こんにちは、こさか歯科クリニックです。
今回は、インビザラインの歯の移動についてのお話です。
これはインビザラインの治療シミュレーションのソフトウェア、クリンチェックの画面です。
インビザライン治療を始める前は、まず口腔内のスキャンとアプリでの撮影を行います。
歯の動かし方を入力し、アライン社とクリンチェック作成のやりとりをします。
クリンチェックが届いた時にチェックすること
フィニッシング、アライナー枚数、ステージング、IPR、アタッチメント、エラスティック、バイトランプが、オーダーした治療計画と照らし合わせてどのように反映されているかをチェックします。
まず、バイトランプはアライナーによる臼歯の離開を防げるので、必須です。
臼歯の遠心移動ケースは、
①IPRで遠心移動量を減らしてください
②〇〇枚以内にしてください
というオーダーを出します。
class2の場合、咬頭を超えたclass2は抜歯矯正を計画します。
ステージング
①1WEEK交換の徹底。
基本的に1週間交換を前提とした素材で作られています。あまりにも長い期間一つのアライナーを使用すると、劣化の問題が生じます。アライン社によると、劣化したアライナーの中で矯正で動かした歯の後戻りが生じるため、一つのアライナーを延長したとしても2週間までを限度とするようにとのこと。
②枚数の目安
単純に週数を考えると、26枚で半年、54枚で1年かかります。あまりにも枚数が多い治療計画はそもそも破綻している可能性があります。ただ、例外もあって、3日交換&多いアライナーを使って細かい順次的な歯の移動をすることがあります。そういう計画の時はMAXの99枚の計画になることもあります。
③アタッチメントは3枚目から
アタッチメントの設定は任意に可能です。最初から設定しないのは、1枚目と2枚目はアライナー自体に慣れてもらう期間であるためです。アタッチメントは歯の移動に効果的な反面、アライナーの着脱がしにくいので、慣れてきた3枚目で設定しています。
④遠心移動は1〜2歯ずつ。
前歯が前方傾斜し広がっているような歯列なら、そこも同時に解決しておくと、枚数を減らすことができます。
大臼歯の遠心移動は時間をかけて確実に行います。1本ずつ計画しています。
小臼歯は2本ずつ遠心移動します。
⑤上下で枚数の差が大きいときは、追加アライナーの時期を予定に入れておく。
⑥正中離開は早めに解決する。
正中離開とは、中切歯(真ん中の歯のこと)の間の空隙です。
⑦動かす期間
歯列の問題が軽度な場合は数ヶ月のうちに終わりますが、全体を動かしていくような計画は長期間になります。1年目で大まかに排列し、2年目には細かい修正をすることが多いです。
どのようなアタッチメントをつけるか
動かし方によって設定を変えます。
①挺出 横長の長方形
②捻転 縦長の長方形
③近心、遠心移動 縦長の長方形
下顎前歯が一直線になっているケースにおいて、アライナーが掴みにくい形をしています。最初にアライン社から送られるクリンチェックでは、アタッチメントがないことも多いので、自分で長方形のアタッチメントを設置します。
ステージングの工夫
歯の移動量が多い場合や、動かしにくい状態の時、治療計画作成時に盛り込む工夫があります。
①全ての症例で1ステージから必ずバイトランプをつけますが、ディープバイトの症例で上顎前歯部を圧下させる場合は、バイトランプではなくプレッシャーポイントによって圧下させます。
②全ての症例で6番に大きい長方形のアタッチメントをつけます。
③全ての症例で臼歯部の咬合平面は前歯部と同じくらいの高さにします。
④全ての症例でSpeeはほぼ平坦にします。
⑤クロスバイトは必ず平坦にします。
⑥クラスⅡの場合は、プレシジョンカットによる顎間ゴムを使います。
⑦クラスⅢの場合は、下顎前歯部の舌側切縁に大きめのアタッチメントをつけます。
⑧下顎前歯は絶対に圧下させないで、臼歯部の咬合を上げて修正します。
⑨大臼歯は片側2本同時に動かさない。
⑩大臼歯の移動は1歯のみで行い、他の歯をアンカーにします。その際は、各歯3ステージごとに繰り返して動かします。
③上顎前歯部の圧下は、唇側に4°フレアさせた後に圧下を開始します。その際は、1番と2番は分けて2ステージごとに繰り返して行います。
④5ステージ以上の動きがある歯は、3ステージ動かしたら、一旦止めて他の歯を動かし、再び3ステージ動かすというのを繰り返します。
※ステージングについて、最終位置とアタッチメントが決まるまでは、ドクターからのステージングの指示はしません。クリンチェックは承認するまで何回かアライン社と修正のやり取りをします。細かいステージングを最初にオーダーすると、アライン社のエンジニアも大変ですし、こちらも修正がしにくいからです。
モニタリング
矯正治療期間中は、当院では1ヶ月ごとに経過を確認しています。アライナーをつけた状態でチェアーに来てもらいますが、フィットを確認するためです。
計画の中で何かしらのエラーが生じた場合、歯とアライナーがアンフィットになります。そのような部分は、気泡が多くみられます。
歯頸部側の適合もよくみます。特に挺出の時は、歯が予定通り提出していなければアンフィットが目立ちます。
追加アライナーするかどうかの判断
アンフィットが1本の場合、そこの部分だけエラスティックというゴムをかけて修正することがあります。アンフィットが数本にわたるようなら、程度によりますが、一つのアライナーを長めに装着して様子を見ます。解消できなければ、追加アライナーを発注し対応します。治療の終盤なら、早めに追加するのが望ましいと考えます。
計画の途中なら他の歯への影響が大きいため、そのまま進んで、まあまあ全体的がまとまったら追加アライナーで修正をします。
エラスティック
エラスティックとは、矯正治療で歯に作用させるゴムのことです。
Ⅲ級では下顎の遠心移動で最初から設定します。
Ⅱ級では上顎5の遠心移動の時から使いますが、抜歯ケースでは大臼歯の近心傾斜のリスクのため使用しないようにしています。
追加アライナーについて
全額にわたる矯正治療の場合、最初の計画のみで全て完了することはできず、2〜3回の追加アライナーで修正しつつ仕上げます。
できるだけ修正にかけられる時間を使えるように、最初のアライナーで60点〜70点くらいを目指してやります。そこから追加アライナーをやる方が簡単だからです。
よくあるトラブルケース
①前歯;惻切歯の排列、正中の修正
②小臼歯;ローテーション、挺出
③大臼歯;アップライト、遠心移動
特に注意なのは、再遠心移動、惻切歯の挺出、前歯の圧下、小臼歯捻転です。これらは枚数がかさむ歯の移動です。
オーバーコレクション
オーバーコレクションとは、動かしにくい歯の移動や後戻りしやすい部位への対応で、簡単にいうと必要な量より多めに歯を動かしておくことです。
①捻転
②ディープバイト
の場合、オーバーコレクションを計画します。
リテーナー
1年目は12時間、2年目は8時間と講習会で習いました。
リテーナーは可能な限り継続するのが望ましいです。
まとめ
インビザラインのシステムは、現在に至るまでアップデートし続けています。1日に1000万円の開発費を投じて、より歯の移動がしやすく、シミュレーションの実現性が高められる仕組みに改善してきています。
私の先輩が、日本にインビザラインが入ってきてすぐくらいの時期に、使ってみたらしいのですが、出立ての頃はあまり使えるシステムではなかったそうです。
現在はその先輩もインビザライン治療が主な矯正治療の方法に変わってきています。このようなシステムをうまく活用し、臨床に活かしていきたいです。