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お口のケアについて

2023年9月19日

歯磨剤(歯磨き粉)の有効活用
こんにちは、こさか歯科クリニックです。
みなさんは、お気に入りの歯磨きペーストをお持ちでしょうか?
私たちがよく使っているのは、こちらです。

左:GC ルシェロホワイト  歯の白さを保ちやすい。ホワイトニングした後の歯面が長持ちする。フレーバーも爽やかでキツさがないです。歯が削れにくいのも特徴。
中央、右:高濃度フッ化物配合のジェル。歯磨きの仕上げに少量塗布したり、泡を口に含んで使うもの。うがいや飲食までの時間を空けると、フッ素の虫歯予防効果が高まります。お子さんにも使いやすいフレーバーです。

歯磨きを数秒で終わる人もいます。ペーストをつけると、泡が立って、大抵ミントっぽいフレーバーが多く、口の中がすっきりする感覚が得られますので、なんか磨いた感があるわけです。
流石に歯磨きをする時間が少なすぎると、汚れが十分除去できません。そのため、歯磨きペーストで泡立ちが強いものは、あまり良い評価がなかったと思います。昔の話ですが。。泡立つのがよくないのであれば、ジェルタイプや、発泡剤の配合が少ないものを選ぶと良いでしょう。使い方を工夫すると効果的に使用できます。また、歯磨剤を付けないでブラッシングしたあと、仕上げをペーストでやるのも良い方法です。
ペーストに含まれる成分はどんなものがあるでしょう。クロルヘキシジンや塩化セチルピリジウム、トリクロサンなどがあります。もちろんこれらの抗菌剤が歯周病に効果があるかもしれません。
歯の表面にしっかりくっついているベタベタヌルヌル汚れがありますよね。このような汚れを細菌バイオフィルムと呼びます。これらは機械的に除去するのが最も有効です。ペーストやうがい薬の薬効を期待しすぎるのはあまりよくなくて、歯ブラシそのもので細菌を減らすのが良いでしょう。つまり細菌除去の主役は歯ブラシで、ペーストはわき役です。

しかもクロルヘキシジンや塩化セチルピリジウムのようなプラスの電気を帯びた抗菌剤は発泡剤の代表選手でありるラウリン酸ナトリウムで不活化される可能性がありますし、トリクロサンは電気を帯びていないもののその分効果に持続性がありません。もちろん発泡剤の入っていないようなクロルヘキシジン配合の歯磨剤の併用は細菌減少につながります。ただし歯ぐきの上だけの話で、ポケット内(歯ぐきの中)には残念ながらほとんど効果がありません。歯周病は歯茎の骨がなくなっていく病気ですので、歯周ポケットという病的な溝が、歯の周りに存在しています。歯科受診されて、専用の器具でポケットの内部を洗浄し、歯の根の表面についている感染源を除去をするのは、家ではできないことで、とても治療効果が高いものです。
歯周病の患者さんで、歯茎が下がってしまい、歯の根が大きく露出している場合があります。そこは根面う蝕(歯の根元のむしば)予備軍ですので、その予防として有効利用することがお勧めです。歯磨剤に含まれるフッ素濃度は薬事法で1500ppmFまでとなっておりましてそのぎりぎりまで含まれているものを選ぶようにしましょう。

歯磨剤に配合されてるフッ素にはフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムなどありますが、どの種類でも効果にほとんど差はありません。吐き出した後のだ液のフッ素濃度が1~2時間、0.1~0.05ppmF保ことがよいです。そのためには約0.5ℊの歯磨剤を使うこと、歯の根元にいきわたれせるように歯磨きすること、うがいの際は水量を少なくし(約30㎖)うがい回数を減らすことがポイントです。この方法ができれば毎食後、少なくとも就寝前には必ず行い、歯磨きごは飲食を控えるようにします。
歯磨剤はほとんどの患者さんが使っておられますので、その使用方法と選択だけ気を使っていただければこれだけでも十分効果が現れます。
研磨剤については、粗いものは避けましょう。歯の根元はけずれやすいので粒子の細かいものを選びましょう。しかし全く入っていないものは細菌バイオフィルムの破壊効率が悪くなってしまいますので適当ではないです。

歯科医院で染め出しをし、ブラッシングの不十分なところを改善する指導がよくありますね。一旦染め出しをすると、きれいに除去し切るのもの大変ですが・・・

メンテナスにおける根面デブライドメント
根面デブライドメントは根面(歯の根元)への付着物や変化を起こした根面そのものをきれいにしていく、かなり広い意味の言葉です。おもに歯石をターゲットに行う歯石除去や歯石の入り込んだ根面表層を除去していく(ルートプレーニング)も含まれますし、一旦滑らかになった根面に再付着してくる細菌バイオフィルムの破壊の含まれます。歯周病治療の中心は根面に付着したあるいは根面に
入り込んだ歯石を除去して細菌バイオフィルムも破壊します。(SRP)これにより歯ぐきの炎症は激減し、患者さんのセルフケアとタッグを組めば劇的な改善が見込まれます。

根面でブライドメントに用いる器具の一種。歯の種類や方向により用いる器具を分けて、根面を滑沢にきれいにしていきます。

では、メインテナンスにおいてはどうでしょう。歯周病治療で歯周組織や棍面の性状が改善したのであれば、根面は滑らかになっています。メインテナンスでは悪くならないことを目標にしているわけですから、滑らかになった根面に再付着してきた細菌バイオフィルムを除去することをメインに考えます。根面がさらに削れてしまうと知覚過敏になったり、ガタガタになった根面は歯石や細菌バイオフィルムが付着しやすくなります。
歯周病治療では手用スケーラーや超音波スケーラーを使いますが、その理由は根面や歯石の感触を感じながら細部に適応させてデブライドメントすることと超音波スケーラーで大量の歯石を除去していくためです。それに対してメインテナンスでは、超音波スケーラーの出番がかなり多くなります。到達性のよいチップと低く抑えたパワーで、場合によっては薬液の併用により効率よく細菌バイオフィルムを破壊することができるからです。

歯周病治療、メンテナンスはこちらを参考にしてみてください。

細菌バイオフィルムはたくさんの細菌がグリコカリックスという自前の材料で作ったマンションの中で集団生活しているようなものです。じつはマンションの中には抗菌剤が届きにくかったり、奥深いところの細菌が冬眠状態のために抗菌剤の効きが悪かったり、マンション内では細菌は抗菌剤にたいして耐久性をもっていたりします。抗菌剤を作用させても、
一人暮らしの細菌と集団生活をしている細菌とでは抗菌剤の効きが何倍も何十倍も違いがあります。それだけ細菌バイオフィルムに抗菌剤が効きにくいことが分かっています。
そのため細菌バイオフィルムの破壊の基本は機械的除去です。心臓の人工弁などに付着する細菌バイオフィルムと違って根面に付着する細菌バイオフィルムはスケーラーなどで除去できるのでありがたいほうです。薬で治すよりせっせと機械的除去するほうがずっと効果があるのです。

ペーストをつけて機械的歯面清掃で用いる機械です。

毎日のセルフケア
まずは歯肉縁上(歯茎の上)の細菌バイオフィルム破壊からです。ここで一番大切なのは患者さん自身の毎日のセルフケアです。歯肉縁上は毎日のセルフケアとして患者さんが除去しておくべき領域です。もちろん完璧に除去できるわけではありませんが”歯科医院に行くと歯肉縁上も歯肉縁下(歯茎の中)もきれいにクリーニングしてくれて気持ちが良い”というイメージだけが残るのは良くないです。

ブラシの選定は色々ありますが、気軽に歯ブラシの指導をする用のCiブラシは、安価ですが優れものだと思います。

私たちが患者さんの口腔内を清掃できる時間は、ほんの一部の時間ですから、患者さんご自身が清掃されて、ツルッとした歯面で歯茎の出血・腫れもなく気持ちがいいな、と毎日感じてもらうようなケアが理想的ですね。そのような口腔内のケアができるように、しっかりサポートさせていただきます。

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