電話する

地図

予約・問合せ

メニュー
インターネット予約 インターネット予約
ヘッダーオファー

上顎前歯インプラント症例

2023年8月15日

左上前歯のインプラント症例
 患者さんは30代の女性で、20歳くらいに事故で前歯が折れ、根管治療と被せ物の処置をされた経緯がありました。それ以降特にトラブルなく経過していましたが、ある日前歯がぐらぐらしてきてポロッと取れてきたため来院されました。診てみると、歯根破折しており、土台の金属もろとも被せ物が脱落していました。必要な処置だっと思いますが、元々の残っている歯の部分が少なくなっており、今までなんとかもってきたのですが、いよいよ限界が来たようです。歯根の薄い部分に、金属の支柱に伝わる力が集中し、割れるべくして割れてしまったと考えられます。このままの状態ですと、再装着もできませんし、歯根派接している部位から顎骨に細菌感染と炎症が持続するため、どんどん周囲骨が吸収しなくなってきます。歯肉も受診されたとき、赤黒く腫れて、歯の周りから排膿がありました。取れた被せ物は全く装着できないため、その場で仮歯を作製し、仮づけしました。
術前正面

反対側と比較すると、歯肉の位置が下がり、赤黒い炎症がある状態になっています。

術前左側

問題の歯の歯肉が大きく下がっている要因は、歯根破折からの細菌感染、骨の炎症が生じ、骨が吸収してなくなってしまったことです。骨がなくなると、当然その部分の歯肉は下がってきます。

術前右側

歯根破折していた歯の周囲の歯は、全く治療されていない天然歯です。

このまま置いておくことで、どんどん骨が失われてしまうため、身体のためによくないですから、抜歯が妥当であると判断しました。抜歯後の歯を補う治療を検討しました。
インプラントと接着ブリッジの2つの方法でどちらにしようか迷っておられましたが、最終的には、周りの歯を一切削らないことを重要視され、インプラントによる治療を希望されました。

インプラント治療前の追加検査
CT撮影を行いました。

 歯根破折しており、歯肉より深い部位に虫歯の進行もありました。根が問題ない状態と違い、歯周組織が炎症により破壊されています。唇側の骨が吸収してなくなっていました。
 私たちアジア人の骨格の特徴として、もともと頬側、唇側の骨の厚みが少ないことが挙げられます。個人差はありますが、私たちもCT画像を見て、唇側の骨に厚みがある患者さんに出会ったことがありません。健康的な状態でもそうなので、炎症がある場合は、唇側の骨は消失しているか、あっても部分的に1mmあるかないかです。そして、歯肉も退縮していますので、単にインプラント埋入をするだけでは大きく歯肉の位置が下がってしまい、とても長く不自然な歯になってしまいます。

最終的な上部構造から逆算したインプラントの位置づけ
 他の投稿にも含まれますが、インプラント治療はトップダウントリートメントと言って、最終的な上部構造(被せもの)の設計図があり、そこから逆算してインプラント埋入の位置を決めるというやり方をします。骨があるところに入れて、あとは被せ物をそこから立ち上げて作る、となりますと、歯の列から逸脱した位置から歯が作られたり、噛み合うはずの歯と噛み合わない状態になりかねません。最終的な上部構造の形と位置が決められて、そこに合うような位置に埋入するには、どのようにしたらよいかを検討します。そこに顎の骨が十分あるならば、あまり悩むことはありません。インプラントを位置付けるのに十分な骨がなければ、骨を作る、またはインプラントのサイズや角度を修正して実現できないか考えます。
 最終的な上部構造の設計図は、患者さんの歯型をとって、石膏模型を作ることから始まります。シリコンの印象材を用いて精密な型とりをします。石膏模型上で最終的な上部構造をワックスで整形し、機械をスキャンしてデータ化しますノーベルバイオケアのソフト上で、そのデータとCTデータを重ね合わせて、インプラントの位置のプランニングをします。このソフトが非常に臨床上のポイントを踏まえて操作しやすく、よい治療結果につながるように思います。開院してからすぐ使い始めました。最初は慣れませんでした。大ベテランのインプラントが得意な先生方が、「ガイドはいいかもしれないが、ソフトに抵抗がある」とおっしゃられていたことがありましたが、なるほどと思いました。フリーハンドでのインプラントオペ歴が長いほど、それまでの経験を頼りに手術される方が手間がかかりませんし、新たにソフトの操作を覚えていくのは抵抗あると思います。私自身、勤務医時代にフリーハンドで見事な手術をされている先生を目の当たりにしたことがあります。私はそのような特殊感覚を持ち合わせていませんし、 ノーベルバイオケア社のガイドシステムを使うことによる臨床上のメリットが大きいと判断し、導入しています。やはり、インプラントメーカーは多くありますが、世界No.1シェアということと、臨床データの蓄積が長期にあり、信頼できることが導入している理由です。
 
 CTデータとワックスアップのデータを用いてインプラントのプランニングが終わりました。そこで初めてノーベルバイオケア社にノーベルガイドの発注が可能となります。オーダーしたら、1週間程度でクリニックにノーベルガイドが届きます。
 一旦患者さんのお口の中にガイドを合わせます。ガイドは機械で作成されますので、口腔内に適さないバリが残っていたりしますので、手術の前に合わせて確認し、必要な調整をします。もし口腔内で少しでもかたつくようでしたら、ガイドの意味が全くなくなりますので、再製作の必要があります。その場合は、元々の型取りやCT撮影時のエラーが考えられます。そこで治療が数週間ストップしかねないので、作製時のあらゆる工程を注意して進めます。

抜歯即時埋入>
 前歯の問題のある歯根を抜歯し、そのままにしておくと、もともと薄い上顎の骨が全くなくなって、大規模な骨造成をしないとインプラント埋入ができなくなってしまいます。今回の症例も同じで、抜歯しての骨の治りを3〜4ヶ月くらい待ってから埋入すると、大変難しい状況になります。
 そういう理由で、抜歯とインプラント埋入を同時に行うやり方をとります。抜歯し、歯根周囲にある炎症のある組織を除去し、薄い唇側の骨をできるだけ壊さないように操作します。埋入は準備したガイドを用いて行います。フリーハンドでドリリング、埋入をしようとすると、どうしても骨のない唇側に器具が持っていかれてしまい、シミュレーーション通りの手術にはなりません。唇側に寄ってインプラント埋入がなされると、最終的な上部構造の固定が問題が出てきます。私たちはインプラントの上部構造を基本的にスクリュー固定にしています。理由は、どんなに注意しても、上部構造をセメント固定したら余剰セメントの取り残し問題が発生するからです。余剰セメントがインプラント周囲炎の原因となってしまうと残念ですので、清掃性や長期予後の観点、メンテナンスのしやすさを考慮し、セメント固定をします。前歯の領域で、インプラントの位置や角度が唇側に傾いてしまうと、唇側にネジ穴が見えてくることになりますので、必然的にセメント固定になってしまいます。角度つきの土台(アバットメント)を用いるにしても限度がありますので、やはり、インプラントの位置付けをコンピューター支援のシステムを用いて行うメリットは大きいです。

術後CT

このように、フリーハンドでは不可能なシミュレーション通りの位置にインプラント埋入ができております。

術後正面

自然な歯冠形態と歯肉形態になっています。

術後左側

近くで見ても、天然の歯があった頃と変わらない仕上がりです。

術後右側

このように自然な仕上がりのためには、実はインプラントの位置付けが最も重要であり、そこから立ち上がった上部構造が自然な歯肉形態を支えているのです。

当院のインプラント治療のページは

こちら

です。動画もありますのでぜひご覧ください。

 

<< 前のページに戻る

診療スケジュール

当院へのお電話からの問い合わせは0727677685へ

診療時間
8:30〜17:00
/
/
休診日 / 金曜日・日曜日・祝日
※ 16:30受付終了
ご予約・お問い合わせはこちら
こさか歯科クリニックの外観
フッターオファー
© 2019 こさか歯科クリニック