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インプラントと天然歯、どんな違いがあるのでしょう?

2023年12月9日

⚫️インプラント周囲組織と歯周組織の違い

 

🔳インプラントと天然歯の相違点として、“天然歯は自己、インプラントは非自己である”ことが大前提となり、”インプラント周囲組織は非自己なる物体(異物)との間で代謝を繰り返している”のです。

🔳インプラント周囲組織と歯周組織の相違点

 

①結合組織中のコラーゲン含有量が多く、線維芽組織の量が少ない。

 

インプラント治療とは、骨に植立された非自己であるチタンのネジがつかわれています。
チタンは、飛行機やロケットにも使用されていて、軽量性があり、金属アレルギーなど人体にやさしく安全な金属で、生体適合性・強度・耐食性・耐熱性に優れています。そのネジが、骨膜、および粘膜を貫通して口腔内に突出しているという、生体では大変不思議な状態となっています。つまり、口腔内の粘膜に骨まで達する傷口を故意に存在させていて、その粘膜は傷ぎ治癒するときと同じ硬い状態になっているのです。インプラント周囲組織はまさに「瘢痕組織」に類似しているといえます。その瘢痕組織様形態であるインプラント周囲組織の結合組織の成分は、コラーゲン含有量が多く、線維芽細胞の量が少ないと報告されています。
また、インプラント周囲粘膜上皮の増殖力は、天然歯の付着上皮と比較すると数分の1程度でり、天然歯の周囲粘膜に比べ代謝が弱いことが考えられています。そのため、インプラント周囲粘膜は炎症が生じやすく、治療しにくい状態と想定されます。

 

②血液供給量が少ない

 

天然歯において、血液は歯肉と骨縁上の結合組織では、歯槽突起側方の骨膜上血管、歯根膜の血管の2方向から供給されています。しかしながら、インプラント周囲組織には、セメント質がないため、歯根膜が存在しません。そのめ、インプラント周囲粘膜は、インプラント部位の骨の骨膜から生じた、より大きな血管の終末枝のみから血液が供給されています。
したがって、インプラントの骨膜上結合組織の血流は、歯周組織と比較して少ないと考えられています。このことにより、血液の免疫作用および再生能力が不十分になりすいため、インプラント周囲粘膜は炎症が生じやすく、治癒しにくい状態と想定されます。

 

③コラーゲン線維の走行

 

天然歯ではコラーゲン線維の走行が歯根に垂直よび平行であるのに対し、インプラントに
メント質が存在しないことから、骨から垂直に存在し、インプラントと平行に走行しています
。そのため、インプラント周囲粘膜は、歯肉に比べ、外からの侵襲に対し、防御機能が低いこ
とが想定されます。
つまり、インプラント周囲組織は、歯周組織
に比べて結合組織中の線維芽細胞の量および血液供給量が少なく、いったんインプラント周囲組織に炎症が起こると、急速に不可逆的に進行すると考えられます。
歯周組織よりも感染防御機構が劣るインプラント周囲組織で、とくに早期に炎症性変化を見つけて対処する必要があります。

 

施術時の注意点

 

マニアックなお話ですが、インプラント周囲の組織の成り立ちやマネジメントは、長期予後にとって非常に重要なのです。
周囲に骨がある、歯肉という軟組織があるということが重要で、インプラント治療では天然歯以上に、組織の厚みを考慮して施術をします。
骨が足りない場合は、人工の骨を入れて、高さや幅を増やします。
私たちは、GC社から出ている、サイトランスグラニュールといういう骨補填材を用いています。
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公式HPより
世界初の「炭酸アパタイト」が主成分とする、国内初の「インプラント周囲を含むしか領域での使用」が認められた顆粒状の骨補填材です。「炭酸アパタイト」は、骨の無機成分と同じ組成のため、患者さん自身の骨へ効率的に置換され、目標とした骨面の高さを維持します。また、インプラント体に対し、強固なオッセオインテグレーションの獲得を実現します。
生理食塩水や血液と混ぜて使用します。
主成分は炭酸アパタイトです。これは、人間の骨や歯を構成する無機成分であり、リン酸カルシウムの一種です。
生体由来材料のような感染リスクはありません。
人間の骨は有機成分(コラーゲン等)と無機成分(アパタイト)により構成されていますが、 本品は自家骨の無機成分と類似した組成の骨補填材になっています。
炭酸アパタイトの高い骨伝導能により、早期からサイトランス グラニュールの周囲が新生骨に覆われます。
炭酸アパタイトの吸収特性により、患者さん自身の骨にゆっくりと置き換わって行きます。
足場としての機能を維持しながら効率的な骨置換を実現します。
全ての作製工程を完全に滅菌環境下、国内で行なっています。

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以前はBio-ossという製品を用いていましたが、海外の製品で、取り寄せるのに時間がかかっていました。
サイトランスグラニュールは、入手のしやすさ、操作性も良いです。
何より、インプラントをよく施術されている歯科の先生方の評判が良いです。
私たちも導入し使っていますが、良好な治療結果を得ています。

 

⚫️患者さんとのコミュニケーション

 

最後に、インプラント治療にかかわらずですが、患者さんとのコミュニケーションについて、考えていることを書いておきます。
インプラント治療とは、歯を失った顎堤に人工歯根を植立することにより、咀嚼・咬合・審美性を補う治療で、生体にとっては人為的に人工物(異物)を体内に入れる治療です。そのため、異物が生体に排除されないように、オッセオインテグレーション(骨結合)をいかに持続させられるかによって、インプラントの長期にわたる安定が保証されます。ですから、インプラント治療では、このことをつねに頭に入れて治療にあたるよう心がけています。
インプラント治療を希望される患者さんもまた、「人工のものを体の中に入れるとはどういうことだろう?」と少なからず不安を抱いて来院されるでしょう。だいたい、大きいモニターで治療の説明をすることが多いです。モニターで見ると、何か巨大なネジが顎に入っていくイメージをされてしまうようで、誤解がないように模型や実寸、天然歯との比較をしつつお話をします。
また、最近ではインターネットの普及とともに、インプラント治療に関する誤った情報をそのまま理解されている患者さんも多く見受けられます。特に多いのはインプラントを入れらた骨が溶ける、といった謎のうわさがあるなと感じています。
そこで、インプラント治療を始めるにあたり、インプラント治療とはどういった治療なのか、インプラント治療の利点・欠点を正確に説明する必要があります。医療面接において当院では、インプラント治療を希望するに至った主訴、現病歴、既往歴などを把握し、患者さんとのコミュニケーションをはかり、信頼関係を築きます。
そして、治療に必要とされる検査を行い、検査結果の説明とインプラント以外の治療法を含めた治療計画の提案と、その際にかかる治療期間(回数)と治療費を患者さんに提示します。このように、患者さんへの十分な説明と同意(インフォームド・コンセント)を得たうえで治療を進めていくようにしています。

インプラントのよくある質問その2

2023年11月1日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。

まずはインプラント症例のお話からです。
右下奥の第二大臼歯が虫歯でボロボロでしたので、抜歯してインプラントで治療を行った症例です。

術前

 


術前パノラマ:右下奥歯が虫歯で小さい根のみになっています。

術前咬合面:奥歯は小さく、黒くなっています。

術前右側:上顎の奥歯が噛み合う相手がいません。
患者さんは、もともと歯があった頃の方が噛みやすかったので、治療で歯を作りたいとのご希望でした。

 

術後

 


術後パノラマ:右下奥にインプラント埋入、上部構造があります。

術後咬合面:インプラントの上部構造はスクリュー固定のため、ネジの穴を封鎖したあとがあります。

術後右側:噛み合わせが回復しています。

歯が大きく欠けてしばらくそのまま慣れていた時もあったけど、治療してかみやすくなったとおっしゃられていました。
奥の歯が1本なくなってしまった後、そのままで過ごす方もおられます。
積極的に治療で歯を補うとしたら、インプラントで歯を作るか、部分入れ歯を作って装着することになります。
奥だけ1本の部分入れ歯を作った経験がありません。しっかり噛めないどころか違和感が増すだけで、生活の質はむしろ下がってしまいます。
インプラントを絶対すすめることもしていません。噛みづらいなとか実感されている方には、ご案内しています。
感じ方は人それぞれですし、その方の生活スタイルや年齢などは、積極的な治療に踏み切るかどうかの大きい判断材料になります。

歯がなくなった側は、反対側で自然と噛んでいくことになります。歯がそろっていて噛みやすいからでしょう。
利き腕と同じように、噛むときも左右どちらかを主体に噛んでいることが多いですが、
噛み合う歯が少ない場合、歯が少ない側で咀嚼する機会が減ってしまいますので、
お顔の形も変わってきてしまいます。
これは、咀嚼する時の筋肉をどのくらい使っているかによります。当然使っていない側は筋肉が衰えてしまいますので、
お顔がたるんでくるわけです。
お顔の筋肉とシワも関係があります。

 

顔の筋肉とシワの関係って?

 

みなさんは、「時間がないから」といって食事を短時間ですませてはいませんか?現代はやわらかい食べ物が好まれ、あまり噛まない食習慣になってきています。
しかし、顔の筋肉を使ってしっかり噛まないと、頬がたるんでほうれい線が目立ち、口角も下がってきてしまいます。すると、全体的に老けた顔に見えてしまい、ときには、不機嫌ではないのに、周囲の人に「怒っているのかな?」と思われてしまうことも。
顔の筋肉を衰えさせず、若々しい顔でいるためにも、1番大切なことは、「よく噛むこと」です。そして、「よく歌うこと」「よくしゃべること」も筋肉の衰えの予防に繋がります。
食べ物を噛むときに動く咀嚼筋の一部でもある「側頭筋」と「咬筋」を自分の手で触って、よく噛むことの大切さを意識しましょう。手をあてて噛みながら、軽く噛んだとき、ギューッと噛みしめたときの筋肉の動く大きさの違いを感じてみるとよいでしょう。
咀嚼筋が衰えると大きなシワの原因になります。食事のとき筋肉を使ってしっかりと噛んで、おくちを動かすことが若さの秘訣です!

 

▪️咀嚼筋の一部

 

【側頭筋】ちょうどこめかみの部分にある筋肉です。手のひら全体で触ってみてください。衰えると目元や瞼が下がってしまいます。

【咬筋】耳の前(頬側)にある筋肉です。机の上でほおづえをつくようにして触ってみるとわかりやすいです。衰えると頬がたるんで、ほうれい線が深く刻まれてしまいます。

▪️おくちのまわりの筋肉の一部
【口角挙筋】上あごの犬歯付近から小鼻の横周辺までに位置しています。目元と口角を繋いでいて、口角を上に引き上げる働きがあります。口角が下がったと感じるときは、口角挙筋が衰えている可能性が高いでしょう。

【口角下制筋】下唇の両側から下顎にかけて扇のように広がっており、上唇と口角を下に引っ張る役割を持っています。奥歯でものをかむときに使われる筋肉です。この筋肉が凝り固まると年齢を感じさせてる顔つきになってしまい、発達しすぎてしまうと、口角を下に引っ張る力が強くなって、口が「への字」になってしまいます。

特に奥歯は噛み合わせ、咀嚼の要と言っていい部位でありますので、
1本、2本失ってしまうと噛みづらくなってしまいます。
筋肉が衰えてしまい、お顔が変わってきます。

 

Q.インプラントは一生モノ?

 

一生モノではありません。
インプラントはチタンという生体に対して極めて親和性の高い材質です。顎の骨に埋入しても炎症は起こさず、骨の組織と直接結合する「オッセオインテグレーション」という現象が起きます。
現在のインプラントは近代インプラント治療が始まった時と比較して、高い成功率を達成できるレベルになっています。一度くっついたインプラントがどれだけ長持ちするかは、個人差があります。噛み合わせの力や他の歯がどれだけ残っているか、骨の質、嗜好品などの生活習慣、食いしばりの習癖の程度など、予後を左右する条件は様々でありますので、どれだけ長持ちするかを正確に予測できません。
そうは言っても、通常は10〜20年は抜けずに機能すると認識しています。40〜50年機能し続けているインプラントの報告もあります。

 

Q.インプラントと天然の歯とはどう違う?

 

周囲組織とのくっつき方が違います。
インプラントは骨の組織と直接結合します。天然歯は歯根膜という構造を有しており、それを介して骨の組織と結合しています。歯根膜はすごいです。これが噛み合わせの超精密なセンサーの役割があります。また、歯根膜自体に血流がありますので、歯根膜が健康な状態であれば、骨の再生を促すことができます。自家歯牙移植をして、移植した歯の周りに骨ができてくっついてくるのは、歯根膜のおかげです。
一方、インプラントは歯根膜の構造がないですから、骨がなかったらGBRといって骨を人工的に増成する施術を行います。また、噛み合わせの摩耗などで、インプラントの部分だけが強く噛み合っている状態だと、噛み合う相手の歯がダメージを受けやすくなります。
このような理由で、もしインプラント治療が一通り終わったあと、噛めるからと言って全く歯科での検診を受けずに過ごしていると、歯根膜のないインプラントならではのトラブル、噛み合わせの力によるトラブルが生じる可能性があります。
ですので、定期的に噛み合わせをチェックしたり、必要な調整を行いながらインプラントと付き合っていくことが重要です。
このようにインプラントにはまだ天然の歯には追いついていないというのは明らかであります。
では、治療を進めても問題ないのかというと、私の考えはこうです。

インプラントは100点満点ではないけれども、10〜20年という長い間、ブリッジや入れ歯から解放され、
周りの歯は負担がかからず長持ちすることができたり、なんでも美味しく食事ができるのであれば、
治療として十分な効果があると言える。
たとえトラブルがあったとしても、上部構造をやりかえたり、インプラントを埋入しなおすことで、回復ができる。
これにより、歯根膜のないインプラントでも、多くの人のQOLの向上に役立てる。

歯周病や虫歯、事故により歯を失ってしまった場合、その場の金額の安さだけで入れ歯治療を選んでしまうようなことは、
非常にもったいなく思います。
噛めずに食事に制限がある方、ぜひお気軽にこちらからご相談ください。

インプラント治療のよくある質問

2023年10月28日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。


術前右側:奥歯の欠損があります。

術前咬合面:歯を失ってからある程度期間が空いていて、歯茎の形が落ち着いています。


術後右側:インプラントで奥歯を作りました。

術後咬合面:歯列にマッチしていて、機能に問題なしです。

今回は患者さんからよくある、インプラントに関する質問についてまとめてみました。

Q.他の医院で、インプラントができないと言われたのですが、治療できませんか?
インプラントは顎の骨の中に埋入するので、骨の高さや幅がない場合、治療できないと判断される場合もあります。
私たちも全ての骨欠損に対して、「なんでも治療可能です!」とは言えませんが、
骨の量的に難しいと判断し、専門クリニックを紹介した症例は1つのみで、
他のほとんどの症例は骨を作る施術を行なってインプラント治療を完了しております。
これは、CTによる画像診断をしていくことで判断できますので、
他院で断られた方も、ぜひご相談していただけたらと思います。

Q.骨の量以外で、インプラント治療ができない人はいますか?
以下の人は治療ができません。
骨の成長が終わっていない若い方
日常の歯磨きなどの清掃が全くできない方
チタンのアレルギーの方
アルコール依存症の方
歯科医師と意思疎通が取れない方
骨粗鬆症の治療中の方
糖尿病、高血圧のコントロールができていない方

Q.インプラント治療ってこわい。顎にでかいネジが入るんでしょ?痛いんでしょ?
手術中はしっかり麻酔が効いた状態で施術をしますので、術中痛い中やることはありません。
でかいネジについてですが、大体治療説明の画像などで、歯やインプラントや顎の骨のイラストをどアップでご覧になると、
なんか巨大なネジが顎に入っていくイメージを持たれることがあります。
実際は、天然の歯の方が大きいです。
術後の感覚は、抜歯された時と同じくらいの印象です。
治療された患者さんも、「最初はこわいイメージだったけど、思ってたより全然楽だった」と言う感想がほとんどです。
インプラントのレギュラーサイズは、直径が4.3mm、長さが10mmです。
天然の歯の直径も長さもそれよりもう少し大きいので、インプラントは全然大きいネジではないです。

Q.手術時間はどのくらい?
30分〜1時間程度が多いです。
埋入するインプラントの本数、骨増成の程度、お口を開けられる量が極端に小さいなど難易度により前後します。

Q.インプラント治療の費用が気になる。
具体的な治療費については、CT撮影、画像診断をしてお見積りを作成し、ご案内させていただきます。
また、費用の分割払いもこちらを利用していただけます。

Q.インプラント治療費を抑えることはできる?
医療費控除です。
例えば、400万円の所得の人が30万円のインプラント治療を受けた場合、
この制度を使うと、26万円で治療を行うことができます。
費用的にハードルが高かったという場合も、数万円安くできるなら、、、となったりします。
どんな風に利用するのでしょうか。

我が国の一般的なインプラントの治療費は、40万円程度です。画像診断から手術、最終的な被せ物まで含めてです。
医療費控除が使えるので、税金から医療費の一部が還付され、お得にインプラント治療ができると言えます。
どのような制度かと言うと、、、
その年の1年間でかかった医療費が一定額を超えた場合、その額と所得を元に計算された額、税金が返ってくると言うものです。
この医療費は、生計を同一にする配偶者、親族も含めてです。
一定の額というのは、医療費の合計が10万円または所得の5%を超えるというのが条件です。

✳︎所得と税金還付の例
年収400万円でその年の医療費が30万円だった場合、4万円の還付
→つまり、30万円から10万円を超えた分、20万円
 これに400万円の所得税率20%をかけた4万円が返ってきます。
という仕組みです。
クリニックの窓口で費用が減るわけではありません。

Q.インプラントはどれくらいもちますか?
20年の累積データで、上顎90%以上、下顎95%以上です。
上顎と下顎で差がありますね。これは、上顎の骨の質が下顎よりも少し弱いために起こります。
たまに、「インプラントを入れたら、骨が溶けるんですよね?」
とお話しされるかたがいらっしゃいます。
インプラントの周りの骨だけが溶けるというニュアンスのようですが、
そんな現象は起きなくて、周りの歯が歯周病が悪化するような状況でしたら、
周りの歯と同じように歯周病(インプラント周囲炎)になります。
ご自身の歯も、インプラントも同じようにお手入れすると、同じようにもちますとお答えしています。
インプラントが適切な位置に埋入され、歯列や噛み合わせにマッチした上部構造が入っており、
定期的にお口のメンテナンスに歯科受診されると安心です。

Q.インプラントだから特別メンテナンスが必要?
お家でのケアは、インプラントがあってもなくても同じように重要です。
インプラントに関係なく、病気の予防のために歯科受診し、
お口のメンテナンスを受けていただくのが一番歯が長持ちします。
そうすることで、結果的に健康寿命を伸ばすことに繋がります。
なぜなら、なんでも噛める状態であれば食事を楽しみながら栄養摂取でき、
虚弱にはならないからです。
噛み合わせがしっかりしていることで、全身を動かすバランスもとりやすく、
高齢者の寝たきりの原因である、転倒や骨折を防止できます。

Q.使用しているインプラントや歯科材料はどんなもの?
当院ではノーベルバイオケア社の製品を使用しています。
他のメーカーは使用しておりません。
ノーベルバイオケア社は、歯科インプラントで世界で初めて製品展開した、海外のメーカーです。(本社はスイス)
そのため歯科インプラントで最も長い歴史があり、世界70カ国以上で使用されています。
1965年、ブローネマルク博士により、世界で初めてインプラントが歯科臨床に応用されるようになりました。
現在、日本に存在するインプラントメーカーは40種類以上。
その中でも人体に応用してから50年以上の歴史があるのは、このメーカーならではの強みと言えます。
現在は、インプラントの表面にタイユナイトという特殊な加工がされているものを導入しています。
タイユナイトの特徴は、顎の骨の中に埋入されたあと、早期の骨結合と治癒期間の短縮が可能であることです。

Q.高齢だけどインプラント治療は可能?
年齢によりインプラントと骨の結合が制限があるということはありません。
当院のインプラント治療患者さんの最高齢は、90歳ですが、
全く問題なく、治療後も快適に過ごせています。

Q.ガイドやコンピューター支援の手術とは何のこと?
ノーベルバイオケア社が開発したものが、ノーベルガイドというものです。
CT撮影データとインプラントのシミュレーションソフトウェアを組み合わせて、治療計画をサポートするコンセプトです。
手術の前に骨の形態や質、神経の位置などを把握し、安全・安心な治療を可能にしています。
計画通りにインプラントを埋入するために、患者さんごとにサージカルテンプレート(手術用補助器具)を作製して手術をします。
治療計画に基づいてインプラント埋入をするため、サージカルテンプレートをお口に取り付け、
インプラント手術をします。
これにより、シミュレーションした位置に正確に手術が行えます。

実際のお口の状況は人それぞれですので、
インプラントの相談だけでもお気軽にしていただけると、
よりわかりやすいと思います。
ウェブでもご予約が可能です。

インプラントのブリッジ症例

2023年10月26日

インプラントのブリッジ症例

ほとんど歯が残っていない上顎に対して、インプラントのブリッジで治療した症例です。

以前、歯がない顎に対して、All on 4コンセプトの治療を行った症例をご紹介しました。
今回もほとんど歯が残っていない上顎に対する治療ですが、残っている歯が治療したら問題なく使っていける状態でしたので、
それを温存して尚且つ固定式の歯を入れるにはどのようにするのか、という治療プランを考える必要がありました。

 

当院を受診された時のお悩み

 

「上の入れ歯でしっかり噛めない」
というものでした。上顎は3本歯が残っておられて、あとは部分入れ歯が入っていました。
術前はこのような状態でした。


術前正面:歯の欠損が広範囲に認められます。


術前右側:惻切歯、犬歯、第一小臼歯のみ残存していました。


術前左側:すべて欠損でした。

欠損に至った原因ですが、虫歯がひどくなり、治療を繰り返すうちに徐々に歯が抜かれていったとのことでした。
虫歯の治療も際限なくできるわけではありませんので、最初は虫歯のところを埋める簡単な施術で済むのですが、
根管治療をして被せ物を入れる→虫歯が再発し最治療、となったら、残っている歯の量が少なすぎて抜歯になってしまいます。
抜歯後にブリッジや部分入れ歯で欠損を補ったあとは、欠損の負担がブリッジや部分入れ歯の土台の歯にかかってきますので、
長い時間をかけて抜歯に近づいてくようなものです。
そのようにして、この方は徐々に欠損の範囲が拡大していき、10本の欠損に至ったわけです。
大きい部分入れ歯が入った後、このようなお悩みが出てきました。
・ガタガタして硬いものが噛めない。
・食事の際、入れ歯と歯ぐきの隙間に食べ物が入り込む。
・歯ぐきが痩せてくるので、作り直さないといけない。
・入れ歯の金属のバネをしばしば調整しないとゆるくなってしまう。
。入れ歯のピンクの床の部分が割れてきた。
などなど、入れ歯あるあると言えます。
インプラントだからできる生活があると思います。それは、天然の歯があった頃を取り戻せる方法だからこそ、
自然に自由な生活を楽しむことができます。非常に治療効果が高いと考えております。

今回の症例の話に戻ります。
実は、この治療を行ったのはかなり前で、私たちはその時ノーベルガイドのシステムを導入していませんでした。
ノーベルバイオケアのインプラントをずっと使用していたのは変わらないのですが、
この症例後に、ノーベルガイドのクリニシャンというソフトと、ガイド用のオペキットがクリニックに導入されたのを覚えています。
今ならノーベルガイドを使用し、よりスムーズに治療が進んでいただようと思われます。今更ごちゃごちゃ言ってもしょうがないですが。。。

ところで、インプラント治療ならではのやり方で、トップダウントリートメントというものがあります。
簡単に言うと、最終的な歯から逆算した位置にインプラントを埋入するやり方です。

 

ワックスアップ

 



右下奥歯の欠損

歯型をとり、石膏模型を作ります。このように歯がないところに、ワックスを用いて歯の形を作ります。残っている歯や歯列、噛み合わせを踏まえて、理想的な歯の形・位置を設定します。この最終的な歯の設計図を準備するところから始まります。ワックスアップと呼ばれています。



上顎前歯のケース


下顎両側第臼歯部のケース



上顎全部のケース

ノーベルガイドが使用できる状況でしたら、ノーベルバイオケアのソフトにワックスアップ模型のデータを入れて、ガイドを作製していきます。
今回のケースは、ガイド導入前でしたので、技工の先生と手製のガイドを作製し、それを用いて手術を行いました。
院内で、石膏模型上にレジンを使ってガイドを作り、インプラント埋入を行いました。

手製のガイドは、ノーベルガイドと比較すると手術の正確さにおいては劣ってしまいますが、何も手掛かりがないフリーハンドの手術を行うよりかは、最終的な上部構造を反映した位置にインプラント埋入がしやすいと考えています。この症例は、比較的顎の骨の厚みや高さに余裕があったので、このやり方でも問題なかったと考えます。

まだ、現在のようなCTがない時代、インプラントの施術はパノラマX線写真などの平面の写真のみで行われていたわけで、ガイドも当然ない状況でした。そのような中で当時の歯科の先生方は工夫してされていたのだと思います。と考えると、ガイドのシステムがある現在は、医療の技術開発ならではの施術も可能になり、画期的で良いことだと感じております。

埋入後、インプラントと骨が結合する現象が起きます。オッセオインテグレーションと言います。インプラントの表面と骨の組織が直接結合する間は、負荷をかけないようにします。埋入する際、インプラントにかけるトルクを35N以上で固定できたら、初期固定が良好であると判断できます。手術の時はこの良好な初期固定を得るために、工夫をします。たとえば、柔らかい骨質の場合はあまりドリルで形成しすぎないようにします。小さめの穴を開けて、インプラントをねじ込んでいくイメージです。
この1次手術 のあと、一旦骨の組織とインプラントの結合は弱まります。スタビリティーディップと呼ばれます。それがあったあと、徐々に固定がしっかりしてきます。そのため、すぐに力をかけない方が良いです。
ただし、例外はあって、インプラントの先端が鼻腔底や上顎洞底の皮質骨噛み込むよう埋入するやり方では、待機せずに加重することもあります。ALL on コンセプトの治療はそうです。

 

最終上部構造装着後

 


術後正面観:機能的で審美的な歯が入りました。


術後左側:今回の症例のように、顎の骨の高さが豊富に残っている場合、最終上部構造は歯の形そのままを再現したような状態になります。これが骨の高さが吸収して低くなっている場合、歯の部分だけではなく、歯肉も一体となった上部構造を装着することになります。


術後右側:入れ歯と違って何でも噛める!と、患者さんに非常に喜ばれました。

 

インプラント治療って痛い?/strong>

 

よくあるご質問にお答えします。
Q.インプラント治療って痛いですか?
手術のことが一番気になると思います。顎の骨にネジを入れていくのってなんかこわいイメージがあるようです。
手術中は、麻酔をしっかりとかけます。痛みは感じない状態で手術を行います。少しでも痛みを感じられるようなら、麻酔を追加して行います。
全身麻酔ではないので、手術で触られている感覚は当然あります。
音や振動を感じてしまうのが、インプラント治療の埋入時ですね。
埋入後の待機期間や2次手術、上部構造装着などのステップと比べると、
埋入時のストレスが1番大きいわけです。麻酔の量も一番多いです。
また、お口の中は体の他の部分に比べて、傷が治りやすいという特徴があります。
実際に手術された患者さんの感想は、思ったよりも楽だった、早くやっておいてよかったと言うものが多いです。
では全く痛みや腫れがないのかというと、人によって身体の傷の感じ方、治り具合に差がありますので、
侵襲の大きい手術予定の方には特に、腫れや痛みが出る可能性が高いこと、
その際の対処法、不快症状が出ると思われる期間などを詳しくお伝えしております。

当院のインプラント治療のページはこちらです。
ぜひご覧ください。
セカンドオピニオン、相談のみなど歓迎いたします。

少ない本数で最大の効果のインプラント治療

2023年9月24日

こんにちは、こさか歯科クリニックです。
今回は、入れ歯で噛めないことでお困りの方の治療例です。
少ない本数で最大の効果というタイトルですが、まさにその通りで、
要は歯がない顎に対して、いかにコスパよく固定式の歯を入れて機能回復するかというのがテーマであります。
All on 4というインプラント治療のコンセプトです。

術前正面

上顎には大きい入れ歯が入っておられました。

術前左側

左下奥歯は欠損で噛めない状態です。

術前右側

残っている2本に入れ歯の金属のバネがかかっています。

術前パノラマX線写真

上顎は左右ともに2本ずつ歯が残っています。下顎は欠損もありますがほとんど歯が残っています。
主訴は上顎の歯でしっかり噛みづらいとのことで、大きい入れ歯を長年使われていたのですが、それがしっかり噛めない状態でした。
上顎に残っている歯は4本。あとの10本は入れ歯で補われています。
このくらい歯がなくなっている場合、義歯の設計を考えるときに、上顎を大きく覆う床を用います。
理由は、残っている歯が少ないため、そこに入れ歯のバネを引っ掛けるのですが、それだけでは入れ歯を維持するのに足りないのです。
粘膜を大きく覆い、入れ歯の床で吸着を得ようと考えます。
入れ歯が吸着する原理というと、入れ歯が入っている口の中って、粘膜の上にプラスチックの板が乗っかっている状態なわけですが、
真っ平なガラスの板2枚を想像してみてください。
このガラス板をくっつけただけではすぐ離れてしまいます。しかし、水をその間に介在させると、ピタッとくっ付きますね。
この状態、空気の出入りがないのです。総入れ歯が口の中で吸着したりする原理は、口腔内の粘膜と入れ歯の床の間に、
唾液があり、顎を動かしても空気の出入りがない床の形態を作れているということです。

この方の口腔内で、入れ歯の吸着や維持が適切にできているかというと、全くできていませんでした。
まず、入れ歯の床が邪魔だからと、上顎を覆う部分をくり抜いており、そこから口腔内粘膜と入れ歯の床の間に空気の出入りがどうやっても生じてしまいます。
だから入れ歯がパカパカ浮いてしまうのでした。

入れ歯治療と身体が払う代償
また、部分入れ歯の宿命といってもいいですが、入れ歯のバネが引っかかっている歯に、歯を揺らすような力が常にかかるので、
ゆっくり抜歯しているようなものです。残っている4本の歯いずれも、食事に支障があるほど揺れが大きくなっていました。

この患者さんは、今までの人生で、もっと歯が残っていたけれども、このように入れ歯のバネがかかっている歯は揺らされてダメになってしまい、
どんどん入れ歯が大きくなって行く流れになっていました。
入れ歯を作る際に、必ず歯科ではこのような話をします。部分入れ歯は徐々に大きくなる、総入れ歯に近づいて行くのです。
部分入れ歯を入れる前に、入れ歯のバネをひっかける部分を削って形を整えたり、被せ物を作ったりします。
これらは、入れ歯の着脱方向に可能な限り平行になっている面を作り、維持力を得るためのものです。
どんなに良い部分入れ歯を作ったとしても、必ずバネの部分の負担があり、残っている歯が失われていきます。

入れ歯の床が接している歯茎に関してはどうでしょう?ここでも、身体の代償が払われています。
噛むときに粘膜に入れ歯の床がグッと押し込まれます。すると血流が悪くなり顎の骨が吸収してやせていきます。
ずっと入れ歯を使用していて、顎の骨がものすごく痩せてしまっている方、
少しずつ身体が代償を払っていて、尚且つ生活の質が悪くなってしまっています。

あまりにも骨が吸収しすぎていると、入れ歯を作り直しても入れ歯が歯茎をしっかり掴むこともできず、
入れ歯と粘膜の間に空気が出入りしやすく、噛もうとしても動いてしまう入れ歯にしかなりません。
そして、骨がなさすぎると、インプラント治療も難しくなってしまうこともあります。
骨を作るために、他のところからブロック骨を削り出して移植をするような手術になるかもしれません。
ではインプラントしよう!となっても、一苦労なのです。

ダブルテンプレートテクニック
この方は、上顎の残っている歯がグラグラすぎて抜歯が必要でした。
いきなり抜歯してインプラントを埋入することはありません。
最終的な歯の設計図を模型上で作って臨みます。
インプラントの位置付けに、コンピューター支援のガイドシステムを使います。
これはノーベルガイドと呼ばれるものです。
口腔内にはめ込み、ガイドのスリーブに沿ってドリルとインプラント埋入操作を行います。
欠損が比較的小さい症例は、作製したガイドを口腔内に装着し手術に用いるというシンプルな活用法になります。
今回のようなほとんど歯が残っていないような場合、作製したガイドが口腔内のシミュレーションした位置に留まっていて欲しいですが、
そうもいきません。歯がたくさん残っていたら、ガイドをはめ込んでもあまりがたつくことなく口腔内に留まってくれますが、
歯がない状態でインプラントを6本埋入するプランですので、何もとっかかりがない口腔内ではガイドがツルツル滑ってしまい、
シミュレーションとずれてしまいます。ガイドが所定の位置に来るように工夫が必要です。

このため、歯を抜く前の状態に合うガイド、抜歯後の口腔内に合うガイドの二つを作製して手術に臨みます。
麻酔をして、残っている歯がある状態でガイドを口腔内に位置付けます。
前方や最後方のインプラントの埋入を先に行います。
そこで1つ目のガイドの役目は終わりです。
抜歯を行い、2つ目のガイドを口腔内に装着します。
歯のとっかかりは無くなりましたが、1つ目のガイドで埋入したインプラントがありますので、
2つ目のガイドと埋入済みのインプラントをスクリューで締結します。
そうすると、全く口腔内でずれることなく2つ目のガイドを位置付けられます。
抜歯をしたエリアには、2つ目のガイドを用いてインプラント埋入を行います。


インプラント埋入後のパノラマX線写真。All on 4コンセプトの治療では、インプラント埋入時、しっかりとした初期固定を狙います。35Nというトルクをかけても、インプラントが骨内で回らない状態が、目指すところです。そのために、インプラントの先端を上顎洞や鼻腔底の皮質骨に噛み込ませて、しっかりとした初期固定を得るようにします。そのインプラントを用いて、固定式の仮歯を装着し、即日で機能回復を図るのが特徴です。


上部構造の一例。チタンのフレームに口腔内にマッチするようなピンクの歯茎部分、人工歯の部分で構成されています。


インプラントにスクリュー固定されるところがネジ穴に見えるところです。口腔内に装着されると、インプラントとインプラントの間を歯間ブラシで清掃していくことになります。


術後正面:歯茎部がある場合、必要ない場合とがあります。顎の骨がどれだけ吸収しているかによります。吸収が大きいと、人工物で補うところが大きくなります。この方の場合、すべて歯の部分にすると、異様に長い歯になってしまいますので、歯茎部分もあったほうがむしろ自然な仕上がりになります。


術後右側:適切な形に回復できています。


術後左側:左下奥の欠損にはインプラントで歯を作っています。


術後咬合面:ネジ穴にはふたがしてあります。

このように、All on 4の治療には独特の工夫が必要で、専門性が高い治療と思います。
この方のように、歯がほどんとない、全くない顎に対して固定式の歯を入れるにはどのようにするかというと、
8本くらいインプラント埋入し、前歯、奥歯にわけてブリッジを作製する、
All on4コンセプトで作製する、
ということになります。しかし、前者では治療後の長期予後が期待できる分、どうしても費用が高額になりがちです。
All on 4は、費用を抑えて早期の機能回復を図ることができ、コスパに優れた治療法と言えます。
当院のインプラント治療のページです。
入れ歯でお困りの方、是非ご相談ください。

All on 4

2023年7月18日

少ないインプラントの本数で、固定式の歯を入れるには?
 多くの歯を失ってしまった場合、入れ歯で補われることが多いように思います。では、インプラントで補うとしたら、どのように回復していくのでしょうか。
 今回は、少ないインプラントの本数で、固定式の歯を入れてなんでも噛めるように回復した治療例を見てみましょう。上顎の歯がグラグラして噛めないとお困りの方でした。

術前
パノラマX線写真

正面

左側

右側

上顎

 上顎には多くの治療跡があり、一見歯がそろっているようです。レントゲン写真を見ると、かぶせものと歯の間に虫歯による隙間ができていたり、歯を支えている骨がほとんど失われていたりします。ここまで治療するのは大変だったと思われます。私たちのクリニックを受診されたときは、かぶせものが外れかかってパカパカ浮いているところがありました。歯を支えている骨がやせてしまっているのは、歯周病の進行によるものです。
上顎の歯は残念ながら全て温存できない状態と分かりました。置いておくことにより、菌の感染や炎症が持続し、身体に良くないため、抜歯が妥当であることをお伝えしました。今まで状態は良くなかったものの、固定式の歯が入っておられたので、今後も取り外し式の入れ歯は避けたい、入れ歯は大きく顎を覆うため耐え難いとおっしゃられていました。
  インプラントで固定式の歯を入れたいが、できるだけ費用は抑えたいとのことで、最小限のインプラントの本数で顎全体の歯を補う、All on 4コンセプトの治療を行うことで決定しました。
術後
正面

右側

左側

上顎

 All on4は、全く歯がなくなってしまった顎に対して、4本〜6本程のインプラントを埋入し、固定式の歯を入れる治療です。治療期間中もご不便ないように、固定式の仮歯を入れて機能回復を図ります。
 All on4に限ったことではなく、全てのインプラント症例において、撮影したCTやお口の模型を元に、最終的な歯の形に対して適切なインプラントの埋入位置をシミュレーションします。専用のソフトを用いて、身体の重要な器官を避けて、顎の骨にどう位置付けるか検討をします。
当院のインプラント治療の流れはこちらです。

ノーベルバイオケア社のインプラント

 私たちが導入しているインプラントは、ノーベルバイオケアという世界で最も治療実績があるメーカーです。シミュレーションしたデータを元に、手術中に用いるガイドと呼ばれる器具を作成します。インプラント埋入し、そのままピッタリ合う固定式の仮歯も作成・準備できるところもメリットが大きいです。
 なぜがいどや術前の検討が必要かというと、人間がフリーハンドでインプラント埋入するには限界があるからです。少しでも角度や高さ、前後左右の位置がずれてしまうと、最終的な歯の形態が作りにくく、メンテナンスが困難な歯ができあがります。インプラント治療の術後トラブルの多くが、このインプラントの位置異常の問題であります。不可逆的な施術であるために、特に術前準備をしっかりしておく必要があります。ガイドのシステムは合理的で、歴史もあり非常に精度が良いです。ほとんどのインプラントの症例でガイドを用いています。安全と長期的な予後のために必須であると考えます。

治療後のケアについて
 インプラントだから特別大変なメンテナンスが必要か、患者様からよく質問があります。今回のようなAll on 4の治療に関しては、上顎または下顎、もしくはその両方とも人工物のみの口腔内になります。ご家庭でのケアについては、それぞれの患者様の顎の形やインプラントの上部構造も違いますので、それに応じたケアを説明して、フォローしていきます。天然の歯であっても、口腔内にインプラントしかない状態であっても、ケアが適切でないと病気になります。具体的には、インプラントの場合は、インプラント周囲炎になります。天然の歯でしたら歯周病や虫歯になります。インプラントだから特別強くも弱くもないですから、毎食後ケアをしていくのは共通ですね。食後の清掃を習慣づけて続けていくと良い状態が保てます。
 一方歯科医院でのメンテナンスは、インプラントと天然の歯に対して使用する器具が違ってきます。インプラントのチタンの材料に適したケアの器具を用いています。歯磨きペーストもインプラントと天然の歯と異なるものを用いてケアをします。
 噛み合わせの状態も変化していきますので、チェックを定期的に行います。実は歯にかかる力は、健康を保つ上でとても重要なのです。患者様ごとに嗜好品や習癖が異なります。噛む力も人それぞれです。一般的に、男性の方が女性よりも噛む力が強いため、歯や修復物の摩耗や破損、支えている骨への影響を考慮する必要があります。噛み合わせたとき、どの程度の上下の歯の接触具合かを調べます。天然の歯と合金やセラミック、インプラントが混在している口腔内ですと、自然に噛み合わせた時、グッと噛んだ時で噛み合わせの当たり方が適切になるようにチェックし、必要なら調整を行います。
 歯科での定期的なメンテナンスを受けていただくことで、病気の兆候があったら早期対応できますので、治療終了後のケアはお口の健康、全身の健康を保つ上で大切です。

インプラントはお口のタイムマシン?

インプラント治療を検討されている方へ

私たちのインプラント治療を受けられた患者さんのアンケートで、
「インプラントはお口のタイムマシン」
というコメントがありました。

患者さんの中には、
虫歯や歯周病により歯を失われて、
若い時のように食事が楽しめなくなったと
悩まれている方は多いように思います。

インプラント治療を受けて、
口の中が若返ってなんでも噛めるようになり、
それがまるでタイムマシンのようであるとのことでした。

治療後に食事や生活全般を楽しんで過ごされておられることに、私たちも嬉しい気持ちですし、やりがいを感じております。
タイムマシンというのが、独特の表現で面白いですよね。

お食事を楽しめるかどうかは、かなり生活の質を左右します。
入れ歯で食事が噛みづらいと、ご家族と同じ食事をとるのが難しかったり、
そのために外出もおっくうになってしまったりするようです。
食事の質と量は、寝たきりに直結する問題であります。

オーラルフレイルという言葉をご存知でしょうか。口腔内が噛める状態でなくなってくるにつれて、全身の健康状態が悪化し、
最終的には寝たきり要介護へ移行していくのです。
歯を失った後に、しっかり噛める状態に治しておくと、なんでも噛めて食事も楽しめます。摂取できる栄養素も、全身の健康を保つために必要不可欠です。
加齢とともに食が細くなってくる背景には、虫歯や歯周病で歯を失うこと、適切な治療を受けておられず、噛めない状態であることが関係していると考えられます。
噛めないということは、刻みやペースト状の介護食になり、歯があった頃の普通食と比べてどうしても食感が楽しめないのでしょう。
美味しく感じにくいので、量や栄養が十分取れず、虚弱が進むというスパイラルに陥るわけです。

今回のケースのように、固定式の歯でなんでも噛み砕ける状態、咀嚼嚥下に問題ない状態に回復することは、
健康寿命の延長に良い影響があるのです。

インプラント治療には未知の部分はありますが、
他の治療法に比べて予知性が高く、
確実に噛めるようになることから、
私たちも自信をもっておすすめします。

こさか歯科クリニック