こんにちは、こさか歯科クリニックです。
インプラント治療例
今回は、欠損と合金の被せ物の虫歯の再発に対して、
インプラントとセラミックで治療をした例についてです。
術前口腔内写真
術前上顎:虫歯の進行により残根状態のところがあります。
術前下顎:奥歯は虫歯により欠損になっています。
術前左側:噛み合わせのない奥歯が伸びてきています。
術前右側:左側と同様に、歯の病的移動が見られます。
術前CT
長期間歯の欠損が放置されていたため、
噛み合わせのない歯の病的移動が見られます。
治療後口腔内写真
術後口腔内写真上顎:インプラントとセラミック治療
術後口腔内写真下顎:インプラントとセラミック治療
術後口腔内写真左側:噛み合わせの面を揃えて治療をしています。
術後口腔内写真右側:両側の臼歯部でしっかりと噛み合わせを作ります。
インプラント治療の準備について
まずは術前の検査と診断から行います。
CT撮影
インプラント治療を行う際、骨のあるところにインプラントを位置付けることができるか、CTで十分に確認をします。
すでに抜歯されていて、何ヶ月、何年も経過している場合は、骨の形態はなだらかになっており、
ある程度高さと幅が吸収して縮小していることが多いです。
骨って吸収する?何のこと?と思われたかもしれません。実は、歯の根がなくなった部分は、
ほっとくと自然に吸収して小さくなってきます。
インプラント治療を必要とする場合、虫歯や歯周病で歯を失っていることがほとんどです。
前歯の欠損の場合、事故で歯が折れてしまったということもあります。
炎症により骨が吸収していることが多いですし、
私たちアジア人の唇側の顎の骨は薄いので、
インプラント治療をする際、よく骨造成を行い、足りない骨幅を補っていく必要があります。
骨造成
抜歯し、その周囲にある炎症性の組織を除去します。
同時にインプラントを埋入するのですが、足りない骨を補う骨造成もセットで行います。
GCのサイトランスグラニュールという材料を使用しています。
主成分は炭酸アパタイトで、国内初のインプラント治療に適応が認められた、
顆粒状の骨補填剤です。
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世界初の「炭酸アパタイト」が主成分とする、国内初の「インプラント周囲を含むしか領域での使用」が認められた顆粒状の骨補填材です。「炭酸アパタイト」は、骨の無機成分と同じ組成のため、患者さん自身の骨へ効率的に置換され、目標とした骨面の高さを維持します。また、インプラント体に対し、強固なオッセオインテグレーションの獲得を実現します。
公式サイトより
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生物由来原料ではないことが大きなポイントと考えております。
以前よく用いられていた骨補填剤は、ウシ由来の成分であったりしました。
サイトランスグラニュールはその点、完全化学合成によるものですから安心です。
何より、インプラント治療において、良好な結果を得ていること、
実際使用している歯科医師からの評価も高いことから、私たちも導入することになりました。
骨造成の際に使う特殊な膜
インプラント埋入し、骨が足りない部位に骨補填剤を転入した後、
そのまま軟組織を縫合して終わるとどうなるかというと、
骨造成したところに軟組織が入り込み、意図したエリアの骨造成ができないのです。
そこで、非吸収性フッ素樹脂(d-PTFE)オープンバリア・メンブレンというものを用いて、
軟組織が入り込まないように骨造成部位をカバーし、その上から軟組織を縫合します。
これは非常に優れもので、骨造成をする部分の軟組織が完全に閉鎖しなくても、
バクテリアの侵入を防いでくれるメリットがあります。
縫い合わせた傷口は、一般的には開いてほしくないわけですが、このメンブレンを用いると、
傷口が開いてメンブレンが露出しても、感染が生じるわけではないので、そのまま治癒を待つことになります。
大体術後4週くらいの間にメンブレンが自然に浮いてきますので、ピンセットで除去をして終わりです。非常に使い勝手が良い材料であります。
ノーベルガイド
この投稿コーナーでも何回か触れたことがありますが、正確な位置のインプラント埋入は、実は術後の被せ物の寿命に大きく関わることです。
インプラントの角度、位置は、術者の少しの手のブレ、手術用ドリルのブレによって大きく左右されます。
私たちは、せっかく治療したところが長持ちして欲しいので、インプラント治療に手術用のガイドであるノーベルガイドをよく用いています。
CTデータを元に、インプラントの被せ物の形態を決め、それが口腔内で機能するために理想的なインプラントの位置を逆算してプランニングします。
そのシミュレーションをノーベルバイオケア社におくり、手術用のガイドが送られてきます。
半透明でインプラント埋入位置が再現されている金属のスリーブが内在しています。
この写真のガイドは、上顎に4箇所、10度以内の角度でインプラントが位置付けられるようにしたものです。人間ではそのような手術をフリーハンドで行うことは不可能です。
ではガイドを用いない時はあるのかというと、少ないですが条件が整っている場合にガイドなしでも施術をします。骨幅や高さ、軟組織、審美性にある程度ゆとりがあり、許容範囲が大きい場合です。
ただ、基本的にはシミュレーションした位置を口腔内でも再現できるように、ダイドを用いるのが良いと考えています。
治療が終わったら
インプラントの被せ物が入り、そこから患者さんの新たな生活がスタートします。私たちは、インプラントが特別強くも弱くもないです、とお伝えしています。この意味合いとしては、インプラントは虫歯にはならないですが、お手入れを全くしなければ、周りの歯と同様に歯周病と同じ状態になるため、ケアはしっかりしましょうねという意味です。
よく誤解されている方がおられますが、インプラントを入れたところが特別骨が溶けてなくなっていくという都市伝説のような話があります。インプラントは歯周病と同じ状態になりうるのですが、もしそうなったときは、周りの歯も同様に歯周病でダメになっているわけで、だから特別強くも弱くもない、とお話しているのです。
虫歯予防に効果的なフッ素。インプラントには??
インプラントにフッ化物のケアは材質的に合わないと考えられています。
これもメリットデメリットを考慮して、ケア用品を用いる必要があります。
例えば、口腔内にほとんど天然の歯が残っており、数本インプラントで補綴されている箇所があるとします。このような場合、フッ化物のケアは、大部分を占める天然歯の虫歯予防のメリットが大きいため、積極的に用いると良いでしょう。
反対に、上顎がALL on 4、下顎がインプラントオーバーデンチャーといった、ほとんどあるいは全ての歯がインプラントによる補綴装置の場合、そもそもフッ化物のケアをするメリットがないか非常に小さいため、必要ないという判断になります。
どこで治療を受けるのが良いか
インプラントは非常に良い治療ですし、もっと世の中に広まって欲しいです。周りにインプラント治療を受けた方がおられて、そのクリニックの評判が良ければ一度相談に行かれたら良いと思います。
私たちのクリニックでも、お気軽にご相談いただけたら幸いです。
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