こんにちは、こさか歯科クリニックです。
今回は、歯肉の状態の詳しいお話、食事の栄養についてです。
⚫️健康な歯肉・炎症のある歯肉
【健康な歯肉】
健康な歯肉は薄いピンク色で、セメント質と歯肉を結合するコラーゲンの機能が歯肉上皮を引っ張っているというスティップリングが点状に見えます。歯間乳頭は歯間空隙にフィットし引き締まった三角形をしています。
【炎症のある歯肉】
炎症のある歯肉は、辺縁が赤く丸みがあります。歯間乳頭は歯間空隙からはみ出るように赤く膨れ、スティップリングが消失しているのがわかります。
▶︎拡大して見ると・・・
健康な歯肉にエアーをかけて観察すると、硬く引き締まって歯面に密着しており弾力があるため、プローブで触った跡はすぐ元に戻ります。そして、スティップリングは大きさが一つひとつ異なるようすや、歯冠側からの観察では立体的な小窩になっているようすを確認できます。
一方、プラークに反応して炎症が起きた歯肉は、毛細血管が怒張し血管透過性が亢進して組織液が増えるため、赤く膨らんでいます。炎症の起きた歯肉では、毛細血管が線状に走行しているようすは見えにくくなることが多いですが、辺縁歯肉に赤い点としてはっきり見えることもあります。そしてここにプローブを挿入すると、容易に出血しBOP(+)となるのです。また、歯肉に密着しておらず弾力がなくなり、プローブで押した跡やポケットに挿入した跡がしばらく残ります。スティップリングは消失していますが、炎症がある歯肉でも確認される場合があり、健康を判断するうえでの十分な指標にはならないといわれています。
▪️炎症がある部位には肉芽組織が見られることもある
歯肉溝内に肉芽組織も観察すると赤く柔らかく、表面に顆粒状の膨らみが見えるときは、肉芽組織は、傷の治癒欠損した組織の補充、異物の処理に大切なはたらきをしますが、炎症(特に慢性炎症または炎症の治癒期)にも見られることがあります。
マイクロスコープは視軸と光軸がほぼ同軸で、深いポケット内も非常に明るく拡大して観察することができます。もともとこの部位にBOP(検査器具で触ったときの出血)はなかったため、肉眼だけで観察したのでは、正常に治癒してると判断してしまうこともあります。
肉芽組織が生じた原因は不明ですが、これは、部位の歯肉が正常でまないことを示しています。肉芽組織が観察されたら、その後も継続に観察を行い、治癒に至るのか、歯周炎が残存しているのかを判断する材料の一つにしています。
▪️パッと見ると、健康そうでも炎症があるかも…?!
一見、歯肉が薄いピンク色で硬く引き締まっているように見えても、炎症を生じている場合があります。
拡大してよく見ると、辺縁歯肉が丸みを帯びて歯面に密着しておらず、エアーをかけると歯面との間にわずかな隙間があることがわかりました。プローブを挿入するとプラークの付着が確認でき、BOPが確認できたことからも、炎症を生じている可能性があると考えられます。
炎症のあるなしで、このような違いがあるのですね。
ちなみに、口呼吸と歯肉の炎症って関係なさそうですが、
口呼吸で口腔内が乾燥するため、菌が増えて炎症しやすくなってしまいます。
気づかないだけで、多くの人が口呼吸をしてしまっています。
どのように改善したらよいのでしょうか?
⚫️口呼吸をやめるために効果が認められている方法は?
口唇閉鎖力がポイント
リットレメーターという機器です。
シンプルな構造ですが、これで小児患者さんの口唇閉鎖の力がどの程度か、
検査することができます。
▪️一時しのぎの方法ではなく、口輪筋を主とした筋群を鍛えることによって口唇閉鎖力を改善することが有効だと思われます。
鼻咽腔の機能に異常がなく、上下前歯の被蓋関係や骨格的な関係に不調和がないのに口呼吸の癖がある方の場合、口唇を閉じる力である「口唇閉鎖力」が低下している可能性が高いと思われます。口唇閉鎖力は、口呼吸の方は健常者に比べて有意に低く、60歳前後から低下傾向が見られることがわかっています。また、口唇閉鎖力は、特に高齢者においては食べこぼしや流涎と関連し、他の身体機能や疾患などの影響を受けやすいとも考えられています。
口呼吸の改善方法としては、鼻に特殊なテープを貼って鼻腔を広げる方法や、口に絆創膏を貼って寝る方法などがありますが、どれも一時しのぎに過ぎません。訓練などを行って、口輪筋を主とした筋群を鍛えることによって口唇閉鎖力を改善することが、口呼吸を鼻呼吸に変えるのに有効だと思われます。
自主訓練について、日本摂食の下リハビリテーション学会がまとめた訓練法を紹介します。自分で口唇を動かす口唇川練としては、指で口唇をつまんで外側に膨らませるように伸び縮みさせて口輪筋を伸ばす「口唇伸展」があります。また、口唇突出(「ウー」と発音して行う)
と口角引き(「イー」と発音して行う)を繰り返す運動も有効です。さらなる効果を望むなら、抵抗法として負荷をかけた運動を行うとよいでしょう。これは、舌圧子や木べら、ストロー、定規などを口唇で強く挟んで保持する方法です。
また、臼歯部でしっかり咬んだ状態で、前歯と口唇の間に紐を付けたボタンを挿入し、口唇でしっかり挟んだ状態で紐を引っ張ってボタンが口腔外へ飛び出さないよう口唇に力を込める訓練である「ボタンプル法」も有効だと思われます。
その他として、最近では口閉鎖訓練のためのさまざまな器具が市販されており、これらを用いた訓練法も考案されています。いずれの訓練も、やり過ぎはよくありません。各食事前(1日2~3回)に5分程度行うのがよいとされています。
⚫️食と栄養の疑問
カフェインは天然に存在する成分の1つで、コーヒー豆、茶葉、カカオ豆などに含まれており、さまざまな効能を持つことが明らかになってきていますが、摂りすぎると心拍数の増加、不眠症、頭痛、吐き気などをもたらすこともあります。海外では健康への影響を検討し、妊婦・子どものカフェイン摂取目安量を示している国や機関があります。
日本では、カフェインの感受性に個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しいということで、カフェインの1日の摂取許容量が数字として明確に定められていませんが、「妊婦の方、お子さんはカフェインを摂り過ぎないように留意してください」と注意喚起が行われています。
そこで、最近注目されてきているのが、「デカフェ」飲料です。デカフェとは、本来カフェインを含んでいる飲食物からカフェインを取り除く、あるいは通常カフェインを添加する飲食物に添加を行わないことで、カフェインを含んでいないものをいいます。カフェインの除去方法には、①有機溶媒による抽出法、②水による抽出法、③超臨界二酸化炭素抽出法がありますが、
①は有機溶媒の残留の危険性があることから日本では許可されていません。③はカフェイン以外の成分に損失が少なく、コーヒー豆本来の香りなどを守ることができる点や、二酸化炭素を使用するため安全性が高い点から、現在主流になっているようです。
日本では、デカフェに対する明確な基準はありませんが、コーヒー飲料などの表示に関する公正競争規約によると、デカフェと表示できる商品はカフェイン含有量が10%未満とされています。メーカーや商品によってカフェイン含有量は異なるため、利用の際には実際にどれだけ含まれているかの確認が必要です。
以上の点から、デカフェコーヒーは、妊娠中・授乳中の女性や体の小さな子どもたちも利用して問題はありません。ただし、カフェインが含まれているのはコーヒーだけではなく、紅茶、緑茶、ココア、ウーロン茶のほか、これらを原料としている食品にも含まれています。カフェインは原料由来成分で本来表示義務がないため、コーヒー以外のデカフェ表示商品については、正確な含有量を知ることができないのが現状です。気になる方は、メーカーに確認するなどしてから利用すとよいでしょう。