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食事を楽しみ、十分な栄養を摂るために…

2023年9月4日

私たちの診療室では様々なご病気の状態に出会います。
軽度のものから、
「これは大変な、、、」と考えてしまうケースもあります。

治療前

虫歯と歯の欠損が放置されて、噛み合わせが乱れてしまった症例。

歯が虫歯でなくなってしまっています。

歯と歯茎でものを噛んでおられた様子です。食事内容は大きく制限されます。

パノラマX線写真。歯の欠損が長期間放置されていたため、噛み合う相手がいない歯が顎から出てきています。

この患者さんは比較的お若い50代の方でしたが、口腔内の状況により食事内容の制限があり、食事量と質も低下しておられました。

 私たちは、患者さんの食事内容について、日本補綴歯科学会の食品アンケートを用いることがあります。
これは、何段階かに分けて、食事内容の程度や口腔機能の評価を行ったり、摂取可能な具体的な食品名を聞き取り、避けている食品がないか調べたりします。
GCというメーカーが出している咀嚼機能検査も活用します。患者さんにグミゼリーを咀嚼してもらい、機械でどの程度咀嚼消化の段階が行われたかを調べます。グミゼリーの噛み砕かれた状態も写真で記録しておくと、思ったよりも噛めていない状態を自覚できることになります。
このように術前の検査から、機能低下が生じているという結果が得られた場合、要注意です。
オーラルフレイルといって、口腔内の機能低下から心身の虚弱を招くような状態につながります。治療の費用はあまりかけられないとのことでしたので、保険診療の範囲内でできる限りのことをしていきました。
歯周基本治療とそれぞれの歯が保存可能か判断し、可能な歯は根管治療など歯の中の感染をとっていきました。
噛み合う相手のいない歯は病的な移動が生じていましたので、高さを噛み合う面に揃えていきます。
治療期間中に使う入れ歯を作成し、ひとまず上下顎両側で噛み合わせられるストッパーを作ります。
長期間噛み合わせができずに過ごされていたため、本来の噛み方がよくわからなかったりすることが多いです。
残っている歯と歯茎で無理やり食べておられたため、顎を変にずらして噛む癖がついていました。
なので、治療用の仮歯でリハビリをするという意味があります。
苦戦することが多いのは、今まで入れ歯を装着された経験がない方です。
入れ歯は入れ歯のメリットがあります。外科処置を必要とせず、一度に多くの歯の欠損を補うことができます。
入れ歯を入れるのが初めての方には、歯のところ以外の構成物(ピンクの床、残っている歯に引っかかる金属、床をつなぐ金属のバーなど)の異物感が大きく、気持ち悪かったりします。
「このピンクの床のところ、もう少し短くできない?」
など言われることもあります。
可能な範囲で調整しつつ、患者さんのリハビリに付き添います。

入れ歯によるリハビリを続けながら、残っている歯を使えるようにしていきます。
歯茎の中の方まで進行している虫歯もありました。虫歯をとっていくと、歯茎にめり込むような形になってしまい、そのままでは歯根を利用して上に歯を作っていくことができません。
歯周外科を行い、根面の感染源を除去するとともに、歯周病で吸収した骨の形態を平坦化して、歯茎を縫合します。そうすることで、歯茎に埋まっていた歯の根を歯茎の上に位置付けることができるのです。歯周外科終了後、歯肉の治りを4週くらい待っておくと、周囲の歯肉の質感と同じくらいになってきますので、歯の根に土台を立てて仮歯を装着します。
最終的なブリッジや部分入れ歯を装着し、その後はリハビリをしていきました。

治療後

正面観。

右側。

左側。

オーラルフレイルと他業種連携
全ての団塊の世代が75歳以上となる2025年、高齢者のフレイルの問題がありますが、患者さんによってはよりお若い年代の方もある程度フレイル予備軍としておられます。フレイルの兆候としては、意識・無意識に関わらず特定の食事を避けるところから始まります。高齢者だけの問題ではないと言えます。ただ、一般的に高齢になるにつれて歯周病で歯を失ってしまう割合が高くなり、全ての方が適切に歯科受診されるわけではありませんので、高齢者に焦点が当たるのは仕方ないことです。
 加齢とともに欠損や噛み合わせの乱れなどが生じ、口腔内に変化が出てくると、食事内容も変化していきます。歯科受診も大切ですし、栄養や摂食の正しい情報を得ることが大切です。管理栄養士による食事指導などはとても有効と考えられます。厚生労働省もこうしたオーラルフレイル対策は重要と考えているようです。特に歯科では、欠損や入れ歯を装着されている方に対して、フレイルになって行かないように注目しやすいです。フレイルになる流れは人それぞれであり、歯科で言うと欠損や噛み合わせの問題から咀嚼障害となって、栄養面から身体の虚弱を招くわけです。他の要因で言うと、退職や家族との別れなどで、社会とのつながりが希薄になり、生活範囲が狭まり、心が虚弱になってしまうことが挙げられます。私たちはもちろん口腔内の要因に気づきやすい職種であり、他科の診療所や介護事業に携わっておられる方ともしっかり連携をとっていくことが重要であります。たとえばケアマネージャーの方とお話ししていると、家族構成や生活習慣、ペットや趣味に至るまで、患者さんの背景を詳しく知ることができます。それを踏まえて口腔内の治療もより効果的に行うことができます。

 次に、食事や栄養摂取については、管理栄養士に相談しアドバイスを得ると大きいメリットがあります。何をどれくらい食べたら良いか、自分の食事内容が栄養の偏りがないかなど相談できます。たとえば、入れ歯を装着されていたり、歯の欠損を放置されているような方ですと、「なんでも噛めてますよ」とおっしゃられるのですが、食事内容はあまりバランスが良くなかったりします。具体的には、スルッと食べられ調理が簡単な麺類などです。菓子パンのみという方もいらっしゃるのではないでしょうか。炭水化物のみ多く取られて、タンパク質量が不十分であったりします。

とても豪華な一皿。個人差はありますが、肉や魚などの主菜は、両手に乗るくらいの量を摂取すると良いと大まかに言われています。
タンパク質が卵やひき肉でも良いわけです。摂取しやすい食材や形から取り入れると良いでしょう。野菜なども切り方と調理法を工夫すると摂取しやすくなります。筋肉量の多さも重要です。歩けなくなるのは避けなければなりません。日頃から外に出て簡単な運動をするとか、散歩も効果的です。このような活動がフレイル予防になります。

 冒頭の写真の患者さんのように、病気を放置していると無意識のうちにフレイルに近づいていきます。食事は毎日のことなので、ちょっとした変化があってもなかなか気づきにくいですね。同居されているご家族が、最近色が細くなったなとか思われるようでしたら、口腔内に何かしら咀嚼障害がある可能性が高いです。一緒に暮らしていても、家族の口の中がどうなっているかはなかなか把握していないものです。私も実家に住んでいたときは、歯科の勉強もしていなかったこともあり、両親や兄妹の口腔内がどうなっているか、全く知りませんでした。ですが、健康維持のために、ご自身やご家族の口腔内の状態を知ること、どの程度食事ができていて、栄養バランスが取れた食事なのか、注目するのは大切ですね。

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