然歯の周囲粘膜よりも代謝が劣っていることが考えられます。
一旦、周囲に炎症が生じたら、天然歯と比較して治りがよくないと言えます。

②血液供給量が少ない。
天然歯においては、歯槽突起側方の骨膜上血管、歯根膜の血管の2方向から血液供給があります。
しかし、インプラント周囲組織においては、骨からの血液供給のみです。なぜならインプラントには歯根膜がないからです。
したがって、歯周組織と比較すると、インプラント周囲組織の血流は少ないため、
血液の免疫作用及び再生能力が不十分になりやすいです。
この点でも、周囲に炎症が生じたら、治りがよくないことが考えられます。

③コラーゲン繊維の走行。
天然歯ではコラーゲン繊維の走行は歯根に対して垂直及び平行になっています。
インプラント周囲においては、コラーゲン繊維は骨から垂直に存在し、
インプラントと平行に走行しています。
そのため、インプラント周囲粘膜は、外からの侵襲に対し防御機能が低いことが考えられます。

これらのことから、インプラントのメンテナンスにおいては、
早期に炎症の変化を見つけることが重要であります。

全身的なリスクファクター
口腔内だけでなく、生活習慣や全身疾患を把握しておくのが重要です。
医科歯科連携をとること、患者さんに対しても、定期的な血液検査などを確認しておきます。
全身的因子には以下のようなことが挙げられます。
①虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
②血液異常(高血圧など)
これらは、インプラントの動的治療中のリスクでもあります。インプラント埋入手術、2次手術は外科処置ですので、
循環器系疾患がしっかりコントロールされていることが必須です。内服している薬の情報も重要です。
とくにワーファリンなどのワーファリンなどの抗血栓薬を服用されている場合、主治医の先生と事前に連携して臨みます。
近年では、 PT-INR値を検査し、抗凝固薬の服用量を調整することにより、
歯科での口腔外科処置、インプラント手術においても、
特に休薬することなく治療を進めることが主流です。

✴︎PT-INR:プロトロンビン時間
以前は、抗凝固薬の作用を検査する項目として、PT、APTTが広く使用されていました。
これらの検査値は、検査時に使用する試薬などにより値が大きく異なるため、
施設により検査値にばらつきが生じ、正確な診断に役立てることができませんでした。
これらのデータを国際標準比とすることにより、各施設共通の共通の値となり
現在では正確な診断ができるようになりました。

もちろん、手術の止血は注意して行います。

③糖尿病
糖尿病により末梢血管の循環障害、免疫系の機能障害により、
インプラント手術後の治癒不全、感染、インプラント周囲炎への影響が考えられます。
インプラント治療を行うにあたっては、血液検査で重要となる項目として、
HbA1cが6.5%未満、空腹時血糖值13m/L未満にコントロールされていることが必要です。
これは、インプラント手術時だけではなく、メインテナンス時も同様です。

ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白で、
身体のすみずみまで酸素を運ぶ役割があります。
このヘモグロビン(血色素)とブドウ糖が結合ものがグリコヘモグロビンですが、
グリコヘモグロビンにいて、その1つのヘモグロビンA1c(HbA1c)は、
糖尿病と密接な関係があります。
赤血球の寿命は約120日(4ヵ月)なので、血液中のHbA1c値は、
赤血球の寿命の半分くらいにあたる時期の血糖値の平均を反映しています。
すなわち、血糖値は血液検査時の全身状態を示しているのに対して、
HbAIC値は血液検査の日から1〜2ヵ月前の血糖の状態を推定できる
ので、糖尿病の状態を知るのに重要な検査値です。

3)骨粗鬆症
骨粗鬆症による全身の骨量減少と歯槽骨吸収との関連性については不明ですが、
骨粗鬆症の既往をもつ場合には、顎骨の骨量減少も考慮してインプラント手術やメインテナンスを進めていく必要があります。
一方、骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート(BP)系薬剤の投与を受けている患者で、
抜歯などの外科的侵襲により、顎骨壊死、顎骨骨髄炎の発症が近年報告され、問題となっています。

BP系薬剤には注射剤と経口剤があり、注射剤で顎骨壊死、顎骨骨髄炎が多く報告されていますが、
経口剤においても同様な報告があるので注意が必要です。
BP系薬剤による、顎骨壊死、顎骨骨髄炎のリスクファクターとしては、
外科的侵襲のある歯科治療(抜歯、インプラント手術など)や不適合な義歯だけではなく、
口腔の不衛生も報告されています。

4)精神神経症
医療面接が不可能な精神的疾患のある患者には、治療内容を十分に理解していただくことが困難なため、
インプラント治療は難しいと思われます。
また、不定愁訴や異常に不安感がある患者においても、同様です。


生活習慣

1.喫煙
喫煙は、インプラントの長期経過に大きな影響を与えるリスクファクターの1つです。
なぜなら、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質により、末梢血管障害や免疫障害を起こし、
インプラント周囲炎に影響を与えるからです。
そのため、インプラント治療を開始する際は、喫煙の有無、喫煙歴について問診し、禁煙指導が重要となります。

インプラント手術時においては、埋入されたインプラント部の骨結合不良や創部治癒不全などの
問題が起きないようにするため、禁煙を徹底する必要があります。

インプラント手術に際して、喫煙者にインプラント手術前3週間、手術後8週間の禁煙というやり方があります。
期間設定は、喫煙による頭蓋顔面での手術創傷治癒への影響についての研究結果がいくつか報告されているからです。

ただ、喫煙者にとってこれだけの期間の禁煙は難しいでしょう。
笑い話のようですが、
診療室で「〇〇さん、今回の手術後にタバコを吸うと、
骨を作ったところがうまく治らず、台無しになってしまいますので、
タバコはNGですよ」
とお話しした直後、クリニックの帰り道にタバコを吸っている患者さんをみてしまった
というエピソードを聞いたことがあります。

私自身の経験では、3年間喫煙歴がありましたが、ある時、「禁煙セラピー」と言う本を読んで、
ピタッとやめることができました。
何かきっかけがあれば禁煙の成功が期待できます。
ニコチンガムやニコチンパッチを使用している方で、
上手く行った人も、そうでない人も両方見てきました。

このように禁煙指導を行っても、インプラント治療中からメインテナンスの時期まで一貫して禁煙できない患者は、
大きなリスクがあります。
その場合、非喫煙者よりもインプラント周囲炎を起こす可能性が高いことを十分に説明し、理解してもらい、
リコール間隔を短くするなど、早期に炎症性変化を発見できるようにすることが重要です。

2.ストレス
ストレスがインプラント治療に悪影響を及ぼす明らかな報告はありません。
しかし、ストレスが歯周炎に何らかの影響を及ぼしていることは知られています。
まず、直接的な要因としては、ストレスなど精神的な原因による顎の動きです。
所謂、食いしばり、歯軋りの増加です。
歯槽骨に破壊的な影響を及ぼします。

2つ目は、ストレスにより自律神経系の交感神経が優位となるため、血液循環量が低下し、
唾液分泌量も低下することです。
このことから、口腔内の洗浄、抗菌作用が低下し、歯周炎およびインプラント周囲炎を生じる可能性があります。

歯周病の原因、生活習慣

2023年12月31日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は歯周病の原因についてのお話です。

歯周病の原因って?

歯周病は歯肉に炎症が起こることから始まります。
歯肉に炎症が起こると,歯肉が赤くなったり,腫れたり出血したりします。

では,何が原因で炎症が起こるのでしょうか?
それは歯の表面に付いた細菌の集団によるものです。

この細菌の集団のことをブラークと呼びます。
このブラークは歯の表面にしっかりとしがみついていて,うがいなどでは決して落ちることがありません。
ですから,ブラークはいわゆる食べ物のカスなどとは全く違うものです。

これらプラーク中の細菌が出すさまざまな物質によって歯肉に炎症が起きるのです。
このことは,実験的にも証明されており,歯磨きを中止して口の中にブラークが増えると,
歯肉に炎症がみられるようになり,歯座きを再開すると,炎症はひいていきます。

歯石が歯周病の原因ではないかと認識されている方もいらっしゃいます。
歯石を定期的に除去しているのに,いっこうに歯周病が改善しないこともあります。
実は歯石はプラークが石灰化(石のように固くなる)したもので,
歯肉に炎症を引き起こす病原性はプラークよりずっと低く,歯や歯根の表面がざらつき不整になるために,
プラーク付着因子(プラークが歯や歯根の表面につきやすくなること)として考えられています。
歯石は軽石のような質感で、プラークが付着しやすいです。
歯石自体に毒性はありません。
したがって,いくら歯石を除去してもプラークが付着する環境では,歯肉の炎症が改善しません。
プラーク以外にも噛み合わせ,歯ぎしりに代表される習癖、全身疾患など,原因とされるものは他にも多くありますが,
それら単独では歯周病は発症することはなく,プラークが最大の原因であります。

歯周病は生活習慣病?
歯周病の主たる原因は,口の中のプラークつまり細菌であるとご説明しました。
細菌が原因であると聞くと,風邪と同じ外からやってくる感染性の病気のように思われるかもしれませんが,
歯周病は,高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症と同じ”生活習慣病”とされています。
生活習慣病とは普段の生活習慣により体の健康に歪みが生じて発症する病気です。

プラークが一番の原因ですが,その細菌は健康な方の口の中にも存在していますし,
個々の食生活やブラッシング習慣、個人の感染に対する抵抗力により大きく異なります。
口の中のプラークが歯周組織を破壊するかどうかは,その人の生活習慣によっても大きく異なっています。

生活習慣病は以前「成人病」とも言われていましたが,厚生労働省は呼び方が正確でないということで,
1996年に生活習慣病と呼び換えました。
生活習慣病の大きな特徴は,生活習慣の歪みを是正することにより,その発症を予防できるということです。

言い換えると生活習慣病は,生活習慣を改善せずして医者や歯医者に通うだけでは決して治らない,ということです。
糖尿病の改善に食事療法や運動療法が非常に重要であることはよく知られています。
また,生活習慣病の多くがサイレントディジーズ(静かな病気)と言われ,普段はほとんど症状もなく進んでいく病気であることがその特徴です。

歯周病の多くは普段からのブラッシングにより予防可能ですし,歯周病の検査はお近くの歯医者さんでできます。
残念ながらすでに歯周病と言われてしまった方は,普段の食生活と特にブラッシング習慣について見直しと改善が必要で,
それが一番の治療となります.

歯石除去の器具
この改善の指導とチェックは,歯周病専門医や一般の歯科医師や歯科衛生士が行います。

歯周治療の実際
では,歯周治療はどのように進められるかを簡単に解説したいと思います。
まず,すべての歯と歯肉の間にできた隙間(歯周ポケット)の深さと歯周組織の炎症の状態や破壊の程度を調べる検査を行います。
実は病名としては歯周病とひとことでまとめられますが,その程度の差によって治療の方法,難易度,予後の予測が大きく異なります。
したがって,ここでいう検査は特に歯周病の程度を把握するスクリーニングの意味があります。

軽度な場合、生活の改善と原因となるプラークを除去するためのプラークコントロール(ブラッシング習慣や方法の改善)で
ほぼ正常な歯周組織にもどすことが可能です。

中程度進行した歯周炎ではプラークコントロールしたのち,歯周ポケット内のプラークと歯石除去を行います。
歯石は,表面がざらざらしておりプラークが付きやすいため,通常は手用スケーラーまたは超音波スケーラーと呼ばれる歯石除
去のための専用器具で,機械的に除去します。
さらに歯石を除去後,プラークで汚染された歯根の一層を除去し,平滑にして歯肉に対して物理的な刺激をなくすことで,
歯肉の炎症を抑えます.こうした一連の器具操作をスケーリング・ルートプレーニングと呼びます。

歯石が歯の根の表面に多量に付着している状態。

歯周病が進行したケースでは,この歯石除去に時間をかけ,徹底して行います。
しかし,歯石のついている部位によっては,徹底した除去が困難な場合もあります。
そうしたケースや高度に進行した歯周炎の部位に対しては歯周外科や内科的な除菌を行います。

以上が歯周治療の流れですが,歯周病の治療がおおよそ終了しても再発しないよう,
ブラッシングという生活習慣を定期的にチェックし管理していくメインテナンスを継続することが,
歯周組織の健康を長期にわたり保つために重要となります。

全身疾患と歯周病について
歯周病の原因がプラークであることをお話ししましたが,
実際はプラークが歯に多量に付着していてもさほど歯周病が進行していない場合や,
逆にプラークは肉眼的に非常に少ないのに歯周病が進行している患者さんにしばしば遭遇します。
生体の抵抗性や感受性などが影響し,
さらに,遺伝的因子や環境因子などが関与していると考えられています。

現在のところ,最も調査や研究が進み,歯周病に関与する危険因子と言われているのは,喫煙と糖尿病の2つです。
喫煙と糖尿病は歯周病の発症や進行に関与しますが、その逆に,歯周病が糖尿病の悪化に関与することは考えられないか? と想定されます。

そこで,双方の影響を調べる大規模な研究がアメリカで行われました。
その結果,全身疾患(冠動脈疾患,呼吸器疾患,糖尿病,早産や低体重児出産,骨粗鬆症など)が歯周組織の健康や歯周病
に影響を及ぼすことはもちろんですが,歯周病がこれら全身の健康状態に強い影響を与えていることが報告されました。

歯周病と糖尿病の関連のメカニズム

糖尿病の合併症の一つである微小循環障害による歯周組織の創傷治癒遅延や、血糖値の上昇に伴うコラーゲンの代謝能力の低下、
歯根膜線維芽細胞の組織修復能力の低下などが考えられていました。
1990年代後半からは、コラーゲンを含めてタンパク質が非酵素的に糖化反応を繰り返すことで作られるAGEという物質の関与が
提唱されました。

糖尿病患者への歯周病治療
歯科治療上、重要なことは、糖尿病の血糖コントロール状態や、使用薬剤、合併症の有無などを
医科歯科連携をしっかりとり、情報共有することです。

糖尿病の血糖コントロールが良好であれば、歯周病治療にも良い反応が得られると考えられます。
逆に不良な場合、歯周病治療のみを頑張って続けていったとしても、
歯周病の悪化や再発やしやすいことがわかっています。
また、重度の歯周病の方は、インスリン抵抗性が悪化します。
つまり、血糖コントロールが不良な場合は、先に内科的な治療が優先されます。
なぜなら積極的な歯周治療が不可能であるからです。
プラークコントロールは、いつでもスタート可能ですので、
非外科的なアプローチを取りつつ、患者さんご自身でしっかりプラークコントロールができるよう、
歯科医院でサポートをしていくことが重要です。

糖尿病と歯周病

2023年12月30日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

ドラッグストアに行くと、様々な種類の歯ブラシやペーストが売られていますね。
歯磨きは、全ての人にとってとても関心がある生活習慣と言えます。
歯磨きをするとさっぱりしますし、口臭抑制などのエチケットも大事です。
虫歯や歯周病で歯を失わないように、日頃のケアをするわけです。

何回かに分けて、歯周病の詳しいお話を投稿しようと思います。
歯石がついている状態を含めると、成人の半分以上の人が歯周病を有しています。
40歳以上の人が歯を失う原因の約80%が、歯周病と言われています。
正しく病気を理解する必要がありますね。
今回は、糖尿病と歯周病の関連についてお話しします。

糖尿病の患者数は、年齢を重なると男女ともに割合が高くなることが
調査でわかっています。

国民健康・栄養調査によると
『糖尿病患者の年齢別の割合』は
次のようになっています。

『男性』

・30~39歳:1.3%
・40~49歳:3.8%
・50~59歳:12.6%
・60~69歳:21.8%
・70歳以上:23.2%

『女性』

・30~39歳:0.7%
・40~49歳:1.8%
・50~59歳:6.1%
・60~69歳:12.0%
・70歳以上:16.8%

さらに、要介護認定者の割合は、以下のとおりです。
・40~64歳:0.4%
・65~69歳:2.9%
・70~74歳:5.8%
・75~79歳:12.7%
・80~84歳:26.4%
・85歳以上:59.8%

つまり、男女ともに
歳をとるほど
・糖尿病になりやすく
・介護が必要となる
ということです。

糖尿病になると口の中が乾きやすくなり、
唾液の分泌量も減り、口の中が汚れやすくなります。

さらに免疫力も低下するため歯周病になりやすく、
なおかつ治りにくいことがわかっています。

「糖尿病になっている方の7~8割が
 歯周炎などにかかっている」
とも言われています。

要介護ともなれば、歯周病の治療を受けたくても受けられないという困ったことになります。

厚生労働省が最近行った糖尿病実態調査から,日本人の糖尿病患者は現在740万人,さらその予備軍が880万人いるとされ,
成人の5〜6人に1人が糖尿病あるいはその予備軍であることが明らかとなりました。

糖尿病の中でも大部分を占める2型糖尿病(全糖尿病患者の90%を占める)は,
インスリンの分泌低下にインスリン抵抗性が加わって発症することが知られています.
この50年間で2型糖尿病患者が急増している最大の原因は,
もともと欧米人に比べてインスリン分泌能が2分の1と低いという遺伝的素因に加え,
生活習慣の欧米化すなわち高脂肪食の過剰摂取(50年前に比較して脂肪摂取量は約4倍に増加している)と,
運動不足から生じる肥満に伴うインスリン抵抗性が合わさったためと考えられています。

1.インスリン抵抗性と炎症性サイトカイン
糖尿病発症の鍵であるインスリン抵抗性とは,
種々の原因(肥満,運動不足,ストレス,過剰脂質摂取,炎症)などによって,
インスリン感受性細胞におけるブドウ糖の組織摂取量が低下すること,
すなわちインスリン感受性の低下と定義されています。

なかでも内臓脂肪番積型肥満(内臓周囲に脂肪が蓄積するタイプの肥満:リンゴ型肥満)は、
種々のメカニズムを介してインスリン抵抗性の成立に関わることが知られています。
脂肪細胞からはアディポサイトカインと総称される生理活性物質(TNF-a, IL-6,レプチン,アディボネクチンなど)が産生・分泌されており、
これらがインスリン抵抗性および肥満患者に高額度に発症する動脈硬化の成立に関与していることがわかってきました。

一方、歯周病をはじめとする慢性炎症の存在下においても,
インスリン抵抗性が生じることはよく知られています。
とくにアディポサイトカインの中でもTNF-aと呼ばれる炎症性サイトカインは,インスリン抵抗性に大きく関与する分子のひとつです。
これまでの研究から,2型糖尿病や肥満者では脂肪細胞から産生される TNF-a量が有意に上昇しており,
このTNF-aがインスリン抵抗性を惹起することがわかりました。
事実,肥満患者では体重減少に伴い血中TNF-a濃度が有意に減少し,
インスリン抵抗性も改善することが知られています。

2.歯周病と炎症性サイトカイン
歯周病は,歯周病細菌(主に嫌気性菌)の感染によって生じる慢性炎症性疾患です。
慢性化した歯周炎局所には生体の他臓器に類をみないほど多量の嫌気性菌が棲息しています。
ヒトが28歯すべてに5〜6mmの歯周ポケットを有した場合,
生体がバイオフィルム(細菌の巣)と接する面積は,手のひら大(およそ72cm2)に及ぶと見積もられています。

この状態では一過性の菌血症(菌が血液中に暴露される状態)や
LPS(嫌気性菌のもつ毒素) 血症が頻発し,それらの血中濃度も上昇するために,
生体側では活性化された免疫担当細胞が多数集積し,多様な生理活性物質をたえず産生していると考えられて
います。

病原体の生体内への侵入があった際,自然免疫系は炎症反応を惹起することにより病原体を排除しようとします。
この炎症反応の素となる液性因子を炎症性サイトカインとよんでいます.

したがって,前述したTNF-aをはじめとする炎症性サイトカインは,
このような状況下で絶えず産生されているのです。
このことは,歯周病のような慢性炎症そのものを放置することで,
恒常的にTNF-aの産生量が増加し,
インスリン抵抗性を介して糖尿病の病態を悪化させる可能性があることを示します。

実際,重度歯周炎を合併している糖尿病患者さんに歯周治療を行うことで,
血液中のTNF-a濃度が有意に低下し血糖コントロールが改善することが示されています。
すなわち,慢性歯周炎症巣を放置することは,インスリン抵抗を介して2型糖尿病の病態へ悪影響を及ぼす可前性があるのです。

1型糖尿病との関連性
1型糖尿病は,臓のインスリンを分泌する細胞が破壊され,インスリン分泌が著しく低下し,
最終的にインスリン分泌が枯渇するタイプの糖尿病です。
小児や若年層に好発しますが,全糖尿病患者に占める頻度は低く約5%以下です。
家族歴はほとんどみられず,自己免疫疾患の一種と考えられています。
1型糖尿病と歯周病の関係を調べた研究では,1糖尿病に罹患している小児・若年者は,全身的に健康なコントロール群と比較して,
歯周病の罹患率や重症度が高いことが示されています。
また,その重症度は糖尿病のコントロール状態や罹病期間,そして合併症の有無と相関している場合が多いことがわかっています。

2. 2型糖尿病と歯周病の関連性
2型糖尿病は,インスリン分泌の低下もしくはインスリン抵抗性を主な発症基盤とする型の糖尿病です。
多くは中年期以降に発症し,全糖尿病患者の90%以上を占めるといわれています。
家族歴がみられることが多いことから,何らかの遺伝要因がその発症に関与することが示唆されており,
これに環境要因が加わって発症するいわゆる生活習慣病としての糖尿病がこの2型糖尿病です。

2型糖尿病と歯周病の関係を調べた研究では,2型糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ歯周病の発症率が約2.6倍高く,
アタッチメントロス(歯と歯肉の付着の喪失程度)で2.8倍以上,歯槽骨(歯を支えている骨)の吸収度で
3.4倍以上進行していることが明らかとなりました。
また,血糖コントロールが悪い患者は,コントロールが良い患者や非糖尿病患者と比較して骨吸収がより進行していることがわかっています。

3.肥満と歯周病の関連性
肥満は,わが国で最も高頻度に見られる代謝異常症で,インスリン抵抗性を背景として,
糖尿病、血圧症,高脂血症,そして動脈硬化性疾患に対する最大のリスク因子となることが知られています。
近年,糖尿病・動脈硬化症発症の最大の危険因子である肥満と歯周病との関係を調べた疫学研究(日本人を対象とした)から,
肥満の指標の一つである体格指数(BMIkg/m)が高いほど歯周病に罹患している割合が増加していることがわかりました。
歯周病に罹患する相対危険度は、
BMIが20未満の者を1とすると,
BMIが20〜24.9の者で1.7倍,
BMIが25〜29.9の者で3.4倍,
BMIが30以上の者では実に8.6倍にのぼることが明らかになりました。
また,2型糖尿病患者を対象とした疫学研究から,糖尿病患者の歯周病重症度をBMIで分類すると,
BMIが高いほど歯周病が重度に進行していることがわかっています。
一方,米国ではアメリカ国民健康栄養調査(NHANESI)の結果から,
歯周病と肥満の各指標は有意に相関し,米国の若い年齢層(18歳から34歳)では
BMIやウェスト値が歯周病の程度と強く相関することが報告されています。
このように,糖尿病と密接に関連している肥満においても歯周病との関わりが示されるようになりました。

虫歯予防とバイオフィルム破壊

2023年11月11日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は、虫歯かな?と思われること、歯周病の進行と治療についてのトピックです。

⚫️治療は必要ないの?!
 奥歯の溝が茶色くなっているから、早くむし歯を削って詰めてもらわないと!と思ってあわてて歯医者に行ったら、「削らなくて大丈夫ですよ。予防をして様子を見ましょう」と言われて、放っておいて大丈夫なのかな?と思ったことありませんか?


それは、削る治療をしなくてよかったんです。削って詰めてもそれが一生もつことは少ないです。治療を繰り返すことで歯の寿命は確実に短くなってしまいます。
 削らずに定期的に様子を見ていこうというのは、たんに【放っておく】のとは全然違います。「正しい方法で口腔内をしっかり管理してむし歯が進まないようにしましょう。この程度のむし歯なら、この先削らずにすむ可能性が十分にありますよ」ということです。
 ひとつ知っておいていただきたいのは、歯の表面のエナメル質にはいろんな段階のむし歯があるってことです。大まかに分けますと次のようになります。
①歯の表面が色が変わって白濁したり茶色っぽく見える。
②穴はまだ開いていないがエナメル質が少し溶けて表面がザラザラしている。
③エナメル質に完全にボカッと穴が開いてしまっている。
という具合です。
 エナメル質に深くポッカリ穴が開いている場合は別として、表面の色が変わったり、エナメル質が少し溶けて表面がザラザラしている程度なら、きちんと管理すれば、歯を削って治療する必要はないんです。
 その管理とは、食後に歯間部にフロスなどを入れその後に歯磨きをていねいにする。あとは、甘い食べ物や飲み物をダラダラと食べず食後デザートとしてまとめて食べる。そして、必ず歯科医院で定期的にチェックしてもらうようにする必要があります。
 しっかり管理していけば、健康にもつながりますし、将来的に治療費もかからずにすみますので是非定期検診に足を運んで下さい。
虫歯のお話をしていてなんですが、結局多数の歯が生涯にわたって保たれるために大切なのは、
歯周病の克服ということになります。なぜなら、人々が人生の後半で歯を失う大きな原因が、歯周病であるからです。
歯周病にかかっている人の多くは、通常80歳を超えると歯を失ってまうことになります。
定期的なメンテナンスが重要なのは、歯周病の進行を抑えることができるからです。
80歳を超えても歯を失わないことが研究により証明されています。
長崎大学 1989年の調査
・定期的に歯科検診を受けた人は80歳で26本の歯が残る。
・症状のある時だけ歯科受診していた人は80歳位で歯が0本になる。

症状がないけれども、病気を予防するため、健康な人がより快適な生活が送れるように、
歯科を定期的に受診しメンテナンスすることが重要です。

メンテナンスは主に3ヶ月ごとに来院していただき、歯石やバイオフィルム除去を行います。虫歯や修復物の破損がないかチェックをします。

次に、歯周病の進行に関する、バイオフィルムについてです。
歯肉縁上と歯肉縁下のバイオフィルム破壊における相違点
歯肉縁上、縁下って?
何かというと、歯の周りって歯茎がありますよね。その歯茎の一番上の縁のことを、歯肉縁と呼びます。
歯肉縁よりも上か下か、という場所を示す用語です。

バイオフィルムというのは、歯の周りの汚れに集まった口腔内細菌の塊です。台所や浴室も清掃が行き届いていないと、ヌルヌル汚れが壁にくっついたりしますが、それと構造が同じです。菌が自分達を守ろうと、バリアを張っているわけです。
歯周病では、歯肉縁上、縁下ともにバイオフィルムが形成されて、病気が進行します。

歯肉縁下のバイオフィルムは歯肉縁上バイオフィルムの延長なので、破壊プログラムもその延長でかんがえられそうですが、いくつかの違いがあります。まずは、患者さんが自分だけでは管理できない範囲であるということです。歯肉縁上バイオフィルムは、ある程度なら患者さんの日頃のケアでいい状態を維持することができますが、歯肉縁下になるとほとんど歯ブラシなどのセルフケアグッズが届かないので、これは大きな問題です。
患者さんの深い歯周ポケットは悪化する可能性はあります。そこで患者さんのブラッシングが悪いからだと責任を押し付けるのは無理があります。歯肉縁下の細菌バイオフィルムはわれわれプロの領域と考え、いかに効率良く、効果的に破壊していくかを考えなければいけません。ただし、深いからといってメンテナンスで来院されるたびに麻酔をしてバイオフィルム破壊をするわけにはいきませんので、効率や効果だけではなく、いかに痛みを伴わずに快適に患者さんがプロケアを受けられるか、という配慮の姿勢が大切であると考えております。

また、メインテナンス患者さんでは歯茎の下りを自覚されている方もおられます。これは歯肉退縮と呼ばれるものです。歯肉退縮があるとどのような印象でしょうか
。よくあるのが、歯茎が下がって口の中がなんだか歳をとったなぁという感想です。歯肉退縮した部位に注目すると、歯のエナメル質がなく、外部からの刺激に反応しやすいという共通点があります。知覚過敏が存在しないのか、プロケアに入る前に必ずチェックする必要があります。その際はまず問診で日頃知覚過敏を起こしやすいところがないかをチェックし、プロケア中に少しでも知覚過敏症状があれば、根面への刺激を抑える工夫をします。具体的には、超音波のチップなどの刺激を感じやすい器具の選定や、エアー、水温の配慮です。そしてその部位を忘れずに記録しておくことが大切です。

歯肉縁上の細菌バイオフィルムには器具が到達しやすいですが、歯肉縁下になるとその器具の到達制が悪くなるということも大きな相違点です。そのため歯肉縁下の細菌バイオフィルムを破壊しようと思うと、到達性のよいチップを使った超音波スケーリングが主役のなってきます。
ただし、動的治療と違って大量に硬い歯石がついてるわけでわないので、超音波スケーラーのパワーを抑えて、十分な注水下で根面から細菌バイオフィルムを破壊していくことになります。高いパワーは根面を傷つけるだけでなく、患者さんに痛みを与える原因になりますし、せっかく破壊した細菌バイオフィルムが洗い流されないからです。

歯肉縁下バイオフィルム破壊の実際

それでは、歯肉縁下の細菌バイオフィルムを破壊してるところを想像していきましょう。まず、われわれは自分の身を守るところからはじめないといけません。超音波スケーリングでは、細菌やウイルスを含んだエアロゾルが空中に舞うので、口腔粘膜や鼻粘膜からの感染を防ぐためのゴーグルが必要です。マスクにはどれぐらいの粒子を通すかによって種類が分かれますが、N95レベル以上のマスクを使うことをおすすめします。また、超音波スケーリングにポビドンヨードをするのだったら、患者さんへの着色をさけるため水を通さない長めのエプロンを用意しておいたほうがいいでしょう。
プローブのような到達性のよいチップは非常に重宝します。妥協的メインテナンスなどで深いポケットが残っている部位では必需品です。

このように歯周病の積極的な治療が終了した後も、メンテナンスで良い状態を保っていくのですが、施術時には患者さんの歯周病の進行具合により器具や操作を注意して行なっております。

歯周病の進行に関わるプラークについて

2023年10月13日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

今回は世界一多い感染症である、歯周病についてのお話しです。

歯周病と聞くと多くの人は「歯ぐきから血が出る」「歯ぐきから膿が出る」「歯がぐらぐらする」「歯周病の歯は抜かないといけない」など想像されるかもしれませんが、このような想像をした方は、歯周病について歯医者さんやメディアを通じて、一度はその説明を受けたことがあるか、ご自身が歯周病と指摘されたことがある方ではないでしょうか。歯石のついている状態も含めると成人の半分以上は歯周病であり、40歳以上の人の歯を失う原因の約80%が歯周病と言われています。しかし歯周病を正しく理解されている方はその割合よりはずっと少ないでしょう。一昔前の歯科医院でも、あまり歯周病については積極的に施術がされていなかったようで、削って被せる、詰める、あとは一回クリーニングして終了という感じの対応が多かったようです。

歯周病は歯ぐきにのみ炎症が見られる歯肉炎と、歯ぐきと歯を支える歯槽骨に吸収がみられる歯周炎を総称してこのように呼びます。少し前までは「歯槽膿漏」という言い方のほうが一般的でありこちらのほうが馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
歯周病とはその言葉通り、歯そのものの病気ではなく「歯」を支えているその「周」囲の組織の「病」気なのです。家に例えると家そのものが壊れるのが虫歯でありその土台を支える基礎の部分、つまり家の建っている土壌そのものが崩れてしまうのが歯周病です。また厄介なことに、この病気は家の場合と同じようにあまり目立たず、気づくのに時間がかかる病気です。一旦それも進行してしまうと家そのものが建っていられなくなります。
 歯は目では見えないいくつかの組織で支えられています。歯ぐき、骨、歯と骨を直接結びつける繊維(歯根膜)、その繊維と骨の根を結びつける組織(セメント質)と4つの組織からなりたっています。
この目には見えない部分の病気はレントゲン写真を撮るとよくわかります。歯や骨のように硬い部分レントゲンでは白く写り、歯根膜や歯ぐきなどの柔らかい部分は黒く写ります。そのため、歯を支えるのに大事な骨が歯周病によって失われてるのがよくわかります。歯周病が進み骨が溶けると支えがなくなりますから、歯がぐらぐらしてきます。それでも痛みを伴わないことが多く、目に見えない部分の骨が溶けているのは、本人でもわからないので多くの人はそのまま過ごしています。さらに進行していよいよ噛む力に耐えられなくなるとある日突然歯が抜けてしまった…なんてことにもなります。
では歯周病の原因はなんでしょうか。歯周病は歯ぐきに炎症が起こることから始まり、歯ぐきに炎症が起こると歯ぐきが赤くなったり、腫れたり出血したりします。歯周病の原因は歯の表面についた細菌の集団です。この細菌の集団のことをプラーク(歯垢)といいます。

 このプラークは歯の表面にしっかりとしがみついていて、うがいなどでは決して落ちることがありません。なので、プラークはいわゆる食べ物のカスなどとは全く違うということです。プラーク中の細菌が出すさまざまな物質によって歯ぐきに炎症が起きます。
 一般的に歯石が歯周病の原因だと思われている方が多く、歯石を定期的にとってもらているのに、いっこうに歯周病が改善しないと言って来院される方が多数見れます。実は歯石はプラークが石灰化(石のように固くなる)したもので、歯ぐきに炎症を引き起こす原因はプラークより低く、歯や歯の根元の表面がざらつくため、プラークがつきやすくなります。いくら歯石をとってもプラークがつきやすい環境では、歯の炎症が改善しないということです。プラーク以外にも歯並び、嚙み合わせ、歯ぎしりなどの習癖、全身疾患など原因は他にもさまざまありますが、それら単独では歯周病は発症することはなく、プラークが一番の原因です。
 歯周病は生活習慣病とされています。一番の原因は口の中のプラークですが、その細菌は健康なヒトの口の中にも存在しており、その集団であるプラークは個々の食生活やブラッシング習慣、個人の感染に対する抵抗力により大きく違ってきます。口の中のプラークが歯周組織を破壊するかは、その人の生活習慣によっても大きく違っています。生活習慣病の特徴は生活習慣の歪みを正すことにより、その発症を予防できるということです。言い換えると生活習慣病は生活習慣を改善せず医者や歯医者の通うだけでは決して治らないということです。生活習慣病の多くがサイレントディジーズ(静かな病気)と言われ、普段はほとんど症状もなく進んでいく病気であることが特徴です。歯周病の多くは普段からのブラッシングにより予防可能で、歯周病の検査は歯科医院でできます。もし歯周病と言われてしまった方は、普段の食生活と特にブラッシング習慣について見直しと改善が必要です。この改善の指導とチェックは歯科医師や歯科衛生士が行います。
 歯周病治療の流れとしてまず最初に、すべての歯と歯ぐきの間にできた隙間(歯周ポケット)の深さと歯周組織の炎症の状態や破壊の程度を調べる検査をします。その程度の差によって治療の方法、難易度、予後の予測が大きく異なるため、この検査で歯周病の程度を把握します。歯肉炎や軽度の歯周炎の場合、生活の改善と原因となるプラークを除去するためのプラークコントロール(ブラッシング習慣や方法の改善)でほぼ正常な歯周組織にもどすことが可能です。中程度進行した歯周炎ではプラークコントロールしたあと、歯周ポケット内のプラークと歯石除去を行います。歯石は表面がざらざらしておりプラークが付きやすいため、通常は手用スケーラーまたは超音波スケーラーと呼ばれる歯石除去のための専用器具で機械的に除去します。さらに歯石を除去した後、プラークで汚染された歯の根本の一層を除去し、平滑にして歯ぐきに対して物理的な刺激をなくすことで、歯ぐきの炎症を抑えます。こうした一連の器具操作をスケーリング・ルートプレーニングと呼びます。歯周病が進行したケースでは、この歯石除去に時間をかけ、徹底して行います。しかし、歯石のついている部位によっては、徹底した除去が難しい場合もあります。そうしたケースや高度に進行した歯周炎の部位に対しては歯周外科を行います。
 以上が歯周治療の流れですが、歯周病の治療がおおよそ終了しても再発しないよう、ブラッシングという生活習慣を定期的にチェックし管理していくメインテナンスを継続することが、歯周組織の健康を長期にわたり保つために重要となります。

 歯周病の一番の原因はプラークですが、実際はプラークが歯に大量に付いていてもあまり歯周病が進行していない場合や、逆にプラークは非常に少ないのに歯周病が進行いている方もいます。その理由に、歯周病の発症や進行には生体の抵抗性や感受性などが影響し、遺伝的因子や環境因子などが関与していると考えられています。特に歯周病の危険因子と言われているのは喫煙と糖尿病です。喫煙と糖尿病は歯周病の発症や進行に大きく関与しています。また、全身疾患(冠動脈疾患、呼吸器疾患、糖尿病、早産や低体重児出産、骨粗鬆症など)が歯周組織の健康や歯周病に影響を及ぼすことはもちろんですが、歯周病がこれら全身の健康状態に強い影響を与えていることが報告されています。
外来での患者さんも、訪問診療での口腔ケアも、このように全身疾患との関連がありますので、歯周病のケアはずっと生活習慣として続けていく

 歯周病の一番の原因はプラークですが、プラーク以外の様々な病因因子の存在が関係いていると言われています。局所因子として嚙み合わせが悪いことなどによる外傷があります。歯の欠損を放置しておくと反対側の歯が伸びてきたりして早期接触が起こり、外傷を受けたりします。また片側の一番奥の歯が喪失し、噛み癖が変化し反対側の一部の歯に負担が集中したりするケースもあります。さらに、高齢になるにつれて生じる咬耗によって咬合高径が下がり、前歯への早期接触が起こるなど生理的にも咬合性外傷は起こるので、長期のメインテナンスでは嚙み合わせの変化のチェックは必要です。
 また、ブラキシズムはクレンチング(くいしばり)とグラインディング(歯ぎしり)、タッピング(歯をカチカチさせる)があります。クレンチングは無意識に行われることが多いです。グラインディングは、長年にわたって行われることがあり、どちらも歯に持続的にしかも無意識で噛む力がかかるため、歯の動揺や高度な咬耗などの原因となります。