こんにちは、こさか歯科クリニックです。
健康に関するトピックです。
⚫️自宅でもできる睡眠時無呼吸症候群予防
睡眠時無呼吸症は、何らかの原因により舌の根元が喉を塞ぐことから起こります。
舌根はこのような構造になっています。
つまり、「舌が下がっている」ことが原因なわけです。舌は筋肉ですから、自分で意識して鍛えることも可能です。
いびきが気になる人は、口周りや舌の筋肉を鍛えることができる「あいうべ体操」を普段から心がけることで、症状がかなり改善されます。
睡眠時無呼吸症候群は、口呼吸の癖がある人もなりやすいとされています。口周りの筋肉を鍛え、口を閉じて鼻で呼吸することができるようになる「あいうべ体操」は、睡眠時無呼吸症候群の予防として最適と言えます。
⚫️掌蹠膿疱症と口呼吸
皮膚病のひとつである「掌蹠膿疱症」。手掌、足底に無菌性の膿疱が反復して出現する、慢性難治性の疾患です。
この病気の原因は明らかにされていませんが、膿疱は無菌性であることから、金属アレルギーや病巣感染が大きな誘因となるのではと考えられています。
病巣感染とは、「身体のどこかに限局した慢性炎病があり、それ自体は異常を引き起こさないが(あっても軽徴)、まったく関係のなさそうな臓器に、反応性の器質的・機能的な二次疾患を引き起こす病態」です。
病巣感染の一次病巣は、扁桃と口腔内でそのほとんどを占めていることはすでに述べた通りです。口呼吸を続けていると、上咽頭や扁桃部が細菌感染を起こし、免疫システムに異常を来します。その結果、風邪をひきやすくなったり、掌蹠膿疱症やアトピー、その他さまざまなアレルギー疾患となって現れるのです。
扁桃は、風邪をひいて喉が痛くなったり、疲れが溜まったときに腫れたり、身体防御機能が落ちるとよく症状を示すところです。慢性的に細菌が侵入してしまう場所です。
また、口腔内は体の中で最も細菌が棲みつきやすい場所です。口呼吸は、口腔乾燥症によって歯周病や口内炎を発症し、「歯性病巣感染」としてさまざまな臓器における疾患の起点となります。
掌蹠膿疱症などの皮膚疾患は、病巣感染を無くすことによって、ステロイド剤などの薬剤を
使用しなくても、治療をすることが可能です。
病巣感染を取り除き、鼻うがいと鼻呼吸を心がけてもらうことで、治る可能性は非常に高くなります。
⚫️咀嚼運動と脳の関係
NHKの人気番組で、咀嚼運動が脳に与える影響が紹介されました。
ほぼ寝たきり状態だった高齢者の歯を治療して口から食事を摂れるようにすると、なんと自立歩行するまで回復したというのです。
また、終日ベッドに横たわり、介護者の問いかけにも反応しなかった男性に、歯科医師が義歯を製作して装着すると、QOLが劇的に回復しました。「気力が甦った」といきいきとした表情で述べる男性の姿が印象的でした。
ある大学の研究では、歯の本数が少ない人ほどアルツハイマー症で脳内の海馬が萎縮していたことも明らかにされました。
番組内で、東北福祉大学の渡邉識教授は、「噛むことは脳を活性化するだけでなく、体のバランスを取る重要な役割を担う、生きるために必要な力」と、結論づけています。
歯の組織には、歯根膜という歯槽骨をつなぐ繊維性合組織が存在します。咀嚼と脳をつなぐ重要な働きをするのが、この歯根膜です。歯根膜は、歯と歯槽骨をつなぐという役割以外にも、「噛み応え」を感じるという役割や、咀嚼の際には歯にかかる衝撃を和らげる役割があります。それだけではありません。歯根膜は、脳内の三叉神経につながっているのです。
咀嚼運動にらよって発生した刺激は、歯根膜から三叉神経を通して脳の中枢に送られます。そして、脳内の運動、感覚、記憶、思考、意欲を司る前頭前野まだ活性化させます。
本来、食べるという行為は、非常に刺激的な作業です。味覚においては、舌の味蕾ご食べ物の味を電気信号に換え、顔面神経、舌咽神経、延髄、視床を経て大脳の味覚野に送られ、海馬、扁桃体、前頭前野へ伝えられます。脳には過去の記憶ぎ保存されているので、味とともに食事にまつわる思い出が蘇ります。まさに脳を活性化する大切な作業なのです。
高齢者ほど噛むことによって脳の連合野が顕著に活性化することも明らかになりました。脳の連合野は、五感情報や運動情報などを、より高次のレベルで処理する領域です。積極的な咀嚼が加齢による衰えに歯止めをかける、いわばアンチエイジング効果が期待できることになります。
また、認知症によるコミュニケーション力の喪失や徘徊行動などを見ると、前頭前野の働きに直結していることがよく分かります。脳の神経細胞は加齢によって減少するものですが、脳に刺激を与えて活性化させれば、残った神経細胞によって脳の機能を維持することができるのです。
歯が抜けると歯根膜も失われますが、その場合には口腔内の軟組織が歯根膜の代わりを果たすことが明らかになっています。義歯でも噛むことができれば、脳は活性化します。
近年では、義歯を装着することによって車椅子を使用していた高齢者が自立歩行できるようになった事例を日本歯科医師会が再三にわたり紹介しています。理由として、食物の経口摂取が可能になって体力が回復したことに加え、正しい咬合を回復したことで身体のバランスを取りやすくなったことが、大きな理由として指摘されています。
⚫️子どもと歯根膜
噛み合わせが悪い不正咬合の子どもは、集中力が低下する、学力が伸びないなど、脳への悪影響が見られることがあります。
それには口呼吸がひとつの原因になっていることは、すでに述べた通りです。本来なら鼻から入れる乾燥して冷えた空気が脳を冷却してくれますが、不正咬合により口が閉じられない状
また、噛み合わせが悪い状態というのは、ちゃんと噛めていない状態なわけです。ということは、歯根膜に刺激が伝達されていないのです。歯根膜に刺激が伝達されないと、脳にも十分に刺激が伝わっていきません。ちゃんと噛めてい状態なわけです。ということは、歯根膜に刺激が伝達されていないのです。歯根膜に刺激が伝達されないと、脳にも十分に刺激が伝わっていきません。ちゃんとと噛めない、咀嚼がしにくい、というのも、子どもの集中力や学力低下の立派な原因です。
だからこそ、子どものうちから矯正治療をしてちゃんと噛めるような歯にすることが大事なのですが、矯正治療は根本的な解決にまで結びつきません。編正治療で見た目を美しくできても、正しい咀嚼ができない状態、口呼吸のままの状態では、脳への悪影響は継続されていくからです。
不正咬合でなくても、正しい咀嚼ができない子どもは多く見られます。子どもが好む柔らかい食べ物が多くなったせいか、昔ほど「よく噛んで食べる」ことの大切さを子どもに伝えている家庭は少ないように感じます。
子どもたちがこれから先の長い人生、生涯にわたって心身の健康を維持していけるように、口呼吸の大切さや咀嚼の大切さを、周りの大人たちは伝えていかなければいけません。
⚫️セロトニンと歯根膜
人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質であるセロトニン。このセロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥りやすいと言われています。
セロトニン研究の第一人者である有田秀穂氏は、うつ病治療において代表的な治療薬とされ
るSSRIの使用を「あくまで対症療法に過ぎない」とし、「生活習慣を改善しなければ本質的な治癒には至らない」と述べています。セロトニン神経を活性化させるために効果のとのひとつとして、有田氏はリズムを伴う運動を挙げ、「咀嚼」をその代表例と指摘しています。咀嚼運動の前後の状態を調べると、脳内に増加したセロトニンが血管内に輩出されていることが確かめられています。
⚫️ダイエットと歯根膜
歯根膜は、ダイエットや肥満防止にも関わっています。噛む回数が増えると、脳にヒスタミンという物質が分泌されます。ヒスタミンは、脳の満腹中枢を刺激し、脂肪を燃やす脳内物質なので、噛む回数を増やし、歯根膜への伝達をしっかり行うことで、痩せるというわけです。
噛むときに大切なのは、柔らかい食べ物でもしっかり噛むことを心がけ、必要以上に固いものを噛もうとしないことです。噛み過ぎは、歯の摩耗を招きます。